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EVENT COVERAGE
プロツアー『タルキール龍紀伝』
準決勝:Martin Dang(デンマーク) vs. Adrian Sullivan(アメリカ)
Josh Bennett / Tr. Tetsuya Yabuki
2015年4月12日
マーティン・ダン/Martin Dang(赤アグロ) vs. エイドリアン・サリバン/Adrian Sullivan(青黒コントロール)
この場にいるプレイヤーたちが「プロツアー王者」のタイトルを手にするまで、残りわずか2試合。この試合の両者は、「赤アグロ」対「青黒コントロール」というマジック伝統の一戦に挑むことになる。エイドリアン・サリバン演じるジェイス・ベレレンは、いつものフード付きのローブではなく洒落た背広を羽織っている。マーティン・ダンはゴーグルこそ付けていないものの、彼の操る炎の力にはチャンドラも興味を示すことだろう。
この試合に臨むサリバンのために、チーム「Ultra PRO」は全力を尽くした。マット・セヴェラ/Matt Severaとマシュー・スパーリング/Matthew Sperlingがこのマッチアップのプレイ・テストを行い、ゲーム中にサリバンが意見を述べると、その後3人で徹底的に話し合った。すると殿堂顕彰者ボブ・マーハー/Bob Maherが「クレイグより」と書かれたメモを持って現れた。「クレイグ」は、プロツアー『ドラゴンの迷路』王者のクレイグ・ウェスコー/Craig Wescoeのことだ。彼はひとりで両方のデッキを使い、プレイ・テストを繰り返していたのだ。サリバンはメモに目を走らせる。「このメモが、私の思考に手を差し伸べてくれる」サリバンはこの試合での戦い方を箇条書きにし、分析と研究を進めた。「クレイグのメモはいつも的確だ」とサリバンは評し、それから付け加えるように言った。「アリ・ラックス/Ari Laxのプロツアー優勝を支えるくらいにね」
ダンと彼の仲間であるチーム「Thommo Thommo Thommo」のメンバーも、やれる限りのテストを行った。両プレイヤーともリラックスした様子で、フィーチャー・マッチ・エリアに呼ばれるのを待つ。
ゲーム展開
サリバンは《陰鬱な僻地》をタップ・イン。一方のダンは《山》から《鐘突きのズルゴ》。サリバンはアンタップを迎えると、しばらく考える時間を取った。「我々は今このゲームの分岐点にいるね。勝負を決めるのは『このターン』だ」
頭の中で素早く計算を終えると、サリバンは《華やかな宮殿》をタップ・インさせた。ダンは《僧院の速槍》を盤面に加え、3点で攻撃。サリバンは《汚染された三角州》を起動し、もう1点ライフを失った。ダンの盤面に《森》が置かれると、サリバンは「ふむ」と少考する。ダンはクリーチャーたちに攻撃を命じ、それから《稲妻の一撃》を放った。これに対応して、サリバンは《胆汁病》で《僧院の速槍》を除去。彼は5点のダメージを受けた。
アンタップを迎えたサリバンは、ドロー後4枚目の土地を置けずにターンを渡した。ダンは《鐘突きのズルゴ》を攻撃に送り出し、4枚の手札を構えてターンを返した。サリバンは次の一手を考えながら、「4枚は多いな」と漏らす。彼は《鐘突きのズルゴ》に《胆汁病》を当てることにした。その隙にダンは《かき立てる炎》を通し、サリバンのライフを残り7点と心許ない数字まで追い詰めた。サリバンはまたもや土地を置けず、フェッチ・ランドの起動で残りライフを6点にしながらも、青マナふたつを用意した。
両者とも「ドロー、ゴー」でターンを回し、サリバンは4枚目の土地を引き込んだ。ダンの続くターン、彼はドロー後すぐに動き出す。6マナのうち2マナを使用して《ドラゴンの餌》。サリバンはやむを得ず、それを《解消》することにした。するとダンは手札から《稲妻の一撃》を2枚見せ、このゲームの勝利を決めたのだった。
両プレイヤーとも初手をキープして、2ゲーム目開始。サリバンの手札はタップ・インの土地が多いものだったが、それでも彼は2ターン目に黒マナふたつを用意し、《鐘突きのズルゴ》に《ファリカの療法》を撃ち込んだ。ダンは土地をプレイしてターンを返す。サリバンも「神殿」土地で「占術」し、ターン・エンド。そのターンの終わりにダンは《稲妻の一撃》を唱え、迎えたターンに《軍族童の突発》を放った。だがサリバンはこれを《胆汁病》で一掃。次のターンにダンは再び《軍族童の突発》を通し、2枚目の《胆汁病》を受けた。
サリバンの「神殿」土地は彼のドローの質を高めるのに一役買っており、このゲームは彼がコントロールしているように見えた。サリバンは《ゴブリンの熟練扇動者》を通し1点のダメージを受けるが、その後《命運の核心》で盤面を流した。ダンは《大歓楽の幻霊》で立て直しを始めるが、サリバンはそれに対しても効果的なカードを持っていた。《信者の沈黙》だ。ただし、これで彼は手札を2枚消費した。そこへさらに《大歓楽の幻霊》が続き、攻撃で《英雄の破滅》も引き出した。
それでもまだ、ダンの脅威は尽きていなかった。《ドラゴンの餌》を通すと、続くターンに《稲妻の狂戦士》を「疾駆」で繰り出す。全軍で攻撃し、《アタルカの命令》を3点のダメージを与えるモードと自軍のクリーチャーに+1/+1の修正を与えるモードでプレイ。そこまでは通ったが、しかしサリバンは《英雄の破滅》を《稲妻の狂戦士》に撃ち込み、ゴブリン・トークンたちは《胆汁病》で対処したのだった。
サリバンは《光輝の泉》でライフを10点まで回復し、一方ダンの戦場には頼りない《鋳造所通りの住人》のみ、とゲームは依然サリバン優勢の様相だ。サリバンは彼のデッキ独自の1枚――1枚挿しの《啓示の解読》――をプレイして手札の補充を図り、このゲームを永遠にダンの手の届かないところへ持っていこうとした。ライブラリーの上から3枚を見たそのとき、彼の表情は露骨に失望の色を見せた。「やってしまったな」とサリバン。土地2枚をライブラリーの底へ送り、《究極の価格》を公開する。彼はこのプレイでわずか2枚しか引けなかった。
とはいえ、それも無いよりはマシというものだ。一方のダンはそこから2ターンにわたり、《鋳造所通りの住人》の1点で攻撃することしかできなかった。その間に、サリバンは《光輝の泉》と《陰鬱な僻地》を置いていく。その後現れた《ゴブリンの熟練扇動者》に《究極の価格》を使うことを余儀なくされたサリバンは、《鋳造所通りの住人》にも《胆汁病》を撃ち込むことにした。ダンはそれを《強大化》で守ろうとしたが、その思惑は《否認》に阻止された。
こうして、試合はトップデッキ勝負にもつれ込んだ。サリバンはドロー後、ターンを渡す。ダンは《ゴブリンの熟練扇動者》を引き込み、生み出されたトークンで1点のダメージを加えた。サリバンはこの窮地を《悲哀まみれ》で乗り越え、さらに「占術」で無駄カードを1枚ライブラリーの底へ送る。ダンは《鐘突きのズルゴ》を引き込み、それを「疾駆」で唱えて2点のダメージを与える。サリバンのライフは残り6点。彼はドロー後、ターンを渡す。ダンは再び《鐘突きのズルゴ》を「疾駆」。これに対する解答はなく、サリバンは残りライフを4点に落とした。続くターンも解答を引き込めず、再三の「疾駆」を受けて残り2点。サリバンは今ここで、解答を引き込まなければならない。
ダンは今一度土地を2枚タップして、《鐘突きのズルゴ》を「疾駆」で送り出した。サリバンは手札を公開する――そこにあるのは、土地とこの状況では役に立たない《悲哀まみれ》だった。サリバンは首を振り、ダンの手を取った。勝利を祝福する握手のために。
カードを片付けながら、彼らはこの試合についていくつか言葉を交わした。「プレイ・テストでは、1ゲーム目の勝率は君が60%。だが、2ゲーム目以降は75%でこちらのものだった」というサリバンの言葉に、ダンはやや首を傾げ、自身のスイス・ラウンドの成績とプレイ・テストの結果を挙げた。何とも珍しい展開になった2ゲーム目を終えて、両者は見解の相違を認め合ったのだ。「あのときのドローを失敗したのが、決定的だったな」サリバンはダンの決勝での健闘を祈った。そこへ、ダンのチームメイトたちが歓声をあげて押し寄せたのだった。
マーティン・ダンがエイドリアン・サリバンを2連勝で下し、決勝へ!
10 《山》 4 《マナの合流点》 4 《樹木茂る山麓》 1 《森》 1 《奔放の神殿》 -土地(20)- 4 《鋳造所通りの住人》 4 《僧院の速槍》 3 《鐘突きのズルゴ》 1 《激情のゴブリン》 1 《稲妻の狂戦士》 2 《ゴブリンの熟練扇動者》 -クリーチャー(15)- |
4 《乱撃斬》 4 《アタルカの命令》 4 《ドラゴンの餌》 4 《稲妻の一撃》 4 《軍族童の突発》 4 《かき立てる炎》 1 《強大化》 -呪文(25)- |
4 《大歓楽の幻霊》 4 《焙り焼き》 1 《破壊的な享楽》 1 《洗い流す砂》 2 《ゴブリンの熟練扇動者》 2 《凱旋の間》 1 《ゴブリンの踵裂き》 -サイドボード(15)- |
4 《陰鬱な僻地》 4 《汚染された三角州》 4 《沼》 4 《欺瞞の神殿》 3 《島》 3 《光輝の泉》 2 《華やかな宮殿》 1 《啓蒙の神殿》 1 《疾病の神殿》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(27)- -クリーチャー(0)- |
4 《胆汁病》 1 《究極の価格》 4 《解消》 4 《英雄の破滅》 2 《悪夢の織り手、アショク》 1 《雲散霧消》 1 《悲哀まみれ》 3 《危険な櫃》 2 《信者の沈黙》 2 《ジェイスの創意》 1 《霊気渦竜巻》 1 《命運の核心》 1 《リリアナ・ヴェス》 1 《龍王の大権》 3 《時を越えた探索》 2 《精霊龍、ウギン》 -呪文(33)- |
2 《思考囲い》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《否認》 1 《頭蓋書庫》 1 《ファリカの療法》 2 《悲哀まみれ》 1 《悪夢の織り手、アショク》 1 《霊気渦竜巻》 1 《啓示の解読》 1 《黄金牙、タシグル》 1 《真珠湖の古きもの》 -サイドボード(15)- |
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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