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高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」
第20回:「名古屋を100倍楽しむ」ブロック構築特集 その1?白単・黒単
読み物
高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」
2011.05.27
第20回:「名古屋を100倍楽しむ」ブロック構築特集 その1~白単・黒単
来月6月10日から3日間開催されるプロツアー・名古屋。
今週から、そのプロツアー・名古屋本戦のフォーマットである「ミラディンの傷跡ブロック構築特集」を、3回に分けてお送りしていきます。
まず第1弾は環境を代表するビートダウン「白単《鍛えられた鋼》」「黒単感染」から。
とはいってもブロック構築の主戦場であるMagic Onlineで「新たなるファイレクシア」が発売されるのは来週のこと。「Decks of the Week」の情報も、まだ「新たなるファイレクシア」導入前の状態です。ブロック構築は大会もそんなにないので、現在練習で使用しているデッキを織り交ぜて紹介していきます。
白単《鍛えられた鋼》(「新たなるファイレクシア」導入前)
17 《平地》 4 《墨蛾の生息地》 -土地(21)- 4 《メムナイト》 4 《きらめく鷹》 4 《信号の邪魔者》 4 《レオニンの遺物囲い》 2 《ファイレクシアの破棄者》 2 《ミラディンの十字軍》 2 《刃砦の英雄》 -クリーチャー(22)- |
2 《オパールのモックス》 4 《起源の呪文爆弾》 4 《きらめく鷹の偶像》 4 《鍛えられた鋼》 3 《キマイラ的大群》 -呪文(17)- |
3 《危険なマイア》 2 《ファイレクシアの破棄者》 2 《ミラディンの十字軍》 3 《存在の破棄》 3 《拘引》 2 《転倒の磁石》 -サイドボード(15)- |
デッキ名の通り、《鍛えられた鋼》による大幅強化を主軸に据えた、アーティファクト・ビートダウンです。
クリーチャー単体のカードパワーこそ低いものの、そのぶん《栄光の頌歌》2倍の性能を持つ《鍛えられた鋼》。少し前のスタンダードに存在した《聖なる秘宝の探索》デッキを覚えている方なら、動きをイメージしやすいと思います。
ブン回ったときは《信号の邪魔者》→《メムナイト》→《オパールのモックス》→《鍛えられた鋼》と、スタンダードを凌駕するような動きすらあります。
メインでエンチャントを対処できるカードが《レオニンの遺物囲い》《真っ二つ》くらいしかないので、《鍛えられた鋼》さえ張れればほとんど負けないデッキです。
このデッキの存在によってメインに《喉首狙い》が入れにくくなってしまうほど環境に影響を与えているデッキで、「ミラディンの傷跡ブロック構築」のTier1と呼べるでしょう。
《きらめく鷹の偶像》《キマイラ的大群》の2つが全体除去に耐性を持っているのもポイントで、《鍛えられた鋼》で強化されたこの2つは止められないクロックになります。感染デッキではないのに関わらず《墨蛾の生息地》が4枚採用されているのも、やはり3/3飛行感染になればあっさり相手を毒殺できるからですね。
白単(「新たなるファイレクシア」導入後)
18 《平地》 4 《墨蛾の生息地》 -土地(22)- 4 《呪詛の寄生虫》 4 《大霊堂のスカージ》 4 《レオニンの遺物囲い》 3 《ファイレクシアの破棄者》 4 《磁器の軍団兵》 4 《刃砦の英雄》 -クリーチャー(23)- |
2 《オパールのモックス》 4 《きらめく鷹の偶像》 4 《鍛えられた鋼》 3 《キマイラ的大群》 2 《戦争と平和の剣》 -呪文(15)- |
1 《ファイレクシアの破棄者》 4 《ミラディンの十字軍》 2 《存在の破棄》 3 《四肢切断》 3 《転倒の磁石》 2 《饗宴と飢餓の剣》 -サイドボード(15)- |
もともと、旧デッキレシピで僕が一番嫌いだったのが《起源の呪文爆弾》。アーティファクトに寄せなければいけない構成とはいえ、合計3マナかかるのに出てくるのはただの1/1マイア。それが「新たなるファイレクシア」のファイレクシア・マナの恩恵により大きく影響を受けました。
《大霊堂のスカージ》《磁器の軍団兵》は低マナ域を埋めてくれるアーティファクト・クリーチャー。ライフを支払うファイレクシア・マナは、長期戦のコントロールよりも、こういう短期決戦のビートダウンの方がうまく使うことができるカードです。どちらも《鍛えられた鋼》との相性は抜群。
《呪詛の寄生虫》は《エルズペス・ティレル》《槌のコス》《ボーラスの工作員、テゼレット》といったプレインズウォーカーキラーな上、環境にはびこる《転倒の磁石》も無効化できる優れモノ。《鍛えられた鋼》がある状況なら、《伝染病の留め金》や《黒の太陽の頂点》、さらには感染クリーチャーの-1/-1カウンターを取り除いてパンプすることもできます。
まだ調整段階ではありますが、これら3種類のおかげで白単はグッと引き締まったデッキになりました。本戦でも多いデッキタイプになることが予想されますね。
今回掲載したデッキレシピは、思い切って《きらめく鷹》《メムナイト》《信号の邪魔者》をすべて抜いてあります。
これらはブン周りを補助するカードですが、消耗戦になったときの単体の弱さや、トップデッキする《メムナイト》の弱さが気になったので、少し重めの構成にして《刃砦の英雄》を4枚採用しています。
アーティファクトに関係がないカードとはいえ、単体で7点クロックを持ち、消耗戦に強い。《刃砦の英雄》は《金屑の嵐》や《黒の太陽の頂点》といった全体除去にも耐性がありますからね。
僕自身が「初動がすべて」のデッキよりも、後半も粘り強く戦える構成の方が好きなこともあり、重くてもパワーカードがあるデッキになっています。《戦争と平和の剣》も消耗戦を考えてですね。
ですが、もちろんデメリットもあります。この少し重い白単と、最初に紹介した軽い白単が勝負したとしたら、速度を重視しているぶん軽い方に有利がつくでしょう。そのあたりはメタゲーム次第なので、今後の「Decks of the Week」の結果を参考にしていきたいところです。
黒単感染(「新たなるファイレクシア」導入前)
21 《沼》 4 《墨蛾の生息地》 -土地(25)- 4 《疫病のマイア》 4 《疫病のとげ刺し》 4 《ファイレクシアの十字軍》 4 《法務官の手》 3 《ファイレクシアの槽母》 4 《荒廃のドラゴン、スキジリクス》 -クリーチャー(23)- |
2 《悪性の傷》 4 《闇の掌握》 2 《伝染病の留め金》 4 《転倒の磁石》 -呪文(12)- |
1 《ファイレクシアの槽母》 2 《悪性の傷》 4 《喉首狙い》 4 《漸増爆弾》 3 《ミミックの大桶》 1 《饗宴と飢餓の剣》 -サイドボード(15)- |
「ミラディン包囲戦」「新たなるファイレクシア」とエキスパンションが増えるにしたがって、徐々にスタンダードでも結果を出し始めている「感染」デッキ。
スタンダードよりも範囲の狭いブロック構築なら、それは尚更。毒死が頻発する環境です。毒デッキの代表格が、この「黒単感染」です。
《ファイレクシアの槽母》や《荒廃のドラゴン、スキジリクス》が通常クリーチャーと比較しても遜色ないスペック。《荒廃のドラゴン、スキジリクス》は伝説のクリーチャーにも関わらず4枚フル投入されていますが、それも納得の強さ。除去されなければすぐに勝ちますし、除去されても2体目が速攻で攻撃できますからね。
感染デッキの強さを支えているのは《転倒の磁石》。
半分の数値で済むので当然のことですが、通常の戦闘と毒でダメージレースをした場合、基本的には毒の方が早いです。例えば白単とお互いに攻撃しあった場合は、最後の数点を残すためにブロッカーを残すことも多いでしょう。そんなときに役立つのが《転倒の磁石》。うまく使えば2体のブロッカー排除になりますし、ダメージレースを有利に進めてくれる1枚です。サイド後のプロテクション(黒)にも対処できますからね。
黒単感染(「新たなるファイレクシア」導入後)
21 《沼》 4 《墨蛾の生息地》 -土地(25)- 4 《疫病のマイア》 4 《疫病のとげ刺し》 4 《ファイレクシアの十字軍》 4 《ファイレクシアの槽母》 4 《荒廃のドラゴン、スキジリクス》 -クリーチャー(20)- |
2 《悪性の傷》 2 《闇の掌握》 4 《四肢切断》 3 《転倒の磁石》 4 《鞭打ち悶え》 -呪文(15)- |
2 《皮裂き》 2 《悪性の傷》 3 《喉首狙い》 3 《漸増爆弾》 3 《ミミックの大桶》 2 《饗宴と飢餓の剣》 -サイドボード(15)- |
もともとこのデッキはマナが3~4に寄っているため、「除去」「展開」が同時にしづらい欠点がありました。1マナでもプレイでき、同系の《ファイレクシアの槽母》も除去できる《四肢切断》は欲しかったちょうど欲しかったパーツです。
どのデッキでも使える便利さからスタンダードのCaw-Bladeや赤単でもお呼びがかかる性能のこのカードは、ブロック構築でも縦横無尽に活躍するでしょう。
もう一つは《鞭打ち悶え》。黒単色のこのデッキなら最低でも+3/+3はしますし、消耗戦になっても《墨蛾の生息地》につけて一撃毒殺!なんてことも良く起こります。同じマナ域の《法務官の手》と入れ替えになりますが、これもまたデッキを大幅に強化したカード。
ごく稀にですが、細菌トークンでライフを狙いにいくゲームもあります。こちらが感染だからといってファイレクシア・マナをガンガン支払ってきた相手には、巨大な《夢魔》で勝つこともありますよ。
今週はブロック構築第1弾として、環境のビートダウンをご紹介しました。
友人たちと練習しながらよく言うのは、「《精神を刻む者、ジェイス》《石鍛冶の神秘家》《原始のタイタン》がいないだけでこんなに環境違うんだなぁ」ということ。普段と違うフォーマットは、やっぱり新鮮に感じますね。
来週にはMOで「新たなるファイレクシア」も実装されるので、「Decks of the Week」の結果をもとに他のデッキを紹介していきたいと思います。
では、また来週。
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