- HOME
- >
- EVENT COVERAGE
- >
- プロツアー『タルキール覇王譚』
- >
- 第12回戦:Lee Shi Tian(香港) vs. Shaun McLaren(カナダ)
EVENT COVERAGE
プロツアー『タルキール覇王譚』
第12回戦:Lee Shi Tian(香港) vs. Shaun McLaren(カナダ)
Ray "blisterguy" Walkinshaw / Tr. Tetsuya Yabuki
2014年10月11日
成功を収めたマジック・プレイヤーの経歴について話す場合、特定の結果に価値をつけるのは思った以上に難しい。香港のリー・シー・ティエン/Lee Shi Tianはグランプリ・トップ8入賞4回とプロツアー・トップ8入賞2回を記録しており、回数で言えばどちらもショーン・マクラーレン/Shaun McLarenの倍だ。しかしマクラーレンはトップ8に入ったプロツアーを優勝していて、その価値は計り知れない。
それなら、どうやって決着をつけようか? それはもちろん、古き良きマジック:ザ・ギャザリングのゲームで決めればいい!
マクラーレンがこのテーブルに持ち込んだのは、《道の探求者》を減らして除去を増やしたタイプの「ジェスカイ・ウィンズ」デッキ。一方のリー・シー・ティエンは、彼らが「Umbrella Revolution」と好んで呼ぶ香港のマジック・コミュニティが作り上げた、「《ジェスカイの隆盛》コンボ」デッキだ。
デッキ・プランの複雑さという点においては、リーのプランは比較的わかりやすい。彼はコンボに必要なものを集め、そのターンの間にマクラーレンを倒してしまうことを狙っている。マクラーレンとしてはどんどんリーにプレッシャーをかけていき、準備が不十分なままコンボを始めざるを得ない状況に追い込むか、あるいはマナ・クリーチャーを盤面に残さないように除去し続け、コンボの妨害をすることが必須になるだろう。
ゲーム展開
リーがダイス・ロールに勝ち、2ターン目に《森の女人像》を着地させた。《森の女人像》はマクラーレンが対処するには難しいカードであり、ここからゲームを始められたことはリーにとってまさに望ましい展開だ。彼は続けて《森の女人像》に《ドラゴンのマントル》をエンチャントする、という筋書きとは少し離れた動きを見せたが、その次には《爪鳴らしの神秘家》を「変異」状態で繰り出し、少なくとも本筋に戻った。マクラーレンはリーのターンの終わりに《稲妻の一撃》で《爪鳴らしの神秘家》を除去し、それからアンタップを迎えると《ゴブリンの熟練扇動者》でパーティを開始した。
ここでリーは妨害の心配がなくなり、彼の行動は思うがままだった。彼が取った行動は......2枚目の《ドラゴンのマントル》だ。さらに《神々との融和》が《森の女人像》をもう1枚もたらすと、彼はそれをプレイ。しかし、リーはゲームを終わらせるのに必要な《ジェスカイの隆盛》を引き込めず苦しんでいるように見えた。
マクラーレンは《カマキリの乗り手》を繰り出し、みるみるうちに広がっていくゴブリンの軍団に加えた。この攻撃でリーのライフを9点にし、ターンを返す。
リーはアンタップ後《苦しめる声》を唱え、《ジェスカイの隆盛》を引き込んだ。《撤回のらせん》を《森の女人像》に使うと、コンボのエンジンが始動する。1体目の《森の女人像》をタップして《ドラゴンのマントル》を手札に戻すと、2体目の《森の女人像》でマナを生み出し再び《ドラゴンのマントル》をプレイ。これでカードを1枚引けるとともに《ジェスカイの隆盛》の効果が誘発し、《森の女人像》たちはアンタップして、リーはカードを1枚引いて1枚捨てた。リーは《贈賄者の財布》を引き込むまでこの一連の動きを何度も繰り返し、今度はマナをかけずに《ジェスカイの隆盛》を誘発させられるようになると、カードの代わりにマナが溜まっていった。
リーはマクラーレンに2枚目の《撤回のらせん》と《双つ身の炎》を見せた。これでマクラーレンのクリーチャーはすべて手札に戻り、リーは速攻を持つクリーチャーを生み出し、《ジェスカイの隆盛》によって好きなだけ強化することができるようになる。
マクラーレンは丁寧に頷くと、カードを片付けた。
リー 1-0 マクラーレン
「対戦相手がコンボの挙動を知っていてくれると助かるよ」一度サイドボードをメイン・デッキに混ぜ、それから15枚のカードをサイド・アウトする作業をしながら、リーは笑顔でそう言った。「昨日は何度もコンボの説明をしなきゃならなかったから」
第2ゲームではマクラーレンが先手を取り、彼は初手をキープした。一方リーはより良い6枚を求めて手札をライブラリーに送り返したが、それを見たリーの苦しそうな様子から、改善されたかは定かではない。
とはいえ、リーはマクラーレンの除去に対抗するための鍵となる《森の女人像》を、2ターン目に着地させる。マクラーレンは《カマキリの乗り手》を召喚し、素早く空から攻撃した。リーは3枚目の土地を置くと《弧状の稲妻》を《カマキリの乗り手》に差し向ける。マクラーレンが《カマキリの乗り手》をもう1枚繰り出すと、リーはまさかの《凶暴な拳刃》をプレイし、それに速攻を持たせた。マクラーレンは攻撃を続け、リーのライフを10点まで落とした。
リーは《キオーラの追随者》を繰り出してターン・エンド。マクラーレンはエンド時に《ジェスカイの魔除け》の2番目の能力をリーに向けて放ち、彼のライフを6点に、さらに《マグマの噴流》で4点まで落とした。マクラーレンはアンタップ後、《カマキリの乗り手》で攻撃。リーは《撤回のらせん》を試みるが、マクラーレンは《解消》を構えていた。リーのライフは1点まで追い詰められ、続けて放たれた《マグマの噴流》が彼にとどめを刺したのだった。
このとき、マクラーレンはサイドボードから《神々の憤怒》のようなカードを入れていたが、どうやらリーは大型のクリーチャーで攻撃するプランに変更することで、コンボに使うクリーチャーをすべて失ってしまうという問題を回避していたようだ。しかしこのゲームでは、それがうまく機能しなかった。
リー 1-1 マクラーレン
第3ゲーム、マクラーレンは脅威となるものをほとんど引けなかったものの、その代わりリーが繰り出すクリーチャーを様々な火力で焼き尽くしていった。
ついに、リーはデッキのマナ・クリーチャーのうち約半数を失った。マクラーレンがリーのライフにプレッシャーをかけられていないことは変わないものの、リーの方もコンボを始動するためのクリーチャーが尽きるかもしれないところまで来ていた。それでも、彼のデッキにはまだコンボの道は残されているように見えた。
マクラーレンは《時を越えた探索》を唱えたが、いまだに盤面に追加できるカードが見つからない。リーは《凶暴な拳刃》を繰りだそうと試みるも、《解消》されるのを目にするだけだった。両プレイヤーとも土地をプレイしてはターンを渡すのを繰り返し、何か行動を起こせるときを待ち続けた。マクラーレンがリーのターンの終わりに《ジェスカイの魔除け》を放つと、ゲーム序盤から《マナの合流点》を積極的に使っていたリーのライフは13点まで減った。リーは《世界を喰らう者、ポルクラノス》をプレイしたものの、マクラーレンは再び《解消》で打ち消す。リーは《キオーラの追随者》を召喚し、マクラーレンは2枚目の《時を越えた探索》を唱えた。
マクラーレンは《神々の憤怒》で盤面を空にする。リーは今一度《凶暴な拳刃》を繰り出し、今度は解決された。しかしそれは即座に《ジェスカイの魔除け》の1番目の能力でライブラリーの一番上に戻され、リーのライフは《マナの合流点》によって12点に落ち込んだ。
そしてついにマクラーレンが動き出す。《カマキリの乗り手》2枚を繰り出し攻撃に向かわせると、リーのライフは残り6点に。リーはアンタップ後《弧状の稲妻》で《カマキリの乗り手》を1体焼き払うが、マクラーレンは手札に3枚目を持っており、続くターンで勝負は決したのだった。
リー 1-2 マクラーレン
4 《溢れかえる岸辺》 4 《神秘の僧院》 4 《天啓の神殿》 4 《凱旋の神殿》 3 《山》 2 《島》 2 《シヴの浅瀬》 1 《戦場の鍛冶場》 1 《平地》 -土地(25)- 1 《道の探求者》 4 《ゴブリンの熟練扇動者》 4 《カマキリの乗り手》 -クリーチャー(9)- |
4 《稲妻の一撃》 4 《マグマの噴流》 4 《ジェスカイの魔除け》 2 《神々の憤怒》 2 《払拭の光》 4 《かき立てる炎》 2 《龍語りのサルカン》 4 《時を越えた探索》 -呪文(26)- |
2 《消去》 2 《否認》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《ファイレクシアの破棄者》 3 《解消》 2 《神々の憤怒》 2 《対立の終結》 2 《嵐の神、ケラノス》 -サイドボード(15)- |
4 《マナの合流点》 2 《溢れかえる岸辺》 2 《開拓地の野営地》 2 《奔放の神殿》 2 《神秘の神殿》 2 《豊潤の神殿》 2 《樹木茂る山麓》 2 《ヤヴィマヤの沿岸》 1 《森》 1 《島》 1 《山》 1 《平地》 -土地(22)- 4 《爪鳴らしの神秘家》 4 《森の女人像》 3 《キオーラの追随者》 -クリーチャー(11)- |
4 《ドラゴンのマントル》 4 《撤回のらせん》 2 《贈賄者の財布》 4 《神々との融和》 3 《苦しめる声》 2 《双つ身の炎》 4 《ジェスカイの隆盛》 1 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》 3 《時を越えた探索》 -呪文(27)- |
3 《白鳥の歌》 3 《稲妻の一撃》 4 《凶暴な拳刃》 3 《弧状の稲妻》 2 《世界を喰らう者、ポルクラノス》 -サイドボード(15)- |
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
RANKING ランキング
NEWEST 最新の記事
-
2024.11.12観戦記事
The Week That Was: 熱烈な勇者の帰還|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権
-
2024.10.27観戦記事
第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権 決勝戦|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権
-
2024.10.26トピック
第30回マジック世界選手権 トップ8プロフィールとデッキリスト|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権
-
2024.10.26観戦記事
Magic World Championship 30 Day Two Highlights|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権
-
2024.10.25観戦記事
Magic World Championship 30 Day One Highlights|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権
-
2024.10.25戦略記事
The Spiciest Decklists of Magic World Championship 30|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権