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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:人間リアニメイト(スタンダード・『イニストラード』~『ラヴニカへの回帰』)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:人間リアニメイト(スタンダード・『イニストラード』~『ラヴニカへの回帰』)

by 岩SHOW

 2016年4月8日、『イニストラードを覆う影』が発売される。陰鬱な空気に満ちた、まさしくゴシックホラーな次元、イニストラード。この次元に蔓延る、不死者の勢力や墓から蘇りし亡者どもを操ることができる『イニストラードを覆う影』プレリリースまであとわずか! 今回のセットも、同次元を舞台にした『イニストラード』『闇の隆盛』同様、「昂揚」を始めとした墓地に関する能力を持ったカードが複数入るようで、墓地フリークとしては嬉しい限り。

 「第2の手札」とも呼ばれる墓地を活用して勝利するデッキは、あらゆる環境・時代に存在し、サイドボードに墓地対策を積まないという甘えたプレイヤーたちを踏みにじってきた。今週はそんな墓地活用デッキの歴史を振り返る一週間にしてみよう。「Graveyard Week」の開幕である!

 先頭打者を任せるデッキに関しては迷ったが......イニストラードに縁のあるデッキが良いだろうと、『イニストラード』ブロックが全て使えたスタンダードのトーナメントで結果を残したデッキに決定。グランプリ・名古屋2012を征した小北雄史の「人間リアニメイト」を紹介しよう!

 デッキ名自体はかなりデンジャラスな響きではあるが、このデッキの目指すところは墓地に溜めた人間・クリーチャーを用いて勝利するというもの。一時的に墓に眠る人間の面々をご覧あれ。

小北 雄史 - 「人間リアニメイト」
グランプリ・名古屋2012 優勝 / スタンダード(2012年12月8~9日)[MO] [ARENA]
4 《寺院の庭
1 《陽花弁の木立ち
2 《神聖なる泉
4 《蒸気孔
1 《硫黄の滝
1 《断崖の避難所
4 《根縛りの岩山
2 《内陸の湾港
4 《魂の洞窟

-土地(23)-

4 《ベラドンナの行商人
4 《イゼットの静電術師
4 《高原の狩りの達人
1 《黄金夜の指揮官
1 《士気溢れる徴集兵
4 《栄光の目覚めの天使

-クリーチャー(18)-
4 《信仰無き物あさり
4 《慢性的な水害
4 《根囲い
2 《イゼットの魔除け
1 《追跡者の本能
4 《堀葬の儀式

-呪文(19)-
4 《大聖堂の聖別者
2 《黄金夜の指揮官
2 《士気溢れる徴集兵
1 《霊誉の僧兵
2 《イゼットの魔除け
2 《天啓の光
2 《轟く激震

-サイドボード(15)-

 《信仰無き物あさり》《根囲い》などの呪文でライブラリーからカードを墓地に落としつつ、土地を集めていく。そうやって墓地に十分な量の人間と、《栄光の目覚めの天使》《堀葬の儀式》が墓地に揃えば、このデッキが牙をむく番だ。《堀葬の儀式》で《栄光の目覚めの天使》を墓地から釣り上げ、それが戦場に出た時の誘発型能力で墓地のすべての人間が戦場に飛び出す。後はこの人間を用いた、文字通りの人海戦術で勝利する。

 この人間のチョイスが使用者によって大きく分かれるのがこの「人間リアニメイト」の面白いところ。人間クリーチャーを複数体同時に戦場に出すことができるので、普通にマナを払って展開するだけでは実現が難しい人間同士のコンボを決めることができ、それがこのデッキタイプの売りでもあった。一例として《悪鬼の狩人》《高原の狩りの達人》《カルテルの貴種》を用いたコンボを紹介しよう。

 これらのクリーチャーが《栄光の目覚めの天使》の能力で戦場に出て能力が誘発、《悪鬼の狩人》の能力で《栄光の目覚めの天使》を追放、《高原の狩りの達人》の能力で2点回復と狼・トークンを出し、その後《カルテルの貴種》で達人と狩人を生け贄に。そうすると、追放されていた天使が戦場に戻り、墓地の狩りコンビが戦場に戻り......これを際限なく繰り返し、ライフ1億点!狼1億体!

 他にも、対戦相手のパーマネントをすべて奪ったり、ライブラリーを削り切ったり......人間のチョイス1つで、様々な変化球で勝利を収めることが可能だ。ただ、この小北のデッキが用いられた段階では無限を生み出すエンジンである《カルテルの貴種》は未登場(2013年2月の『ギルド門侵犯』に収録)。なので勝ち方はコンボというよりは、並んだ人間と天使で殴り勝つビートプランが主体。墓地からクリーチャーを一気に並べて殴る、という点では現存するデッキ「Living End」が近いコンセプトではあるね。

 このデッキでチョイスされている人間は、最強の人間候補でもある《高原の狩りの達人》、便利な1枚《士気溢れる徴集兵》、そして《イゼットの静電術師》《ベラドンナの行商人》の接死砲台コンビだ。

 行商人が接死を与えることで、静電術師はありとあらゆるクリーチャーを除去できる固定砲台と化す。この2枚を並べて相手のクリーチャーを完封し、墓地を貯めるまでの時間を稼ぐこともできる、このデッキの主軸だ。特に《イゼットの静電術師》は、《栄光の目覚めの天使》の能力で戦場に帰ってきた時に《黄金夜の指揮官》の全クリーチャーのサイズを上昇させる能力の恩恵を受けて、そのまま速攻を活かして攻撃することも可能なナイスクリーチャーだ。

 このデッキを陰で支える1枚は、《慢性的な水害》。土地につければタップするだけで自身のライブラリーを3枚墓地に置くことができる。《信仰無き物あさり》《堀葬の儀式》といったフラッシュバック呪文が落ちればそれだけ手数は増えるし、墓地対策を一度使われた程度ならこのオーラですぐさまリカバリー可能。こういう、リミテッドでも上手く使うのが難しい激シブカードが4枚入っているリストってのは、それだけで愛でたくなるものだ。

 ただ、僕の大好きな《墓所這い》らは、ゾンビクリーチャーを追放する《栄光の目覚めの天使》には文字通り骨を折られた、苦い思い出のあるデッキでもある。これのゾンビ版、出てこないかな~。

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