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プレイヤーズコンベンション愛知2024
チャンピオンズカップファイナル シーズン2ラウンド3 初日メタゲームブレイクダウン
『サンダー・ジャンクションの無法者』がリリースされて約1ヶ月。スタンダードのローテーション期間が変更されたこともあり、今スタンダードのカードプールは過去最大の13セット(『サンダー・ジャンクションの無法者』ビッグスコアを含めれば14セット)を擁している。かつてスタンダードのローテーション周期が2年だった頃は最大でも8セットだったので、単純計算で使用できるカードの種類が1.5倍になっているということだ。
そんな折に開催される今日のこの「チャンピオンズカップファイナル シーズン2 ラウンド3」は、2021年9月に発売された『イニストラード:真夜中の狩り』以降のスタンダードの総決算と言えようか。まさに現行スタンダード環境のフィナーレを締めくくるにふさわしい、華々しい戦いの舞台だ。
さて、チャンピオンズカップファイナルは2022年から開始された新しいトーナメントの枠組みで、今回の「チャンピオンズカップファイナル シーズン2 ラウンド3」は6回目の開催となる。別名日韓最強決定戦と銘打たれた通り、日韓の各地で開催される予選を勝ち抜いた強豪たちが覇を競うプロマジックへの登竜門だ。この大会で上位18位までに入賞したプレイヤーにはプロツアーへの出場権利が、さらに2位までの2人には競技マジックの最高峰である世界選手権の出場権利が与えられる。
この日、猛者たちはこのスタンダード環境を乗り越えるためにどのようなデッキを選択してきたのか? ここでは本大会のメタゲーム・ブレイクダウンを見ていこう。
チャンピオンズカップファイナル サイクル2 ラウンド3 初日 メタゲームブレイクダウン
デッキタイプ | 使用者数 | 割合 |
---|---|---|
エスパー・ミッドレンジ | 40 | 16.3% |
ボロス召集 | 35 | 14.2% |
版図ランプ | 25 | 10.2% |
アゾリウス・コントロール | 24 | 9.8% |
ティムール・アナリスト | 20 | 8.1% |
赤単アグロ | 14 | 5.7% |
ディミーア・コントロール | 12 | 4.9% |
4色レジェンズ | 11 | 4.5% |
ゴルガリ・ミッドレンジ | 11 | 4.5% |
ディミーア・ミッドレンジ | 11 | 4.5% |
バント毒性 | 11 | 4.5% |
グルール・アグロ | 4 | 1.6% |
エスパー・レジェンズ | 3 | 1.2% |
オルゾフ・ミッドレンジ | 2 | 0.8% |
ジェスカイ・コントロール | 2 | 0.8% |
スゥルタイ・ミッドレンジ | 2 | 0.8% |
スゥルタイ・リアニメイト | 2 | 0.8% |
(使用者1名) | 17 | 6.9% |
合計 | 246 | - |
※締切後登録者およびラストチャンストライアル通過者は集計に含まれていません。
※アーキタイプ分類はプレイヤーの申告に基づくものです。
エスパー・ミッドレンジ 40名(使用率16.3%)
4 《不穏な投錨地》 3 《地底の大河》 3 《秘密の中庭》 3 《闇滑りの岸》 2 《コイロスの洞窟》 2 《さびれた浜》 2 《ラフィーンの塔》 2 《砕かれた聖域》 1 《天上都市、大田原》 1 《島》 1 《平地》 1 《皇国の地、永岩城》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 -土地(26)- 4 《大洞窟のコウモリ》 4 《策謀の予見者、ラフィーン》 2 《腐食の荒馬》 2 《敬虔な新米、デニック》 2 《フェアリーの黒幕》 1 《最深の裏切り、アクロゾズ》 1 《ティシャーナの潮縛り》 1 《復活したアーテイ》 -クリーチャー(17)- |
4 《婚礼の発表》 2 《忠義の徳目》 4 《喝破》 4 《喉首狙い》 2 《切り崩し》 1 《放浪皇》 -呪文(17)- |
4 《害獣駆除》 2 《同化の神盾》 2 《強迫》 2 《未認可霊柩車》 2 《第三の道のロラン》 2 《軽蔑的な一撃》 1 《ティシャーナの潮縛り》 -サイドボード(15)- |
最大勢力となったのはエスパー・ミッドレンジだ。令和の《潮の虚ろの漕ぎ手》こと《大洞窟のコウモリ》や、2マナ2/1飛行瞬速になぜかメリット能力まで書かれている《フェアリーの黒幕》といった優秀な軽量クリーチャーを《策謀の予見者、ラフィーン》で強化するビートダウンデッキである。
クリーチャーデッキでありながら《復活したアーテイ》や《ティシャーナの潮縛り》といったインタラクション(対戦相手への干渉・介入手段)も多い攻防一体のデッキで、『サンダー・ジャンクションの無法者』では新たに《腐食の荒馬》というアドバンテージエンジンも手に入れた。
シナジー要素はそれほど強くないが1枚1枚のカードパワーが高く、対戦相手にプレッシャーをかけながら柔軟な立ち回りも可能なエスパー・ミッドレンジは間違いなく現環境で最善の選択肢の一つであることは間違いない。強いて懸念点を挙げるなら、大量のカードが存在する現在のカードプールでは「デッキが強い」というのは大前提であり、他のデッキも負けず劣らず高いデッキパワーを持ち合わせているということだろうか。
ボロス召集 35名(使用率14.2%)
4 《感動的な眺望所》 4 《戦場の鍛冶場》 3 《反逆のるつぼ、霜剣山》 3 《平地》 3 《魂の洞窟》 2 《山》 2 《皇国の地、永岩城》 1 《ミレックス》 -土地(22)- 4 《イモデーンの徴募兵》 4 《ひよっこ捜査員》 4 《内なる空の管理人》 4 《イーオスの遍歴の騎士》 4 《ヴォルダーレンの美食家》 4 《毅然たる援軍》 2 《養育するピクシー》 -クリーチャー(26)- |
4 《門道急行の事件》 4 《戦導者の号令》 4 《上機嫌の解体》 -呪文(12)- |
4 《ゴバカーンへの侵攻》 4 《ウラブラスクの溶鉱炉》 3 《石術の連射》 2 《失せろ》 1 《痛烈な一撃》 1 《祭典壊し》 -サイドボード(15)- |
メタゲームブレイクダウンで2位につけたのはボロス召集だ。環境最速を誇るアグロデッキで、中~低速デッキがうっかり除去のない手札をキープしようものなら一瞬でゲームセットを狙うことができる。
この手のアグロデッキは"速さ"という鋭角な強みと引き換えに中~長期戦では息切れしてしまうものだが、ボロス召集は《イーオスの遍歴の騎士》による手札補充もでき、「血・トークン」や「手がかり・トークン」で手札を整えることもできるため、弱点を補強している。
また、古き良き全体強化エンチャントの令和版である《戦導者の号令》はその誘発型能力によって残り数点のライフを詰めることも可能で、絶対に対戦相手に楽をさせない布陣を敷いている。わずか1マナで横展開が可能な《上機嫌の解体》とは相性がいいどころかちょっとしたコンボとさえ言える。
『サンダー・ジャンクションの無法者』の新カードとして、マナベースに《感動的な眺望所》が入ったことも重要だ。地味なアップデートに見えるかもしれないが、1ターン目に《ひよっこ捜査員》か《ヴォルダーレンの美食家》、《内なる空の管理人》のいずれかをプレイしたいこのデッキでは序盤から白マナも赤マナもしっかり要求される。《上機嫌の解体》までプレイしたいと思えばなおさらだ。
過去のスタンダードを見渡してみてもここまで完成度の高いアグロデッキにはそうそうお目にかかることはないが、その強さゆえにどのデッキも必ず何らかのボロス召集への対策(全体除去など)をサイドボードに組み込んでいる。果たして今大会ではそれらの対策を乗り越えていけるだろうか?
ティムール・アナリスト 20名(使用率8.1%)
7 《島》 6 《森》 4 《山》 4 《斡旋屋一家の潜伏先》 4 《舞台座一家の中庭》 4 《貴顕廊一家の劇場》 1 《土建組一家の監督所》 -土地(30)- 4 《事件現場の分析者》 4 《復活した精霊信者、ニッサ》 1 《好奇心の神童、ケラン》 1 《樹海の幻想家、しげ樹》 -クリーチャー(10)- |
3 《強靭の徳目》 2 《洞窟探検》 4 《間の悪い爆発》 2 《世界魂の憤怒》 1 《ドッペルギャング》 4 《記憶の氾濫》 2 《勝利の炎》 1 《削剥》 1 《感電の反復》 -呪文(20)- |
2 《乱伐者、ボニー・ポール》 2 《毒を選べ》 2 《否認》 2 《吸血鬼の復讐》 2 《掘り返し》 1 《三歩先》 1 《削剥》 1 《沈黙を破る者、スラーン》 1 《産業のタイタン》 1 《腹音鳴らしとフブルスプ》 -サイドボード(15)- |
メタゲームブレイクダウンでは5番手となっているが、個人的に注目しているデッキが「ティムール・アナリスト」だ。現行スタンダードでは唯一といってもよい特化コンボデッキである。
《斡旋屋一家の潜伏先》や《舞台座一家の中庭》といったフェッチランドを大量に採用しており、これらを使って墓地に土地を溜めて《事件現場の分析者》や《見事な再生》で一気にマナを加速するデッキだ。大量マナを獲得したあとは《強靭の徳目》+《世界魂の憤怒》で特大ダメージを与えてゲームセットを狙う。
もちろんこれは単なるおもしろデッキではなく、プロツアー『サンダー・ジャンクション』でトップ8に入賞したショーン・ゴダードも使用した実績のあるデッキだ。性質上墓地対策や打ち消し呪文には弱いが、サイドボード後には《沈黙を破る者、スラーン》のような強力なクリーチャーや、マナ加速から《産業のタイタン》を叩きつけるプランにも移行できる。
コンボデッキ特有の強みとして、通常のビートダウンやコントロールとはまったく異なるゲームプランを取るために無対策の相手や対策カードを引けていない相手に対してイージーウィンを狙えることが挙げられる。今大会でもメタゲームの間隙を縫って見事勝ち進むことができるか?
1年2ヶ月ぶりに開催されるスタンダードでのチャンピオンズカップファイナル。メタゲームには大きな偏りはなく、どのデッキも異なる強みを持っているためどのデッキが勝ってもおかしくはないだろう。ここでは紹介しきれなかったが、プロツアー『サンダー・ジャンクション』優勝者である井川 良彦がプレイしていた版図・ランプや、《謎めいた命令》を彷彿させる新たな打ち消し呪文《三歩先》を用いるアゾリウス・コントロールにも注目だ。
今大会の結果を受けてローテーション前の現行環境は"総決算"を迎えることとなろう。果たして歴代最大のカードプール擁するスタンダードの最強デッキは何になるのか? 今後の本大会のゆくえからも目が離せない。
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