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EVENT COVERAGE
プロツアー『運命再編』
第15回戦:Lee Shi Tian(香港) vs. Nathan Smith(アメリカ)
Adam Styborski / Tr. Yusuke Yoshikawa
2015年2月7日
リー・シー・ティエン/Lee Shi Tian(バーン) vs. ネイサン・スミス/Nathan Smith(バーン)
リー・シー・ティエン。世界ランキング6位、世界選手権2014参加者にして、プロツアー・トップ8入賞3回、そのうち2回はモダン・フォーマットのもので、もうひとつは昨秋のプロツアー『タルキール覇王譚』である。昨年を通じて印象的な成功の連続が彼の戦歴に加えられたが、またも、彼の果敢なプレイングは再び彼を頂点へと導こうとしている。
ネイサン・スミスは「Magic Online Championship Series」を通じてプロツアー『運命再編』の参加資格を得た。2014年からの参加者でこれが最初のプロツアーとなるが、ここまでは素晴らしいデビューを見せている。両者にとって、このラウンドでの勝利はほぼ「最終ラウンドで引き分けてトップ8」という状況を意味する。スミスにとっては、初のプロツアーでのトップ8は無名から名声を得るまたとない機会となろう。リーにとっては、彼のチームメイトが待ち望む通算4回目の瞬間となろう。
数字も誇りもさておき、これは明日のプロツアー・サンデーの舞台に登る機会を得るための戦い、今両方のプレイヤーが追い求めているものすべてを懸けた戦いだ。
それぞれのデッキ
大活躍したデッキというほどではないものの、バーンは1日目の構築ラウンドを通じて良い成績を残したデッキのひとつだ。スミスとリーの双方がこのデッキの似たバージョンを持ち込んでいる。可能な限り効率的に20点のダメージを与えうるお馴染みの面々を使ったものだ。つまり《稲妻》、《溶岩の撃ち込み》、《欠片の飛来》、《ゴブリンの先達》、そして《僧院の速槍》だ。伝統的な赤デッキに《稲妻のらせん》を入れるべく白を加え、ミラーマッチ用の《コーの火歩き》をはじめとするサイドボードの選択肢も用意している。対戦相手にとって厄介なのは《大歓楽の幻霊》であり、モダン・デッキのほとんどが頼りにしている軽い呪文を封じてしまえるクリーチャーだ。
ゲーム展開
リーは第1ゲームを《ゴブリンの先達》で始めるが、スミスも鏡打ち。リーは次のターンに2枚目を加え、《渋面の溶岩使い》がそれに続いた。続くターン、スミスはプレイについて丁寧に考える。攻撃、土地のプレイから《焼尽の猛火》で、リーは早くもライフ11となった。
バーン対バーンは油断ならないレースとなる。叩き出すダメージだけではなく、向かってくるダメージも計算しなければいけないのだ。
リーはしばし手を止めて考え、《大歓楽の幻霊》を出す。豊富な墓地と《渋面の溶岩使い》によって、スミスに呪文を使うためにダメージを受けるか、《渋面の溶岩使い》を生き残らせるかを強いるというのがリーの計画のようだ。計算の後、《稲妻のらせん》がリーに向けられ、ライフは7対13でスミス有利となった。
アンタップの前に、リーは起こりえるダメージを計算するために少しの時間を費やした。スミスの《ゴブリンの先達》がターン終了を前に出番を終え、リーはアンタップすると《聖なる鋳造所》を探し、プレイすることでライフ4に、その後《稲妻のらせん》で5に戻った。《ゴブリンの先達》と《大歓楽の幻霊》の攻撃でスミスはライフ6、《渋面の溶岩使い》の起動で4になった。
《欠片の飛来》がスミスをライフ2に追いやり、しかしこれで《大歓楽の幻霊》を除去できた。ダメージを受けることなく呪文を唱えられるようになると、スミスは2枚の《溶岩の撃ち込み》を立て続けに唱えて第1ゲームをものにしたのだった。
「複雑なゲームだ」 サイドボードに移りながらスミスが言う。リーはわずかに頷いて同意を示した。
第2ゲームは少し遅いものになった。先攻を取ったリーの第1ターン、何も動きがなかったのだ。スミスには《ゴブリンの先達》があり、リーが2枚目の土地を置いてターンを終えるころにはライフ14になっていた。とはいえ、戦場には《コーの火歩き》が出ているのだが。
スミスの次のプレイは《溶岩の撃ち込み》だったが、2枚目の土地を置けなかった。それでも《コーの火歩き》がリーにもたらす少しばかりのライフに競り勝とうと試みる。だがリーは《ゴブリンの先達》を《稲妻のらせん》で除去し、ライフを11から14に戻すと攻撃に回り始めた。リー側の《ゴブリンの先達》がスミスをライフ9まで落とす。《焼尽の猛火》のようなカードでは、スミスはこらえられない。
次の攻撃で、リーが勝負をタイに戻すには十分だった。
第3ゲームは新顔から始まった。スミスから《僧院の速槍》が放たれ、リーは《裂け目の稲妻》を待機させた。スミスの《ゴブリンの先達》と《溶岩の撃ち込み》でリーのライフは9に落ち込む。リーは手を止めて、《裂け目の稲妻》をどこに放つべきかを少考した。
《僧院の速槍》が墓地に送られ、《コーの火歩き》を唱えた時点でリーのライフは6。心もとない数字ではあるが、ブロック時に《頭蓋割り》でプロテクション(赤)のダメージ軽減を破られるようなことさえなければ、最後の砦を守ってくれるだろう。
《ゴブリンの先達》が《コーの火歩き》に突っ込んできて、《頭蓋割り》が本当にスミスの手札にあることが知らされた。《稲妻のらせん》によって、リーは自身のターン中にライフを7に戻すものの、そのターンの終わりにはスミスが《ボロスの魔除け》を唱えたため、手札にある2枚目の《稲妻のらせん》を使うことを強いられた。ライフは6に戻り、リーは依然として土俵際にいるものの、攻撃と火力でスミスのライフも7まで落としていた。
ゲームがスミス優勢で留まっていたのではなかったのだ。
《僧院の速槍》を唱えたところでスミスは手を止め、これをブロッカーとして備えておくことを選んだ。リーは《沸騰する小湖》から《山》を経て《焼尽の猛火》を唱えた。これで《僧院の速槍》が除去され、スミスはライフ4となる。
そしてリーが示したのは、その後に控えていた《ボロスの魔除け》であった。スミスはすぐに握手を求めた。リーは興奮で飛び上がり、プロツアーのプレイテストチームの仲間とともに手を叩き、歓声を上げた。プロツアーでモダン・フォーマットが採用された回数にほぼ等しい3度目、リーは日曜日に歩を進めようとしていた。
「下当たりはやめてくれ」リーは言った。祈るように手を合わせながら。「下当たりはやめてくれ」 それが最後のラウンドでの彼の願いだった。願いが叶えば、引き分けを選択してトップ8に入ることができる......
リー 2-1 スミス
......そして対戦組み合わせが掲示され、それは確かめられた。
3 《山》 3 《聖なる鋳造所》 1 《踏み鳴らされる地》 4 《血染めのぬかるみ》 4 《沸騰する小湖》 4 《樹木茂る山麓》 1 《乾燥台地》 -土地(20)- 4 《ゴブリンの先達》 4 《僧院の速槍》 2 《渋面の溶岩使い》 4 《大歓楽の幻霊》 -クリーチャー(14)- |
4 《溶岩の撃ち込み》 4 《稲妻》 2 《欠片の飛来》 4 《ボロスの魔除け》 3 《稲妻のらせん》 3 《焼尽の猛火》 2 《頭蓋割り》 4 《裂け目の稲妻》 -呪文(26)- |
3 《コーの火歩き》 3 《破壊的な享楽》 3 《粉々》 2 《頭蓋割り》 1 《焼尽の猛火》 3 《溶鉄の雨》 -サイドボード(15)- |
6 《山》 4 《血染めのぬかるみ》 4 《樹木茂る山麓》 3 《断崖の避難所》 3 《聖なる鋳造所》 -土地(20)- 4 《ゴブリンの先達》 4 《僧院の速槍》 -クリーチャー(8)- |
4 《溶岩の撃ち込み》 4 《稲妻》 3 《欠片の飛来》 4 《ボロスの魔除け》 4 《稲妻のらせん》 4 《頭蓋割り》 3 《焼尽の猛火》 4 《裂け目の稲妻》 2 《血の手の炎》 -呪文(32)- |
2 《摩耗 // 損耗》 3 《大歓楽の幻霊》 3 《粉々》 1 《焼却》 1 《焼尽の猛火》 4 《溶鉄の雨》 1 《血の手の炎》 -サイドボード(15)- |
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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