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プロツアー『タルキール龍紀伝』

戦略記事

龍紀伝のドラフト

矢吹 哲也
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Craig Jones / Tr. Tetsuya Yabuki

2015年4月10日


 プロツアー『タルキール龍紀伝』へようこそ! タルキールの世界を舞台にプロツアーが行われるのはこれで3度目だが、ここには少しの変化が見受けられる。時間軸が干渉を受けた結果カンはこの世界からいなくなり、龍が再び空を支配するようになったのだ。だがこれは、あくまでもタルキール・ブロックの物語上の話だ。では、今日ここにいるプロツアー参加者たちは、どのように戦っていくのだろうか?

 最初は、ブースタードラフトによるリミテッド・ラウンドが行われる。以前までは、ブロック内の第3セットが加わると他のふたつのセットと合わせて「ブロック・ドラフト」が行われるか、あるいは第3セット単体のドラフトが行われていた。タルキール・ブロックではその点が異なり、『タルキール龍紀伝』と『運命再編』の2セットでドラフトが行われる。『タルキール覇王譚』は使用されないのだ。

 『タルキール龍紀伝』のリミテッドは、『タルキール覇王譚』のものと大きく趣が異なる。『タルキール龍紀伝』のリミテッドではカンが中心となる「楔の3色」は失われ、龍王を中心とした伝統的な「友好2色」が争点になるのだ。メカニズムには『運命再編』から続投のもの(「疾駆」と「鼓舞」)がある一方で、このブロックでは新規のもの(「反復」、「濫用」、「圧倒」)も加わっている。裏向きのクリーチャーは、引き続き「大変異」という新しい形で登場している。馴染みのあるセットと新セットのふたつが入り交じるこの新しいドラフト環境では、特に『タルキール龍紀伝』が『運命再編』のカードの評価をどのように変えるのかに注目が集まるだろう。

 これまでと変わらない点といえば、裏向きのクリーチャーだ。依然として、5マナは重要な数字となる。大変異コストが5マナより小さいものは、基本のタフネスが1しかない。つまり5マナ生み出せなければ、対戦相手の「変異」クリーチャーやパワー2のクリーチャーは、こちらの「変異」が解かれてひどい目に遭うことを恐れず、ブロックに向かってくるのだ。ただし5マナ以上が揃ってくると、やや複雑になってくる。裏向きの2/2は、ドラゴンが擬態したものかもしれないのだ......

 私が実際に体験してみたところ(断っておくが――私は決してドラフトの上手いプレイヤーとして有名だったわけではない)、『タルキール龍紀伝』ドラフトは高速環境であるように思う。この環境には優秀な「熊」(2マナ2/2のクリーチャー)があり、3ターン目に「変異」クリーチャーを出す動きはやや遅いと言えるだろう。上空ではドラゴンが殴り合う戦いになるが、地上でも同様に序盤から熊と熊の殴り合いが起こることだろう。

この環境における優秀な「熊」の一例として、《アタルカの獣壊し》が挙げられる。3マナ2/2がはびこる環境では、こういったカードがアドバンテージをもたらすだろう。

 また、友好2色の組み合わせが普通になり、成功するアーキタイプになることが予想される。中でも、《よろめくゴブリン》や《ジェスカイの賢者》、《宮殿の使い魔》など、「濫用」の生け贄に役立つカードを多く擁する黒青は、非常に強力な組み合わせになるだろう。

 『運命再編』もまた、開封される順番が3パック目になったことで大きな変化を迎えることになった。昨晩冗談で話していたのだが、私たちは『運命再編』のレアが流される場面を見ることになるかもしれない。「包囲」サイクルや「伝説のドラゴン」サイクルなど、『運命再編』には夢のようなレアがたくさんある。卓のプレイヤーがサインを正確に読み、隣のプレイヤーと色を被らせなければ、強力な『運命再編』のカードが1枚に留まらず2、3枚手に入ることだろう。《城塞の包囲》が4手目で流れてきたら、誰だって喜んで取るだろう。

 2回戦を終えて、プレイヤーたちの多くが黒をやりたいという意見で一致した。黒赤で素早くアグレッシブな戦略がとれると同時に、青黒で「濫用」を中心としたシナジー満載の戦略も狙えるのだ。

 そしてもちろん......龍もゲームに大きな影響を与えている。

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