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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:青緑覚醒(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:青緑覚醒(スタンダード)
by 岩SHOW
プロツアー地域予選(RPTQ)。プロツアーという、マジックの檜舞台を目指す者に、最後に立ちはだかる関門である。プロツアー予備予選(PPTQ)で参加権利を手に入れた世界中のプレイヤーが各地域のトーナメントに参加し、そこでTOP4ないしはTOP8まで勝ち残ったプレイヤーが、晴れてプロツアーへの参加権利と航空券をその手にすることができるのだ。次のプロツアー『イニストラードを覆う影』のそれを賭けたRPTQが世界31の地域とMagic Online上で開催され、合計で1992名のプレイヤーがそれぞれの夢を胸に抱きスタンダードで腕を競った。そこにはもちろん、1992個のデッキがあったわけで、その中には当コラムでも既に紹介した「グリクシス・コントロール」のような初めて表舞台に姿を現しつつ結果を残したデッキも存在する。先日、このRPTQの全地域でのTOP8デッキリストが公開された。その中で「なんじゃこりゃ?」と驚きを受けたデッキが1つ。アメリカはジャクソンビルで開催されたRPTQの予選ラウンド7位、William Bが使用した「青緑覚醒」だ。
5 《島》 4 《森》 1 《荒地》 4 《伐採地の滝》 4 《茨森の滝》 4 《ヤヴィマヤの沿岸》 4 《荒廃した森林》 -土地(26)- 4 《春の具象化》 4 《森の代言者》 2 《巨森の予見者、ニッサ》 -クリーチャー(10)- |
4 《次元の歪曲》 1 《予期》 4 《風への散乱》 3 《自然の繋がり》 4 《水の帳の分離》 4 《時を越えた探索》 4 《意思の激突》 -呪文(24)- |
3 《林間の見張り》 2 《ムラーサの緑守り》 4 《払拭》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《手酷い失敗》 1 《氷固め》 1 《変位の波》 -サイドボード(15)- |
「青緑覚醒」デッキと聞いて《覚醒》と《転覆》《貿易風ライダー》を思い描いた方はエルダーポイント獲得(※1)。『ストロングホールド』時代のデッキを思い浮かべるなんて、立派な古老で御座いますよ。
(※1:《覚醒》のアンタップ能力により得たマナで《転覆》を連打し《貿易風ライダー》の能力を起動しまくり、対戦相手のパーマネントをゼロの更地にしてしまうロックデッキ。通称「アウェイクニング」。)
話がそれそうなので戻して......「覚醒」は『戦乱のゼンディカー』にて登場した、土地をクリーチャー化させるキーワード能力。リミテッドでは《掴み掛かる水流》を始め、呪文を唱えながらも戦闘を行うクリーチャーを戦場に増やすことができるので、その多くが強力カードとして扱われた。構築においては......やはり全体的に覚醒コストで唱えると重くなってしまうため、目立った活躍は見られなかった。
覚醒カードの中でも、《水の帷の分離》は数少ない構築シーンで活躍した1枚だ。この「青緑覚醒」はこの《水の帷の分離》と《風への散乱》という青の2種類の覚醒呪文にフィーチャーして組まれたデッキだ。
このデッキが取る行動は、毎ターン土地を置いて構えてエンド。相手のターンに動きがあればそれは打ち消し呪文で対処し、特に何もなければ《自然の繋がり》《荒廃した森林》《春の具象化》らインスタント・タイミングで土地を伸ばす呪文や能力を用いて土地を伸ばす。マナが伸びれば覚醒呪文で土地をクリーチャー化して攻勢へ、最終的には《時を越えた探索》から探してきた《水の帷の分離》連打で息の根を止める......と、デッキがたどるストーリーを文面に起こすと、物凄く強そうに見える。
デッキを紹介するにあたって、実際に組んで回してみたが......上記のような理想の展開ができれば、そりゃもちろん強い。問題はそうでなかった時で、カウンターはひたすらできるけど土地が伸びない、土地は伸びたが手札がスッカラカンで覚醒呪文を引けない、などの弱点が大いに目立った。個人的には《自然の繋がり》や《巨森の予見者、ニッサ》を4枚に増やしたいし、突き詰めれば《絶え間ない飢餓、ウラモグ》とか採用して、いわゆるランプ系のデッキにしてしまった方が......と思わないでもない。
ただ、カウンターして土地を伸ばしてターン追加呪文を撃って...っていう動きは、往年の名デッキ「ターボランド」(※2)を想起させるので、正直言って大好きだしこれからに期待したい、可能性に満ちたアーキタイプであると思っている。《伐採地の滝》が12/12とかになって殴りかかれば、その光景だけで白飯が食えるってぇ!
(※2:エクステンデッドというフォーマットにて存在した、《ドルイドの誓い》でマナを払わずにクリーチャーを展開し、相手のアクションは打ち消し呪文で封じて勝つ「カウンターオース」。このデッキの亜種で《踏査》と《どん欲の角笛》で土地を伸ばしてカードを引きまくり、最後は《時間のねじれ》を使いまわして無限ターンで勝利するのが「ターボランド」だ。デッキ製作者はアメリカが生んだ「奇才」、殿堂入りプレイヤーのZvi Mowshowitz。)
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