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Brian Kibler (アメリカ) vs. David Williams (アメリカ)
EVENT COVERAGE
プロツアー・フィラデルフィア11
(翻訳記事) Round 12: 1マッチずつ
Brian Kibler (アメリカ) vs. David Williams (アメリカ)
By Bill Stark / Translated by Masashi Oiso
普段は陽気で口数の多い両者、デイヴィッド・ウィリアムズとブライアン・キブラーは、プロツアー・フィラデルフィアのラウンド12のテーブルに静かに着いている。彼らは共に同じことを思い描いているだろう・・・ベスト8入賞を。共に2敗で十分に射程圏内ではあるが、対戦相手が優秀なプレイヤーであり、このマッチを勝ち取るのが困難であることはお互い承知の上だ。また、決勝トーナメントへ進出するには、このラウンドの勝ちに加えてさらに2つの勝ち星が必要となる。
これは、今までに撮られたブライアン・キブラーとデイビッド・ウィリアムズの写真の中で 最も真面目な表情のものだろう。 |
Game 1
キブラーは《貴族の教主》からの立ち上がり。彼のZooデッキは、プロツアー・オースティンで優勝した時のものと良く似ている。ウィリアムズは《精力の護符》からのスタートとなり、彼のデッキがポピュラーな12postデッキであることを示した。さらに《探検》からの《古きものの活性》によりデッキを掘り進んでいく。キブラーの《ガドック・ティーグ》はウィリアムズのエンド・カードをある程度抑制してくれる・・・が、依然としてウィリアムズ待望の《引き裂かれし永劫、エムラクール》はキャスト可能である。
キブラーは《タルモゴイフ》を追加してクロックを強化する。一方のウィリアムズは、場を構築しながら《ガドック・ティーグ》への解決策、もしくはビートダウンを抑える手段を用意しなければならない。《微光地》が《タルモゴイフ》により失われたライフのいくらかを補い、《ムル・ダヤの巫女》が土地のプレイを後押しする。慎重な考慮の後に、キブラーはこの2/2を《流刑への道》で取り除いた。
キブラーの凝視。 |
キブラーの、意表を突く《バントの魔除け》が《精力の護符》を墓地送りにし、ゲーム界のスターの《雲上の座》を通常運転に戻す。しかしプロプレイヤーの実力か、ウィリアムズは《精力の護符》を引き戻してキャスト。続いてウィリアムズは《テラストドン》キャスト。キブラーの土地を1枚吹き飛ばしつつ、自らのパーマネント2枚をトークンに変えて、クリーチャー陣での優位を築く。これを目にしたキブラーは表情を崩さなかったが、戦場の状況が彼にとって好ましくないことは明らかだ。キブラーは2枚目の《流刑への道》を持っており、《テラストドン》を追放した。ウィリアムズは基本土地を探したが、ライブラリからは見つからなかった。
戦場の状況がイーブンに戻ったところで、キブラーは《テラストドン》のもたらした象トークンで攻撃を再開。対戦相手のライフへプレッシャーをかけ続ける。ウィリアムズは更なる《微光地》でライフを得るものの、有効牌を引くことができない。ライフが8へ落ち込み、ウィリアムズはチャンプブロックを余儀なくされてしまう。
しかし、キブラーは更なるプランを用意していた。彼は《遍歴の騎士、エルズペス》をキャストし、《タルモゴイフ》をジャンプさせる。つまり、対戦相手が何もしなければ、致死ダメージを与えられることを意味している。・・・ああ、哀れなデイビッド・ウィリアムズよ、12postはこういった状況に対して無力であることはあまり知られていない・・・。そして両者は2ゲーム目へと進んだ。
キブラー 1-0 ウィリアムズ
「このゲームを勝てると思えないよ・・・。」
キブラーがカードをシャッフルしながら話しかける。
するとウィリアムズも「おれもだよ。」とこぼした。
Game 2
2ゲーム目はウィリアムズだけマリガンにより6枚のスタート。しかし《緑の太陽の頂点》 X=0からの立ち上がりを見せた。これは奇妙に映るかもしれないが、彼は多くの12postデッキが使用しているトリッキーなカード:《ドライアドの東屋》を探し出した。この土地・クリーチャーは1ターン目の《不屈の自然》を可能にしてくれる。これは素晴らしいプレイだが・・・全く違うアーキタイプであるキブラーからも、全く同じプレイが飛び出した! 両者は2ターン目を前にして2マナを用意しており、お望みとあらば攻撃することもできる!
《緑の太陽の頂点》に続いて、ウィリアムズは《精力の護符》のキャスト。キブラーは単に土地をプレイしたのみでターンを返す。キブラーは何を用意しているのだろうか? もし彼がビートダウンを開始できないなら、それは重大なトラブルだ! ウィリアムズも同様にドローゴーだが、ここで老練な対戦相手がなぜ何もキャストしなかったのかが明らかになる・・・《エイヴンの思考検閲者》をキャストする機会を窺っていたのだ。この2/1がウィリアムズがライブラリを探すことを阻んでいたが、これは《内にいる獣》で速やかに排除された。しかしウィリアムズにとっては残念なことに、新たな脅威である《遍歴の騎士、エルズペス》が着地した。
これに対してウィリアムズはどうする? 彼はデッキに手を伸ばしカードを引くと、「これは最高のカードだ!」と叫んだ。そのカードは《花盛りの夏》だが、傍から見てもその理由がはっきりしない。しかしウィリアムズはすぐに、それがいかに良いカードであるかを見せつけた。《精力の護符》があるため、彼は《グルールの芝地》をプレイし、それ自身を手札に戻すことを繰り返して、その度に2マナを生み出すことができたのだ。そのマナから《原始のタイタン》へと繋げ、《雲上の座》2枚(アンタップ状態)を用意した。これで《原始のタイタン》も含めて圧倒的な場を構築した。
ターンが戻り、キブラーは対戦相手に向かいつつある流れを引き戻す努力を始める。彼は《原始のタイタン》に対する《流刑への道》を持っているのか? まず《内にいる獣》の獣トークンをエルズペスで強化して攻撃し、それから《緑の太陽の頂点》経由の《ガドック・ティーグ》、《野生のナカティル》を戦場に加えた。彼は白マナを1つアンタップのままターンを返す。
ウィリアムズのドローは、《ガドック・ティーグ》を前に無力なカードである《風景の変容》。ウィリアムズは戦闘へ移ろうとするが、ここでキブラーがブラフではなく《流刑への道》を持っていることを明らかにする。これにより、ウィリアムズは追加の《雲上の座》を得られず、《ウギンの目》から一気に《引き裂かれし永劫、エムラクール》をキャストすることが不可能となった。しかし、彼は《ウギンの目》自体は持っており、14点のライフが残ったままターンが返ってくればチャンスはある。
算出するウィリアムズ。 |
キブラーはクリーチャー陣を攻撃に送り出し、ウィリアムズのライフを3まで落とす。更に彼は、エムラクールをキャストするというウィリアムズの希望と共に、《雲上の座》を《地盤の際》で吹き飛ばした。ウィリアムズのターンが回ってはきたものの、勝算はかなり薄い。《ウギンの目》から15/15のエルドラージを探してはきたのだが、ウィリアムズはその15マナクリーチャーをキャストするために強力なトップデックが必要となっている。
ウィリアムズがライブラリに手を伸ばすと・・・そこには《雲上の座》。これはエムラクールのキャストには不十分であり、彼は投了した。
「1マッチずつ・・・」カードを片付けながら、ブライアン・キブラーが息を吐いた。
キブラー 2-0 ウィリアムズ
4 《雲上の座》 4 《微光地》 4 《グルールの芝地》 4 《地平線の梢》 4 《ヴェズーヴァ》 3 《森》 2 《踏み鳴らされる地》 1 《ドライアドの東屋》 1 《ウギンの目》 1 《霧深い雨林》 -土地(28)- 1 《ムル・ダヤの巫女》 4 《原始のタイタン》 1 《テラストドン》 1 《無限に廻るもの、ウラモグ》 1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(8)- |
4 《緑の太陽の頂点》 4 《古きものの活性》 4 《精力の護符》 4 《探検》 4 《花盛りの夏》 4 《風景の変容》 -呪文(20)- |
1 《ウギンの目》 1 《幽霊街》 3 《原基の印章》 2 《四肢切断》 2 《内にいる獣》 2 《炎渦竜巻》 1 《子守り大トカゲ》 3 《三なる宝球》 -サイドボード(15)- |
4 《乾燥台地》 4 《霧深い雨林》 2 《湿地の干潟》 2 《踏み鳴らされる地》 1 《ドライアドの東屋》 1 《森》 1 《神聖なる泉》 1 《地平線の梢》 1 《平地》 1 《聖なる鋳造所》 1 《沸騰する小湖》 1 《蒸気孔》 1 《地盤の際》 1 《寺院の庭》 -土地(22)- 4 《貴族の教主》 4 《野生のナカティル》 1 《ガドック・ティーグ》 1 《クァーサルの群れ魔道士》 4 《聖遺の騎士》 4 《タルモゴイフ》 -クリーチャー(18)- |
4 《緑の太陽の頂点》 4 《稲妻》 4 《流刑への道》 3 《バントの魔除け》 3 《稲妻のらせん》 2 《遍歴の騎士、エルズペス》 -呪文(20)- |
2 《クァーサルの群れ魔道士》 1 《地盤の際》 4 《瞬間凍結》 2 《否認》 3 《エイヴンの思考検閲者》 1 《袖の下》 2 《ギデオン・ジュラ》 -サイドボード(15)- |
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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