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高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」
第13回:深遠なるコモン構築の世界?Pauper その3・コントロール編
読み物
高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」
2011.04.08
第13回:深遠なるコモン構築の世界~Pauper その3・コントロール編
今週もPauper特集その3として、コントロールデッキを紹介していきます。
緑単Post
8 《森》 4 《雲上の座》 4 《微光地》 3 《平穏な茂み》 2 《伝承の樹》 1 《ハリマーの深み》 1 《セジーリのステップ》 -土地(23)- 4 《ラノワールのエルフ》 4 《根の壁》 4 《オーロクスの獣群》 3 《草茂る胸壁》 3 《激情の共感者》 1 《ファングレンの匪賊》 1 《クローサの大牙獣》 2 《ウラモグの破壊者》 -クリーチャー(22)- |
3 《輪作》 4 《Thermokarst》 4 《ムウォンヴーリーの酸苔》 4 《刈り取りと種まき》 -呪文(15)- |
2 《暗影の蜘蛛》 1 《枝細工下げの古老》 2 《ファングレンの匪賊》 4 《砂嵐》 2 《上機嫌の破壊》 2 《一瞬の平和》 2 《井戸の汲みつくし》 -サイドボード(15)- |
デッキリストを見た瞬間、かつての「緑単ウルザトロン」を連想したのは自分だけではないはず。
このデッキは《歯と爪》のような強力スペルこそないものの、ブン回ったときは《Thermokarst》を撃ちながら4ターン目《ウラモグの破壊者》のように圧倒的な展開を見せ付けます。
コンボデッキ編の「青黒リアニメイト」がそうであったように、《ウラモグの破壊者》はプレイできればPauperで最も強力なクリーチャーであり、これをまともに対処できるのは《破滅の刃》くらいです。早いターンに出てくる《ウラモグの破壊者》はあっという間に対戦相手を「滅殺」しますね。
旧ミラディンの《雲上の座》、ミラディンの傷跡の《微光地》。サブタイプ「神座(Locus)」、英語名から「Post」と呼ばれる2種の土地を組み合わせ、そこからの大量マナで《オーロクスの獣群》《ファングレンの匪賊》《ウラモグの破壊者》といった強力クリーチャーにつなげる。それがこの「緑単Post」です。
この「Post」を揃えるためのスペルが《輪作》《刈り取りと種まき》の2種類。
《輪作》は「Post」を揃えるだけでなく、《セジーリのステップ》でクリーチャーを守ったり《ハリマーの深み》によるライブラリー操作と、後半になっても《聖遺の騎士》さながらの働きをします。
2枚だけ《伝承の樹》が入っているのは、後半《輪作》の生け贄にすることで《ファングレンの匪賊》によるライフゲイン手段として使うためですね。
《ファングレンの匪賊》は親和に対して特に強いカードであり、自分は対親和のサイド後にファングレン2体→《上機嫌の破壊》とつなげてライフが100を超えたこともあります。ただメインはただの6マナ5/5になる相手も多いので、継続して出せる《オーロクスの獣群》の方が優先されますね。
《刈り取りと種まき》は「Post」サーチが主な手段ですが、コントロールや青白黒ストームには土地破壊としてプレイすることも多いです。
コンボデッキ編で紹介したように、Pauperでは青白黒ストームが一大勢力となっていますが、《アゾリウスの大法官庁》《ディミーアの水路》はこのデッキにとって格好の餌食ですからね。
緑単Postはこの《刈り取りと種まき》を含む12枚の土地破壊によって「緑単ランデス」にもなることができ、それこそが青白黒ストームやコントロールに強い理由になっています。これに限らず、《ラノワールのエルフ》→《Thermokarst》という動きはどんな相手にも効果的。
こういう「マナブーストからビッグスペル」、いわゆるビッグマナ系統のデッキが避けられない欠点として、他に比べて事故りやすいことが挙げられます。
マナばかり引いて何も出来なくなるマナフラッドや、逆に土地を引けずに高マナのカードばかり引くマナスクリュー。他のデッキに比べてマナに関するカードの比率が高いので、マナに関する負けも起こりやすい。
そのマナ負けを回避するため、通常のビッグマナデッキは《師範の占い独楽》や《調和》のような序盤~中盤を支えるカードが必要になってきます。
この「緑単Post」の場合は《激情の共感者》がそれに当てはまりますね。序盤は《クローサの大牙獣》で土地サーチ、後半は《ウラモグの破壊者》と、いつ引いても状況に合わせて動けます。
また「Post」を1枚も引けなかった場合でも、《ラノワールのエルフ》をはじめとしたマナクリーチャーで3ターン目《ムウォンヴーリーの酸苔》→4ターン目《オーロクスの獣群》とつなげられますし、《草茂る胸壁》《根の壁》コンビが揃えば「Post」なしでも早いターンに《ウラモグの破壊者》をプレイできます。
この「緑単Post」は見た目以上に安定していますし、ビッグマナ好きには特にオススメのデッキです。
青赤Post
7 《島》 6 《山》 3 《イゼットの煮沸場》 4 《雲上の座》 4 《微光地》 -土地(24)- 2 《ウラモグの破壊者》 -クリーチャー(2)- |
1 《イゼットの印鑑》 1 《ディミーアの印鑑》 3 《予言のプリズム》 3 《炎の稲妻》 3 《炎の斬りつけ》 3 《禁制》 4 《強迫的な研究》 2 《石の雨》 1 《転覆》 1 《よろめきショック》 3 《地の裂け目》 2 《神秘の指導》 1 《妙計》 1 《深遠の謎》 3 《卑下》 2 《とどろく雷鳴》 -呪文(34)- |
2 《絡み線の壁》 1 《ウェザーシード・フェアリー》 1 《方解石のカミツキガメ》 2 《水流破》 1 《紅蓮破》 1 《炎の稲妻》 1 《炎の斬りつけ》 2 《否認》 1 《地鳴りの揺るぎ》 1 《破壊的脈動》 1 《石の雨》 1 《地の裂け目》 -サイドボード(15)- |
《雲上の座》《微光地》からの大量マナを、コントロールデッキに応用した形がこの「青赤Post」。
このデッキも第一印象こそ「青赤ウルザトロン」でしたが、回しているうちに時のらせんブロックの青黒《神秘の指導》コントロールに近いデッキだという印象を受けました。
メインは除去やカウンターで相手をさばく、古きよきコントロールです。「Post」からの大量マナはコントロールしながら途中で揃えばいいくらいの認識で、緑単のように素早く揃えるわけではなく、ゆっくりドロースペルで引き増しながら6ターン目以降にマナを増やしていく感覚ですね。
とはいえ「Post」が揃ったあとのコントロール力は圧倒的で、
- 《とどろく雷鳴》・・・コモンなのにレア並みの性能を持ち、1枚でクリーチャーデッキを壊滅させるカード。余談ですが、テンペストドラフトでは当然初手カード。
- 《転覆》・・・バイバックを含めたコストは{4}{U}{U}と重いですが、Postが揃ってしまえばそれも解決。後半は毎ターン2回ずつプレイして軽いロック状態に持ち込むことができます。
そしと定番の《ウラモグの破壊者》ですね。また《炎の稲妻》《地の裂け目》のフラッシュバックコストは無色マナが多いので、それにも役立ちます。
この青赤Postも緑単同様に、メインから《石の雨》《地の裂け目》といった土地破壊を採用しており、サイドにも追加分があります。
「Post」デッキ同系対決を意識しているのもありますが、それ以上に「青白黒ストーム」の存在が大きいですね。コンボデッキ編で述べたように、ストームはコンボデッキでありながらカウンター・手札破壊の両方に耐性を持つので、ならば「土地破壊」という弱点を突いているわけです。コントロールデッキを組む場合はなにかしら、土地破壊ができる色を選ぶのが望ましいです。
ちなみに、MOにはウルザ地形もコモンで存在します(マスターズエディション4)。ですが12枚必要な「ウルザ地形」よりも8枚の「Post」の方がデッキを圧迫せずに済み、多色地形が弱めなPauperではこの4枚の差はデッキの安定性に関わってきます。
また《微光地》のライフゲイン能力もビートダウン相手には重要なので、「ウルザ地形」<「Post」という構図になっています。この「赤青Post」も赤ビート相手にはよくライフが5以下になるので、《イゼットの煮沸場》で《微光地》を使いまわすことも多いですね。
青単パーミッション
20 《島》 4 《流砂》 -土地(24)- 4 《呪文づまりのスプライト》 4 《尖塔のゴーレム》 3 《遍歴のカゲロウ獣》 -クリーチャー(11)- |
4 《海賊の魔除け》 2 《思案》 4 《対抗呪文》 4 《禁制》 4 《熟慮》 2 《除外》 1 《転覆》 4 《卑下》 -呪文(25)- |
4 《シー・スプライト》 4 《水流破》 3 《被覆》 2 《鋼の妨害》 2 《残響する真実》 -サイドボード(15)- |
今では全く聞かなくなってしまった「パーミッションデッキ」という言葉。
"Permission"は「許可」の意味で、呪文をプレイするたびに対戦相手に「通りますか」と聞くことが語源と言われています。
このデッキは《対抗呪文》をはじめとしたカウンター満載の「青単パーミッション」、昔懐かしのコントロールデッキです。
「島2枚をアンタップでターン終了」というのは、《対抗呪文》がスタンダードで使用可能であった頃は日常的に見られる光景でした。ブラフをかけたり相手のブラフを見破ったり、「青使い」という言葉がよく使われたのもこの頃のことです。《対抗呪文》こそが過去の青デッキの強さをさせていたんじゃないかと思っています。
Pauperでもその強さは健在で、上記のPost系などはカウンターが有効です。
ビートダウン編で紹介したように、Pauperのビートダウンは1マナカードを大量に詰め込んだものが多いので、《呪文詰まりのスプライト》が自然と強い環境ですね。青単のため除去能力が薄いので、そこを《海賊の魔除け》《流砂》で補っている形です。
自分もカウンターデッキが好きなので、Pauperでは真っ先に組んだデッキでしたが、勝率が悪かったこともありストームに乗り換えてしまいました。
少し辛口になってしまいますが、青単パーミッションは今のメタでは不利な相手が多いです。
上記《呪文づまりのスプライト》の項では肯定的にとらえていますが、ビートダウンの1マナのカードを2マナ使って打ち消しているのは損ですし、後手だとカウンターが追いつかないような展開もしばしば見受けられます。《尖塔のゴーレム》を引けないとほぼノーガードになってしまいますからね。
また《貪欲なるネズミ》《騒がしいネズミ》《リリアナの死霊》など、デッキそのものが手札破壊である黒単相手もきついですし、ストーム相手も決して有利ではない。
カウンターデッキの特性上、軽いカードの多いビートダウンよりも重いカードの多いコントロールに強いので、メタが「Post」系になるようなら出番が多くなるでしょう。
3回に分けてPauper特集をお送りしてきました。
コモンのみでありながらビートダウン・コンボ・コントロールに数多くのデッキが存在し、実にやりこみ甲斐のある環境であり、Pauperはデッキビルダーとしての腕が問われる場所でもあります。
カードプールはレガシーに準拠しているので、今回紹介したもの以外にもまだまだ未知のデッキは隠れているはず! コンボや新デッキを思いついたなら、是非Pauperをプレイしてみてください。
来週からは、グランプリ・神戸直前特集として、再びエクステンデッドを取り上げる予定です。
では、また来週。
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