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高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」
第2回:各色おすすめカードと《戦争の報い、禍汰奇》デッキ/統率者戦
読み物
高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」
2011.01.21
第2回:各色おすすめカードと《戦争の報い、禍汰奇》デッキ/統率者戦
前回に引き続き、今回も「やりこみコマンダー その2」として、統率者戦の魅力とテクニックに触れていきたいと思います。
マリガンのオプション
好きなカードを使ったり、コンボを見つけるのが統率者戦の醍醐味。ですが、あれもこれもと欲張って重いカードを入れすぎると、当然土地事故は起こります。
マジックはカードをランダムにシャッフルするゲームなので、どんなフォーマットであろうとも土地事故や逆事故はつきもの。重いカードがたくさん手札に腐ったり、逆に土地ばかり引いて何も出来なくなる、なんてのは誰にでも起こります。特に統率者戦では、一度事故ってしまうとターンを返すだけのつまらないゲームになってしまいがちです。
これを回避するために、統率者戦では「部分パリ・マリガン方式」が採用されています。
- 各プレイヤーは先攻プレイヤーからターン順に自分の手札にあるカードを「望む枚数だけ」裏向きで追放してもよい。
- 全プレイヤーが追放するかどうか選んだ後、カードを追放したプレイヤーはその追放したカードの枚数に1を引いた枚数のカードを引く。
- 少なくとも1枚のカードを追放したプレイヤーは、1に戻ってこの手順を繰り返してもよい。
- どのプレイヤーも追放しないことを選んだ場合、各プレイヤーは追放したカードを自分のライブラリーに戻して切り直す。
通常のマリガンと違い、パリマリガン方式だと手札に土地を残せるので、序盤の事故を避けられるのがメリットですね。
僕自身何度もゲームをして、このマリガン方式だと「土地を残して重いカードを戻す」ことが多かったです。マリガンになる基準の大半は5マナ以上の重いカードであり、やりこむにつれて、どんどん高コストのカードが減っていきました。
よほどマナ加速に特化したデッキでない限り、6マナ以上のカードはゲームに勝てるくらいの性能がないと使いにくく、逆に1~3マナのカードは初手のキープにつながります。マリガンを減らすためにも、軽めのデッキ構築を心掛けたいです。
各色オススメカード
「このデッキを使え!」第17回でも各色のオススメカードを挙げましたが、統率者戦をやりこむにつれ、カードの評価も大きく変わりました。以前オススメした《ケデレクトのリバイアサン》《夜陰明神》など8マナのカードは重すぎて使いにくく、逆に1マナの除去やドロースペルは使いやすいですね。カードの評価も変わったので、あらためて各色のオススメカードを挙げていきます。
白
《土地税》
「昔の呪文は強すぎる」ことを実感させてくれる1枚。いずれかの対戦相手が自分より多くの土地をコントロールしていれば基本土地が3枚手に入るというもので、多人数戦なので自分が最初の手番でないなら必ず条件を満たしますし、初手にあるだけで「絶対に事故らない」という安心の出来るカード。
白には他にも同系統の《雨ざらしの旅人》《税収》《土地の寄進》もあるので、土地でアドバンテージを取りやすい色です。
《セラの高位僧》
統率者の初期ライフは40。ということはつまり・・・1マナ6/6飛行・絆魂!
《イーオスのレインジャー》経由でサーチしてこれるのも○。
《石鍛冶の神秘家》
《頭蓋骨締め》《梅澤の十手》などなど、「1枚しか入れられない」カードを状況に合わせて持ってこられるのは強い。2マナという軽さも良し。
このカードはエキスパンションが発売されるごとに評価の上がっていくカードであり、次の「ミラディン包囲戦」で強力な装備品が出たら、さらに価値が高まりますね。
《塵への帰結》
強力なエンチャント・アーティファクトがはびこる統率者戦では、割るカードは必須。そしてエンチャント・アーティファクト破壊は白の得意分野。インスタントであり、追放でもある《塵への帰結》はその中でも特に強いです。《沈黙のオーラ》と合わせてどうぞ。
青
《渦まく知識》
レガシーで最もポピュラーなコンボである《渦まく知識》+フェッチランドは、統率者戦でも健在。重かったり状況を選ぶカードが手札で腐ってしまうことが多いので、それをライブラリーに戻す+シャッフルで無駄なく動けます。
前回も少し触れましたが、序盤の動きを円滑にするためにも、《思案》《定業》などの1マナのドローはオススメ。
《求道者テゼレット》
「多人数戦だと、プレインズウォーカーは狙われやすいから弱いのでは?」
そんな疑問もあるかもしれません。たしかに3人から攻撃されれば、大抵のプレインズウォーカーは自ターンが来る前に破壊されてしまいます。しかしそんなデメリットを差し引いても「強い」といえるのが《求道者テゼレット》。
マナブーストから4ターン目にプレイ→《からみつく鉄線》をサーチで相手の足止めが出来ますし、X=0、X=1で起動したとしても《Mana Crypt》《Sol Ring》のおかげで次のターンにはマナが増えます。2番目の能力で《魔力の櫃》《厳かなモノリス》などをアンタップで膨大なマナ→《時間の伸張》などにつなげられればもう勝ちです。「青」「アーティファクト」の相性の良さを象徴するカード。
テゼレットに限った話ではなく、次のターンまで守れるデッキ構成ならプレインズウォーカーは活躍します。《滞留者ヴェンセール》はヒバリ系統のデッキに合い、《ソリン・マルコフ》は「ライフを10にする」能力が強いですよ。
《時間のねじれ》
統率者戦は4回に1回しか自ターンが来ない。しかし、そのターンを増やすことが出来たならば・・・?
5マナあるならいつでも強く、《未来予知》《未来の大魔術師》と組み合わせると膨大なアドバンテージを稼ぐことが出来ます。マナと効果が2倍の《時間の伸張》も、プレイさえ出来れば勝つカードですね。
《巻物の君、あざみ》
「このデッキを使え!」第31回でも紹介した《巻物の君、あざみ》。統率者に選ばなくても《巻物の君、あざみ》は強く、《粗石の魔道士》《エレンドラ谷の大魔導師》《誘惑蒔き》など他のウィザードを恒久的なドローソースとして使える優秀なカードです。《水辺の学舎、水面院》ともコンボりますよ。
黒
《小悪疫》
各プレイヤーから少しずつリソースを削り取るカード。黒には《恐血鬼》《冥界の裏切り者》などのクリーチャーもいるので、デッキ構築次第で自分の被害を少なくすることが出来ます。早いターンに出てくる《結界師ズアー》への回答にもなるのも良いです。
《ネクロポーテンス》
「昔の呪文は強すぎる」ことを実感させてくれる、その2。
通常のドローはなくなり、手に入るのもターン終了時になりますが、1点のライフを1枚のカードに変換することができます。力を求めて、ライフを支払い続ける、黒のイメージを体現したようなカード。
これも統率者戦の初期ライフが40なのを利用したカードで、常に手札を供給し続けます。
多色デッキの場合は色拘束がネックになりますが、3ターン目に出すことにこだわらなくても序盤~終盤まで強いですよ。一度使うとヤミツキになる、黒らしいカード。
《墓穴までの契約》
これも《小悪疫》同様に、クリーチャーを生け贄に捧げるのが得意な黒に合致したカード。「他の各プレイヤーはクリーチャーを1体生け贄に捧げる」なので、多人数戦でこそ真価を発揮します。《サディストの催眠術師》 や《苦花》と組み合わせれば、相手のクリーチャーと手札を根こそぎ持っていくことが出来ます。
赤
《炎の斬りつけ》
相手のクリーチャーに無干渉では一方的にやられるだけなので、2~3枚の単体除去は必要です。そして《結界師ズアー》や《火想者ニヴ・ミゼット》を使われることを考えると、《稲妻》よりも《炎の斬りつけ》の方がオススメ。プレイヤーに火力を撃つことはほとんどないので、3点よりも4点を優先しますね。
《山賊の頭、伍堂》
《石鍛冶の神秘家》同様にエキスパンションが増えるごとに強くなるカードですが、《石鍛冶の神秘家》より優れている点は「戦場に直接出せる」「自身の殴り値が高い」こと。
2回攻撃で《火と氷の剣》《精神と肉体の剣》の効果が倍増しますし、《生体融合外骨格》を持ってくれば1人を毒殺することができます。《生体融合外骨格》は割られるリスクはありますが、毒はライフの1/4で済むので思っていたよりもずっと強いカードでした。お試しあれ。
《業火のタイタン》
統率者戦での重いカードの基準は、「除去耐性」または「除去されても効果を発揮している」こと。《業火のタイタン》は軽いクリーチャーをまとめて対処できて、《バジリスクの首輪》で接死をつけたり、前述の《生体融合外骨格》で感染をつけたりすると恐ろしいクリーチャーになります。
緑
《森の知恵》
通常ドローが「3枚引いて2枚戻す」になり、戻すカード1枚につき4点のライフを払うことで手札に残せる、というカード。自分の周りではこれを緑《ネクロポーテンス》と呼ぶ人もいます。
《ネクロポーテンス》同様にライフを支払ってガンガン引くことも出来ますし、ライフが危なければマナのかからない《師範の占い独楽》に。序盤から終盤まで強い緑のドローサポート。
《自然の要求》
白同様にエンチャント・アーティファクト破壊が得意な緑。《帰化》系統は数多くありますが、コストの軽さから《自然の要求》が一番使いやすいですね。
《永遠の証人》
すべてのカードを1枚しか使えない・・・なら、回収すればよい。クリーチャーでタフネス1なので《頭蓋骨絞め》とも相性が良く、緑の定番クリーチャー。
自由にデッキを組める統率者戦ですが、その中でも特定のカードに対するメタゲームは存在します。《稲妻》よりも《炎の斬りつけ》が優先されるのも《結界師ズアー》という前提があるからですし、アーティファクト破壊が多く使われるのも《Mana Crypt》《Sol Ring》という2大ロケットスタートを防ぐためです。 繰り返しになりますが、それほど《Mana Crypt》《Sol Ring》は強力で、1人がこれでスタートすると他のプレイヤーは追いつけないほどの速度差が出てしまいます。これに対抗する手段はやはり「破壊する」ことですが、デッキに入ってる枚数の関係で引けないこともよくある光景。
ならば、統率者それ自体がアーティファクト対策になればよい。《Mana Crypt》《Sol Ring》に対する対抗手段という考えから生まれた、それが今回紹介する《戦争の報い、禍汰奇》 デッキです。
21 《平地》 1 《Kjeldoran Outpost》 1 《古えの墳墓》 1 《露天鉱床》 1 《変わり谷》 1 《ミシュラの工廠》 1 《ちらつき蛾の生息地》 1 《風立ての高地》 1 《隔離されたステップ》 1 《永岩城》 1 《トロウケアの敷石》 1 《溢れかえる岸辺》 1 《吹きさらしの荒野》 1 《乾燥台地》 1 《湿地の干潟》 -土地(35)- 1 《戦争の報い、禍汰奇》 (統率者) 1 《ルーンの母》 1 《雨ざらしの旅人》 1 《セラの高位僧》 1 《闘争の学び手》 1 《八ツ尾半》 1 《薄青幕の侍》 1 《レオニンの裁き人》 1 《エーテル宣誓会の法学者》 1 《古の法の神》 1 《ロノムの一角獣》 1 《石鍛冶の神秘家》 1 《白蘭の騎士》 1 《エイヴンの思考検閲者》 1 《鏡の精体》 1 《コーの奉納者》 1 《遊牧の民の長ピアナ》 1 《サルタリーのチャンピオン》 1 《伏竜 孔明》 1 《天界の十字軍》 1 《塵を飲み込むもの、放粉痢》 1 《静寂の守り手、リンヴァーラ》 1 《エメリアの天使》 1 《イーオスのレインジャー》 1 《雲山羊のレインジャー》 1 《隆盛なる勇士クロウヴァクス》 1 《警備隊長》 1 《太陽のタイタン》 -クリーチャー(28)- |
1 《Mana Crypt》 1 《Sol Ring》 1 《鋼打ちの贈り物》 1 《悟りの教示者》 1 《税収》 1 《土地税》 1 《剣を鍬に》 1 《失脚》 1 《マナの税収》 1 《冬の宝珠》 1 《抑制の場》 1 《浄化の印章》 1 《十字軍》 1 《清浄の名誉》 1 《梅澤の十手》 1 《記憶の仮面》 1 《未達への旅》 1 《土地の寄進》 1 《民兵団の誇り》 1 《急報》 1 《幽体の行列》 1 《金切るときの声》 1 《沈黙のオーラ》 1 《塵は塵に》 1 《忘却の輪》 1 《栄光の頌歌》 1 《聖餐式》 1 《火と氷の剣》 1 《塵への帰結》 1 《ハルマゲドン》 1 《戦の惨害》 1 《司令官の頌歌》 1 《黄金のたてがみのアジャニ》 1 《遍歴の騎士、エルズペス》 1 《エルズペス・ティレル》 1 《征服者の誓約》 1 《軍部政変》 -呪文(37)- |
統率者戦をやりこんだとき、必ず上位に入ってくるのが「青+アーティファクト」の「青茶」系デッキ。《魔力の櫃》《厳かなモノリス》を利用した大量マナからの《求道者テゼレット》《未来予知》《時間の伸張》で圧倒的なアドバンテージを取る、わかりやすく強いデッキタイプ。
《戦争の報い、禍汰奇》 は、それらの「青茶」に対して強力なアンチカード。「青茶」に限らず、緑以外の色はマナブーストを《冷鉄の心臓》などのアーティファクトに頼るので、《戦争の報い、禍汰奇》 でそれを無効化することが出来ます。自身はなるべくアーティファクトを使わず、白お得意の《土地税》《雨ざらしの旅人》《税収》《土地の寄進》でマナを伸ばしていきます。
しかしそうは言ってもライフが40の統率者戦。4人対戦なら対戦相手のライフは合計120。とてもビートダウンが削りきれる量ではない、と思うかもしれません。
このデッキは序盤が強いので、盤面をずっと序盤にするために妨害クリーチャーに多くのスロットを割いています。
《戦争の報い、禍汰奇》 以外にも《薄青幕の侍》 《レオニンの裁き人》《エーテル宣誓会の法学者》 《エイヴンの思考検閲者》 《抑制の場》 など「自分は被害を受けにくく、相手は困る」カードを多く投入し、対戦相手たちがモタついている間に《塵を飲み込むもの、放粉痢》 《冬の宝珠》 《ハルマゲドン》 《戦の惨害》 で蓋をして殴りきります。ライフが多いなら、殴れるターンを増やすことで自分の土俵に持ち込もうという戦略です。
しかしそこは白単、単体のカードパワーではどうしても青に劣ります。2人のライフを削っても残りの1人が準備が出来てコンボで逆転される、そんな事態を防ぐためにも《栄光の頌歌》 が多めに入っています。
《急報》 《幽体の行列》 《金切るときの声》 などのトークンカード+アンセム2種類で、予想以上のスピードで相手を削りきります。
ビートダウンが好きだけど統率者戦では組みにくい・・・そう嘆いていた方は、この《戦争の報い、禍汰奇》 を参考にしてみてください。4/4の行列トークンがガンガンライフを削る様は、使っていて楽しいですよ。
次回は多色、アーティファクトのオススメカードと、「ミラディン包囲戦」のカードを使ったデッキを紹介していきます。
では、また来週。
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