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週刊デッキ構築劇場
第72回:高橋純也のデッキ構築劇場・スタンダードデッキ構築概論2
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週刊デッキ構築劇場
2012.08.06
第72回:高橋純也のデッキ構築劇場・スタンダードデッキ構築概論2
演者紹介:高橋 純也
2005年のグランプリ・松山にて、《狩猟の神》を重用した鮮烈なドラフトコンセプト「赤緑ラッシュ」を披露して一躍名を轟かせる。
その『ほとばしる奔能(ラッシング・ラッシュ)』はリミテッドにとどまらず、グランプリ・京都2007で見るものを驚かせた「発掘」(スタンダード)、プロツアー・バレンシア2007で小池貴之をトップ8に導いた「アグロドメイン」(エクステンデッド)など、環境を問わず状況を分析し、既存のコンセプトの潜在能力を最大限に引き出す構築手腕を見せている。
近年では、雑誌への寄稿などライティングでも存在感を発揮している、才覚あふれるプレイヤー・ライター。
目次
- 序文:青白ノンクリーチャーコントロールの失敗
- アイデア:決定力のあるコントロール
- 実践編1:黒白コントロール
- 実践編2:黒白赤コントロール
- 実践編3:交易所コントロール
- おわりに
1、序文:青白ノンクリーチャーコントロールの失敗
前回の記事では主に発掘デッキの作成について取り上げたが、その途中で一案として青白の「ノンクリーチャーコントロール」を紹介した。
8 《島》 6 《平地》 4 《金属海の沿岸》 4 《氷河の城砦》 4 《幽霊街》 -土地(26)- -クリーチャー(0)- |
2 《清純のタリスマン》 2 《墓掘りの檻》 4 《マナ漏出》 2 《倦怠の宝珠》 2 《漸増爆弾》 3 《忘却の輪》 4 《材料集め》 4 《審判の日》 4 《終末》 1 《青の太陽の頂点》 2 《ギデオン・ジュラ》 2 《月の賢者タミヨウ》 2 《解放された者、カーン》 -呪文(34)- |
2 《聖別されたスフィンクス》 1 《大修道士、エリシュ・ノーン》 2 《神への捧げ物》 1 《天界の粛清》 2 《漸増爆弾》 2 《金輪際》 1 《機を見た援軍》 2 《決断の手綱》 1 《白の太陽の頂点》 1 《エルズペス・ティレル》 -サイドボード(15)- |
メタゲームの上位に位置する青白Delverと赤緑Aggroの両者を『クリーチャーデッキ』と考え、《終末》と《審判の日》の2種類の全体除去を豊富なドロー呪文で連打することで相手の攻め手を枯渇させるデッキだ。純粋なコントロールが多くない環境なので、クリーチャー除去はいくらあっても足りないくらいで、しっかりとした勝利手段さえあれば理想的な戦略だといえる。
そこで前回は、これを環境における一つの解決策として紹介したのだが、実際にゲームをこなしてみたところ、いくつかの気づきがあった。
青白Delverへの不利
まず一つは、やはりといっては何だが、青白Delverには分が悪かったことだ。いくらクリーチャーによる攻撃に重きを置いているとはいえ、こちらの大振りの呪文は1枚の《マナ漏出》に阻まれてしまうのだ。また、Delver側の行動のほとんどはインスタントタイミングであるため、ほぼ全てがソーサリーで構成されているこのデッキでは対応することは難しかった。さらに《はらわた撃ち》などの無駄が減らされるサイドボード後は輪をかけて厳しいゲームになることが多かった。
ただ《終末》を奇跡したときのインパクトは強烈だった。もちろんどのマッチアップにおいても奇跡をすれば強力ではあるのだが、《マナ漏出》をすり抜けて一気に盤上をひっくり返すことができるのはこの1枚だけなので輪をかけて勝敗に影響を与える部分に違いなかった。
プランに見合うだけの決定力の不足
二つ目は、各々のカードがとにかく重く、その割に決定力が不足していたことだ。これは「レシピをみればわかるじゃないか」とつっこまれるかもしれないが、当初の僕は数多く入ったプレインズウォーカーや《青の太陽の頂点》をみて、彼らは立派な決定力で十分にゲームに蓋をできると考えていた。だが、実際は少々違った。
不利→耐える→フィニッシャー→勝つ。
ほぼ全てのゲームはこのプロセスをたどるのだが、多くの緑系クリーチャーデッキに対して「耐える」段階ではそこまで問題は生じない。パーマネントに干渉する要素は多く、そう簡単には沈まなかったりする。ただ、問題はその後にあり、「フィニッシャー→勝利」するまでに時間がかかりすぎるのだ。これは有利に転じたゲームを落とすという最悪の結果を生んでしまっていた。
もちろん特別に3種類のプレインズウォーカーが悪いというわけではなく彼らは十分に強力だ。ただ、有利な場をより有利に持っていく類のカードであるため、これらを展開しつつ、重ねて対戦相手の脅威を払うという作業が必要だったりするのだ。いくつかのマッチでの経験を述べると、彼らを展開しても時間稼ぎにしかならず、2ターンほどのラグを迎えただけで打ち落とされてしまうことも珍しくなかった。
たった1枚でどんなに不利な局面を打開してしまうフィニッシャー。そんな都合のいいものが存在しないことは分かってはいるのだが、このデッキにおいてはそのレベルの要求に応えるカードが必要に思えた。
序盤から中盤を常に不利で過ごし、土地事故による即座の敗北の可能性を孕みながら、リセットを重ねた後に繰り出すカードとしては、その程度の水準はどうしても求めてしまう。それが搭載されていない以上は、他のデッキの《出産の殻》、《戦争と平和の剣》、《ルーン唱えの長槍》、《ケッシグの狼の地》、《ムーアランドの憑依地》といった耐久力のあるカード群に押し切られてしまっても文句は言えない。
一見すると魅力的な解答策に思えたこのデッキも、ややアンバランスさが目立ち、決定力不足という問題点も抱えていたのだった。
2. アイデア:決定力のあるコントロール
こうして文句を連ねたわけだが、ノンクリーチャーコントロールというコンセプトは強く、《終末》の奇跡時は素晴らしく感じた。そこで色々と練ってみたところ、いくつかの変更を経て若干改良された。
以上の三点が主たるポイントになる。
《思案》はゲームを通じて《終末》等の奇跡カードをより簡単に調達し、キャントリップ効果でデッキ内のマナベースをやや少なく調整してくれる。最序盤から終盤まで非常に便利なカードだ。
《天使への願い》は決定力不足を肩代わりするものである。このカードはプレイするには非常に重く、たとえ奇跡しても要求するマナコストは膨大なものではあるが、このデッキが求めていた不利な状況を丸ごとひっくり返すことができる1枚に違いない。ゲーム中盤にもなると引けば即勝利となる場面も少なくなく、勝利をプレインズウォーカーに依存するほどの安定性はないものの、アンバランスなデッキらしいピーキーさは魅力的だ。
《鞭打ち炎》は単純に必要悪なカードとして採用した。とにかく四ターン目の《審判の日》では遅すぎるのだ。《聖トラフトの霊》には殴られているし、《極楽鳥》や《高原の狩りの達人》は仕事を始めている。そこですばやくそれらに対処する必要があり、そのためのカードとして色を増やすリスクを背負いつつも採用してみた。
2ターン目にプレイすることはやや難しいが、後の要所でたった2マナの呪文で攻勢に対処できることは有効だった。また、赤という三色目を加えることで《僻地の灯台》の恩恵を受けられることも後押ししている。
それでも残る問題点と異なるアイデア
以上のように改良点を述べたものの、こうして組みなおしたデッキが最高のもので、青白Delver及び緑系Aggroを食い物にできるかと言われれば、そうではなかった。
上記の三つの大きな改案は、主にデッキのコンセプトを重視しつつ表面上の問題点を解決したに過ぎない。つまり、根本的な問題点が潜むプランの成否(本当に重いカードで一撃逆転を狙う必要があるのか etc.)には触れていないため、重いカードだらけの初手を眺めたり、5マナに到達できずに機能不全起こしたりすることは依然として解決されていなかった。
カードを引き増すドロー呪文が限られているため、一気に枚数差をつけることが難しかったことも問題点の一つだろう。原型となる青白コントロールに《材料集め》が泣く泣く投入されていたことからもスタッフ不足が嘆かれる。改良案では引き増すことは考えずに、よりアンバランスさを求めて都合のいい展開時の決定力を強化することで勝率を保つことにしている。弱点には目を瞑った形の調整結果だ。
いったん整理すると、このアイデア(ノンクリーチャー+コントロール)は素晴らしく思えるが、それをデッキという形にまとめてみると不安定で構造上の問題を抱えているのだ。
これはアイデアが机上の空論で失敗しているとも言えるし、単純にデッキとしてまとめる技術である構築手法が間違っているとも考えられる。どちらか、あるいはどちらもが。この点は重要だが、前者は結果的な判断しか下せないのが困りどころだ。
とりあえず新たな考えも浮かばなかったので諦めかけていたところ、ある一つのデッキを見つけたことで事態は若干の進展を見せた。
3. 実践編1:黒白コントロール
8 《沼》 2 《平地》 4 《孤立した礼拝堂》 4 《埋没した廃墟》 4 《ファイレクシアの核》 2 《幽霊街》 -土地(24)- 4 《真面目な身代わり》 2 《ワームとぐろエンジン》 -クリーチャー(6)- |
2 《太陽の宝球》 4 《清純のタリスマン》 3 《虚無の呪文爆弾》 3 《胆液の水源》 2 《マイコシンスの水源》 3 《未練ある魂》 2 《死の支配の呪い》 2 《終末》 3 《ソリンの復讐》 4 《黒の太陽の頂点》 2 《ソリン・マルコフ》 -呪文(30)- |
4 《漸増爆弾》 4 《困窮》 2 《神への捧げ物》 2 《記憶殺し》 2 《終末》 1 《ソリンの復讐》 -サイドボード(15)- |
これはMagic Online内で行われたプロツアー予選においてプレーオフに進出したレシピだ。6体のクリーチャーが投入されていることから、「ノンクリーチャー」ではないものの、デッキのコンセプトはそれに近しいものがある。なんといっても勝利手段が《ソリンの復讐》なのだ。
《蒸気の絡みつき》に弱い《ワームとぐろエンジン》は最低限に抑えられ、《ソリン・マルコフ》+《ソリンの復讐》によって対戦相手のクリーチャー対策を無視しながらゲームを終わらせることができる。
多くのリセットと決定力のあるフィニッシュ手段、おまけに他のコントロールが持っていないアドバンテージ源が大量に採用されていることはかなりの好条件である。《胆液の水源》《マイコシンスの水源》と《ファイレクシアの核》による、わずかながらも確実なアドバンテージエンジンが大きくデッキ構造に貢献している。
これまで考えていた青白をベースとしたコントロールからは離れるものの、青白や青白赤が抱えていた問題点を大幅に改善しているようなこのデッキを調整してみることにした。
☆問題点
以上が問題点として浮かび上がってきた。ここでは全てを解説するのではなく、中でも重要な数点をピックアップする。
《未練ある魂》は青白Delverには悪くなかったものの、特別にシナジーがあるわけでもなく、緑系にはむしろ悪いカードだった。
《忌むべき者のかがり火》で薙ぎ払われ、何一つとしてクリーチャーが止まらないからだ。最後の数ターンを生き延びる助けになったときには強いと錯覚していたが、そもそも別のカードであれば戦況を改善できていたと思うと《未練ある魂》である必要性が途端に薄れていった。マッチアップを改善するカードではあれど、デッキには必要のないカードだった。流行していた《戦争と平和の剣》に弱かったことも影響している。
《ソリン・マルコフ》は、前述したように《ソリンの復讐》との2枚コンボである。おまけに能力はクリーチャーデッキに恐ろしく強く、ソリンも壊せないしプレイヤーにもろくなダメージが入らない、といった光景はよく見られた。
こうして要素を並べると強力な1枚なのだが、ただ一点だけ巨大な問題を抱えていた。それは《士気溢れる徴集兵》である。これで徴集され「プレイヤーのライフを10点にする能力」を使用されると、どれだけ有利な場面からでも一撃死が待っている。問題はこれ一点といってもいいくらいなのだが、ゾンビや緑系Aggroを筆頭に、クリーチャーデッキの多くはメインボードから数枚、サイドボードには一掴みの《士気溢れる徴集兵》が加えられている。
負けるゲームはこの交錯ばかりで、そこそこ強い反面、膨大なリスクを抱えていると感じ始めた。途中からはサイドアウトすることにしていたが、次第に必要性が薄れていき、最終的にはメインボードからも抜けてしまった。
次の2点は構造的な問題で、《聖トラフトの霊》、装備品や《出産の殻》への脆弱性についてだ。どちらに対しても決定的な対策が採られておらず、前者には自由自在に攻撃され、後者には速度勝負を強要された。とりあえず早急に対策せねばと、前者には《ファイレクシアの変形者》、後者には《忘却の輪》を採用することで事なきを得たが、どちらも依然として弱点には違いなかった。
☆改良後
8 《沼》 3 《平地》 4 《孤立した礼拝堂》 4 《ファイレクシアの核》 2 《埋没した廃墟》 2 《幽霊街》 -土地(23)- 4 《真面目な身代わり》 2 《ファイレクシアの変形者》 2 《ワームとぐろエンジン》 -クリーチャー(8)- |
4 《清純のタリスマン》 4 《胆液の水源》 3 《マイコシンスの水源》 2 《喉首狙い》 3 《忘却の輪》 2 《死の支配の呪い》 4 《終末》 4 《ソリンの復讐》 3 《黒の太陽の頂点》 -呪文(29)- |
1 《ファイレクシアの変形者》 1 《ワームとぐろエンジン》 2 《虚無の呪文爆弾》 3 《天界の粛清》 2 《神への捧げ物》 1 《忘却の輪》 3 《記憶殺し》 1 《審判の日》 1 《イシュ・サーの背骨》 -サイドボード(15)- |
以前は黒単色といっても問題なかったが、やや白にも欲を出してもらった構成へと変えた。無理しつつも強力な《終末》は4枚投入し、《忘却の輪》も惜しげもなく存分に入れた。
《未練ある魂》を不採用としたことでややはっきりとした造りになったため、青白Delverには《聖トラフトの霊》への対処次第で大きく勝敗が分かれてしまっていることが気がかりではあるが、その他のデッキに対しては程よくバランスが取れている。
《ワームとぐろエンジン》、《死の支配の呪い》、《ファイレクシアの変形者》あたりは要調整部分だろうか。
ただ、それでも最序盤の行動は他のデッキと比べると貧弱で、せっせと地盤を整えるくらいしかできないことは不安の種ではある。また、《聖トラフトの霊》への対処、そしてM13から導入された《空召喚士ターランド》へ対抗するために若干の工夫が必要に思えた。そこで改めて組みなおしたものが以下のレシピだ。
4. 実践編2:黒白赤コントロール
6 《沼》 2 《平地》 1 《山》 4 《孤立した礼拝堂》 4 《黒割れの崖》 1 《竜髑髏の山頂》 1 《断崖の避難所》 4 《ファイレクシアの核》 -土地(23)- 4 《真面目な身代わり》 1 《ワームとぐろエンジン》 -クリーチャー(5)- |
4 《清純のタリスマン》 4 《胆液の水源》 3 《マイコシンスの水源》 4 《鞭打ち炎》 2 《喉首狙い》 3 《忘却の輪》 4 《終末》 4 《ソリンの復讐》 2 《黒の太陽の頂点》 2 《炬火のチャンドラ》 -呪文(32)- |
3 《吸血鬼の夜鷲》 1 《ワームとぐろエンジン》 2 《天界の粛清》 2 《神への捧げ物》 2 《焼却》 1 《忘却の輪》 2 《記憶殺し》 1 《審判の日》 1 《イシュ・サーの背骨》 -サイドボード(15)- |
これは2節での変更と同様の調整だ。赤を加えることで《鞭打ち炎》が入り、序盤戦及び《聖トラフトの霊》、《空召喚士ターランド》への対抗策を手に入れた。
また、2種類目の赤いカードである《炬火のチャンドラ》は、擬似《ソリン・マルコフ》である。《ソリンの復讐》をコピーすることで一撃死が見える一方で、《士気溢れる徴集兵》によるカウンターパンチの効果も小さく抑えている。若干スケールは小さいものの、カウンター耐性がついたり中盤から適当に展開することもできるため、小回りが利くという意味で便利な1枚だ。
サイドボードには《吸血鬼の夜鷲》と《焼却》を新たに採用した。前者は特に環境にマッチしており、メインデッキから4枚採用したデッキを構築しても問題ないと思われるくらい強力な1枚だ。後者はもはや言わずもがなだと思われるが、野暮ったい全体除去と入れ替える先の軽量除去である。
こうして《聖トラフトの霊》を克服し、《炬火のチャンドラ》によって決定力も増したことで完成に近づいている・・・と思いきや、ある一つの問題が発覚した。
《スラーグ牙》によるライフゲインである。戦場に出るに際して5点のライフを得る彼は、《修復の天使》の明滅で更に5点と、《ソリンの復讐》による勝利をはるかに遠ざけてしまう。また、戦場から離れる際にビースト・トークンを生むため、除去で盤上をコントロールするこちらとしては非常に組しにくいカードだったのだ。
一応は重いカードであるため枚数が限られていることも多いが、1枚だけでもなかなかに時間を稼がれてしまうため、結果的に《ソリンの復讐》が決定力としての価値をやや失った感が強い。
せっかく大枠が整ってきていただけに残念ではあるが、《ソリンの復讐》の強みは薄れつつある。適当に耐え忍んで2枚打ててしまえば勝ててしまうこともあるが、そこそこ流行している緑系のクリーチャーデッキに苦労することになるようではわざわざボードコントロールを選択する理由も少ないだろう。しぶしぶ新たなる決定力を探して様々なカードを試していたところ、1枚のカードが想像以上に強力であることがわかった。
5. 実践編3:交易所コントロール
それは《交易所》だ。ふと《胆液の水源》系と相性がいいと思いつき数枚投入してみたところ、攻防一体の強力なカードであることがわかり、しばらくしないうちに3枚以上の居場所を見つけた。
ヤギ・トークンによってライフを守り、「水源」等のアーティファクトを生け贄にドローを進めていく。要所でヤギ・トークンをアーティファクトへと変換すれば勝利は目前だ。設置できる中盤から終盤に至るまで安定した働きが期待でき、《ワームとぐろエンジン》を循環させればすぐにゲームを終わらせることができる。
6 《平地》 3 《沼》 1 《島》 3 《孤立した礼拝堂》 3 《氷河の城砦》 1 《金属海の沿岸》 1 《闇滑りの岸》 2 《幽霊街》 1 《ファイレクシアの核》 1 《墨蛾の生息地》 -土地(22)- 3 《ファイレクシアの変形者》 2 《ワームとぐろエンジン》 -クリーチャー(5)- |
3 《太陽の宝球》 3 《清純のタリスマン》 4 《胆液の水源》 3 《マイコシンスの水源》 2 《倦怠の宝珠》 2 《喉首狙い》 2 《転倒の磁石》 2 《忘却の輪》 4 《交易所》 1 《審判の日》 4 《終末》 3 《ボーラスの工作員、テゼレット》 -呪文(33)- |
3 《幻影の像》 2 《太陽のタイタン》 2 《虚無の呪文爆弾》 2 《天界の粛清》 1 《漸増爆弾》 1 《忘却の輪》 2 《記憶殺し》 1 《審判の日》 1 《イシュ・サーの背骨》 -サイドボード(15)- |
3・4節と紹介してきた構成とは大きく様変わりしてしまったが、基本的な構造は大きくは変わらない。やはりリセット呪文へとアクセスしながらフィニッシャーを探すのだ。どちらかというと冒頭部分の青白コントロールのコンセプトへと再び近づいたといえる。ただ、その構成はややアグレッシブに変化しており、《ボーラスの工作員、テゼレット》によるカウンターアタックを狙えるようになっている。
一度盤面を作ってしまえば、後は《ワームとぐろエンジン》と《ファイレクシアの変形者》を《交易所》でサイクルさせているだけで大量のワーム・トークンを生み出せる。カウンターや除去等の妨害にも強く、そのサイクルをしている間にクリーチャーに殴り倒されることは滅多にないため、あせらずとも結果がついてくるのは安心だ。
別案として青黒赤の形も作ってみたところ(例によって《鞭打ち炎》入りだ)悪くはなかったが、どうしても枚数が減ってしまう全体除去の取捨選択において《終末》や《審判の日》のような問答無用の除去を採用できないことが不安だったため今回は諦めた。
ただ、《聖トラフトの霊》への耐性、《感電破》等による攻防一体を目指していくのであれば青黒赤は魅力的だ。プロツアーパリ2011においてトップ8に入賞したPatrick Chapinが「完成からはまだ遠い」とコメントしたあのデッキの焼き直しに近い代物だが、カードプールが出揃った現在の環境であれば十分にチャンスがある。
また、4節の赤黒白コントロールの《ソリンの復讐》、《炬火のチャンドラ》あたりを《交易所》と《ファイレクシアの変形者》などに変更した形も興味深い。
もはやボードコントロール+《交易所》は一種のアーキタイプであるため、ここで紹介した組み合わせのほかにも様々な形がこれからは見られることだろう。
6. おわりに
第1回目のアイデアを引き継いでの今回だったが如何だっただろうか。《鞭打ち炎》が便利すぎたため、途中からは一辺倒な調整が多かったが、そこそこ満足のいく形を作れたと思う。前回はアイデア(発掘生物が強力)が正しいという前提の下に構築手法を色々と模索したが、今回はアイデアが間違っているかもしれない中でよりよい別のアイデアやコンセプトを探した。
実際に行う調整の手順や考え方は、そのデッキが抱えている問題点や弱点を補強する形で行うため、大きく変化はしないのだが、その問題や弱点がどの段階で生じているかを考えることは重要だ。構築手法の段階で間違っているのか、それとも前提としているアイデアがちぐはぐなのか。前者はカードの取捨選択の問題で、後者はそもそもの構造的な欠陥となる。
そして、これら二つの問題に対してどのようにアプローチするのかが複雑だったりする。今回は後者の解決策を《鞭打ち炎》のために赤を足すというシンプルな形でこなした。だが、他のデッキではこう簡単にいかなかったり、解決しないほうが勝率が高くなるケース(無理するよりは諦めた方がマシ)も存在するからだ。
どこからどこまでが解決できる問題で、何がどれだけ致命的な問題なのか。その優先順位と範囲を考えていくことに注意してみると、これからのデッキ構築がより楽しく、面白くなることは請け合いだ。
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