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週刊デッキ構築劇場

第15回:清水直樹のデッキ構築劇場・「漢のロマン・最新型」

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週刊デッキ構築劇場

2011.05.26

第15回:清水直樹のデッキ構築劇場・「漢のロマン・最新型」

演者紹介:清水 直樹

 言わずとしれた、デッキ構築劇場看板役者。主な戦績は、プロツアー・オースティン09トップ8、グランプリ・京都07トップ8、日本選手権06トップ8など。
 「シミックの王子」の二つ名で呼ばれるように、シミックギルド(青緑)を愛し、青緑を含むデッキを構築した数で言えば、日本ではトップ、世界でも屈指のデッキビルダー。個性的なデッキ名をはじめとした数々のパフォーマンスには多くのファンがおり、青緑を使うプレイヤー数の増加に多大な貢献を果たした。
 また、交友関係も広く、清水を中心としたコミュニティの爆発的な広がりを『爆発的青緑(パンシミック)』と表現することもある。
 代表作は、スクリブ&フォース・セル・ABSOLUTE ZERO・ユグドラシル・イオナズン他多数。


 みなさんこんにちは! いよいよ「新たなるファイレクシア」発売、そして日本選手権予選が本格的に始まり、全国でスタンダード熱が盛り上がっているところだと思います!

 一方ぼくはと言えば、せこせことミラディンの傷跡ブロック構築に勤しむ毎日です。実はプロツアー・名古屋も近づいているんですよ!

 《精神を刻む者、ジェイス》も《原始のタイタン》も《石鍛冶の神秘家》もないミラディンの傷跡ブロック構築は、それはそれは新たな発見の連続です。是非皆さんもこのフォーマットを触っていただければと思います!


 とはいえ、今回の構築劇場はブロック構築ではなくスタンダードで参ります!
 やはり構築劇場には、スタンダードくらいの広いカードプールが必要ですね。

 皆さんはおそらく、僕の好きな色についてはご存じだと思います。
 言うまでもなく、青{U}緑{G}ですね。
 先日、マジックとは全く関係のない会社の先輩に「清水くんは青が好きなの?」と聞かれたので、ついとっさに「青と緑が好きです!」と答えてしまうくらいの青緑好きです。

 では、嫌いな色は何でしょうか?

 それは、「赤」です。

 1ターン目《ゴブリンの先達》で攻撃するなんて何も考えてなさそうでエレガントじゃない・・・
 トップした《稲妻》をプレイヤーに打ち込むなんていかにも運任せっぽい・・・
 《コーの火歩き》を出されて投了なんてダサすぎる・・・
 ついでに言うと、そんな赤いデッキに負けてしまうのを僕はとにかく忌み嫌っています。
(注:思いっきり筆者の偏見です。全国の赤好きプレイヤーの方々ごめんなさい。)

 こんな考え方が張り付いてしまっているために、どうも赤いデッキというのは苦手です。なかなか「これだ!」というのが思いつきません。

 たぶん、主な原因は、

  • 特定のパーマネントにまったく触れない(タフネス高いクリーチャー、エンチャント、プロテクション)
  • 息切れするのが早い
  • なんとなくカッコ良い感じがしない

 なのですが・・・

 しかし今回、ついに「電波」を受信することに成功しました。

 《テゼレットの計略》です!


アメボ 「青じゃねーか!!!!」

 
『ワルプルギスの夜』[MO] [ARENA]
20 《
4 《溶鉄の尖峰、ヴァラクート

-土地(24)-

4 《業火のタイタン
2 《隠れしウラブラスク
1 《真実の解体者、コジレック

-クリーチャー(7)-
4 《永遠溢れの杯
1 《太陽の宝球
3 《伝染病の留め金
3 《四肢切断
4 《電位の負荷
4 《転倒の磁石
4 《テゼレットの計略
4 《槌のコス
2 《解放された者、カーン

-呪文(29)-
4 《呪文滑り
3 《圧壊
4 《紅蓮地獄
4 《裏切りの本能

-サイドボード(15)-


 うん? 何か聞こえたような気がしましたが、気にしないことにしましょう。

 なんてこった!赤なのにドロー呪文が撃ててしまうなんて!おまけに増殖までできちゃうなんて!
 というわけで、今回は「苦手な赤に挑戦!」でしたが、蓋をあけてみるといつも通りな感じのデッキが出来上がっちゃいました。マナ加速して、増殖して、大技。
 相変わらず某妖精王に「マジックなめてんの?」怒られそうな匂いしかしませんね。

 しかし赤いデッキにドロー呪文が入るというのは、あの赤緑ビッグマナの《調和》を思い出させますね。

 あのカードのお陰で赤緑ビッグマナなどという本来であれば成立し得ないであろうアーキタイプが生まれてしまったと考えているわけですが、その再来と言えるかもしれません。

 《電位の負荷》と合わせて8枚入った増殖呪文は、ただ《永遠溢れの杯》のカウンターを増やすだけではありません。
 例えば、3ターン目に《槌のコス》をキャストし、その後忠誠度4でターンが帰ってきて増殖すれば、一気に奥義発動! その時点でゲームに勝利といってもよいでしょう。
 また、大流行中のCaw-Bladeの《戦争と平和の剣》は大問題なので、《転倒の磁石》が4枚入っているわけですが、それも増殖することができますね。

 《槌のコス》の2段目の能力も、あまり注目はされませんがこのデッキなら有効活用することができます。
 《槌のコス》はいつも山で殴っているばかりで芸がないとはよくいったものですよね。たまにうっかり今出したばかりの《》をクリーチャー化しちゃって殴れないとか、Magic Onlineではよく見かけますけど。あのパワーとタフネスが黄色く4/4になっちゃった瞬間の切なさは経験者なら皆共有できることでしょう。

 余談はおいといて、新たなるファイレクシア発売に合わせ、《槌のコス》→《解放された者、カーン》の流れは誰もが憧れた展開ですよね。自他ともに認めるスタンダードマスターの津村大先生も《解放された者、カーン》のリストとして赤単を紹介されていますし。というか、今気づいたんですが今回のリストと結構似ているところ多いですね(汗)。

 ま、まぁでもこのデッキには《隠れしウラブラスク》まで入っているので、誰もが夢見た
「《業火のタイタン》の攻撃! エターナルフォースインフェルノ!! ふはははは!!!」
 が現実のものとなります!! 実に、《隠れしウラブラスク》の4点と合わせて16点! ふつくしい・・・

 ただ、このままの構成だと新スタンダードで話題の《欠片の双子》コンボにとっても無力です。ほぼ、何もできません。
 指をくわえつつ「あ、決まりましたか、じゃあ次行きましょうか^^」ということくらいです。

 というわけで《四肢切断》をメインから採用していますが、痛いですし、どうせきついのでここを《稲妻》にして完全にあきらめてしまうのもありだと思います。
 サイドボードから《呪文滑り》が大活躍してくれるのを祈りましょう。割られたらドンマイです。

 このデッキにはこっそり《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を仕込んでいるので、この手のデッキでよくある「土地しかひかねーよ!責任者出てこい!!」「シミチンの作るデッキだからどうせマナフラッドだろ?」という被害を軽減することができます。
 真の目的はサイドボード後、相手が《原始のタイタン》を出してきたら《裏切りの本能》でド圧勝、という妄想なんですけど。後付けの理由も大事ですよね。

 サイドボードのアーティファクト除去は敢えて《圧壊》にしました。どうせ、倒したいアーティファクトクリーチャーなんてほとんどいません。せいぜい《先駆のゴーレム》くらいでしょうが、いい《電位の負荷》の的です。増殖3回おいしいです。そして、何よりも相手の《呪文滑り》を回避することができます。これは《躁の蛮人》ではとてもできない芸当ですよ。《呪文滑り》でハメられている皆さんは是非お試しあれ。

 デッキ名は円環の理に導かれて、例のアニメから引用してきました。
 それは、もともとこのデッキが「増殖して《引き裂かれし永劫、エムラクール》出そう」というもので、エムラクールってなんとなくアレに似てね?と思って命名したのはよかったんですが、調整の結果《引き裂かれし永劫、エムラクール》が抜けました。こんなの絶対おかしいんですけど、デッキ構築ではよくある話です。
 有名なところでは、《刻まれた巫女》をメインにデッキを組んでたはずなのにいつの間にか《刻まれた巫女》が抜けた、とか。あるある。
 一応名残として《真実の解体者、コジレック》が残っています。そういえば、《真実の解体者、コジレック》を出した返しに《戦争と平和の剣》で殴られていきなり10点以上食らったという被害報告を聞いたことがあるので、ご利用は計画的に!

 今回は採用しませんでしたが、《彗星の嵐》を採用するという手は大いにあり得ると思います。

 《永遠溢れの杯》は増殖させると本当に腐るほどマナが出るようになるので、それを有効活用できるX呪文は相性がいいと言えるでしょう。
 ミラディン・ブロック構築・プロツアー日本開催・・・ここから導かれるのはあの名台詞。「《火の玉》を、あなたに。」
 あるいは、某神のように、トップから叩きつけて時代にあなたの名を告げるのもいいかもしれませんね。
 赤のX呪文には男のロマンが満載です。


 というわけで、「嫌い」な色の赤でデッキを作ってみましたが、終わってみればどこもかしこも中二病満載で僕好みのデッキが完成してしまいました。
 男のロマンとか言っているあたりでもう完全に病気です。今回は赤で作ってみましたが、例えば青なんかで《病毒のドレイク》まで突っ込んでみたら、それはそれはおもしろいかもしれません。今度はリアルに《引き裂かれし永劫、エムラクール》も夢じゃない!?

 皆さんも是非、この《戦隊の鷹》だらけの日本選手権予選のメタゲームをご自分の秘密兵器で切り抜けて下さいね!

 Decks, be Ambitious!!


2011年日本選手権予選

マジックウィークエンド 名古屋

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