今日は東京タワーの完成の記念日じゃから、招待されて記念パーティーに来たのじゃ。

　東京タワーは1958年の12月23日に完成したのじゃな。高さ333メートル、当時はパリのエッフェル塔を抜いて、世界一の建造物だったのじゃ。そこから東京の観光名所、そして、シンボルとなったのじゃな。

　ドミナリアのシンボルであるわしを招待するとは東京タワーはお目も高い、ということで来てみたのじゃが、東京はこんなに暗かったかのう？ そして、この張り紙、「入場の際にはこの油をお塗りください」とな？ これは、まるでわし自身が料理の材料のような……ふぉっふぉっふぉ、これは嵌められたようじゃな、ここはタワーはタワーでも、ファイレクシアのシンボル《ファイレクシアの塔》じゃ。

　《ファイレクシアの塔》はクリーチャーを１体生け贄に捧げると{B}{B}を生み出せる伝説の土地じゃ。マジックの生け贄はデメリットに見えて大きなメリットにもなるからのう、死亡した時に能力が誘発するクリーチャーをこの塔に投げ込みつつマナも生み出せる、そんな便利な装置として考えられたのじゃ。

　そして、投げ込みがいのあったクリーチャーと言えば、《アカデミーの学長》が真っ先に挙げられるじゃろう。当時のスタンダードは《アカデミーの学長》を《ファイレクシアの塔》で生け贄に捧げて、《ヨーグモスの取り引き》を出し瞬殺する「ピットサイクル」といったデッキで使われておったのじゃな。土地だけに戦場にも出しやすいからのう、デメリットをメリットに変えられるデッキでは最強の働きを見せたのじゃ。

　ちなみに、東京タワーはスクラップとなったアメリカの戦車の鉄鋼が使われておるんじゃが、《ファイレクシアの塔》もスクラップになった《ファイレクシアの大男》が……とマメ知識も披露したところで、わしは、この窮地から助かる方法を考えておるぞい。よし、思いついた！ 聞いてくれーい！ わしを投げ込んでも戦場に臓物をぶちまけるだけだから、環境に悪いぞい！ そりゃ、グレタさんも怒る！ 落ち着け！ ファイレクシア、落ち着……