By Takeshi Miyasaka & Shiro Wakayama
2011年世界選手権はいよいよ予選最終日。個人戦は11時からモダンで争われるが、その前に国別対抗戦2ラウンド行われる。各国の国旗を背負って戦う選手たちは、朝9時に集合して試合開始の合図を待っている。

日本代表が3回戦で対戦するのはドイツ代表。ともに勝ち点72で現在6位、7位。トップを行くオランダ、デンマークは78点を数えており、少なくともチーム戦を戦っている間は確実に勝ち点9を稼いで上位を維持しておきたい。
開始時間に遅れていた何組かの代表チーム到着を待って、午前9時過ぎに3回戦の開始が告げられた。
レガシー:Martin Zimmermann vs 藤本 知也
モダン:Helge Nelson vs 三原 槙仁
スタンダード:Tobias Dreger vs 石田 龍一郎
モダン:Helge Nelson vs 三原 槙仁 Game 1

先攻の三原が《》をタップインしてターンを終えると、Helge Nelsonのファーストターンは《》《》《》《》という親和らしい立ち上がり。
三原が《》セットでターンを返すと、続くターンには《》《》《》と展開して《》《》をレッドゾーンへ放り込む。
《》セットと土地をプレイするだけの三原にHelge Nelsonは《》をセットすると《》をキャスト。
戦闘に入ったところで《》をプレイした三原は《》の攻撃を抑制するが、《》《》が三原へダメージを与える。
しかし、明くるターンに三原は4マナを揃えて《》で無限《》による4ターンキルを決めた。
Helge Nelson 0-1 三原 槙仁
危なげなくコンボを決めてゲームを先取した三原は、サイドボード中に藤本と石田にそれぞれアドバイスする。
サイドボードを終えてゲームを始めようとしたところで、モダン担当の二人はデッキチェックを受け、これ幸いとそれぞれがレガシーの行方を見守るために本腰を入れた。
レガシー:Martin Zimmermann vs 藤本 知也 Game 1

三原に初手を見せて確認を取ったあとで力強くキープした藤本は《》スタート。一方のMartin Zimmermannは《》をフェッチして《》をサーチすると《》をキャストする。
スタックで《》をサーチした藤本は《》でなんらかの妨害手段を探しに行くが、かなわずに《》は着地する。藤本は《》をセットしてターンを返す。
《》が殴って藤本のライフを17にしたあと、《》をフェッチして《》をサーチし、《》をプレイしてカードを補充してターンを終える。
ここで藤本は《》をキャスト。たったいまコンボを決めてゲームに勝利した三原に相談し、《》を3枚提示する。
ライブラリをシャッフルした後でメインに《》をセットしてから《》。ドイツ代表と日本代表はそれぞれ《》《》を提示する。
三原 「あとは死なないことを祈るだけだよ。」
黙ってうなずく藤本はターンを終了する。
もはや猶予がないことが明らかになったドイツのエルフマスターは、コンボをスタートさせる。
《》《》《》《》《》をMartin Zimmermannはコントロールしている。
1. エルフ3体をタップして3マナ用意して《》。藤本はスタックしてフェッチを起動し《》をサーチしてから《》でカードを求めるがカウンターは見つからずこれが解決される。(残り 2 マナ)
2. 《》。クリーチャー呪文がキャストされるたびに、エルフマスターは2枚のカードを入手することができるようになった。(1マナ)
3. 土地をすべてタップして3マナ用意して《》。2枚ドロー。(3 マナ)
4. 《》。2枚ドロー。(2 マナ)
5. エルフ3体をタップして3マナ用意して《》。タップ状態の《》を《》へ変換する。(4 マナ)
6. 《》。2枚ドロー。(3 マナ)
7. 《》。2枚ドロー。(1 マナ)
8. エルフ3体をタップし 3マナ用意して《》。3枚ドロー。(2 マナ)
9. 《》。2枚ドロー。(1 マナ)
10. エルフ3体をタップして3マナ用意して《》 X=1で《》を戦場へ。(2 マナ)

と、順調にカードを引き増し、マナを増やし続けたコンボマスターは、《》で《》を入手し、召喚酔いしていないエルフ2体をアンタップして 18/18 にして攻撃に向かわせる。
4ターンキルを決めようとした藤本に対して、Zimmermannは貫禄の後手3ターンキルで応えたのであった。
Martin Zimmermann 1-0 藤本 知也
デッキチェックを受けて暇そうにしている三原に相談しながら、サイドボードを進める藤本。
三原 「相手の方が1ターンコンボが速いからきついねー。」
藤本 「そうっすね。」
レガシー:Martin Zimmermann vs 藤本 知也 Game 2
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Martin Zimmermann | |
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ふたたび藤本が先攻でスタートするレガシー対決。「キープしていいすか?」と隣でちょうどデッキが返ってきた三原に確認を取り、許可をもらってゲームを始める。
《》からの《》で手札を調整し、続くターンには《》でライブラリをシャッフルする用意をする立ち上がり。一方のMartin Zimmermannは《》《》というグッドスタート。
続くターンに《》を攻撃に向かわせたあと、《》を戦場へ、続けて《》をセットして《》をサーチすると《》をキャストする。
スタックして《》を《》へ変換してライブラリをシャッフルした藤本は《》で対応策を探すが、《》が戦場へ登場する。《》、《》と展開してターンを終了する。
一方、そのころ・・・
モダン:Helge Nelson vs 三原 槙仁 Game 2
《》《》、ついで《》《》から《》というHelge Nelsonのスタート。
公開された三原の手札から地上をがっちり止める《》を落とすと《》を三原へ攻撃させ、《》《》と展開して2ターン目を終了する。
かたや三原は《》で《》をサーチするとペイライフ《》でドローを進め、《》をアンタップインしてターンを返す。ライフは14。
Helge Nelsonは《》《》と手札を使い切ると、《》《》、2枚目の《》をレッドゾーンへ。
《》が《》をカウンターに換える。そこへ《》を突き刺す三原。
《》は自身を生け贄に捧げて《》へカウンターを移すと、三原は4ダメージを受け10となる。手痛いダメージを受けた三原は《》をタップインしてターンを返す。
Helge Nelsonは《》で《》を餌にしたのち、新たな《》をキャスト。その後《》《》《》《》の4体を攻撃に繰り出す。いずれもパワー2のクリーチャーだ。
《》をフラッシュバックして《》を狙う三原だが、スタックで《》《》を餌にしてカウンターを 4 つにした《》は、自身のカウンターを《》へ移動する。6/6 となった《》と《》2体のダメージを受け、三原のライフはちょうど0となった。
Helge Nelson 1-1 三原 槙仁
レガシー:Martin Zimmermann vs 藤本 知也 Game 2 - 2nd part
一気に窮地に陥った藤本は、メインに《》を起動。難しいシチュエーションだったようで、ちょうど2ゲーム目を敗北した三原に今後の展開を相談する。三原がアイデアを提案すると、思わず「すげー!」と口に出してしまう藤本。憎めないキャラである。
三原 「すげーじゃねーよ!」
《》をセットすると《》。ドイツ代表には《》が、日本代表には《》がそれぞれ戦場に登場する。ついで《》をプレイして赤マナを用意すると、《》を騙し撃つ藤本。
「おいおいおい。」と思わず悲鳴を挙げるMartin Zimmermann。たしかにツッコミも入れたくなる展開である。すぐに攻撃しようとする藤本に待ったをかけて考えを巡らせる。なんとかパーマネントを増やして次につなげなければ。
《》をX=2でキャストして《》を戦場へ送り込み、手札と生け贄に捧げるためのパーマネントとする。
《》が攻撃し、《》を残してすべてのパーマネントが生け贄に捧げられる。藤本も役目を終えた《》をライブラリへ戻す。
エルフマスターは《》から《》をサーチすると、《》《》をプレイしてターンを返す。
藤本がドローゴーしている間に《》、《》と展開してコツコツ殴っていくが。
《》を引き当てた藤本は、《》から《》を入手。《》をセットから、再び《》を起動してゲームを決めた。
Martin Zimmermann 1-1 藤本 知也
モダン:Helge Nelson vs 三原 槙仁 Game 3
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Helge Nelson | |
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先攻の三原が《》をタップインすると、後攻のHelge Nelsonは《》《》《》《》《》という展開力。
いきなりクライマックスを迎えてしまった三原だが、《》をセットすると《》をX=0で設置すると《》を破壊する。
しかし親和使いは《》とおかわりの《》をプレイすると《》を召喚し、《》2体で攻撃する。ライフが16となった三原は、《》をセットして《》をプレイ。《》2体が+1/+1 カウンターとなって《》へ移る。
《》をもう1枚セットしたHelge Nelsonは、《》と《》をレッドゾーンへ。4点受けた三原のライフは12となる。《》でドロー操作した三原は《》をセットしてターンを終えた。
押せ押せのドイツ代表は《》をセットすると《》《》を戦場へ。《》を《》へ装備させてレッドゾーンへ。9点のダメージを受けた三原のライフはわずか3となった。しかし、土地しかプレイできない三原は《》をセットして終了する。
アンタップしたところでチームメイト全員でプランを検討するドイツ代表。ほぼ勝っている状況だが、万が一に備えてのことか。
最終的に《》へ《》を装備し直し、《》《》《》で攻撃すると、日本代表の司令塔は敗北を認めた。
Helge Nelson 2-1 三原 槙仁
ここで石田の様子もお伝えしよう。
二日目のドラフトで1勝5敗と、つまづいてしまった石田。
国別対抗戦はチームの二人が勝てば勝ち点が9点入る、いわばボーナスラウンドのようなもの。
ここで挽回して、チームに貢献したいところだ。
対戦相手のTobias Dregerはオーソドックスな青黒コントロール。石田は、ナヤカラーのケッシグウルフランプ。
スタンダード:Tobias Dreger vs 石田 龍一郎 Game 1

石田はキープ。Dregerはマリガンを宣言。
ファーストアクションは石田の《》。Dregerは渋い顔をしながら土地を置くのみに留まる。
石田が3ターン目にプレイしたX=2の《》は《》で弾く。
迎えた第5ターン、Dregerが《》をプレイしたのに対し、石田は《》をプレイしてビースト・トークンを生成。静かに、小競り合いが続く。
《》のアタックに対して、石田は悩む素振りを見せることもなく、《》とビースト・トークンでブロック。これは《》で迎撃されるものの、土地を伸ばすことに成功。
ターンを終えるのみのDregerに対して、さらに《》でプレッシャーをかける。これに対しては、《》からの《》で難を逃れるが、余ったマナで《》。
Dregerはこれを《》+《》でどかして、アタック。ガラクのカウンターは1に減少してしまうものの、ビースト・トークンが《》を屠り、ガラクが生き残り、じわじわと盤面の優位が継続する。
そして石田は渾身の《》トップデッキ! これが通って、《》から《》と《》をサーチ。
仮にクリーチャーを一掃しても、《》+《》で不利に追いやられてしまうDreger。
次のドローを確認して、投了。
石田 龍一郎 1-0 Tobias Dreger
スタンダード:Tobias Dreger vs 石田 龍一郎 Game 2
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Tobias Dreger | |
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ファーストアクションは石田のX=1《》。これは《》で弾きつつ、石田の《》を通して《》で今後のプランを検討するDreger。
これに対して、石田は愚直に攻める。《》をプレイするが、これは《》+《》でカウンター。土地を置いて出方を窺うDregerに対して、さらにまっすぐに《》をプレイ。これは《》される。
Dregerの場に6枚土地が並ぶが相手は何も動かない。何もないのか、カウンターを抱えているのか、除去を抱えているのか。
《》2体をレッドゾーンに送り込むが、相手からは除去が飛んでこない。
さらに次なるターン、少し強引に見えるが、1体の《》のみを起動して攻撃、《》で全力パンプをすると、これがスルー。一気に4つの毒カウンターが乗って、相手の毒カウンターの数は6に。
Dregerは必死に《》フラッシュバックで解決策を探す。
2度目の《》アタックは《》で凌がれるものの、さらに《》をトップデッキ。
相手に毎ターン除去トップデッキを強要し続け、石田が幸先よく、一勝を挙げた!
石田 龍一郎 2-0 Tobias Dreger
レガシー:Martin Zimmermann vs 藤本 知也 Game 3
石田 龍一郎が勝利を収め、三原 槙仁が敗北した日本代表の勝敗は、レガシーに、藤本にゆだねられた。初手を三原と大丈夫だよねと確認をとる。
先攻のMartin Zimmermannは《》《》というロケットスタートするが。
藤本 「いい?」
三原 「カウンター。」
《》でカウンターした藤本は《》をセットしてターンを返す。
三原 「いちばんダメだよ。」
《》から《》をサーチすると《》をキャストするMartin Zimmermannに対して、スタックして《》を。
三原・藤本 「お?」
思わず声が出る。
三原 「やることが決まったから。」
戻すカードは簡単なようで、藤本はさっくりカードを戻す。一方、《》が着地しMartin Zimmermannにカードをもたらす。
ターンが回ってきた藤本は、《》から《》。
《》と《》がそれぞれ戦場へ登場する。
祈るように、うなずいて、手のひらでターンを渡す意思表示。
後がなくなったエルフマスターは必死にプランを検討する。
まずは《》をキャストして藤本に許可を求める。三原と相談し、やるなら最初のうち、と《》でマナをしばる。
これでタップアウトしたエルフマスターは《》をセットしてマナを用意すると《》をサーチし《》を戦場へ。
すべてのエルフをタップしたエルフマスターは《》を X=1でキャストし《》を戦場へ呼び出す。
藤本 「これ、ヤバくないすか。」
三原 「もう相手は殴れないし、せいぜい1マナクリーチャーをキャストできる程度だから。」
藤本 「なるほど。」
《》で《》を戻してエルフをアンタップすると、《》へ入れ替わる。
藤本にターンが戻り、《》がレッドゾーンへ。エルドラージの爪痕は激しく《》と《》を残して壊滅的なダメージを与える。
エルフマスターは最後に《》をプレイするものの、あきらめたように右手を差し出した。
Martin Zimmermann 1-2 藤本 知也
「よっしゃー!」
と思わず叫ぶ藤本に、駆け寄るチームメイトたち。三原は軽く藤本の背中に触れ、石田はハイタッチを交わす。
三原に練習するよう要求されていた藤本が、値千金の勝利を日本チームにもたらした。
日本代表勝利!