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プロツアー『運命再編』

戦略記事

積み重ねの頂に

青木 力
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Jacob Van Lunen / Tr. AOKI Chikara

2015年2月8日


 プロツアー『運命再編』の最終日を終えて、我々は最新のモダンのメタゲームのより明確な理解を得たといえよう。初日に無敗を記録できたのは6つのアーキタイプのみだ。風景の変容、死せる生、親和が各1人ずつ。バーンと感染が2人ずつ。そしてさまざまなバージョンのアブザンが、実に6人ものモダン・ラウンド初日無敗プレイヤーを輩出した。

 ここでは初日のモダン・ラウンド無敗デッキと、それらが2日目にどのような成績を残したかをチェックしていく。

 アブザンの戦略は山ほど議論されてきた。フォーマット最高の妨害手段(《思考囲い》と《コジレックの審問》)があり、強力なクリーチャーと除去もある。モダンの新しい「Tier1」なのは誰の目からも明らかだ。最も成功したアブザン・プレイヤーは、攻撃的なデッキに対する手段を損なうことなく、ミラーマッチでも優位に立てるように調整した面々だ。シャディ・バドラーン/Shady Badran、 カルロ・コルデロ/Carlo Cordero、ジェシー・ハンプトン/Jesse Hampton、 アンソニー・リー/Anthony Lee、そしてヴィディアント・ウィジャヤ/Vidianto Wijayaが、初日のモダンラウンドを全勝で終えた。2日目の彼らのモダンラウンド5回戦の平均勝率は2.5マッチであり、ジェシー・ハンプトンとヴィディアント・ウィジャヤはモダンの総合成績8-2を記録している。

Jesse Hampton - アブザン
プロツアー『運命再編』 / モダン[MO] [ARENA]
4 《新緑の地下墓地
4 《吹きさらしの荒野
2 《湿地の干潟
2 《草むした墓
2 《活発な野生林
2 《
2 《樹上の村
1 《
1 《神無き祭殿
1 《平地
1 《寺院の庭
1 《黄昏のぬかるみ
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ
1 《大天使の霊堂

-土地(25)-

4 《タルモゴイフ
2 《漁る軟泥
4 《包囲サイ
2 《黄金牙、タシグル

-クリーチャー(12)-
4 《思考囲い
3 《コジレックの審問
2 《流刑への道
4 《突然の衰微
4 《ヴェールのリリアナ
4 《未練ある魂
1 《四肢切断
1 《大渦の脈動

-呪文(23)-
1 《流刑への道
3 《石のような静寂
1 《部族養い
1 《漁る軟泥
3 《エイヴンの思考検閲者
2 《大爆発の魔道士
2 《滅び
1 《真面目な訪問者、ソリン
1 《殴打頭蓋

-サイドボード(15)-

 世界ランキング15位のジェイコブ・ウィルソン/Jacob Wilsonもまた、初日のモダン・ラウンドをアブザンを使って無敗を記録しているが、より白緑アグロに近いチーム「Face to Face」バージョンを使用している。終わってみれば、「Face to Face・アブザン」は主要なアーキタイプの中で最も高い勝率を誇っており、なかでもウィルソンはプロツアーのモダン10回戦を8-1-1してチームを牽引した。

Jacob Wilson - アブザン
プロツアー『運命再編』 / モダン[MO] [ARENA]
4 《新緑の地下墓地
4 《吹きさらしの荒野
3 《
3 《ガヴォニーの居住区
3 《剃刀境の茂み
1 《神無き祭殿
1 《湿地の干潟
1 《草むした墓
1 《平地
1 《
1 《寺院の庭

-土地(23)-

4 《極楽鳥
4 《貴族の教主
4 《復活の声
2 《クァーサルの群れ魔道士
3 《台所の嫌がらせ屋
3 《ロクソドンの強打者
4 《包囲サイ
3 《萎れ葉のしもべ

-クリーチャー(27)-
4 《流刑への道
2 《思考囲い
4 《未練ある魂

-呪文(10)-
1 《殺戮の契約
2 《思考囲い
1 《大祖始の遺産
2 《虚空の杯
1 《石のような静寂
1 《盲信的迫害
2 《戦争と平和の剣
1 《法の定め
1 《神聖の力線
2 《引き裂く突風
1 《英雄の導師、アジャニ

-サイドボード(15)-

 この週末、親和は強い選択だった。全ての攻撃的なデッキの中でも最速、ゲームを速やかに終わらせるべく、0マナやコストの小さいアーティファクト・クリーチャーをテーブルに叩きつける。対戦相手が除去によって最初の猛攻撃に耐えられたとしても、親和側には攻撃に行ける土地が8枚あり、最小のサイズながら《頭蓋囲い》があればゲームを終わらせられる。フランク・カーステン/Frank Karstenは親和で初日のモダン・ラウンドを無敗で終えた。オランダの殿堂表彰者の2日目の成績は芳しくなかったが、それでもモダンラウンドを通算7-3で終えている。

Frank Karsten - 親和
プロツアー『運命再編』 / モダン[MO] [ARENA]
4 《ちらつき蛾の生息地
4 《ダークスティールの城塞
4 《空僻地
4 《墨蛾の生息地
1 《

-土地(17)-

4 《羽ばたき飛行機械
3 《メムナイト
4 《信号の邪魔者
4 《電結の荒廃者
4 《鋼の監視者
4 《大霊堂のスカージ
3 《エーテリウムの達人
1 《刻まれた勇者

-クリーチャー(27)-
4 《オパールのモックス
1 《溶接の壺
4 《バネ葉の太鼓
1 《感電破
4 《頭蓋囲い
2 《物読み

-呪文(16)-
1 《トーモッドの墓所
1 《思考囲い
3 《古えの遺恨
2 《呪文滑り
1 《倦怠の宝珠
1 《鞭打ち炎
3 《刻まれた勇者
1 《血染めの月
1 《四肢切断
1 《法の定め

-サイドボード(15)-

 「風景の変容」は、土地が7枚以上ある時にデッキ名になっているカードを解決すると、《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》の誘発により対戦相手へ致死量のダメージを与える、強力な1枚コンボだ。デッキはフォーマットの初期から中心的な戦略とされている。この週末に風景の変容が活躍するとの予測はほぼ皆無だったが、ダリル・エアーズ/Daryl Ayersは対抗する手段に乏しいフィールドを利用して、初日無敗を記録した。エアーズは2日目に失速して モダンラウンドの通算は6-4だった。

Daryl Ayers - 風景の変容
プロツアー『運命再編』 / モダン[MO] [ARENA]
4 《霧深い雨林
4 《蒸気孔
4 《踏み鳴らされる地
3 《
2 《繁殖池
2 《溢れかえる果樹園
2 《
2 《
2 《溶鉄の尖峰、ヴァラクート

-土地(25)-

4 《桜族の長老
2 《瞬唱の魔道士

-クリーチャー(6)-
4 《差し戻し
3 《遥か見
3 《深遠の覗き見
2 《イゼットの魔除け
2 《マナ漏出
2 《撤廃
4 《明日への探索
1 《強迫的な研究
4 《謎めいた命令
4 《風景の変容

-呪文(29)-
2 《万の眠り
2 《自然の要求
1 《払拭
1 《否認
3 《炎渦竜巻
4 《強情なベイロス
2 《荒ぶる波濤、キオーラ

-サイドボード(15)-

 「死せる生」の戦略は、スピードを犠牲にして、青でない、あるいはコンボではないデッキを狙い撃ちにして、それらがほぼ対処できないコンボを目指すものだ。このデッキにおける3マナの続唱呪文はその名の通り《死せる生》を必ず引き当てるのだが、それを唱える前に、サイクリング・クリーチャーと《大爆発の魔道士》で墓地を満たそうとする。これで死せる生の側にとっては戦場を一掃した上に、場違いなほどの巨大クリーチャーを戻すことになる。今週末のデッキ分布を見渡しても、このデッキ選択は完璧かと思われた。ステファン・マレー/Stephen Murrayが初日のモダン5回戦を全勝で終えたことに驚くことはない。2日目に、対コンボと対青デッキという弱点が露わになったが、通算7-3の成績は妥当といえる。

Stephen Murray - 死せる生
プロツアー『運命再編』 / モダン[MO] [ARENA]
4 《新緑の地下墓地
3 《
3 《樹木茂る山麓
2 《
1 《血の墓所
1 《銅線の地溝
1 《ドライアドの東屋
1 《燃え柳の木立ち
1 《
1 《草むした墓
1 《踏み鳴らされる地

-土地(19)-

4 《大爆発の魔道士
4 《死の一撃のミノタウルス
4 《巨怪なオサムシ
4 《通りの悪霊
3 《叫び大口
1 《炎血の襲撃者
1 《よじれた嫌悪者
3 《ジャングルの織り手

-クリーチャー(24)-
3 《死せる生
4 《悪魔の戦慄
4 《暴力的な突発
3 《内にいる獣
2 《血染めの月
1 《四肢切断

-呪文(17)-
1 《神々の憤怒
1 《斑の猪
1 《減衰のマトリックス
1 《四肢切断
1 《フェアリーの忌み者
1 《大渦の脈動
1 《再利用の賢者
3 《沸騰
3 《殺戮遊戯
1 《強情なベイロス
1 《鋳塊かじり

-サイドボード(15)-

 バーンは初日の時点で最も人気、かつ成功したデッキの一つだ。デッキが目指すのはただ一点、燃やし尽くせ! セス・マンフィールド/Seth Manfieldとキム・サンヨン/Kim Sang-Eunの、2人のプレイヤーが初日のモダンラウンド無敗を成し遂げた。2日目は想定していたマッチアップに恵まれなかったのか、2人で合計3勝しか挙げていない。補足すると、マンフィールドは12回戦終了時点でトップ8入りを確定させている。

Seth Manfield - バーン
プロツアー『運命再編』 / モダン[MO] [ARENA]
4 《乾燥台地
4 《沸騰する小湖
4 《樹木茂る山麓
3 《聖なる鋳造所
2 《
1 《血染めのぬかるみ
1 《踏み鳴らされる地

-土地(19)-

4 《ゴブリンの先達
4 《僧院の速槍
1 《渋面の溶岩使い
4 《大歓楽の幻霊

-クリーチャー(13)-
4 《溶岩の撃ち込み
4 《稲妻
2 《欠片の飛来
4 《ボロスの魔除け
4 《焼尽の猛火
4 《頭蓋割り
2 《稲妻のらせん
4 《裂け目の稲妻

-呪文(28)-
2 《流刑への道
4 《破壊的な享楽
3 《コーの火歩き
2 《跳ね返す掌
1 《稲妻のらせん
3 《溶鉄の雨

-サイドボード(15)-

 モダンのメタゲームは再び形を変え始めた。プロツアー『運命再編』から、次のプレミア・イベントとなるグランプリ・バンクーバーまでに、《頭蓋囲い》や《黄金牙、タシグル》が、どのようになっていくのか興味津々である。

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RESULTS

対戦結果 順位
最終
16 16
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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