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世界選手権11

決勝戦: 彌永 淳也(東京) vs. Richard Bland(イギリス)
by Atsushi Ito
あの日。2005年の日本選手権。
当時まだ18歳の彌永 淳也という少年が、マジックの歴史の輝かしい1ページに名を残すはずだった日。
ちょっとしたアクシデントがあって彌永は優勝を逃し、また学業を優先して代表も辞退した。
皮肉にもその年の世界選手権は、森 勝洋(東京)の個人優勝、日本代表チーム優勝、津村 健志(広島)がPoY獲得と、マジックの歴史における「強い日本」が始まる節目の年となった。
あれから6年が経ち。
「日本勢は何故勝てなかったのか」など日本のプロコミュニティに警鐘が鳴らされる時代の中で。
いくつかのグランプリトップ8や優勝を経て、少年は大人になった。
今、彌永はマジックにおいて名実ともに最高峰の舞台の決勝戦に立っている。
あの日つかみ損ねた栄光を求めて。
しかし戦闘後にBlandの手札から繰り出されたのは《刃砦の英雄》。対処を誤れば詰みかねない。
7マナ目を引けていれば《緑の太陽の頂点》から《原始のタイタン》が出せた彌永だが、ここでのドローはダイレクトに《原始のタイタン》。しかしまずは冷静に《緑の太陽の頂点》で《最後のトロール、スラーン》をサーチ、《忘却の輪》による裏目をケアする。
返すBlandが《刃の接合者》を追加するのみだったため、続くターンに彌永は満を持して《原始のタイタン》をプレイ。《墨蛾の生息地》2枚をサーチする。
結局Blandがさらに《刃の接合者》をプレイしたことで《原始のタイタン》がアタックすることはできなくなってしまったものの、素引きしていた《ケッシグの狼の地》の力により 、その後わずか2ターンでBlandは毒殺されてしまったのであった。
彌永 淳也 1-0 Richard Bland
彌永は《最後のトロール、スラーン》《極楽鳥》《緑の太陽の頂点》といったパッケージを抜き、《古えの遺恨》などをサイドイン。
親友である石村 信太朗(埼玉)らと直前に入念に検討したサイドボードプランで2ゲーム目に臨む。

が出ず初動が遅い手札をマリガン。6枚の手札は以下のようなもの。
《根縛りの岩山》、《感電破》《太陽の宝球》《真面目な身代わり》《真面目な身代わり》《古えの遺恨》
これを少し考えてからさらにマリガンした彌永。たどり着いた5枚は・・・
《根縛りの岩山》
《根縛りの岩山》
《感電破》
《感電破》
《業火のタイタン》
というこれ以上ないハンド。
3ターン目までドローゴーのBlandに対し、彌永は《不屈の自然》を引き込んでマナブースト。さらに土地が詰まって《戦争と平和の剣》を置くことしかできないBlandを尻目に、彌永は《真面目な身代わり》を引き込んで《業火のタイタン》リーチ。
返しでようやく4マナ目を引き込んだBlandだが、《陽花弁の木立ち》《森》《ガヴォニーの居住区》とあるところに引き込んだのが《森》ではいまいち噛み合わず、《情け知らずのガラク》でトークンを出してターンを返すことしかできない。
果たして《業火のタイタン》が登場し、《真面目な身代わり》のアタックと合わせてBlandの場が再び真っさらに。返しでBlandは引き込んだ《極楽鳥》を出して《戦争と平和の剣》を装備させるが、彌永が構わず2体アタックすると、Blandは《業火のタイタン》を止めるしかなく、じわじわとライフが削られていく。
さらに彌永が《原始のタイタン》を追加した返しでようやくBlandは《最後のトロール、スラーン》をキャスト、《極楽鳥》アタックで《戦争と平和の剣》の効果を誘発させてライフを引き戻しにかかる。
が、彌永の手札は最初に紹介した5枚から7ターンのドローを経てとんでもないことになっていた。すなわち、
《太陽の宝球》をキャスト、《墨蛾の生息地》をアクティベートして金属術達成してからの。
《感電破》×4、本体16点。
彌永 淳也 2-0 Richard Bland
この世界選手権の決勝という舞台にあっても、彌永は普段の冷静かつ慎重なプレイスタイルを乱すことなく戦えているように見えた。
もちろん緊張はしているのだろうが、練習による裏打ちや仲間たちの応援、そしてデッキへの信頼が、彌永をこれ以上なく支えている。

が出ない《森》。準決勝までで完全に運を使い切ってしまったかのよう。
他方で、6マナまではもう一度《不屈の自然》を挟んだものの、5ターン目には順調に《業火のタイタン》をキャストした彌永。《ガヴォニーの居住区》をケアして丁寧に細菌・トークンを葬る。
返しでようやく2枚目の白マナを引き込んだBland。祈るように《刃砦の英雄》をキャストし、《迫撃鞘》を装備させてターンを返す。
だが彌永は自分のターンに入ると、ほとんど間を置かずにそのカードをキャストした。

《業火のタイタン》の2枚目。
彌永 淳也 3-0 Richard Bland
スタンダードとモダンで素晴らしいオリジナルデッキを製作した彌永。
優勝が決まったときの笑顔は、まるで大切な宝物を見つけた少年のように晴れやかなものだった。
「スタンダードのデッキ強すぎたね。」
栄光は、今ここにある。
世界選手権2011、優勝は彌永 淳也!!


Game 1
先手彌永がマリガンするものの、後手のBlandはダブルマリガンを強いられてしまう。 彌永が順調に2ターン目、3ターン目と《不屈の自然》《真面目な身代わり》でマナ加速するのに対し、Blandの初動は《刃の接合者》で既に半分諦め顔。 だが、6マナに達した彌永が赤緑両タイタンのいずれもキャストしなかったことでやる気を取り戻したか、まずは3/3のゴーレム・トークンでアタック。 これは彌永が《感電破》で《刃の接合者》本体を葬りつつ、《ケッシグの狼の地》で《真面目な身代わり》をパンプして相打ちにとる。
Game 2
Blandのマリガンに対し、彌永はまずは《金屑の嵐》があるものの


Game 3
今度こそBlandは7枚でキープ。対する彌永は6枚からスタート。 1ターン目の《アヴァシンの巡礼者》を《感電破》すると、Blandの動きがどうにもぎこちない。《迫撃鞘》をプレイするが、3ターン目はその細菌・トークンでおどけてアタックすることしかできない(もちろん0点)。 対する彌永は《不屈の自然》《真面目な身代わり》の黄金パターン。 そしてBlandの4枚目の土地はまたも



