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プロツアー『タルキール龍紀伝』
準々決勝:Andrew Ohlschwager(アメリカ) vs. Ondrej Strasky(チェコ)
Tobi Henke / Tr. Tetsuya Yabuki
2015年4月12日
アンドリュー・オールシュウェイジャー/Andrew Ohlschwager(青黒コントロール) vs. アンドレイ・ストラスキー/Ondrej Strasky(緑信心)
準々決勝第3試合、アメリカのアンドリュー・オールシュウェイジャーがチェコのアンドレイ・ストラスキーと対峙する。オールシュウェイジャーはグランプリ・デンバー2013にて準々決勝まで駒を進めた経験はあるが、プロツアーでのトップ8入賞は今回が初めてのことだ。一方のストラスキーは、最近行われたプロツアー『タルキール覇王譚』でのトップ8入賞が記憶に新しいはずだ。これで彼は今シーズン中に2度のプロツアー・トップ8入賞を果たしたことになり、この弱冠19歳のプレイヤーは来シーズンのプラチナ・レベルを確定させている。
試合の準備を整えながら、両プレイヤーはここまでの道のりを語り合った。特にオールシュウェイジャーは、昨日の予選ラウンドで最後の2試合を合意の上の引き分けで終える、という珍しいやり方でトップ8入賞を決めた。他のプレイヤーにマッチ・ポイントで並ばれた場合を考えると、リスクの高い決断であったと言える。
ここで激突する両者のデッキは、以前と比べて大きな変化を遂げてはいない。それでも、両者とも今回の新セットを象徴する「龍」をタッチした構成が特徴的だ。アンドレイ・ストラスキーが使用するのは、《龍王アタルカ》を4枚採用した「緑信心」。オールシュウェイジャーは、《龍王オジュタイ》を2枚採用した「青黒コントロール」でここまで勝ち上がってきた。
ゲーム展開
両プレイヤーとも初手の7枚をマリガンすることになり、6枚でキープした。オールシュウェイジャーがキープした手札は4枚の土地と《思考囲い》、そして《忌呪の発動》。一方のストラスキーが持つ6枚は《森》と《奔放の神殿》、それから《エルフの神秘家》、《クルフィックスの狩猟者》、《狩猟の統率者、スーラク》、《書かれざるものの視認》と良好なマナ・カーブを描いている。
オールシュウェイジャーの《思考囲い》がストラスキーの《クルフィックスの狩猟者》を取り去り、《忌呪の発動》が《エルフの神秘家》を墓地へ送る。しかし、その時点でストラスキーは《狩猟の統率者、スーラク》を戦場に着地させていた。
その後、ふたつの「神秘家」が続く。ひとつは《エルフの神秘家》で、もうひとつは裏向きに繰り出された《爪鳴らしの神秘家》だ。《狩猟の統率者、スーラク》も戦場にあるため、ストラスキーの軍勢は「圧倒」を達成し、レッド・ゾーンに押し寄せる。オールシュウェイジャーのライフは残りひと桁に差しかかった。
オールシュウェイジャーは《狩猟の統率者、スーラク》に《英雄の破滅》を放った。だが《爪鳴らしの神秘家》に《加護のサテュロス》が「授与」され、オールシュウェイジャーのライフは残り3点まで落ち込む。6/3の《爪鳴らしの神秘家》が再び攻撃すると、オールシュウェイジャーは《龍王オジュタイ》でこれをブロックし、戦場には《加護のサテュロス》と《エルフの神秘家》が残った。ストラスキーはそこへ《世界を喰らう者、ポルクラノス》を追加する。
この状況を打開するため、オールシュウェイジャーは《予期》を唱え、何か解答になるものを探した。できれば《命運の核心》が望ましいが――彼はそれを引き当てることができず、投了の意思を示した。
「あれ以上は何も出ませんでしたよ」とストラスキーが打ち明けた。「あと手札にあったのは《龍王アタルカ》とか《書かれざるものの視認》とか、コストの重いものばかりでした」
「うん、ずっと土地3枚で止まってたもんね」と、オールシュウェイジャーも同意する。「もし4枚目の土地があったら、もっと楽だったんじゃないかな」
2ゲーム目、ストラスキーは再び1ターン目《エルフの神秘家》でゲームを始め、今度は《クルフィックスの狩猟者》を戦場に送り出すことができた。それから、《爪鳴らしの神秘家》も裏向きで繰り出す。一方のオールシュウェイジャーはタップ・インの土地をプレイし続けたが、アンタップ・インの土地を引き込むと《危険な櫃》を唱えた。
そこへ《狩猟の統率者、スーラク》が参戦し、オールシュウェイジャーのライフは残り9点に。彼はさらに《汚染された三角州》を起動してライフを8点まで落としたものの、これで《危険な櫃》の起動に成功した。戦場はふりだしに戻り、このゲームはストラスキーが脅威を繰り出せばオールシュウェイジャーがすぐさまそれを除去する、という長期戦の様相を見せた。
とうとうストラスキーが何もプレイせずターンを返し、彼の持つ脅威は底を突いたように見えた。だがもちろんそんなことはなく、彼の手札には《加護のサテュロス》が控えていた。ストラスキーはオールシュウェイジャーのターンの終わりに《加護のサテュロス》を繰り出すと、迎えた自分のターンに《狩猟の統率者、スーラク》を続かせる。オールシュウェイジャーは《狩猟の統率者、スーラク》に《英雄の破滅》を差し向けたが、これで残りライフは4点まで落ち込んだ。
だがここで、《龍王シルムガル》がついにストラスキーの猛攻を止めた。続くターンには、オールシュウェイジャーが7点で攻勢をかける。攻撃を加えつつ、彼は《囁きの森の精霊》を《シルムガルの嘲笑》で打ち消し、《高木の巨人》にも2枚目の《シルムガルの嘲笑》を当てた。さらに2枚目の《高木の巨人》が繰り出されれば、《英雄の破滅》を撃ち込む。この流れの中で、オールシュウェイジャーは3度の攻撃で21点のダメージを与えていたが、ストラスキーは序盤に《クルフィックスの狩猟者》でライフを回復していたため、いまだ生き残っていた。
そしてついに、ストラスキーが最高の脅威を繰り出す。少なくとも4ターンは手札に抱えて機を待っていた、《世界を目覚めさせる者、ニッサ》だ。こうして、勝負の結末はあっけなく訪れた。ストラスキーが《世界を目覚めさせる者、ニッサ》で土地をひとつ4/4のクリーチャーにして止めの一撃に向かわせると、オールシュウェイジャーはこれに対する解答を持っていなかった。彼は敗北を認め、手を差し出したのだった。
試合後、戦いの緊張から解き放たれた両者は再び、おしゃべりを再開した。彼らはこの試合の勝負どころを振り返り、意見を交換する。
「あの《英雄の破滅》撃ったとき、タップする土地間違えましたよね」 1ゲーム目、オールシュウェイジャーはマナの出し方を誤り、青マナふたつを残すのに失敗した。ストラスキーはそれを指摘する。「あれは大きかったですよ! 打ち消し持ってないって言ってるようなもんじゃないですか」
「いや分かってたんだけどね」と、オールシュウェイジャー。「ターンを渡した直後に気づいたよ」たしかに、そのとき彼の手札には《シルムガルの嘲笑》はなかった。しかしそれでも、やはりそういった情報を漏らすべきではないだろう。
もうひとつ話題にあがったのが、2ゲーム目の終盤、オールシュウェイジャーは《加護のサテュロス》と《龍王シルムガル》の「両方を」攻撃に向かわせたが、果たしてこれは正解だったのか。片方を残しておけば《世界を目覚めさせる者、ニッサ》で負けることはなかっった、とストラスキーは考える。だがオールシュウェイジャーは、ゲームを速やかに終わらせる必要があった、と主張した。「《高木の巨人》とか《囁きの森の精霊》とか《世界を喰らう者、ポルクラノス》とかを相手にするなら、攻めた方がいいと思ったんだ」と、オールシュウェイジャーは言う。「ニッサに対してはダメだったね」
アンドレイ・ストラスキーがアンドリュー・オールシュウェイジャーを2連勝で下し、準決勝へ!
4 《陰鬱な僻地》 4 《汚染された三角州》 4 《欺瞞の神殿》 3 《島》 3 《沼》 3 《啓蒙の神殿》 2 《精霊龍の安息地》 2 《静寂の神殿》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(26)- 2 《龍王オジュタイ》 2 《氷瀑の執政》 2 《龍王シルムガル》 2 《漂う死、シルムガル》 -クリーチャー(8)- |
3 《思考囲い》 4 《予期》 4 《シルムガルの嘲笑》 2 《究極の価格》 1 《血の署名》 3 《忌呪の発動》 3 《英雄の破滅》 2 《命運の核心》 1 《龍王の大権》 2 《時を越えた探索》 1 《精霊龍、ウギン》 -呪文(26)- |
1 《思考囲い》 2 《否認》 1 《胆汁病》 1 《層雲の踊り手》 3 《悲哀まみれ》 2 《ジョルベイの闇潜み》 1 《悪夢の織り手、アショク》 1 《忌呪の発動》 1 《英雄の破滅》 1 《悪性の疫病》 1 《危険な櫃》 -サイドボード(15)- |
10 《森》 4 《奔放の神殿》 4 《樹木茂る山麓》 3 《ニクスの祭殿、ニクソス》 2 《吹きさらしの荒野》 1 《山》 -土地(24)- 4 《エルフの神秘家》 4 《爪鳴らしの神秘家》 4 《森の女人像》 4 《クルフィックスの狩猟者》 2 《加護のサテュロス》 4 《世界を喰らう者、ポルクラノス》 2 《狩猟の統率者、スーラク》 4 《囁きの森の精霊》 4 《龍王アタルカ》 -クリーチャー(32)- |
4 《書かれざるものの視認》 -呪文(4)- |
1 《旅するサテュロス》 4 《ナイレアの信奉者》 3 《歓楽者ゼナゴス》 4 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》 3 《高木の巨人》 -サイドボード(15)- |
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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