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世界選手権11
Round 15: 彌永 淳也(東京) vs 吉岡 祐樹(埼玉)
by Shiro Wakayama
マジック・オンライン・チャンピオンシップ・シリーズ(MOCS)によって権利を獲得して世界選手権へと参加した二人。
彼らのもうひとつの活躍については「MO世界選手権ダイジェスト」を読んでほしい。
9勝3敗というTOP8の目がある可能性があるラインから、モダンラウンド2連勝をし、3敗ラインに留まっていた最後の二人の日本人がここでマッチアップしてしまう。
彌永は、独自に練り上げた、《神秘の指導》や《けちな贈り物》を軸に据えた、往年のデッキを思わせる、エスパーコントロール。
吉岡は、環境最速を誇るゴブリンストーム。
彌永が猛攻をいなすのか、吉岡が蹂躙するのか。
ここで勝利すると、あとは1勝1敗1分でほぼTOP8入賞が決まる。
できれば一人でも多くの日本人にTOP8に残ってほしいところではあるが、これは個人の戦い。
Top8へと、王手をかけるのは、どちらか?
さらに《ギタクシア派の調査》《煮えたぎる歌》《煮えたぎる歌》《発熱の儀式》《魔力変》!
有り余るマナから、《巣穴からの総出》を表裏でプレイ。
合計50体のゴブリン・トークンが、2ターン目にして、並ぶ。
彌永 0-1 吉岡
ブロッカーがほぼ出てこないであろうゴブリンにとって、対処不能の6点クロックは非常に強力である。
フェッチランドとギルドランド、そして《思考囲い》とライフを自ら減らしていた吉岡は、《聖トラフトの霊》の一度のアタックで瞬く間にライフが7に。
《深遠の覗き見》でカードを探しに行くが、《煮えたぎる歌》は見つからず、《発熱の儀式》が手札へと加わる。
最早ライフが無い吉岡は、《発熱の儀式》2枚から《巣穴からの総出》でブロッカーを用意する。
彌永は《けちな贈り物》で《思考囲い》《コジレックの審問》《強迫》《瞬唱の魔道士》を持ってきて、手札に入るのは《強迫》と《思考囲い》。
この《思考囲い》が明らかにした吉岡の手札は《血清の幻視》《ゴブリンの奇襲隊》《巣穴からの総出》《否定の契約》という4枚。
ここから、唯一の勝ちへとつながるカード、《ゴブリンの奇襲隊》を抜き去る。
そして彌永は手札から1枚の土地をプレイする。
神河の時代から長らくの眠りを経て、トーナメントシーンに帰ってきた、《死の溜まる地、死蔵》。
畏怖を得た、《聖トラフトの霊》が吉岡に攻撃。
ライフが1となり、逆転の目が無くなり、投了。
彌永 1-1 吉岡
吉岡「《死の溜まる地、死蔵》つよっっ!!」
Game 1
先手は彌永。 土地を置くだけの彌永に対し、後手2ターン目の吉岡が《ギタクシア派の調査》をプレイ。さらされた彌永のハンドは、《思考囲い》《コジレックの審問》《流刑への道》《滅び》と、ハンデス以外の干渉手段がないハンド。 これを見て、吉岡が動く。《発熱の儀式》《煮えたぎる歌》《煮えたぎる歌》《炎の中の過去》。Game 2
先手彌永、1ターン目の《コジレックの審問》でゲームが始まる。 さらされた吉岡のハンドは、《煮えたぎる歌》《思考囲い》《ゴブリンの奇襲隊》《発熱の儀式》《ギタクシア派の調査》《巣穴からの総出》に《蒸気孔》。 ここから最悪の状態にならないように、《煮えたぎる歌》をディスカードさせる。 土地を引き込めない吉岡は、《ギタクシア派の調査》をファイレクシア・マナでプレイ。さらされたハンドは《神秘の指導》《流刑への道》《けちな贈り物》《エスパーの魔除け》《悪臭の荒野》。 このキャントリップで土地を引き込んだ吉岡は、ゲームプランを練る。 ストームデッキの構造上、ハンドの枚数が直接爆発力につながるため、《沸騰する小湖》から《湿った墓》をサーチしてきて、《思考囲い》で《エスパーの魔除け》をディスカードさせる。 だが、ここで彌永はトップデッキしていた、対コントロール用のアグロサイドボードによるフィニッシャーを展開。Game 3
先手の利を最大限に活かせるデッキ、ゴブリンストーム。 土地は無いが、《ギタクシア派の調査》が2枚あり、《ゴブリンの奇襲隊》、《巣穴からの総出》《発熱の儀式》《捨て身の儀式》に《血清の幻視》と、リスキーだが何とも悩ましいハンド。 これをマリガンした吉岡に対して、彌永はキープを宣言する。 《捨て身の儀式》2枚、《思考囲い》、《血清の幻視》、《巣穴からの総出》、《島》という6枚に満足しキープした吉岡。 1ターン目、《血清の幻視》で引いてきたのは《発熱の儀式》で、占術を行うとそこには《炎の中の過去》と、《ギタクシア派の調査》が。 ハンデスに耐性がある《炎の中の過去》ではあるが、マナが伸びる可能性が少なそうな現状では役立たずになってしまう可能性も高い。時間が経てば全体除去も効いてきてしまうため、短期決戦を望み、《ギタクシア派の調査》のみをライブラリートップへと残し、ターン終了。 一方、《忍び寄るタール坑》プレイでターン終了を宣言する彌永。 ライブラリーから先ほど仕込んだ《ギタクシア派の調査》をプレイする吉永。彌永の手札を覗くと、《瞬唱の魔道士》《謎めいた命令》《滅び》《思考囲い》《弱者の消耗》と《忍び寄るタール坑》2枚。 除去はあるが、少し重い。そして、次のターンには《思考囲い》が飛んでくることが確定。もっと言えば、《瞬唱の魔道士》絡みで2発目の《思考囲い》も見える。 あまり後が無い吉岡。祈るようにキャントリップのカードを引くと、そこには《霧深い雨林》が。 これをみて、小さくうなずき、吉岡が動く。《捨て身の儀式》2枚、《発熱の儀式》、《巣穴からの総出》で計10体のゴブリン・トークンを生成。 タップインが多い彌永のハンドを見ての決断が、果たして功を奏すのか。 タップインをするだけの彌永に対して、これがアタックして、彌永のライフは10。さらに吉岡は《湿った墓》をトップデッキし、《思考囲い》で彌永の《瞬唱の魔道士》を抜き去る。 これで「1体ブロックして、ライフ1を残した上での、《滅び》到達」というプランすらも、崩壊させる。 完全なトップデッキを見せた吉岡が、プロツアー初参加、7年振りの公式戦参加にして、Top8に王手をかける。 彌永 1-2 吉岡 終わった後、大阪のPTQ強豪こと野中が吉岡のもとに現れて、結果を聞いて喜ぶ。 野中曰く、MOで調整していた時にyoshidoraに話しかけられて、託したデッキだそうだ。多大な不幸に見舞われた野中はドロップしてしまったのだが、その魂のデッキを吉岡に託したのだという。 初プロツアーながらも、電脳世界創造の時からそこにいたyoshidoraは、思いのほかリアルプレイヤーの知人が多い。 2次元から3次元へと現れた吉岡が、世界選手権TOP8に向けて、歩みを一つ進めた。RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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