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浅原晃の「プロツアー観戦ガイド」
季節外れの花が夏を呼ぶ?プロツアー『運命再編』で塗り替えられたモダンの歴史を見よ!
季節外れの花が夏を呼ぶ?プロツアー『運命再編』で塗り替えられたモダンの歴史を見よ!
by 浅原 晃
余寒なお厳しいこの頃、プレイヤーの皆様にはご壮健のこと何よりと存じます、浅原です! そんなコピペ挨拶は置いておきまして、プロツアー『運命再編』、行ってきました! 今回は鍛冶に代わり、プロツアーで実況を務めました浅原がプロツアーの様子や振り返っての見所などをお伝えしていきましょう。
プロツアー『運命再編』はアメリカのワシントンD.C. にて現地時間2月6日(金)~8日(日)に行われました。ワシントンD.C.はアメリカの首都ということで、各所に博物館や歴代大統領、偉人の像などが数多く点在します。そこで、我々実況陣も、前日に挨拶に行ってまいりました。温故知新、その国の祖先の霊への挨拶回りはアブザンの氏族では欠かせませんからね!
メタゲームの行方は?
さて、今回のプロツアーは『運命再編』と『タルキール覇王譚』のドラフト、そして、禁止改定によって環境の大きく変わった「モダン」で行われました。特にモダン環境は、デッキの原動力として使われていた《宝船の巡航》と《時を越えた探索》、そして、メタゲームの中心となっていた《出産の殻》が禁止され、また、《ゴルガリの墓トロール》が解禁されたことで、新環境では果たしてどのようなデッキが勝つのか? というのは参加者も含め多くのプレイヤーが興味深いところではなかったでしょうか。
そして蓋を開けてみると、断然の一番人気だったのが30%近くのプレイヤーが使用した、アブザンデッキ。スタンダードでもお馴染みの《包囲サイ》はスタンダードを席巻するだけでなく、モダン環境へと進出し、その包囲網を確実に広げていると言えるのでしょう。
しかし、もっとも印象的だったのは『運命再編』で加わり、今回の生放送でも「バナナ」の愛称で親しまれていた《黄金牙、タシグル》。実質的に1~2マナの4/5クリーチャーであり、環境の主力除去である《稲妻》《突然の衰微》では除去されず、《流刑への道》で得た土地を生かせる能力を持っているとあって、伝説のクリーチャーでありながら4枚採用されるデッキも見られました。
決勝はコンボ対決!
しかし、そんなアブザンが隆盛を狙う中、決勝の舞台に残ったのは、モダンのトーナメントで結果を残していた2つのコンボデッキ。理論上なら1ターンキルも可能な爆発力を持つ「アミュレット・ブルーム」と、コントロールデッキとしても動ける対応力の高い青赤「欠片の双子」の対決となりました。
1 《森》 1 《カルニの庭》 4 《宝石鉱山》 2 《魂の洞窟》 1 《氷の橋、天戸》 1 《マナの合流点》 4 《シミックの成長室》 3 《グルールの芝地》 1 《ゴルガリの腐敗農場》 1 《セレズニアの聖域》 1 《ボロスの駐屯地》 3 《トレイリア西部》 1 《処刑者の要塞》 1 《軍の要塞、サンホーム》 1 《光輝の泉》 1 《ヴェズーヴァ》 -土地(27)- 2 《迷える探求者、梓》 1 《猿人の指導霊》 4 《原始のタイタン》 -クリーチャー(7)- |
4 《召喚士の契約》 2 《否定の契約》 1 《殺戮の契約》 4 《精力の護符》 4 《古きものの活性》 4 《血清の幻視》 4 《花盛りの夏》 3 《集団意識》 -呪文(26)- |
2 《スラーグ牙》 1 《鷺群れのシガルダ》 1 《ワームとぐろエンジン》 1 《女王スズメバチ》 1 《自然の要求》 1 《白鳥の歌》 1 《紅蓮地獄》 1 《原基の印章》 2 《炎渦竜巻》 3 《神聖の力線》 1 《幽霊街》 -サイドボード(15)- |
5 《島》 1 《山》 3 《蒸気孔》 4 《硫黄の滝》 1 《踏み鳴らされる地》 4 《霧深い雨林》 4 《沸騰する小湖》 1 《僻地の灯台》 1 《地盤の際》 -土地(24)- 3 《瞬唱の魔道士》 4 《詐欺師の総督》 2 《やっかい児》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(11)- |
4 《稲妻》 4 《血清の幻視》 2 《呪文嵌め》 1 《払拭》 1 《炎の斬りつけ》 1 《のぞき見》 4 《差し戻し》 2 《電解》 4 《欠片の双子》 2 《謎めいた命令》 -呪文(25)- |
2 《呪文滑り》 2 《嵐の神、ケラノス》 1 《払拭》 1 《炎の斬りつけ》 1 《古えの遺恨》 1 《否認》 1 《紅蓮地獄》 2 《血染めの月》 1 《神々の憤怒》 1 《不忠の糸》 1 《粉砕の嵐》 1 《思考を築く者、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
特に「アミュレット・ブルーム」は最近のトーナメントで結果を残し続けており、ついにプロツアーも制するのか? と思われましたが、この対戦では絶対的な決め手となる《血染めの月》をサイドボードに用意していた、青赤「欠片の双子」の勝利となりました。
環境の初期はコンボデッキが強いという言葉もあるように、環境の激しく変わるモダンらしい結果と言えるのかもしれません。トップ8のデッキリストや決勝の様子は観戦記事やニコニコ生放送でタイムシフト視聴が可能ですので、そちらもぜひぜひご覧ください。
優勝したアントニオ・デル・モラル・レオン/Antonio Del Moral Leon選手はMagic Onlineで努力を重ねるなど、これからのプロツアー戦線でも期待できる、今シーズンの注目の選手と言えるでしょう。
夢の20点パンチ?
モダンでは、コンボデッキが制したプロツアー『運命再編』ですが、ドラフトにおいても見所はたくさん。その中でも、まるでコンボデッキのような派手な試合を1つ、ご紹介しましょう。その主役となるカードは、『運命再編』に収録された《ティムールの激闘》。クリーチャーに二段攻撃、そして、獰猛でトランプルを与えるこの呪文は、パワーの高いクリーチャーに使えば簡単に10点以上のダメージを与えられるため、赤緑系のドラフトデッキで活躍します。それが《強大化》が合わさると?
第11回戦、弱冠16歳の新鋭マーティン・ミュラー/Martin Müllerは、殿堂プレイヤーかつレジェンドであるズヴィ・モーショヴィッツ/Zvi Mowshowitzへと挑みます。1試合目、マーティンの1発目20点パンチはズヴィの《砂爆破》によってかわされてしまいますが、後の2試合ではとんでもないことが...!? 個人的にもっとも盛り上がった試合の様子は、ぜひタイムシフト視聴(3:19:00ごろ)でご覧ください。
モダンの世界は一日にして成らず
プロツアーは終わりましたが、モダンの新しい環境はまだ始まったばかり、まだまだ未開拓な部分も多く存在します。奇抜なデッキでプロツアーに挑むことは勇気が要りますが......そういった、誰も通らない道を通ることを生きがいにしているプレイヤーもいるのです。
殿堂プレイヤーと「革新者」の二つ名を持つアメリカのパトリック・チャピン/Patrick Chapin、そして、同じく殿堂プレイヤーでフランスのレジェンド、ラファエル・レヴィ/Raphaël Lévyは独創的なデッキを持ち込んでいます。モダン環境に一石を投じるだけでなく、それでプロツアーという巨大な鳥を捕ってしまおうと狙っているのですから、尊敬、畏敬といった感情が彼らに集まるのも当然と言えるのかもしれません。
2 《島》 1 《沼》 2 《湿った墓》 4 《闇滑りの岸》 1 《神聖なる泉》 1 《神無き祭殿》 4 《汚染された三角州》 2 《溢れかえる岸辺》 2 《湿地の干潟》 -土地(19)- 4 《黄金牙、タシグル》 4 《グルマグのアンコウ》 -クリーチャー(8)- |
4 《ミシュラのガラクタ》 4 《ギタクシア派の調査》 4 《流刑への道》 4 《血清の幻視》 4 《頑固な否認》 4 《思考掃き》 2 《コジレックの審問》 2 《思考囲い》 2 《未練ある魂》 3 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(33)- |
2 《戦争の報い、禍汰奇》 1 《翻弄する魔道士》 1 《呪文滑り》 3 《大爆発の魔道士》 1 《死の印》 1 《未練ある魂》 2 《機を見た援軍》 3 《仕組まれた爆薬》 1 《平地》 -サイドボード(15)- |
2 《沼》 1 《森》 2 《草むした墓》 2 《血の墓所》 1 《神無き祭殿》 1 《竜髑髏の山頂》 4 《新緑の地下墓地》 2 《血染めのぬかるみ》 2 《湿地の干潟》 2 《汚染された三角州》 3 《地盤の際》 -土地(22)- 4 《恐血鬼》 2 《ゴブリンの太守スクイー》 1 《ゴルガリの茶鱗》 1 《復讐に燃えたファラオ》 -クリーチャー(8)- |
4 《信仰無き物あさり》 1 《暗黒破》 1 《炎の突き》 1 《カラスの罪》 4 《壌土からの生命》 4 《小悪疫》 3 《ゾンビの横行》 2 《突然の衰微》 2 《喉首狙い》 4 《未練ある魂》 1 《残忍な切断》 3 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(30)- |
2 《ゴルガリの茶鱗》 2 《復讐に燃えたファラオ》 2 《死の印》 2 《カラスの罪》 4 《古えの遺恨》 1 《喉首狙い》 1 《天啓の光》 1 《ゾンビの横行》 -サイドボード(15)- |
他の独創的なデッキも「ローグたれ」などのカバレージ記事で紹介されています。我こそは次代の革新者というプレイヤーの方はチェックしてみてください!
次回はプロツアー『タルキール龍紀伝』
次回のプロツアー『タルキール龍紀伝』は現地時間4月10日(金)~12日(日)にベルギーのブリュッセルで行われます。残念ながら今回のプロツアーでは、日本選手はトップ8に入ることはできませんでしたが、スタンダードで行われる次回のプロツアーには、大いに期待できるのではないでしょうか。
日本からはお馴染みのプラチナプロの3トップ、渡辺雄也選手、山本賢太郎選手、市川ユウキ選手や、ジャパニーズイノベーターの行弘賢選手、八十岡翔太選手、そして、レジェンドの殿堂プレイヤー枠からはあの世界のISOこと、大礒正嗣選手も参加予定とのことなので見逃せません。
プロツアー『運命再編』いかがでしたでしょうか、それでは、また、次のプロツアーの生放送で、お会いしましょう!
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