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『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップ

トピック

『ゼンディカーの夜明け』の星を追い求め

Rich Hagon

2020年12月1日

 

 2020-2021シーズン最初の大型イベント「『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップ」が間もなくやって来ます。そう、「シーズン」――15年以上にわたってマジックのプロシーンを見続け、それについて書き続け、語り続けてきた者としては、これほど使い心地の良い「Sから始まる言葉」はありません。

 マジックにおける最高のエピソードの中には、押しも押されもしないプレイヤーたちがシーズンを通して戦ったからこそ生まれるものがあります。2005年の津村 健志とオリヴィエ・ルーエル/Olivier Ruelしかり、2013-2014シーズンのジェレミー・デザーニ/Jérémy Dezaniとリード・デューク/Reid Dukeしかり、あるいは2010年のブラッド・ネルソン/Brad Nelsonとギョーム・マティニョン/Guillaume Matignon、そして2017-2018シーズンのルイス・サルヴァット/Luis Salvattoとセス・マンフィールド/Seth Manfieldによる、プレイヤー・オブ・ザ・イヤー決定戦しかり。

 必然ではありますが、2020年も骨の折れる過酷な戦いが続いてきました。輝かしい2021年に目を向けるにあたり、こうしてマジックの競技シーズンを改めて大局的に見る機会を得られたのは素晴らしいことです。

 この場をお借りして、『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップに懸かっているものをお伝えしましょう。

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全員が目指すもの

 まずは大事な数字の部分からお話しします。

 参加者たちはまず、初日のヒストリック3回戦とスタンダード4回戦の計7回戦の中で、2日目進出の最低ラインである「4勝」獲得を目指します。2日目に残ったプレイヤーは、さらにヒストリック4回戦とスタンダード4回戦の計8回戦という長丁場を戦います。

 次に重要な数字は「12」。12勝目を達成したプレイヤーはトップ8入賞が確定します。そして3日目の鍵を握る数字は、これまで通り「2」です――ダブルエリミネーション方式で行われるトップ8ラウンドで「2敗」を喫すると、頂点への道は途絶えてしまうのです。

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 それから、最後にゆくえが決まる「250,000」ドルも特筆すべき数字でしょう。歴史に名を残す偉大なプレイヤーから新世代のヒーローまで一堂に会し、賞金獲得を競い合う3日間にわたる戦い。全日程を伝える生放送は見逃せませんよ。

MPL選手とライバルズ・リーグ選手が目指すもの

 リーグ所属選手はすでにバーチャル空間で卓を挟み、2つの「リーグ・ウィークエンド」を終えています。シーズンを通して行われるポイント・レース(リンク先は英語での一覧表)はもう始まっているのです。

 MPLのシーズン序盤を先導するのは、現在の世界王者であるブラジルのパウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosaと、日本が生んだ傑物、佐藤 レイ。ライバルズ・リーグの方は、殿堂顕彰者ルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargasがマット・スパーリング/Matt Sperlingをわずかにリードしています。もちろんシーズンはまだ序盤であり、所属選手全員がポストシーズンに行われるイベントの席を虎視眈々と狙っています。

 『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップでは、リーグ所属選手に最大4点のポイント獲得チャンスがあります。9勝達成で1点、10勝で2点、11勝で3点、そしてトップ8入賞で4点です。「4点」と聞くと大したことないように思われるかもしれませんが、現時点でMPL選手の半数が4点差以内で競っており、ライバルズ・リーグ所属選手のうち15人が先頭を走るスコット=ヴァーガスと4点差で今大会を迎えているのです。

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2019ミシックチャンピオンシップⅡ(ロンドン)トップ8入賞時のマット・スパーリング

 

 現在ライバルズ・リーグのポイント・レースにて1点差でLSVに続くスパーリングは、今シーズンの目標を次のように語ります。

「ライバルズ維持かMPL昇格……最大の賞金が懸かる最高レベルの舞台でプレイすること、そこにマジックの面白さと魅力を一番感じるんだ」

 上達したいプレイヤーへ送るアドバイスで最も多く言われるのは、「自分より上手い人たちとプレイする」ことです。スパーリングはまさにそれを実行しており、マジックの歴史に名を残す偉大なプレイヤーたちと取り組んでいるのです。

 その理由は、『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップのようなイベントに参加すれば実感できるでしょう。

「上達のほどを測るなら、ワールドクラスのプレイヤーたちとプレイするのが一番だ。自分もずいぶん助けられたよ」とスパーリングは言います。「真っ先に思い出すのは、ポール・リーツェル/Paul Rietzlから学んだ数え切れないほどのテクニックと発見的手法だ。シールドのデッキではすべてのカードに高いインパクトを持たせることから、ネットで見つけたリストには土地を1枚加えることまで、いろいろ学ばせてもらった」

「そしてそういう小さな工夫以上に、自分より上手いプレイヤーとプレイするとより良いゲーム観が養われる。ゲームを決着させようと動き出すのはいつ? リソースの交換に目を向けるタイミングは? これらは戦略記事を読むだけでは身につかない複雑なことだ。ジョン・フィンケル/Jon Finkelや『Huey』(ウィリアム・ジェンセン/William Jensen)のようなプレイヤーと対面して、彼らの決断をその目で見ることで印象に残すことができ、それが時を経て感覚として身についていくんだ」

 マジックをフルタイムでプレイしたいと熱望するプレイヤーは多くいますが、スパーリングにもゲームから離れて充実した1日を過ごすときがあります。生活とのバランスを取ること(つまり本当に大事なものを理解していること)は、彼にとって良い方向に働いているのでしょうか? それとも邪魔に?

「もちろんプラスになっているよ。何事も秀でるためには情熱が必要だけれど、それは強迫的な考えにも繋がりかねない。僕の場合は他のことに集中したり、休憩したり、効率的な集中と準備の方法を学べるよう意識したり(これは求めすぎない)することで、(少なくともひとときは)強迫観念に潜む悪魔を寄せつけないで来られたんだ」

チャレンジャーが目指すもの

 リーグ所属選手は3つのスプリット(『ゼンディカーの夜明け』、『カルドハイム』、『ストリクスヘイヴン:魔法学院』)それぞれの「チャンピオンシップ」イベントで姿を見られますが、リーグ外のプレイヤー、つまり「チャレンジャー」はそうとも限りません。大会やイベントで『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップの参加権利を獲得したプレイヤーにとって、今大会は今後のイベントの招待状を確保する大きなチャンスなのです。

 彼らにとって鍵となる数字は「10」と「11」です。

 10勝を果たせば、『カルドハイム』チャンピオンシップへの参加権利が保証されます。ですがさらに重要なのは11勝目。全15回戦で11勝4敗以上の成績を残せば、ポストシーズンに行われる「チャレンジャー・ガントレット」の席を確保でき、MPLやライバルズ・リーグ入りの可能性が開ける上に次の世界王者まで狙えるのです。

 今大会での10勝や11勝達成を最も期待されるのは、キャロライン・カヴァナー/Carolyn Kavanaghです。2013年にマジックを始めて以来、彼女は北米地域のグランプリの常連です。殿堂顕彰者や大型イベントの優勝者を複数擁する「デンバー組」(サム・パーディ/Sam Pardee、マット・ナス/Matt Nass、アンドリュー・ベックストーム/Andrew Baeckstrom、ギャビー・スパルツ/Gaby Spartz、ルイス・スコット=ヴァーガス、ジョシュ・アター=レイトン/Josh Utter-Leyton)との親交が深く、今大会に向けてもMPLやライバルズ・リーグに所属する選手を含む強力な調整チームの一員として臨んでいます。

 彼女は先日「Venus and Mercury League」(リンク先は英語)にて連覇を果たし、称賛と文字通りの栄冠を勝ち取りました。

あああああ #vmlmtg シーズン3優勝うううううう

「決勝進出!(2シーズン連続!!!!!) 12月に行われる『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップの参加権利を懸けた#vmlmtg決勝は、生放送でお届け 果たして王冠を守れるのか?!?!」

「VMLのコミュニティを代表して『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップに出場できるのは誇らしいですし、心から楽しみです! 私たちの使命は、ジェンダーに関わらず才能あるプレイヤーの姿を世界に示すことです。プレイヤーがポテンシャルを引き出し、最高レベルの舞台に立てるようお手伝いをしています」と、カヴァナーは言います。「リーグ2連覇は本当に嬉しいです。エマ(・ハンディ/Emma Handy)やオータム(・バーチェット/Autumn Burchett)、モンセラート(・アイェンサ/Montserrat Ayensa)のようなプレイヤーが『2020年シーズン・グランドファイナル』の舞台に立つ姿を見るのは最高でしたが、私たちのコミュニティでも才能あるプレイヤーが続々と頭角を現してきています。CFB seriesやSCG seriesのようなイベントでVMLのプレイヤーが好成績を記録しているのを見ると、奮い立ちますよ」

 リーグ所属選手もチャレンジャーたちも、みなそれぞれにユニークな旅路を歩んできました。例えばメイソン・ガイザー/Mason Geyserは、4月11日に「ティムール・アドベンチャー」で「マジックフェスト・オンライン」のラストチャンス予選に参加し、5戦全勝を果たしました。そしてその2日後、彼はTwitterに次のような投稿をします。

やった! 今日のプレイオフで31位確定、初めてのPT権利獲得。接戦ばかりだった。《世界を揺るがす者、ニッサ》2枚入りの「ティムール・アドベンチャー」はとても楽しかったよ。

 では、彼の初めての大型イベントはどうだったのでしょう?

初めてのPTは「ティムール・再生」で6-3、2日目進出。本当に厳しい戦いだったし、ミスもあったけど、この結果には満足してる! 明日も楽しみ #PTArena4

 そして彼の活躍はまだ終わりません。

うひゃー!!! プレイヤーズツアーファイナルの権利獲得には今日5-1する必要があって、しかも初戦負けたんだけど、そこから5連勝で11-4。2000ドルとPTF権利獲得。有頂天とはこのこと #PTArena4

 皆さんご想像の通り、「2020プレイヤーズツアーファイナル」は一筋縄ではいかない大会でした。

3-1から4-3。芳しい結果ではないけれど、ひとまず2日目へ。ここから上がれるよう全力を尽くす。デッキの感触は間違いなく良い。 #PTFinals

まさか初めてのPTFで4色のデッキを使うことになるとは思わなかった。でもこんなに美しいリストを逃すわけにはいかない!(1日中ミラーマッチするのも楽しみ) #PTFinals

 ガイザーのようなプレイヤーがミシックチャンピオンシップ予選に参加したら、どうなると思います? 「予選突破する」と答えた皆さん、大正解です。

 やったぞ!!! MCQW2日目、「ジャンド・サクリファイス」で7-1。画像は僕と愛する猫たち。全部こいつらのおかげだよ。 #MCQW @MTG_Arena @MagicEsports

 こうして、ガイザーは1年を通して一歩ずつ成功を積み重ねてきました。

「今年になって競技の舞台に再び立ち始めましたが、競技に取り組むのは6年ぶりです。それまでに経験した一番大きな大会はグランプリだったのですが、それがプレイヤーズツアーになり、プレイヤーズツアーファイナルになり、そして今、わずか1年で『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップの舞台まで上がれました。MPLに入るという最大の目標を達成できる可能性がどれだけあるのかはわかりませんでしたが、今年1年の成績は少し希望が持てるものでした。とはいえ大きすぎる夢なので、達成の可能性は現実的に見るよう心がけています!」

 リーグ・ポイントを求めるにせよ今後のイベントやポストシーズンに行われるイベントの参加権利を求めるにせよ、あるいは単に「ベストを尽くす」ことを目指すにせよ、『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップの参加者たちは全員、持てる力を尽くしてヒストリックとスタンダードに挑みます。最後に、予選ウィークエンド(2020年9月)で目覚ましい活躍を見せこの舞台に立った、チャレンジャーのダリオ・フェルナンデス/Dario Fernandezの言葉をご紹介しましょう。

「マジックは私の人生に欠かせないものになっています。このゲームを始めてから多くの友人と出会い、好きなことをしながらさまざまな都市を旅する中で新しい世界が開けました。私にとってリーグ入りは最大の目標です。マジックを始めたころは、自分が世界最高のプレイヤーたちに交じってプレイできるようになるとは想像もしませんでした。最高のパフォーマンスを発揮できる可能性があれば、夢は叶うんです」

「今年は誰もが苦労したかと思いますが、良い結果が出ればすべてが報われるというものです」

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 賞金総額250,000ドルを懸けた、チャレンジャーとリーグ所属選手たちによる至高の戦い「『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップ」の模様は、twitch.tv/magic(英語)にて12月4~6日の全日程を生放送でお届けします! ぜひご覧ください!


『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップ 日本語版放送ページ・放送日程
日程 放送日・放送時間 放送ページ
1日目 12月4日(金) 26:00~ Twitch」「YouTube
2日目 12月5日(土) 26:00~
3日目 12月6日(日) 26:00~

日本語版放送出演者

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RESULTS

対戦結果 順位
最終
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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