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プロツアー『マジック2015』
ホール・ニュー・ワールド――プロツアー後のスタンダード
Jacob Van Lunen / Tr. Tetsuya Yabuki
2014年8月3日
今週末のプロツアー『マジック2015』では、「Tier1」だと予想されていたデッキが莫大な人気を集めた。「白黒ミッドレンジ」や「黒単信心」、「白青コントロール」、そして「青単信心」は、この週末のどこにでも見受けられたと思われる。大多数のプレイヤーが、現在のスタンダードに新たな基本セットが参入したところで大きな変化は現れない、という印象を持っていた。だが蓋を開けてみれば、「ジャンド・プレインズウォーカー」や「白赤バーン」、「ナヤ・アグロ」、そして「白緑アグロ」といった少数派のアーキタイプが支配的な立場を得て、その懸念は払拭されたのだ。このプロツアー『マジック2015』を経て、これからスタンダードはどのようになるだろうか?
まずは今大会のトップ8を構成するものから見ていこう。期待の大きかった「黒単信心」や「青単信心」、そして「白青コントロール」は莫大な使用者数を集めたものの、恐らく誰もが「ここまでは堅い」と予想していたであろうトップ8を射止めるには至らなかった。今回のプロツアー・トップ8では、それぞれが独特な7つのアーキタイプが出揃い、現在のスタンダードがむしろ他より健全であることを明らかにした。
その内容は?
- 白黒ミッドレンジ 2
- ナヤ・アグロ 1
- 白青コントロール 1
- 白赤バーン 1
- ジャンド・プレインズウォーカーズ 1
- 白緑アグロ 1
- 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》入りジャンド・プレインズウォーカーズ 1
正直これほどの多様性を持つとは予想していなかった。マジックの達人たちが、そこに確かに存在する法則を乗り越えて成功への道を作っていくのは爽快だ。
私はプロ・プレイヤーを何人か訪ね、この週末に行われた新スタンダードについてどのような判断を下したか聞いてみた。
世界ランキング3位を有するスタニスラフ・ツィフカ/Stanislav Cifkaは、スタンダードがここまで大きく変化するとは考えていなかった。彼の考えによると、この環境最高のカード(《スフィンクスの啓示》や《思考囲い》)は昨年の時点で揃っていた。ツィフカにとって一番大きい変化は「ペイン・ランド」の存在だ。これでマナ基盤が向上し、黒系のデッキがより楽に緑や白を使えるようになったのだ。結果として、他のデッキもそれに合わせた調整が必要になった。例えば、《スフィンクスの啓示》を用いる戦略は《拘留の宝球》を抜き《急かし》と《次元の浄化》を用いる形へ移行することになった。《急かし》はこのデッキに《幽霊議員オブゼダート》への対処法をもたらし、また《次元の浄化》は、新たに登場し今後人気を集めるであろうプレインズウォーカー戦略に対して極めて強力なカードなのだ。ツィフカは、スタンダードは今後も《スフィンクスの啓示》と《思考囲い》に対して強いプランを探すことが大きな要素になる、と主張する。
アリ・ラックス/Ari Laxは、この週末のスタンダード環境は《スフィンクスの啓示》や《思考囲い》、《波使い》といった特定の強力なカードによって狭まると信じていた。彼によると、今大会で成功を収めたプレイヤーたちは、他の者より多くの調整とテストを繰り返してきたのだという。「誰も解答がわからない」状態で、ほとんどのデッキが既知のものだった。最もエキサイティングな新デッキはフランス勢が持ち込んだ《ゴブリンの熟練扇動者》デッキだが、それでさえも既存のアーキタイプを発展させたものだった、とのことだ。
クリスチャン・カルカノ/Christian Calcanoは、たとえこの週末により多くの成功を収めていたとしても、2色目をタッチしたものよりは純粋な「黒単信心」の方が良さそうだと信じている。彼はまた、今後も引き続きコントロールが強いと考える。「僕なら間違いなくコントロールを使い続けるね」とのことだ。カルカノは、コントロール使いたちはこの後数週間のうちに、これから人気を高めるであろう「ジャンド・プレインズウォーカーズ」と渡り合うため、《次元の浄化》を使う形に切り替えるだろうと予想している。
ジェリー・トンプソン/Gerry Thompsonは、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社のマジック・デベロッパーとしてのインターンシップを終えたばかりだ。彼は、私たちプレイヤーが現在のスタンダードにあるデッキは3つ(「青単信心」、「黒単信心」、《スフィンクスの啓示》系)だけでなく、今大会で別の考えが登場するかもしれない、と判断しているものだと信じていた。この環境には、大切なものが何なのか解き明かすことに懸命に取り組むプレイヤーたちだけがたどり着く、強力なものがあったそうだ。特定のイベントのためにあるフォーマットに力を入れられるプレイヤーは、選択肢が多くなる。新しい黒単系やコントロール系の戦略に対して、アグレッシブな戦略が効果的なのは明らかだ。それゆえ、極めてアグレッシブなデッキでありながら「青単信心」を倒せる手段を見つけたプレイヤーが、今大会で大きな見返りを得たのだ。
中村修平は、この週末のスタンダードについて多くの判断を下してこなかった。他のプレイヤーたちがみな一様に《世界を目覚めさせる者、ニッサ》を強力なカードだと判断したが、彼は以前からそれを知っていた。
《世界を目覚めさせる者、ニッサ》と《コイロスの洞窟》、そして《かき立てる炎》が『基本セット2015』の最重要カードだと彼は見ている。今後やってくるイベントで、私たちはどんなスタンダードの進化の様子を目にすることになるのだろうか? 君たちはプロツアー『マジック2015』で起きたことをどう判断する?
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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