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プロツアー・フィラデルフィア11
(翻訳記事) 特集: スーパーチーム覚醒
By Bill Stark / Translated by YONEMURA "Pao" Kaoru
マジックの歴史上、「スーパーチーム」と呼ばれるものは何度も存在し、そして消えていった。2000年代前半に、東海岸とカーネギーメロン大学のプレイヤーたちが作ったのがその最初のものだと考えられているが、多くのプレイヤー間でデッキをデザインし、調整する努力を共有しようという挑戦は、その難しさと、そのグループが望むような成果を上げられなかったということが示される結果となった。プロツアー・ホノルル2006で、(プロツアー直前に合宿をすることにちなんで)「The Beach House」と呼ばれるスーパーチームがマーク・ハーバーホルツ/Mark Herberholzを決勝に押し上げ、優勝トロフィーを手にした。今日では、スーパーチームはTeam ChannelFireballの形で存在している(なお、この名前には多少の語弊がある。メンバーの中にはStarCityGamesで書いている者もいるのだから)。
証言者によって、新しいスーパーチームがいつ興ったかという見解にはぶれがある。2010年に日本の千葉で開催された世界選手権からだという人もいれば、今年の前半のプロツアー・パリからだという人もいる。フィラデルフィアに向けての調整チームには、以下のプレイヤーが所属していた(6人のメンバーに話を聞いたが、何人かはヌケがあるかも知れないと言っていた)。ルイス・スコット=バルガス/Luis Scott-Vargas、オーエン・ターテンバルト/Owen Turtenwald、中村 修平、渡辺 雄也、ブラッド・ネルソン/Brad Nelson、ブライアン・キブラー/Brian Kibler、デビッド・オチョア/David Ochoa、ジョシュ・アター=レイトン/Josh Utter-Leyton、マット・ナス/Matt Nass、コンリー・ウッズ/Conley Woods、マーティン・ジュザ/Martin Juza、ルーカス・ブロホン/Lucas Blohon、ベン・スターク/Ben Stark、パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosa。史上最多のプロツアー・トップ8経験者を擁するチームと言えば、おそらくこれだろう。
Team ChannelFireballの非公式リーダー、ルイス・スコット=バルガス |
私はこのチームのメンバーの多くと話し、その成功の秘密とプロツアーで勝ち続けている理由を聞いた。ほとんどの話は非公式リーダーのルイス・スコット=バルガスから聞いたものだが、マーティン・ジュザやブライアン・キブラー、オーエン・ターテンバルト、ルーカス・ブロホンらからの協力も得ている。
まず私が聞きたかったのは、このグループ設立の経緯である。
「ああ、お互いによく知っている連中が何となく集まったのさ」
ルイスのその言葉に、回りにいたメンバーが頷きで同意する。チームの過半数はアメリカ人プレイヤーだが、より世界的に人材を集め始めている。パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサはブラジルから参加し、このイベントに向けてチェコのマーティン・ジュザとルーカス・ブロホンが、日本からは中村 修平と渡辺 雄也が参加している。
日本のスター、渡辺 雄也 |
歴史上、大型のチームは小型のチームでは発生しないような諍いに直面してきた。そして、印象的な結果を残すこともできなかった。(the Beach Houseも例外ではない)。では、ChannelFireballが違う結果を残せたのはなぜだろうか?
「大型チームには良いところと悪いところがある。同時に多くのゲームを試せるし、様々な視点から見ることもできる。欠点は、大人数を組織し続けるのが大変だってことだ。ノイズを片付けるのも面倒なことだ」
元プロツアー王者は、人数を増やすと問題になることとしてもう一つ、責任の希薄化を強く指摘した。充分大きなグループでは、他の誰かがやっているだろうとメンバー各人が考え、致命的で明確に必要なことをしないことがある。全てのメンバーがそう考えると、その必要なことは誰もしないままになり、そのまま欠けてしまう。
「今回のプロツアーに関して言えば、俺たちは《欠片の双子》デッキを知っていて、強いということが分かっていたけれど、それ相手の対策は練っていなかった」
ちょうどそのタイミングで、ルイスの言葉を遮るようにコンリー・ウッズが現われ、大声で今まさに《欠片の双子》デッキを倒したところで、この週末は《欠片の双子》には一敗もしていないと宣言した。スーパーチームの欠点を補うほどの幸運があったということだろう。
これを読んでいる読者はChannelFireballのようなグループを組むことにどう取り組むのだろう?
「これをビジネス的な何かだと思わない方がいい。俺たちは友人同士だ。違いはあるが、プロツアー以外で繋がりがなかったらやっていけないさ」
そして、過去のスーパーチームが直面したもう一つの問題と、グループを引き締めることを選んだ理由という話になった。人数が増えれば、参加したいと思うそのメンバーの友人も増える。そして、チームの重要な改革が霧消してしまう可能性が高くなる。この問題をどうやって解決したのか?
「俺の友人みんなをチームに入れたら、プロツアーの半分がチームメイトになっちまう」
ルイスはそう言った。彼の経験上、人々は境界を理解していて、すでに充分大きいチームに人を加えることの問題点を認識しているという。世界中のコミュニティから集まったメンバーだけに、情報の漏洩の扱いについても尋ねてみた。
「漏洩の問題はあるし、だからこそ(千葉の世界選手権で)グループを引き締めたんだ。情報を共有することはチームのみんなにとって有害だと言うことはみんな分かってる。そして、努力しなかった奴には結果も与えないようにすることにだけ尽力するのが無意味だってことも」
将来は何か手を打つようにする計画があるか、という問いへの答えは、この写真が何より雄弁に物語っているだろう。
左から: ブライアン・キブラー、ルーカス・ブロホン、オーエン・ターテンバルト、ブラッド・ネルソン、
コンリー・ウッズ、ジョシュ・アター=レイトン、マット・ナス、ルイス・スコット=バルガス、
中村 修平、渡辺 雄也。Team ChannelFireballの擁する錚々たる面々である。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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