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プロツアー『マジック2015』

観戦記事

準決勝:Ivan Floch(スロバキア)vs. Owen Turtenwald(アメリカ)

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Jacob Van Lunen / Tr. Masashi Koyama

2014年8月3日


 世界ランキング5位のオーウェン・ツァーテンヴァルド/Owen Turtenwaldは現在のマジックシーンの巨匠である。かつてのプレイヤー・オブ・ザ・イヤーは自身2度目のプロツアートップ8を戦っている。ツァーテンヴァルドの武器は力強い白黒ミッドレンジデッキで、このプロツアーでウィリアム・ジェンセン/William Jensenを共にトップ8へと押し上げたデッキだ。

 その対戦相手であるイヴァン・フロック/Ivan Flochは160点を超える生涯プロ・ポイントを持つ、プロツアーの中心人物であり、初となるプロツアートップ8を戦っている。フロックが携えているのは純正の白青コントロールデッキで、勝つまでに膨大な時間を要する。何度でも呪文を打ち消し、盤上を一掃し、その後《スフィンクスの啓示》と《不死の霊薬》により何度でも同じことを繰り返すのだ。年度最後のプロツアーで、両者はそれぞれアメリカとスロバキアの国内王者の座を確保することに成功していた。

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イヴァン・フロックと世界ランキング5位のオーウェン・ツァーテンヴァルドは《スフィンクスの啓示》と《地下世界の人脈》で対決する。

ゲーム展開

 イヴァン・フロックはスイスラウンドでの好成績のおかげで先手を選ぶことができた。両者ともに初手をキープした。オーウェン・ツァーテンヴァルドの2ターン目《群れネズミ》は《今わの際》に遭い、続く《地下世界の人脈》は《解消》によって打ち消された。

 《冒涜の悪魔》がなんとか着地し、続くターンに攻撃できた時はツァーテンヴァルドが有利に試合を進めているように見えた。

 《幽霊議員オブゼダート》が現れたのは思わぬ展開だった。とは言っても、フロックは《急かし》と《至高の評決》を抱えており、事態を収拾した。ツァーテンヴァルドが続けた《冒涜の悪魔》を打ち消すと、《予言》で手札を補充する。ツァーテンヴァルドは《思考囲い》で、フロックの《スフィンクスの啓示》を抜き去ることはできたが、フロックはなおも手札に《次元の浄化》を握っており、ツァーテンヴァルドは強力なリセット・カードを乗り越えるためにさらなる脅威を必要としていた。

 試合は膠着状態であるように見えたが、フロックのデッキに入っている《スフィンクスの啓示》の存在は彼に決定的なアドバンテージをもたらす。たとえそれを手札に持っていないとしてもだ。大量の呪文をもって、フロックはツァーテンヴァルドが提示する全ての脅威を打ち消し、破壊した。その一方で、複数の《思考を築く者、ジェイス》を解決し、[-2]能力を使った。ツァーテンヴァルドは《地下世界の人脈》で流れを引き戻そうとしたが、《次元の浄化》が使用され、このオーラが破壊されてしまったことでカードを引くことはできなくなってしまった。

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フロックの容赦無いリセット呪文に打ち勝つのは困難だ。

 フロックは呪文を打ち消し、カードを引き続けて優勢を保ったままだ。ツァーテンヴァルドは果敢に《変わり谷》で攻めようとするが、X=9の《スフィンクスの啓示》が全てを無に帰し、フロックの手札を完璧なものにした。ツァーテンヴァルドはもはやテーブルに脅威をもたらすことはできず、どうしようもなく行き詰まったことが見て取れた。フロックにさらなる《スフィンクスの啓示》がもたらされると、終わりにして次のゲームへと向かうことにした。

 両者ともに2ゲーム目も初手をキープした。ツァーテンヴァルドは3ターン目に《地下世界の人脈》を解決し、フロックが《中略》を持っていないことを知らせる。《罪の収集者》が降り立ち、あらわになったフロックの手札は《至高の評決》、2枚の《今わの際》、そして《次元の浄化》というものだった。ツァーテンヴァルドは《次元の浄化》を剥ぎ取り、《地下世界の人脈》で追加のカードを引いていく。

 《今わの際》が《罪の収集者》を退場させるが、フロックが《地下世界の人脈》への解決策を見つけられなければ、ツァーテンヴァルドはターンごとに2枚のカードを引いていくことになる。カードが途切れないツァーテンヴァルドは脅威を連打し始めた。まず最初は《冒涜の悪魔》。これにはフロックが《至高の評決》を持っていた。次が《群れネズミ》で、フロックに対応策は無い。わずか1ターンのサイクルの間に、ツァーテンヴァルドの場には3体の《群れネズミ》と2体の《変わり谷》があった。フロックはツァーテンヴァルドのげっ歯類の大群に対して対応策を見つけることができず、2ターンの間に倒されてしまった。

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ツァーテンヴァルドはシーズンの大半を通じて《群れネズミ》の実力を証明してきた。

 3本目も両者は手札をキープした。ツァーテンヴァルドは第1ターン、手始めに《強迫》で《スフィンクスの啓示》、《思考を築く者、ジェイス》、《予言》、3枚の土地をあらわにし、フロックはプレインズウォーカーを捨てさせられた。

 ツァーテンヴァルドの3ターン目に《生命散らしのゾンビ》が降り立ち、先のフロックの《予言》について完璧な情報をもたらした。すなわち、追加されたカードは《急かし》と《次元の浄化》だ。

 《アゾリウスの魔除け》が続くターンに攻撃してきた《生命散らしのゾンビ》を対処したが、すぐに《冒涜の悪魔》へと格上げされた。《次元の浄化》を前にしてこれ以上のカードを犠牲にすることを嫌がり、ツァーテンヴァルドは《冒涜の悪魔》と《変わり谷》で攻撃しただけでターンを渡した。フロックは《次元の浄化》で《冒涜の悪魔》を盤上から追い出すことにしたが、そのせいでツァーテンヴァルドが《地下世界の人脈》を解決し、カードを引くチャンスを与えることになってしまった。《スフィンクスの啓示》が手札にあるので、フロックが7枚目の土地を置けた点は非常に好ましいように見える。

 ツァーテンヴァルドは《地下世界の人脈》でカードを引き続け、フロックが手札破壊から《スフィンクスの啓示》を守るために《解消》を使うことを強制した。《ヴィズコーパの血男爵》が解決されたが、続くターン2体の《変わり谷》と一緒に攻撃した際に、フロックは《急かし》と《至高の評決》の合わせ技で盤面を一掃した。

 そして、《スフィンクスの啓示》がX=5で放たれた。ツァーテンヴァルドは《地下世界の人脈》で追加のカードを引き続け、《生命散らしのゾンビ》で少しばかりの脅威をもたらす。だが、彼の対戦相手はたった今5枚のカードを引いたばかりなのだ。フロックは《次元の浄化》で《地下世界の人脈》と《生命散らしのゾンビ》を一挙に対処する。

 ツァーテンヴァルドはこの機会を利用して、《太陽の勇者、エルズペス》を解決して、トークンを生み出し、《変わり谷》と共に攻撃を加える。フロックのライフは未だ健全な水準に保たれていたが、プレインズウォーカーへの解答策を見つけなければ、望まなくともすぐにライフが無くなってしまうところだった。《思考を築く者、ジェイス》が降臨し、先を急ぐ。《太陽の勇者、エルズペス》の忠誠度は7に到達し、一刻も早く解決策を見つけ出す必要があった。彼はできる限りライブラリーを掘り進めた。3枚の《アゾリウスの魔除け》を「サイクリング」すると、《至高の評決》を見つけ出すことができ、ツァーテンヴァルドが《太陽の勇者、エルズペス》の奥義を起動しても生き残ることができた。

 続くターン、X=11の《スフィンクスの啓示》で彼は不動の体制を整えたように見えた。《思考を築く者、ジェイス》がスロバキア人のもとに降り立ち、忠誠度を上げ始めた。ツァーテンヴァルドはゲームの残り時間中に脅威を盤上に叩きつけることができず、フロックの手札がどうしようもなく強力であることが明らかになると、投了したのだった。

イヴァン・フロックがオーウェン・ツァーテンヴァルドを2勝1敗で破り、決勝へ!
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RESULTS

対戦結果 順位
16 16
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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