岩SHOWの「デイリー・デッキ」：硬化した鱗（スタンダード）

by 岩SHOW

　『ゲートウォッチの誓い』発売後、最初のスタンダードのグランプリがついに開催された。2月27〜28日にアメリカはヒューストンで開催されたグランプリ・ヒューストン2016。全世界が注目したこのトーナメントのTOP8は、プロツアーさながらのビッグネームが並んだことでも話題となった。今は本当に、TwitterなどのSNSでタイムラグなく海外トーナメントの最新情報が入ってくるのが素晴らしいなと、つくづく思う。昔なんか雑誌で断片的に知る、くらいしかなかったからねぇ......。

　ちょっと脱線しそうだったので本題に戻って、さあこのグランプリのTOP8にはどんなデッキが残ったのか見てみると......目を引くデッキがあるじゃないか。使用者はMark JacobsonとChapman Sim、そう、日本のグランプリにも度々カバレージライターとして参加している「プロの旅人」、あのシム・チャップマンだ。今回はサイドボードにも注目の１枚があったので、彼が使用したリストを紹介しよう。「緑白《硬化した鱗》」だ。

　『ゲートウォッチの誓い』発売前より、《硬化した鱗》を中心に据えて、＋1/＋1カウンターを乗せるカード、＋1/＋1カウンターが乗っていることで何らかのボーナスを得られる・与えるカードを集めて作られた緑白のビートダウンデッキは存在していた。《搭載歩行機械》や《マナ喰らいのハイドラ》らにカウンターが乗るのが倍速になる、ということで『マジック・オリジン』発売時から一部のプレイヤーに注目され、調整がされ続けてきたが......ついに、全世界の鱗マニアの願いが叶った。その願いを結実させたのは他でもない、《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》だ。『ゲートウォッチの誓い』で登場した新たなニッサは、３マナという軽さにして自軍全体に＋1/＋1カウンターをばら撒く能力を有している。これが鱗と合わさると...ただの１/１もいきなり３/３というゴリゴリのコマンドーに成長。これらが《アブザンの鷹匠》で空から攻めてくるのだからたまらない。

　メインデッキに入っている土地以外のカードがすべて４枚にまとめられ、＋1/＋1カウンターに関係のないカードは一切入っていないという徹底っぷりが、なんとも美しいリストを作り上げている。サイドに目を移すと、見慣れないカードとして《アラシンの上級歩哨》が目に留まる。

　『タルキール覇王譚』のリミテッドでは文句なく最強クリーチャーであったが、構築となると４マナという軽くないコストと速攻性の無さから活躍する機会もなかったが......このデッキでは、チャップマン自身が「空飛ぶ《タルモゴイフ》」と評するように、大型の航空戦力として速やかにゲームを終わらせてくれることだろう。とりあえず、このリストをコピーする前に......まずは大量のダイスを揃えよう！