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マジック25周年記念プロツアー

戦略記事

メタゲームブレイクダウン:レガシー

Corbin Hosler
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2018年8月3日

 

 マジック誕生から25年。2006年以来となるチーム戦プロツアーで、レガシーが初めてプロツアーのフォーマットとして採用された。今この舞台には、週末を通して行われる莫大な賞金の争奪戦に400人を超えるプレイヤーが集っている。

 「マジック25周年記念プロツアー」へようこそ。

 皆さんのご想像の通り、プレイヤーたちは《Underground Sea》や《意志の力》、《不毛の大地》などが広がる戦場に刺激を受け、《死儀礼のシャーマン》と《ギタクシア派の調査》が去った後の幅広いメタゲームを楽しんでいるようだ。

 マジック人生最大のレガシー・トーナメントで、彼らは何を選択したのか? レガシーの舞台でこの週末を戦い抜く165名が織りなす、メタゲームの様相を分析しよう。

アーキタイプ 使用者数 使用率
グリクシス・コントロール 20 12.12%
スニーク・ショー 16 9.70%
エルドラージ・ストンピィ 14 8.48%
デス&タックス 12 7.27%
ティムール・デルバー 11 6.67%
黒赤リアニメイト 9 5.45%
奇跡 9 5.45%
青黒「死の影」 9 5.45%
白青石鍛冶 8 4.85%
エルドラージ・ポスト 7 4.24%
赤単プリズン 7 4.24%
グリクシス・デルバー 6 3.64%
4色ローム 4 2.42%
親和 4 2.42%
感染 4 2.42%
グリクシス「死の影」 3 1.82%
ストーム 3 1.82%
エルフ 2 1.21%
オムニテル 2 1.21%
スゥルタイ・ミッドレンジ 2 1.21%
青赤デルバー 2 1.21%
白青コントロール 2 1.21%
アルーレン 1 0.61%
エスパー・コントロール 1 0.61%
エスパー石鍛冶 1 0.61%
ジェスカイ・コントロール 1 0.61%
土地単 1 0.61%
マーベリック 1 0.61%
マーフォーク 1 0.61%
ターボ・デプス 1 0.61%
青黒リアニメイト 1 0.61%

 デッキ一覧を見るにレガシーには多くの選択肢があり、使用率12%を超えたデッキはない。上位にはコントロールからコンボ、アグロ、テンポ、ランプとあらゆるデッキが存在し、レガシーが愛される理由がわかるというものだ。このフォーマットでは何が起きてもおかしくない。この特別なイベントではなおさらだ。

 上記の表には、主な部分が重複しているデッキがいくつかある。例えば、(モダンではなくレガシーで)9人の使用者を集めた「青黒『死の影』」は、《秘密を掘り下げる者》も採用している。とはいえ、このデッキは《死の影》が持つ「欠点」を活かしてアドバンテージを得るものであり、「グリクシス・デルバー」や「ティムール・デルバー」とは一線を画する。同様に、「リアニメイト」戦略にもわずかながらバリエーションがある。

 それを念頭に置いた上で、もう少し情報をまとめてメタゲーム上位を見てみよう。

アーキタイプ 使用者数
デルバー系 28
グリクシス・コントロール 20
ショーテル系 18
エルドラージ・ストンピィ 14
「死の影」系 12
デス&タックス 12
リアニメイト系 10

 さらに、根本的な部分まで煮詰めてみよう。いくつかのデッキについては、その分類方針を以下に付記する。

  • 「赤単プリズン」は「コントロール」に分類する。
  • 「エルドラージ・ポスト」は「コンボ」に分類する。マナ加速の過程で他にもクリーチャーをプレイするものの、最終的には《絶え間ない飢餓、ウラモグ》までつなぐことを目標にしているからだ。
アーキタイプ 使用者数 使用率
アグロ 63 38.18%
コントロール 56 33.94%
コンボ 46 27.88%

 (少なくともここまで分類すると)プレイヤーたちが理想とするバランスになっていることがわかる。多くのデッキがマッチアップによって異なる動きを可能とするため、世界最高のプレイヤーたちが時間をかけてテストに取り組んだにも関わらず、レガシーのメタゲームは幅広さを保っているのだ。

 今回得られたデータから見えることは他にもある。

  • 「リアニメイト」系では、爆発力を持つ「黒赤」が最も人気を集め、コンボ・デッキで第2位につけた。このデッキは《暴露》で妨害手段から身を守りつつ、早ければ1ターン目に大型クリーチャー(主に《グリセルブランド》)をリアニメイトできる。
  • 「デルバー」系は最大勢力を築いたものの、「最高の形はどれか」という点については大いに意見が分かれることになった。最も人気を集めたのは、「カナディアン・スレッショルド」の再来たる「ティムール・デルバー」だ。《不毛の大地》や《もみ消し》といったカードを用いて対戦相手のマナベースを縛りつつ、《秘密を掘り下げる者》や《敏捷なマングース》での攻撃を続ける形だ。他にも伝統的な「グリクシス・デルバー」を選択した者もいれば、《発展の代価》やその他の火力呪文を採用したよりアグレッシブな形を手にした者もいる。
  • 「フェア・デッキ」も十分な活躍を見せている。「エルドラージ・ストンピィ」と「デス&タックス」は今大会で第3位と第4位の勢力を有するに至った。両デッキとも(《虚空の杯》や《スレイベンの守護者、サリア》をはじめとする)妨害呪文を駆使して対戦相手のゲーム・プランを崩し、クロックを仕掛けていく。
  • 「デス&タックス」のリストで一際目を引くのが《光異種》の存在だ。『バトルボンド』で登場したこのカードは、《霊気の薬瓶》との相性抜群かつ多彩な脅威として、このデッキの新戦力になっている。『バトルボンド』からは他にも《秘儀の職工》が「スニーク・ショー」のサイドボードに居場所を見つけ、よくサイドボーディング後から投入される《封じ込める僧侶》などの対策カードへの対策として使われている。
  • この週末で最も驚くべきは、モダンからやって来た「死の影」系デッキだ。今大会では多くのプレイヤーが1マナ域最大の脅威を使い、革新的な「青黒」の形も登場した。それは予想外の方法で自身のライフを削り落としていくのだが、とりわけ衝撃的なのは《Underground Sea》よりも《湿った墓》の方が多く採用されていることだろう。
  • 他にも多くの戦略が見受けられる。デッキの柱である《師範の占い独楽》を失って長らく雌伏の時を過ごしてきた「奇跡」だが、今大会ではコントロール・デッキで第2位の勢力を誇るに至った。一覧表を見ていくと、「赤単プリズン」や「感染」、「アルーレン」、「マーフォーク」、そして「マーベリック」までさまざまなデッキの姿がある。チーム戦ならではのノイズはあるかもしれないが、レガシーのメタゲームはこれまでと同様に多様性に満ちているようだ。

(Tr. Tetsuya Yabuki)

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RESULTS

対戦結果 順位
最終
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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