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週刊デッキ構築劇場
第79回:井川良彦のデッキ構築劇場・「井川、ワームふやすってよ」
読み物
週刊デッキ構築劇場
2012.09.24
第79回:井川良彦のデッキ構築劇場・「井川、ワームふやすってよ」
演者紹介:井川 良彦
2007年の横浜でプロツアーに初参加、「初の海外旅行は、マジックのプロツアーで行きたい」という自身の言葉を2010年のプロツアー・サンディエゴで実現、海外緒戦にしてトップ8入賞を決めてみせた「驚嘆の男(ザ・ワンダーリング・ワン)」。
その後も、伊藤 敦・高橋 純也と組んだ調整チーム『神様へのブラフ』で切磋琢磨し、日本選手権2011で4位に入賞するなど、多忙な日々にあってもフォーマットを問わずマジックに取り組む、情熱あふれるプレイヤー・ライターである。
こんにちは、井川です。
一年に一回の、スタンダードのローテーションの時期が迫ってきました。
『基本セット2012』、そして『ミラディンの傷跡』ブロックは優秀なカードが多く、中でも《マナ漏出》《思案》《原始のタイタン》《饗宴と飢餓の剣》《緑の太陽の頂点》《殴打頭蓋》《出産の殻》などは、スタンダード以外のフォーマットでも大活躍をしています。
なかでも、《原始のタイタン》は『基本セット2011』で登場以来、《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》、《エルドラージの寺院》&《ウギンの目》、《微光地》+《雲上の座》、《墨蛾の生息地》+《ケッシグの狼の地》と相棒を変えながらも大活躍を見せてきました。
6マナのファッティがここまで使われるのも非常に珍しいことですが、それほど《原始のタイタン》のカードパワーが飛びぬけていたと言えるのではないでしょうか。
また、《原始のタイタン》だけでなく、《太陽のタイタン》など各色のタイタン、「無色のタイタン」であった《ワームとぐろエンジン》、《聖別されたスフィンクス》、そして《大修道士、エリシュ・ノーン》といった優秀なフィニッシャー達がスタンダードから卒業します。
果たして、次期スタンダードではどんなフィニッシャー達が現世を謳歌するのか。
その解答の一つとなりうるカードがこちらです。
6マナという適度なマナコスト、本体と同じサイズのトークンが出る姿は、旧スタンダードのジャンドで縦横無尽の活躍を見せた《若き群れのドラゴン》を彷彿とさせます!
そして、今回のセレズニアのキーワード能力は、自分がコントロールしているトークンを増やしてくれる「居住/Populate」。
まさにこの《大軍のワーム》と共に使って下さいと言わんばかりの能力ですね。
ということで、今回のデッキはこちら。
6 《森》 4 《平地》 4 《陽花弁の木立ち》 4 《寺院の庭》 4 《セレズニアのギルド門》 1 《ガヴォニーの居住区》 1 《守護者の木立ち》 -土地(24)- 4 《アヴァシンの巡礼者》 3 《ヴィトゥ=ガジーのギルド魔道士》 4 《ロクソドンの強打者》 3 《セレズニアの声、トロスターニ》 4 《大軍のワーム》 -クリーチャー(18)- |
3 《怨恨》 4 《議事会の招集》 3 《セレズニアの魔除け》 3 《遥か見》 3 《忘却の輪》 2 《原初の狩人、ガラク》 -呪文(18)- |
4 《栄光の騎士》 2 《スラーグ牙》 3 《金輪際》 2 《獰猛さの勝利》 3 《情け知らずのガラク》 1 《ガヴォニーの居住区》 -サイドボード(15)- |
トークン大好きな皆様! お待たせ致しました!
思い思いのトークンを盤面に並べて、盤面を制圧しましょう!!!
あの《番狼》が、クリーチャー・トークンになって帰ってきました!
「居住」と噛み合うので、この変更は非常に嬉しいですね。
トークンの特性上バウンスには弱くなってしまいますが、《蒸気の絡みつき》がスタンダード落ちするので、そこまで気にしなくても大丈夫でしょう。
2マナクリーチャーとして攻めて良し、火力から守ってよし、相手のファッティを殺して良し、の超万能カード。
いつ引いても腐らないカードは素晴らしい!
古の《セレズニアのギルド魔道士》には及びませんが、今回のギルド魔道士もなかなか優秀な能力を持っています。
トークン生成能力は単体でゲームを決める可能性がありますし、一度トークンが場に定着してしまえば「居住」でトークン天国。
能力の起動にタップが要らないので、マナフラッドしたときや長期戦では1ターンに複数回起動することもあるでしょう。
デッキにはあまり噛み合いませんが、「タダ強枠」での採用。
マナ拘束が緩くなった《長毛のソクター》といえば、その強さが伝わるかと思います。
2ターン目に降臨する4/4を止めることは、そう簡単ではないでしょう。《修復の天使》や《高原の狩りの達人》を乗り越えられるのは偉い!
マナレシオは非常に高いですが、基本的にはバニラ生物なので、《怨恨》を付けて殴りたいところ。
(※マナレシオ:パワーとタフネスの平均を点数で見たマナ・コストで割った値で、クリーチャーの質を評価する指標のひとつ。《ロクソドンの強打者》の場合は1.33。)
そして、このデッキの核がこのカードです。
「他のクリーチャーが1体あなたのコントロール下で戦場に出るたび、あなたはそのクリーチャーのタフネスに等しい点数のライフを得る。」
この一文がどれほど強力か、《魂の管理人》や《群れの癒し手》と見比べると一目瞭然ですね。
ダメージレースを仕掛けてくる全てのデッキにNoを突きつける1枚。「居住」の起動コストも軽く、セレズニアを統べる存在としてふさわしいカードデザインになっています。
マナ拘束が厳しいため、《ガヴォニーの居住区》《守護者の木立ち》のような無色土地の枚数は控えめにせざるを得ませんが、このカードにはそれだけの価値があるでしょう。
《大軍のワーム》で10点ゲイン! ワーム・トークンを「居住」してさらに5点ゲイン!
Give up yet?
スペルについては、基本的なカードがほとんどだと思いますのでこのカードだけ。
『ウルザズ・レガシー』で印刷されて以来、「最強のオーラ呪文」と名高い一枚。
回避能力が無いクリーチャーでひたすらアタックするのが基本となるこのデッキにとっては、非常に重要な1枚になります。
対応してクリーチャーを除去されて失わないよう、プレイの際には十分気をつけましょう。
相手のクリーチャーに付けてパワーを上げ《セレズニアの魔除け》で除去する、というテクニックも忘れずに。
サイドボードで注目すべきは《金輪際》でしょうか。
《翻弄する魔道士》の能力を持つこのエンチャント。
緑白という色の関係上カウンターもハンデスも無いので、「あの1枚だけで負けてしまう!!」というカードが有る場合は、こういうカードを使って対処するしかありません。
《忌むべき者のかがり火》《ミジウムの放火砲》《至高の評決》といった全体除去は《獰猛さの勝利》のようなアドバンテージカードや、《原初の狩人、ガラク》《スラーグ牙》などである程度対応できるので、インスタントタイミングで撃たれる《終末》《サイクロンの裂け目》や、「奇跡されたらほぼ負け」な《天使への願い》などを見たらサイドインするといいと思います。
今回は採用を見送りましたが、《降霊術》も「居住デッキ」としては非常に優秀なカードです。
《降霊術》は墓地にあるクリーチャーカードの「コピー・トークン」を戦場に出すため、「居住」と組み合わせると良い働きをします。
たとえば、《大軍のワーム》を釣れば、その《大軍のワーム》トークンを「居住」することにより、計3体の5/5を場に残すことができます。
その際には、マナをかけずに毎ターン「居住」してくれる《兵士の育成》もセットでどうぞ。
2005年、『ラヴニカ:ギルドの都』発売後に行われた世界選手権では、当時まだ無名だった鈴木貴大発案の「セレズニア」が世界を制しました。
今週末はプレリリース。そして来週金曜日には『ラヴニカへの回帰』が発売。あれから7年、新しいラヴニカの物語がスタートします。
新スタンダードシーズンは、一年間で一番デッキの作り甲斐がある時期です。
未来のトップメタデッキを、あなた自身の手で作成しましょう!
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