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週刊デッキ構築劇場

第50回:浅原晃のデッキ構築劇場・AAさんからのメール

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2012.02.27

第50回:浅原晃のデッキ構築劇場・AAさんからのメール

演者紹介:浅原 晃

 マジック界のKing of Popとして知られる、強豪プレイヤーにして、デッキビルダー・ライター。主な戦績は、世界選手権05・世界選手権08トップ8、グランプリ優勝2回、The Finals2連覇など。
 「構築戦はビルダーの舞踏会。タキシードでないデッキはジャージ」といいつつ、時に斬新なデッキを持ち込み、時にトップメタのデッキを使うという虚実入り交じった発言で人々を惑わせる『A級の虚影(エーツー)』。
 ゴブリンデッキに《怒りの天使アクローマ》を投入するなどの柔軟な発想から海外でもカルトなファンが多く、また、構築・リミテッドを問わず見せる高いプレイスキルから国内プロからの信頼も厚い。・・・が、虚構も多いので、虚構を虚構と見抜ける人間でないと浅原のアドバイスを受けるのは難しいと言われている。
 代表作は、自身のビルダーとしての原点という「アングリーハーミット・ゼロ」、荒堀 和明のグランプリ・仙台優勝によって世間の注目を集めた「アサハラ・ゾンビジム」、ヴァージョン6まで存在する勝ち手段の存在意義を問うた問題作「みのむしぶらりんしゃん」、God of the Deck略して「G.o.D.」、Wander Deck「The One」他多数。


 AA(asahara akira)さんからメールが届きました。


件名:【窮地-あなたの気持ちをフラッシュバック!】

 みなさん、こんにちは。今回は一つ耳寄りな話をさせてもらいたいと思います。

 アメリカの大手証券会社リーマンブラザーズの破綻、いわゆるリーマン・ショックに端を発した、欧米の長期的な不況は今まで安全と思われていたものの領域を次々と侵食しました。そして、日本においても過剰な円高、株安を引き起こし、深刻な問題と今もなっています。現代において経済は全ての基盤であり、豊かさを保証してくれるものでしょう。 豊かさを失えば愛を失うとも言われるように、これは、経済一つの不況に留まるものではありません。

経済不安

 社会というのは潜在的に問題をいくつも抱えています、これらは良いときには隠れて見えるものでも、悪いときには表面化して大きな問題としてのしかかってきます。少子化問題、格差社会、年金問題、情報社会の弊害、エネルギー問題、モンスターペアレント、孤立死、etcetc......。

 今は対処しなくてもいいからといって、先々に必ず問題になることというものは、時間とともに着々とその問題を肥大化しています。そして、それが表面化してからでは遅く、これらの問題は分かっていながら見て見ぬフリをして来たツケとして、現在、回って来ているのかもしれません。

 特に少子化問題はその全ての根っことも言われます。少子化は年金問題を深刻なものとしており、教育問題、様々な問題と密接に関係があります。多くの若者が一人の老人を支える社会は終わり、これから先は一人の若者が一人の、もしかしたらそれよりも多くの老人を支えていかなくてはいけない時代が来るでしょう。結婚しない人も増えています。これは、人と人との繋がり、魅力のある人が少なくなってきているということが言えるのではないでしょうか。


 さて、こうした問題は身近な所でも表面化しているのを聞いたことがあるでしょうか?

 それは、少デッキビルダー問題です。

 マジック界で少し前から囁かれていた問題、それはデッキビルダーが減少しているという問題です。これは、教育格差社会、情報化社会の弊害によるところも多く、勝利至上主義や強さの保証されたトーナメントデッキの蔓延、それが時にゲームの勝者と敗者を分けることにもなったでしょう。昔は誰もがデッキ構築というのに大きな希望を持っていたのではないでしょうか。

 僕はデッキビルダーというものの根底は感動にあると考えています。人は日常と自分の常識と違うものを感じたとき、感動を覚えることでしょう。綺麗な風景を見た、誰にもできないことをやっている人を見た、展開の予想だにしない映画。そして、感動を与えることと、感動することは実は同じものです。感動は分かち合って初めて形になるからです。

 勝てるようになった。マジックはとても面白い、でも、少しだけ何かが足りない。その気持ちの元がなんなのか、それは、あなたのデッキに魅力がないからではないですか?

 検索して一番上のデッキ使おう。引きが悪くて勝てないわ。良く分からないし、このスロットは適当でいいや......。勝てなきゃ、誰も僕のことを注目しない......。

 マジックなめんなよ!マジックなめんなよ!......失礼、熱くなりました。

 これは、すべての人がそうなるべきというものではなく、当然、人によっては魅力の捉え方も異なるでしょう。しかし、僕にとってはデッキ構築こそが魅力そのものであり、デッキビルダーの減少はマジックの魅力の減少、そして、感動を与えることのできる魅力あるプレイヤーの減少を招いているのではないと考えているのです。

 そこでです、ここからが重要です。

 少しでもそういう気持ちを持っているあなたにはODMM、聞いたことがあるかもしれませんが、オシャレなデッキでモテモテ(ODMM)を目指して欲しいと思っているのです。魅力のあるデッキは感動と、そして、魅力のあるプレイヤーを生み出すことでしょう。そしてそこからモテモテともなれば、これは、少子化とも無関係ではないでしょうか、たぶん。

 昔、あるプレイヤーがただ強いだけのデッキはジャージ、独創的なデッキはタキシードと言ったことがありました。社交場に行って、ジャージを来ている人とタキシードを来てる人、どちらと踊りますか? そういうことなんです。今、日本はライフ5以下の窮地です、陰鬱な気分を捨て、あなたの気持ちを今一度フラッシュバックさせて、ODMMで自分の魅力を上げて、マジックを、そして、日本を救ってみませんか?

 では、今回はODMMのサンプルとして僕が用意したデッキを紹介したいと思います。デッキコンセプトは全てを包み込む包容力、宇宙のような無尽蔵のエネルギーを持ったデッキです。

『華麗でオシャレなフラッシュバックコントロール』[MO] [ARENA]
4 《
2 《
2 《
1 《
4 《内陸の湾港
4 《硫黄の滝
4 《銅線の地溝》》
3 《進化する未開地

-土地(24)-


-クリーチャー(0)-
4 《濃霧
4 《思考掃き
3 《彼方の映像
1 《高まる混乱
4 《不屈の自然
4 《捨て身の狂乱
3 《鞭打ち炎
1 《記憶の旅
4 《禁忌の錬金術
4 《神秘の回復
1 《金屑の嵐
1 《ルーンの反復
2 《記憶の熟達者、ジェイス

-呪文(36)-
4 《アヴァブルックの町長
4 《研究室の偏執狂
3 《夜明けのレインジャー
4 《高原の狩りの達人

-サイドボード(15)-


 このデッキはフラッシュバックを軸にしたコントロールデッキです。当然、最先端である、闇の隆盛のカードも取り入れています。特に注目してほしいのが、《神秘の回復》によって同じ呪文を繰り返し使うエンジンです。これは、単純に強力な呪文を使い回すというだけでなく、《ルーンの反復》とのコンボによって、永遠と循環したシステムを作ることが可能になっています。これは、とってもオシャレです。

 具体的には《神秘の回復》で何か呪文を、そして、《神秘の回復》のフラッシュバックで《ルーンの反復》を戻す、《ルーンの反復》で《神秘の回復》を戻す。といった循環で好きな呪文を好きなだけ使うことができます。そして、このコンボの大事なところは《神秘の回復》と《ルーンの反復》と何から何まで、全て墓地にあってから始められるということでしょう。

 つまり、このデッキでは土地を置いて、墓地にカードを落とすための呪文を連打しているだけで準備万端。簡単ですね!

 《思考掃き》、《捨て身の狂乱》、《禁忌の錬金術》といったドローソースをふんだんに使いつつ、《不屈の自然》でマナ加速、《スレイベンの守護者、サリア》などの見るのも嫌な奴は《鞭打ち炎》などで撃退しましょう。

 そして、このデッキでメインとなるカードは《濃霧》、そう、あの《濃霧》です。えっ、《濃霧》と思うかもしれません、確かに《濃霧》は単発では使いきりでしょっぱいカードですが、前述したシステムと共に繰り返し使うことができれば、単純な攻撃に対してはロック状態にすることも可能です。《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》無き後の《原始のタイタン》などお茶の子サイサイ。《ケッシグの狼の地》なんぞ、色マナの出ない基本土地同然です。

 さらに、《濃霧》はプレインズウォーカーとの相性も抜群。プレインズウォーカーはキャストしたときが最大の弱点ですが、《記憶の熟達者、ジェイス》キャストから、相手の攻勢を華麗に《濃霧》で捌くなんてのも1マナの《濃霧》なら十分現実的です。

 守った《記憶の熟達者、ジェイス》で相手もしくは自分のライブラリーを削ってから、《彼方の映像》を使えば大抵《Ancestral Recall》となってくれるでしょう、連発できる《Ancestral Recall》なんて、手札が増えすぎて困ってしまうくらいです。

 最終的には《高まる混乱》などで一気に決めてしまいましょう。引きすぎてしまってこっちのライブラリーが無くなったときは《記憶の旅》を延々と使って何とかしましょう。

 サイドボードは衣装変えの意味もありますから、今回は変身を軸にしたアグレッシブサイドボードになっています。青黒コントロールなどせこくライブラリーアウトを狙ってくる相手には《研究室の偏執狂》まで全部入れて、こっちもヤケクソな戦略に乗り換えてみてください。

 また、ワンポイントとして、《神秘の回復》と《ルーンの反復》はユニットとして機能します。これによって、ユニット以外の部分の呪文を変えていって、デッキを自由に作りかえることもできます。黒を中心とすれば、《外科的摘出》や《記憶殺し》などを延々と使い回すなんてことも可能です、除去を中心とした、赤青黒のカラーで攻めるのも面白いかもしれません。

 そして、さらに重要な点をもう一つ。

 トーナメントは社交場、そこへ行くのに毎回、同じデッキで出かけますか? ということです。やっぱり新しいデッキを携えて行きたいですよね。

 もちろん、貴方自身の手でODMMを実践していただくのが一番ですが、まだ少し自信がないという貴方のお手伝いとして、ODMMのサンプルは他にも用意してありますのでご安心ください。

 そちらは1デッキ5000円から、3デッキセットで10000円からのご紹介とな......。

 ピッ...

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