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週刊デッキ構築劇場
第22回:伊藤敦のデッキ構築劇場・《順応する自動機械》
読み物
週刊デッキ構築劇場
2011.07.28
第22回:伊藤敦のデッキ構築劇場・《順応する自動機械》
演者紹介:伊藤 敦 日本マジック個人ブログ界でも屈指の人気を誇り、『まつがん』のハンドルネームで知られる。 |
クリーチャー・タイプというものが、カードデザインで最重要とは言えないまでも、かなりのウェイトを占めていることは明らかだ。
そして、我々が単一の種族のクリーチャーのみを使用した「部族デッキ」を組む場合に、大抵必要になるものがある。
王・・・すなわち「ロード」と呼ばれる、特定のクリーチャー・タイプを持つ他のクリーチャーを強化するカードの存在だ。
ゴブリン、エルフ、マーフォークといった伝統ある部族から、キスキン、フェアリー、吸血鬼といった比較的新しい種族まで。そのコンセプトを支えているのは場にいるだけで種族全体にプラスの効果を及ぼすロードであり、強力な指導者の下に集う無数の小粒な兵隊という図式が、部族ビートダウンというデッキの基本形であるといえよう。
そんなわけで今回デッキ構築の主役となるのは、先日発売された新セット『基本セット2012』より、借り物の王・・・いわばイミテーション・ロードともいうべき、あらゆるクリーチャー・タイプのロードになれるこのカードだ。
そう、このカードさえあれば。今まで日の目を見ることができなかったクリーチャー・タイプであっても、お手軽簡単に種族デッキを作ることができる。
もちろん単にゴブリンやエルフといった既往の種族に「8ロード」を気取って搭載してみるのも一つのプランではあるのだが、単純なロードとしての性能はどう考えても《エルフの大ドルイド》や《ゴブリンの酋長》といった既存のロードたちの下位互換であるという特性を見るに、「まだロードがない種族」のデッキに入れる方が、よりこのカードに合っているのではないかと考える。
それでは、少しばかりマニアックな種族を探す旅に出発だ。
◎クレリック/Cleric
2 《森》 2 《山》 1 《島》 4 《剃刀境の茂み》 4 《銅線の地溝》 4 《乾燥台地》 2 《沸騰する小湖》 2 《平地》 1 《広漠なる変幻地》 -土地(22)- 4 《極楽鳥》 4 《魂の従者》 4 《縫合の僧侶》 4 《レオニンの遺物囲い》 4 《詐欺師の総督》 4 《順応する自動機械》 3 《ファイレクシアの変形者》 1 《堂々たる撤廃者》 1 《水蓮のコブラ》 1 《海門の神官》 1 《納墓の総督》 1 《族霊導きの鹿羚羊》 -クリーチャー(32)- |
3 《出産の殻》 3 《欠片の双子》 -呪文(6)- |
3 《テューンの戦僧》 3 《レオニンの裁き人》 3 《真心の光を放つ者》 3 《堂々たる撤廃者》 3 《ワームとぐろエンジン》 -サイドボード(15)- |
かつて、《星明りの聖域》でクレリック(コー能力で一万回くらい対象にとった《ダールの降霊者》)を生け贄に捧げて無限ライフを得るデッキがあった。
そして今、クレリックは再び無限ライフのお供となっている。MTGにおいて無限ライフといえばクレリック。というわけで最初のデッキは種族「クレリック」をフィーチャーしてみた。
すなわち、《出産の殻》と《欠片の双子》のデッキにクレリックビートダウンを織り交ぜた形だ。
色々やりたすぎてぐちゃっただけのように見えるが、その通りである。
《極楽鳥》がクレリックじゃなかったり1枚差し部分に微妙にクレリックじゃないのが混じってたりもしているが、スタンダードのクレリックのリストを見たらそれもやむをえないとわかってくれると思う。
(《ファイレクシアの変形者》との)無限ライフコンボのパーツがどちらもクレリックだったのは僥倖といって差し支えないだろう。《順応する自動機械》のクレリック指定により、コンボが揃わない場合でもクソビートプランが可能になった。なった?とにかく、なったことにしておこう。
このデッキができたのは何といってももちろん、こいつがクレリックだと気づいたからだ。《順応する自動機械》がいる場で《欠片の双子》とのコンボを決めれば、パワー2の《詐欺師の総督》がいっぱい出てくることにより、何と通常の半分の数のトークンで相手を倒すことができるのだ!!
・・・あれ、どうでもいいな。
密かにクレリックなカードたち。サイドボードも単一種族で揃えるのが部族デッキの嗜みといえるだろう。
《ワームとぐろエンジン》? 何のことです?
サイドから《順応する自動機械》を入れるくらいが丸いのかもしれないが、夢を追う気持ちは大切だ。ともあれ、次に行ってみよう。
◎猫/Cat
8 《平地》 4 《森》 4 《広漠なる変幻地》 2 《進化する未開地》 4 《乾燥台地》 -土地(22)- 4 《ステップのオオヤマネコ》 4 《壌土のライオン》 4 《鎌虎》 4 《レオニンの空狩人》 4 《太陽の槍のシカール》 4 《王の摂政、ケンバ》 4 《順応する自動機械》 -クリーチャー(28)- |
4 《ダークスティールの斧》 4 《ヴィリジアンの爪》 2 《黄金のたてがみのアジャニ》 -呪文(10)- |
4 《レオニンの遺物囲い》 4 《レオニンの裁き人》 4 《ケンバの空護衛》 3 《白の太陽の頂点》 -サイドボード(15)- |
続いてのデッキは、猫好きにはたまらない猫単。なんとも餌代が大変そうなデッキである。
しかし《ステップのオオヤマネコ》《壌土のライオン》となかなか強力な1マナ域を擁しており、そこはかとなく意外と現実的だったりするような気がなきにしもあらず。いや、ない(反語
量産されるトークンも猫。このデッキの母猫的ポジションだろう。
いくら猫でもこいつは無理にデッキに入れなくていいんじゃなかろうか。1マナ域と呼ぶにはあまりに重いデメリットでデッキを崩壊させるのに一役買ってくれている。
レオニンが猫なんだからこいつも猫だよね多分。
また、サイドボードも当然ながら全部猫だ。白単鋼対策、ヴァラクート対策、赤対策と何でも取り揃えている。すなわち万能。万能文化猫娘ということだ。
エンド前に「にゃーん」と出てくる。ただし土地22枚で本当に撃てるかは神・・・いや猫のみぞ知る。
レガシーで活躍するこいつらも猫だったりするので、このデッキのエクステンデッド版を作る際にはまず間違いなく採用されるだろう。
・・・というか、実はこのデッキは《順応する自動機械》で猫を指定して「猫型ロボット」って言いたいだけだったりするので、実用性は二の次である。ついでにもうちょっと秘密道具っぽい装備品を入れてもよかったかもしれない。
◎ゴーレム/Golem
18 《島》 4 《墨蛾の生息地》 -土地(22)- 2 《呪文滑り》 4 《大建築家》 4 《順応する自動機械》 3 《ファイレクシアの変形者》 3 《真面目な身代わり》 4 《翼の接合者》 4 《磁石のゴーレム》 4 《先駆のゴーレム》 -クリーチャー(28)- |
2 《定業》 4 《永遠溢れの杯》 4 《太陽の宝球》 -呪文(10)- |
2 《呪文滑り》 3 《練達の盗賊》 3 《ワームとぐろエンジン》 1 《白金の帝像》 1 《荒廃鋼の巨像》 3 《四肢切断》 2 《精神隷属器》 -サイドボード(15)- |
最後に登場するのはゴーレム単だ。
「ゴーレムとか重くてデッキにならないんじゃね?」と思われるかもしれないが、大体その通りなのであらん限りのマナブーストと《大建築家》でフォローする形となっている。
「基本セット2012」で再録されたこのカードも実はゴーレム。せっかくクリーチャー・タイプがついたのだから有効に活用しない手はない。
いまいち戦闘能力に不安があった《磁石のゴーレム》も《順応する自動機械》がバックアップ。また、まとめて飛ばしてしまえば問題はない。《翼の接合者》もこのデッキの隠れたロードのようなものだ。
そういった努力を全て無駄にするコンセプトクラッシャーの異名を持つ。除去の対象になると《順応する自動機械》まで含めて全て巻き添えにして吹っ飛んでいく爽快感がたまらないぞ。
サイドボードにはベンチウォーマーとして二大マスコットを置いておいた。もはや《順応する自動機械》による+1/+1修正など意に介さないサイズなので、ゴーレムである意味はほとんどない。ただ《翼の接合者》で飛んだら気持ちいいかもしれない。
いかがだっただろうか。
もちろんここに挙げたのはほんの一例に過ぎず、クリーチャー・タイプは無数にある。スタンダードはもちろん、エクステンデッドやレガシーまで見渡せば、実は《順応する自動機械》の登場によってマイナーな種族がいくつも興りはじめている可能性もあるのだ。
あなただけの種族を見つけてデッキを作ってみると、面白いかもしれない。
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