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Sam Black(アメリカ) vs. Vincent Lemoine(ベルギー)
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プロツアー・フィラデルフィア11
(翻訳記事) Round 16: 電光石火、必殺の毒撃
Sam Black(アメリカ) vs. Vincent Lemoine(ベルギー)
By David Sutcliffe / Translated by Keita Mori
「そんなのネーよ! マジかぁ・・・」
ヴィンセント・ルモワン(Vincent Lemoine)は悲鳴をあげながら予選最終ラウンドのフィーチャーマッチの舞台にあらわれた。「最終戦は引き分けにできればプレイオフ確実だったのになあ。・・・ねえ、IDしません? というか、してください?(*1)」
「それはない」と、ルモワンの対戦相手は即答。
「可能性は絶無だよ!」
巨躯のベルギー勢のスイス最終戦の相手はアメリカのサム・ブラック(Sam Black)で、サムはここまでの勝ち点が34であるため、ここで絶対に勝ち点3が必要、すなわち勝利あるのみなのだ。この最終ラウンドでフィーチャーマッチに招待されるのは「勝てばプレイオフ」ラインの選手ばかりだが、ヴィンセント・ルモワンにとってはここでの勝敗の意味合いは特に大きい。今大会でベスト8以上が決まれば、ルモワンは2012シーズンにおけるプロレベル7が確定し、さらに今年度の年間最優秀プレイヤーのタイトル戦線における現実的な候補者として名乗りをあげることになるからだ。
両者にプレイオフ進出の目がある「一戦必勝」のフィーチャーマッチはあっという間に多くの観客が群がることになった
ルモワンのモダンのデッキはいわゆる12-postアーキタイプの中では高速かつ安定感のあるデザインで、ここまで使い手の期待にこたえてきたと言ってよいところだろう。
彼と彼のデッキの好調ぶりについては英語版特集記事" A Good Year with Vincent Lemoine"にも詳しい。
しかし、ここでルモワンの前に立ちはだかるのは必殺の《猛火の群れ》毒殺コンボだ。サムのこのデッキは青単色で練り上げられており、可能な限りサーチカードやコンボパーツを満載し、その一撃を「必殺」のものとすべく研ぎ澄まされている。
Sam Black:青単色《猛火の群れ》毒殺
Vincent Lemoine:緑赤《裂け目の突破》搭載型12post
なお、分類上12-postとなっているルモワンのデッキだが、彼の緑赤デッキの神座(post)の枚数は厳密には11枚となっている。
ここまで好調、「あとは"ID"するだけ」のつもりが、一転して試合せざるを得なくなったヴィンセント・ルモワン
ここから二本取り返すしかないルモワンだが、その所作、ボディーランゲージからは勝利への確信らしきものが伝わってこない。"ID"選択というかたちで「戦わずして勝つ」つもりだったルモワンは「戦って勝つしかない」立場の対戦相手と想定外の一戦を余儀なくされ、このまま運命のいたずらに翻弄されてしまうことになるのだろうか。最終16回戦の対戦表が発表されるまで、巨躯のベルギー勢の表情は「ひと仕事終わった充実感」にあふれていたかのようであったのに・・・。
とにかく連勝し続けるしかなかったサム・ブラックは、わが道をゆく
もっとも、ヴィンセント・ルモワンの「インスタントの構え」は、サム・ブラックをちょっとばかり考え込ませただけで、結局のところ最終的にくだされるコンボ開始の判断が変わるものでもなかった。ブラックは《交錯の混乱》を変成して《猛火の群れ》を調達し、感染アタッカー《荒廃の工作員》で攻撃宣言。今度は代替コストが《ドラゴンの嵐》だったために修整値+9となる《猛火の群れ》が炸裂し、またしても、仕事人の毒撃は必殺のものに。
観衆が固唾を飲んで見守る中、ヴィンセント・ルモワンはここですべてのマナをタップアウトし、《裂け目の突破》をプレイ! ・・・するものの、かなしげなため息とともに《原始のタイタン》が登場するのみ。ルモワンは敗北を受けいれ、目の前の勝者を祝福すべく手を差し伸べた。ブラック快勝!
サム・ブラック 2-0 ヴィンセント・ルモワン
かくてサム・ブラックがプロツアー・フィラデルフィアでプレイオフ(Top 8)進出を決め、一方のヴィンセント・ルモワンは来季のプロクラブにおけるレベル7資格まであと1点という最終順位でトーナメントを終えることとなってしまった。
*訳註1:マジックの大会では合意による引き分け(Intentional Draw、略して"ID"と呼ばれる)が認められている。すべてのプレイヤーにとって、上位8名によるプレイオフ進出が予選ラウンド16回戦のゴールとなるため、予選ラウンド最終局面では上位者同士によるこの"ID"選択がよく行われる。 |
Game 1
ダイスロールに勝利して値千金の先手を勝ち取ったブラックが《思案》によるドロー操作からゲームを開始し、2ターン目に必殺仕事人《荒廃の工作員》を展開して先手3ターンキル! 哀れルモワンは《グルールの印鑑》をプレイしただけのゲームとなってしまった。 サム・ブラックが三枚目の土地をプレイしたターンの内容を念のため記述しておこう。ブラックは《ギタクシア派の調査》でタップアウト状態の対戦相手の手札にコンボ阻害要素がないことを確認し、《深遠の覗き見》でのサーチから《猛火の群れ》を確保しにかかった。さらにブラックは《召喚士の契約》をマナコストなしでプレイし、残るコンボパーツである《大祖始》を入手。この赤いハイドラ、厳密には赤を含む《大祖始》を代替コストとしてプレイされた《猛火の群れ》による修整値は驚異の+10。毒殺仕事人たる《荒廃の工作員》の刃は、文字通り一撃必殺のものとなった。 サム・ブラック 1-0 ヴィンセント・ルモワン 「僕らのデッキじゃ、見ごたえある攻防っていうのはなかなか起こらないかもしれないね」と、サイドボーディングを行いながらサム・ブラックがつぶやく。たしかに、ブラックが一発だけアタック宣言を行い、ルモワンが盤上の《荒廃の工作員》をしかめっ面で睨み返すという一幕だけの一本目であった。Game 2
二本連取での逆転勝利をつかむしかないルモワンにとって、先手マリガンからの立ち上がりは芳しくないものとなってしまった。土地二枚から《グルールの印鑑》という先ほどと同じ展開となり、対するブラックは《思案》と《定業》でのドロー操作からゲームに入った。 ルモワンの次なる一手はマナ拡張のための《草茂る胸壁》召喚で、一方のブラックは先ほど一本目を一瞬で終わらせた《荒廃の工作員》を召喚し、毒殺要員としてバックアップをつとめる《墨蛾の生息地》をセットした。続くターンにルモワンが見せたアクションは、マナを立ててのターン終了宣言のみだ。RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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