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『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップ
『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップ 初日の注目の出来事
2021年6月4日
(編訳注:埋め込み動画は英語実況のものです。)
賞金総額250,000ドルのゆくえと2020-2021年マジック・ポストシーズンにおける去就を決するべく、この金曜に250名のプレイヤーが「『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップ」へと参戦した。初日の7回戦終了後、先頭に立ったのは2名のプレイヤーだけとなった。
セス・マンフィールド/Seth Manfieldとローガン・ネトルズ/Logan Nettlesは、環境が変化したヒストリック3回戦、そしてスタンダード4回戦を戦い抜いて、初日を無敗で終えた。この2名は見事なデッキ選択と熟練のプレイングでこの初日をやり抜き、トップ8入りにかなり近い位置で土曜へと進むことになったのだ。
ここで初日に起こった出来事を紹介しよう。
おなじみの顔ぶれが先導
競技マジックに関心がある人ならば、殿堂顕彰者であり「Team EnVy」のメンバーであるセス・マンフィールドのことはよく知っているだろう。彼は複数のカバレージ・パーソナリティからトップ8に入ると目されており(リンク先は英語)、金曜に7勝したことでその予想はほぼ確実となりそうだ。
このトーナメント、マンフィールドには大きなものがかかっている。彼は来季のマジック・プロリーグの席と世界選手権の参加権利をかけたポイント・レース(リンク先は英語)の現ポール・ポジションという立場でこのトーナメントに臨んでおり、この週末で最後まで踏みとどまることができれば、次のリーグ・ウィークエンドにとても有利な立場で参加することができるのだ。しかし、彼はその行程が長い道のりであることも知っている。
「2日目を前にして少し神経質になっているかな」と彼は認めた。「今日はいくつかツイてる対戦もあったし、人気らしい『ジェスカイ・ターン』デッキとは一度も当たってないね。自分が使いやすいデッキを選んだので、プレイはいい感じにできたよ」
もう1人の全勝者は、Magic Onlineのラスボス「Jaberwocki」として有名なローガン・ネトルズだ。彼は「グランプリ・ロサンゼルス2018」のチャンピオンでもあり、「Magic Online Championship Series」にも2度参加しているベテランで、土曜にもう一度走り切ることができれば4度目となるトップ8入賞を戦績に加えようとしている。
7-0 after day 1 of the #STXChamps. deece
— Logan Nettles (@Jaberwocki) June 5, 2021
#STXChamps の初日を終えて7勝0敗。スゴイね
トップのすぐ後ろには伝説的プレイヤーや頭角を現してきたチャレンジャーたちがぴったりつけている。かのレジェンド、カイ・ブッディ/Kai Buddeは6勝1敗でトップの背後についており、他にも殿堂顕彰者ラファエル・レヴィ/Raphael Lévy、「プロツアー『アヴァシンの帰還』」優勝者アレクサンダー・ヘイン/Alexander Hayneに「プロツアー『運命再編』」チャンピオンのアントニオ・デル・モラル・レオン/Antonio Del Moral León、さらに現世界チャンピオンのパウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosaや元世界チャンピオンのカルロス・ロマオ/Carlos Romãoも同様の位置につけている。
ただ世界最高のプレイヤーが何人かいるだけだ。驚くところではない。
Finished 6-1 on day 1. 3-0 historic with jeskai turns, 3-1 with disdainful stroke-gruul. More of that tomorrow please? :)
— Kai Budde (@kaibudde) June 4, 2021
初日は6勝1敗で終わった。ヒストリック「ジェスカイ・ターン」は3勝0敗、《軽蔑的な一撃》入りグルールは3勝1敗だ。明日も頼むよ? :)
ライバルズ・リーグのメンバー、ブレント・ヴォス/Brent Vosも大活躍だ。彼は今シーズンにいくつかの強力なデッキを設計したが、その熱心な努力は今回も実り、6勝1敗という成果をもたらした。
Went 6-1 in the #STXChamps, 3-0 in Historic and 3-1 in Standard. Decks feel good, my draws have been great and happy with how I played. Looking forward to 4 rounds of Historic, deck plays smooth and exactly the type of deck I want to play. pic.twitter.com/qkvJeqWW0w
— Brent Vos (@Brent_Vos_) June 5, 2021
ヒストリックが3勝0敗、スタンダードが3勝1敗で、 #STXChamps は6勝1敗になった。デッキはいい感じだし、引きもよくて自分のプレイにも満足してる。デッキはスムーズにプレイできるし、まさに自分が使いたいタイプのデッキなので、ヒストリック4回戦が楽しみだよ。
来たる土曜日には、ヒストリック4回戦とスタンダード4回戦、合わせて8回戦がさらに行われる。それらが終われば、残った8人の選手がトップ8をヒストリックで戦うのだ。
新たなるヒストリック
ヒストリックはその登場時からファンに気に入られたフォーマットで、マジックの歴史のあちこちからカードを集めて独特な体験が得られる舞台を作り出している。スタンダードのセットから『アモンケットリマスター』や『Jumpstart』などの追加セットのリリースまで、ヒストリックはMTGアリーナならではのカードプールを持っているのだ。私たちはこの1年間で何度も環境が塗り替えられてきたのを目撃しているが、最近では『ストリクスヘイヴン:魔法学院』のミスティカルアーカイブや『ヒストリック・アンソロジー5』が登場し、このフォーマットはかつてないほど未開拓な状態となった。
まずはトップから見ていこう。《汚れた契約》デッキが5月の「『ストリクスヘイヴン』リーグ・ウィークエンド」で注目を集めたあと、この「『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップ」では新たな2つのデッキが王座についた。金曜に行われたヒストリック3回戦でトーナメントの話題となったのは、おなじみの「イゼット・フェニックス」と新顔の「ジェスカイ・ターン」だ。
ヒストリックのメタゲームで最も人気となった2つのデッキは、初日からその評価に応えた。《信仰無き物あさり》と《弧光のフェニックス》というエンジンはここ数年のモダンをプレイしている人にはなじみ深いものだが、《信仰無き物あさり》で墓地を肥やし、《渦まく知識》、《表現の反復》、そして《選択》といった軽いキャントリップ呪文で《弧光のフェニックス》を効率的に呼び戻せることで、ヒストリックという舞台でもブレイクを果たした。
4 《島》 1 《山》 4 《蒸気孔》 1 《硫黄の滝》 3 《尖塔断の運河》 4 《河川滑りの小道》 2 《寓話の小道》 -土地(19)- 4 《弧光のフェニックス》 3 《嵐翼の精体》 -クリーチャー(7)- |
4 《渦まく知識》 4 《選択》 3 《信仰無き物あさり》 2 《火柱》 2 《ショック》 1 《稲妻の斧》 4 《航路の作成》 4 《大慌ての棚卸し》 2 《削剥》 2 《稲妻の一撃》 2 《記憶の欠落》 1 《表現の反復》 2 《神秘の論争》 1 《暗記 // 記憶》 -呪文(34)- |
1 《否定の契約》 1 《マグマのしぶき》 1 《唱え損ね》 2 《否認》 1 《霊気の疾風》 1 《雷猛竜の襲撃》 1 《型破りな協力》 2 《神秘の論争》 1 《オリークの誘惑》 1 《幻惑の旋律》 2 《覆いを割く者、ナーセット》 1 《神秘を操る者、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
この1週間でヒストリックは激変したと言っても過言ではない。フランク・カーステン/Frank Karstenがトーナメント前の記事で言及したように、「『カルドハイム』チャンピオンシップ」で人気だった上位2デッキ(「ジャンド・フード」と「オルゾフ・オーラ」)は、超強力な「ジェスカイ・ターン」デッキの影響もあって急激に採用率が下がっている。
「ジェスカイ・ターン」は『ストリクスヘイヴン:魔法学院』の傑物《ヴェロマカス・ロアホールド》が起爆剤となる。知恵者であるこのエルダー・ドラゴンは、このフォーマットで最も強力なカード2種を採用したこのデッキの決定打だ。その2枚とは? 《時間のねじれ》と《ミジックスの熟達》のことだ。
このデッキは《不屈の独創力》という見事な着眼点による革新を受けてさらに一貫性を増した。このソーサリーは、モダンやパイオニアではクリーチャー・トークンを生け贄に捧げて《引き裂かれし永劫、エムラクール》を戦場に出すために使われるのが一般的だが、ヒストリックでは少し違った使い方をする。《マグマ・オパス》と《プリズマリの命令》という2つの呪文はこのジェスカイ・デッキに相手に干渉する手段を与え、また宝物・トークンを生み出すことも可能だ。そしてその宝物を処分することでデッキ唯一のクリーチャーである《ヴェロマカス・ロアホールド》を呼び出す。打ち消し呪文や除去の支援を受けたこのデッキはフォーマットを席巻し、ローガン・ネトルズなど多数のプレイヤーにすぐさまヒストリック3勝0敗の成績をもたらした。
6 《山》 4 《ドワーフの鉱山》 2 《島》 4 《蒸気孔》 4 《ラウグリンのトライオーム》 2 《ケトリアのトライオーム》 3 《寓話の小道》 -土地(25)- 2 《ヴェロマカス・ロアホールド》 -クリーチャー(2)- |
4 《渦まく知識》 1 《唱え損ね》 4 《記憶の欠落》 2 《表現の反復》 2 《火の予言》 1 《焦熱の竜火》 3 《プリズマリの命令》 4 《ミジックスの熟達》 4 《時間のねじれ》 4 《マグマ・オパス》 4 《不屈の独創力》 -呪文(33)- |
2 《原初の潮流、ネザール》 2 《霊気の疾風》 2 《丸焼き》 1 《焦熱の竜火》 3 《神秘の論争》 1 《神々の憤怒》 4 《サメ台風》 -サイドボード(15)- |
ターン・デッキがコンボの後に仕上げを必要とするデッキであるのに対して、別のプレイヤーはコンボで即勝つことに全力を挙げた。その結果、マジックの古典的なアーキタイプ、「ドラゴンストーム」が復活を遂げた。
ヒストリックのメタゲーム・トップは(今のところ)おおむね固まってきたようだが、その道筋からはずれて成功したプレイヤーもいた。マジック・プロリーグのメンバーでもあるオータム・バーチェット/Autumn Burchettもそのうちの1人で、前から存在している5色の人気カード《ニヴ=ミゼット再誕》を用いてヒストリックで3勝0敗という結果を残した。多色カードのラインナップに《表現の反復》、《消失の詩句》、そして《定命の槍》を加えることで、「5色ニヴ=ミゼット」デッキは長期戦での対応力をさらに高めたのだ。
1 《沼》 2 《氷河の城砦》 1 《秘密の中庭》 2 《聖なる鋳造所》 2 《湿った墓》 1 《水没した地下墓地》 1 《繁殖池》 2 《竜髑髏の山頂》 2 《草むした墓》 2 《根縛りの岩山》 2 《インダサのトライオーム》 4 《ラウグリンのトライオーム》 2 《ゼイゴスのトライオーム》 2 《サヴァイのトライオーム》 1 《ケトリアのトライオーム》 -土地(27)- 4 《ニヴ=ミゼット再誕》 1 《ハイドロイド混成体》 -クリーチャー(5)- |
4 《思考囲い》 3 《コジレックの審問》 2 《塵へのしがみつき》 4 《湖での水難》 4 《表現の反復》 4 《消失の詩句》 3 《稲妻のらせん》 1 《古き神々への拘束》 1 《定命の槍》 2 《ドミナリアの英雄、テフェリー》 -呪文(28)- |
1 《湧き出る源、ジェガンサ》
-相棒(1)- 2 《艦の魔道士、ラフ・キャパシェン》 2 《墓掘りの檻》 2 《ドビンの拒否権》 1 《暗殺者の戦利品》 1 《断割》 1 《稲妻のらせん》 3 《轟音のクラリオン》 1 《神秘の論争》 1 《絶滅の契機》 -サイドボード(14)- |
バーチェットはこの日のベストマッチの1つを生み出している。第4回戦、現世界チャンピオンであり殿堂顕彰者でもあるパウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサとのスタンダードの対戦で、《空を放浪するもの、ヨーリオン》を用いた80枚デッキの力を改めて証明したのだ。ダモ・ダ・ロサの「スゥルタイ根本原理」デッキとの対戦が延々と続く中、バーチェットはクロックを刻みながらその道中で積み上げたものをほぼすべてブリンクし、世界チャンピオンを倒したときの興奮を配信で世界に向けてあらわにした。
また、ヒストリックで「セレズニア・カンパニー」を練り上げて《集合した中隊》ファンに希望を与えたフィオナ・ウェイ/Fiona Weiの成績も際立っていた。マジック世界チャンピオンであるパウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサの似顔絵が特徴のカード、《精鋭呪文縛り》が加わったことで、コンボ・デッキが多いこの環境下において新たな強みを発揮したのだ。
4 《森》 4 《平地》 4 《寺院の庭》 2 《陽花弁の木立ち》 4 《枝重なる小道》 2 《ハシェプのオアシス》 -土地(20)- 4 《ラノワールのエルフ》 4 《光輝王の野心家》 4 《漁る軟泥》 4 《エメリアのアルコン》 4 《精鋭呪文縛り》 4 《カザンドゥのマンモス》 4 《恋煩いの野獣》 4 《スカイクレイブの亡霊》 1 《傑士の神、レーデイン》 -クリーチャー(33)- |
2 《ドロモカの命令》 4 《集合した中隊》 1 《グレートヘンジ》 -呪文(7)- |
2 《巨人落とし》 3 《スレイベンの守護者、サリア》 2 《秋の騎士》 3 《変容するケラトプス》 2 《ドロモカの命令》 2 《安らかなる眠り》 1 《残骸の漂着》 -サイドボード(15)- |
スタンダードの最良
ヒストリックがここ数週間で大きな変化を遂げた一方、スタンダードはほんの少しの驚きを添えつつもほぼ落ち着いた状態が続いている。すなわち、「彼」を《ガラゼス・プリズマリ》と合わせて「(ガラ)セス・(プリズマリ)マンフィールド」としてトップへ到達させた「イゼット・ドラゴン」という驚きだ。
6 《冠雪の島》 4 《冠雪の山》 4 《移り変わるフィヨルド》 4 《河川滑りの小道》 3 《不詳の安息地》 4 《寓話の小道》 -土地(25)- 4 《砕骨の巨人》 4 《厚かましい借り手》 3 《ガラゼス・プリズマリ》 4 《黄金架のドラゴン》 -クリーチャー(15)- |
3 《霜噛み》 4 《表現の反復》 3 《精神迷わせの秘本》 1 《軽蔑的な一撃》 3 《神秘の論争》 3 《襲来の予測》 3 《アールンドの天啓》 -呪文(20)- |
2 《アゴナスの雄牛》 2 《レッドキャップの乱闘》 1 《霜噛み》 3 《火の予言》 1 《燃えがら地獄》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《否認》 1 《魂焦がし》 2 《アクロス戦争》 1 《サメ台風》 -サイドボード(15)- |
マンフィールドが初日の最終戦で倒したプレイヤー、マティ・クイスマ/Matti Kuismaはさらに興味深いデッキを持ち込んでいた。「ジェスカイ変容」はスタンダードでまれに見かけるデッキで、「無限」マナを生み出してからいくつかのカードをうまく組み合わせてループを行うものだが、この金曜日には大活躍を見せた。《雷の頂点、ヴァドロック》と《伝承のドラッキス》の変容は、呪文重視のコントロール・デッキの最後の一押しとして完璧で、クイスマはこれをうまく操り初日を6勝1敗という成績で終えた。
この先を見据えて
ヒストリック4回戦とスタンダード4回戦によって、トップ8に向けての最後の戦いが繰り広げられる。「『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップ」の生配信は9時(PST, 日本時間では25時)からtwitch.tv/magicで視聴できる!
(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa)
『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップ 日本語版放送ページ・放送日程
日本語版放送出演者
- 実況:石川朋彦(@katuobusi717)
- 実況:海老江邦敬(@kuroebi_games)
- 実況:ブルナー実久(@mksnake007)
- 解説:黒田正城(@masashiro41236)
- 解説:中村修平(@Nakashu_)
- and more...
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