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プレイヤーズコンベンション愛知2023

観戦記事

決勝:細川 侑也(東京) vs. 増門 健太(新潟) 〜存在の証明〜

Hiroshi Okubo


 チャンピオンズカップファイナル。

 日韓地域共同のリージョンプログラムとして開催される本イベントは、エリア予選やプレミアム予選を勝ち抜いたプレイヤーだけが参加できる招待制の大会であり、その目玉はなんといっても上位のトーナメントであるプロツアーや世界選手権の出場権利を得られることだ。

 いわば競技プレイヤーからプロプレイヤーへの登竜門。そういう意味では、この大会もまた予選の延長のような位置づけと捉えるプレイヤーもいるだろう。そして、そうした観点で見ると、決勝の舞台に立った上位2名のプレイヤーはその時点で最高峰の競技イベントである世界選手権出場の切符を手にすることになるため、すでに競技プレイヤーとしての本懐を成し遂げていると言えなくもない。

 だからこれから行われるこの戦いに、深い意味などないのかもしれない。

 負けたって何も失うことはない。優勝賞金は惜しいかもしれないが、一番の望みはもう叶っているから。

 それでも筆者は、これまで何度もこのチャンピオンズカップファイナルの決勝の舞台でカバレージをとってきたが、勝敗に拘泥しないプレイヤーとは出会ったことがない。

 マジックプレイヤーとして。勝利を渇望し、そのために絶え間なく研鑽を積んできた一人の人間として。自分が最強であることを証明するためだけに。その日を特別な一日にするためだけに。

 眼前の相手に勝つこと。彼らは、それが最も自身の魂を喜ばせる方法であることを知っているから。

 そんな決勝の舞台へ、矜持を賭してテーブルに着く2名のプレイヤーをご紹介しよう。

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 増門 健太(新潟)。

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増門 健太(新潟)
 

 新潟のマジックコミュニティ「Onogames」の一人として、3度のグランプリ準優勝経験を持つ木原 惇希The Finlas 2018優勝者である渡邊 崇憲といった仲間たちと日々腕を磨く競技プレイヤーだ。

 草の根レベルの大会ではたびたびトップ8に入賞している増門だったが、今年3月に横浜で開催されたチャンピオンズカップファイナル サイクル2にて、念願の「プレミアイベントでのプレイオフ進出」を自身の戦績に加えることとなった。

 本人の飄々とした言動から、言葉の真意は測りかねるが「飛行機が怖い」ため世界選手権は国内で開催された場合のみ出場しようと考えているようだ。しかし、だからといって勝利への欲求がないわけではない。むしろ、世界選手権の権利にさえ拘泥しないからこそ、そこにあるのは純粋な闘志のみなのだ。

 試合が始まる前、そんな増門に決勝の意気込みを聞くと、曇りのない眼で「おっきいトロフィー家に飾りたい」とはっきりと答えてくれた。そっか……おっきいトロフィー持ち帰れるといいね……!

 使用デッキは「ジャンド《異形化》」。《エシカの戦車》や《鏡割りの寓話》といったトークン生成カードと《異形化》を組み合わせることで確実に《偉大なる統一者、アトラクサ》を探すことができるコンボデッキでありながら、それぞれのカードパワーも高く「ラクドス・ミッドレンジ」のようなゴリ押し戦術も可能なデッキだ。増門はエリア予選からずっとこのデッキを使い続けており、デッキの練度は他の追随を許さない。

 増門に対峙するのは細川 侑也(東京)。

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細川 侑也(東京)
 

 個人的な話になるが、筆者もカバレージライターの末席を汚す者として、これまでに様々な競技プレイヤーのカバレージを取り上げてきた。中でも細川とは縁が深く、彼のプレミアイベントでの決勝のカバレージを取るのはこれで3回目となる。そして、そんな細川は未だ一度としてタイトルを獲得したことがない。

 つまり、2度とも優勝の栄冠を目前にしながら膝を折ってきたということだ。しかし、それでも細川は自らの武器をさらに先鋭化させ、己が実力を証明するために何度も立ち上がってこの決勝のテーブルへと辿り着いてきた。

 細川がどれだけタイトルを渇望しているかはよく見てきたつもりだ。言うまでもなく「世界選手権の権利が手に入った」というだけで満足することはないだろう。あと欲しいものはタイトルだけ。その渇きは、今日癒やされるのか。

 使用デッキは細川の代名詞とも言える「アゾリウス・コントロール」だ。チャンピオンズカップファイナルのシーズン3では「アゾリウス・ロータス」を使用して18位に入賞しており、パイオニアでは何かとアゾリウス系のコントロールデッキを使用していることが多い。元々デッキビルダーとしての側面もある細川は気に入ったデッキやコンボを環境に即して調整していく技術にも長けており、今大会でも「発見コンボ」系のデッキが台頭することを見越してサイドボードなどに絶妙な調整を加えて見事にここまで勝利を積み重ねてきた。

 細川と増門。両者ともに強豪として名の通ったプレイヤーだが、未だタイトルはない。

 だからこそ、今宵2人は本気で戦う。

 己が何者であるかを証明するために。

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細川 侑也(東京) vs. 増門 健太(新潟)
 

ゲーム1

 先行の増門がまずは《強迫》で細川の手札を確認する。打ち消しの《方程式の改変》と《吸収》、除去の《失せろ》、アドバンテージ源の《記憶の氾濫》と《サメ台風》……と何でも揃った手札からじっくりと考えこみながら《サメ台風》を落とす。土地が2枚しかないことを受けて、軽量ドローを封じる算段か。

 増門はさらに続くターンに《勢団の銀行破り》。「アゾリウス・コントロール」が得意とするカードアドバンテージの綱引きにおいても負けないという姿勢を見せる。

 対する細川は引き込んだ2枚目の《サメ台風》を「X=0」でサイクリングし、手札を整えに行くが……なんと3枚目の土地を置けず。細川が痺れている間に増門は《勢団の銀行破り》でドローを進め、《急使の手提げ鞄》をプレイしてトークンを出す。

 2枚目の《サメ台風》を使ってようやく3枚目の土地に辿り着いた細川。だが、引いたのは《廃墟の地》。色マナが出ないことを苦慮してか、細川はこの《廃墟の地》を使って増門の土地と自身の《廃墟の地》をそれぞれ基本土地へと変換する。

 細川の展開がやや遅れている間に増門は《勢団の銀行破り》のカウンターを使い切っており、操縦士トークンを得た。そしてこのトークンが《勢団の銀行破り》に乗り込むと、さっそく細川に攻撃を開始。細川の残りライフは13となる。

 さらに増門はデッキに1枚だけ採用されている《ミレックス》をセット。細川のさきほどの《廃墟の地》起動が裏目に出てしまう。これで増門は細川にいつ《至高の評決》を打たれた場合でもトークンを生成することができ、《異形化》の餌を用意することができる。

 そしてなおも増門の攻撃は続く。《思考囲い》で細川の手札を見るとそこにあった《放浪皇》を捨てさせ、《異形化》をプレイして細川の手札の《吸収》を使わせる。

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増門 健太(新潟)
 

 《吸収》によって3点ライフを得た細川だが、増門の盤面には操縦士と人間とファイレクシアン・ダニトークンという3種のトークンが並び、これらの攻撃が止まらないためライフは着実に削られていく。さらに増門は《エシカの戦車》までをも叩きつけ、細川はこれに渋い顔をしながら「……出ました!」と通すことを宣言する。

 依然厳しい展開が続く細川は手札に溜まっている《記憶の氾濫》で巻き返しを図り、《至高の評決》で盤面を流す。残るライフは7。土地が止まってアクションが制限されている間にライフは危険域に達していた。

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細川 侑也(東京)
 

 返す増門は《思考囲い》をプレイ。細川の手札から《吸収》を抜き去って、《至高の評決》の返しのタップアウトの隙を突いた素出し《偉大なる統一者、アトラクサ》!リソースも十分に確保し、細川へと止めを刺しに迫る。

 絶対に排除しなくてはならない脅威の登場に細川は苦しい展開だ。まずは攻撃してきた《偉大なる統一者、アトラクサ》を《天上都市、大田原》で手札に戻すも、ならばと増門は《鏡割りの寓話》をプレイし、ゴブリン・トークンを餌に《異形化》。

 2ターン連続となる《偉大なる統一者、アトラクサ》の降臨に細川はもはや対応不能だった。そもそもこれを処理したところで増門の手札にはまだもう1枚《偉大なる統一者、アトラクサ》がおり、リソースも脅威も十分なのだ。これ以上はゲームを続けられまいと、細川は第1ゲームで膝を屈することとなった。

細川 1−0 増門
 

ゲーム2

 先攻の細川。力強くキープを宣言するとまずはタップインを処理する滑り出し。対する増門も第1ゲーム同様《思考囲い》から動き出し、細川の手札である《ドミナリアの英雄、テフェリー》と《方程式の改変》と《吸収》の中から《吸収》を捨てさせる。

 2ターン目は互いに睨み合って終えると、3ターン目に増門が《鏡割りの寓話》。これに細川は《吸収》で対応するが、増門は続くターンに《強迫》と《真っ白》を連打!

 《強迫》には《即時却下》で応じた細川だったが《真っ白》が通ることとなり、着実にリソースが削られていく。だが、これにも動じることなく返す自身のターンのメインステップに《記憶の氾濫》で手札を補充し5枚目の土地を置く。

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増門 健太(新潟)
 

 が、細川がメインステップに動いたことが仇となる。隙を突いた増門は《大いなる創造者、カーン》をプレイし、その[−2]能力で《真髄の針》を探し出すや、すぐにプレイして《ドミナリアの英雄、テフェリー》を指定する。最初のターンの《思考囲い》で見えていたこともあり、的確な指定に細川の手札がまた1枚機能不全となる。

 また、続くターンには再びの[−2]能力で《双弾の狙撃手》を手札に加えて細川が《放浪皇》をプレイすれば即座に落としに行く姿勢を見せる。細川の手札に《放浪皇》があることを増門は知らないが、見えている情報はもちろん見えていない情報もケアする丁寧なプレイだ。

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細川 侑也(東京)
 

 苦しい展開の続く細川だったが、増門の《エシカの戦車》は《方程式の改変》で打ち消し、ターン終了時には《放浪皇》をプレイしてトークンを生成。《放浪皇》自体はさきほど《大いなる創造者、カーン》の能力によって手札に加えられた《双弾の狙撃手》のダメージが入ることで落とされてしまうが、生成したトークンで《大いなる創造者、カーン》へ攻撃を行い、まずは増門のプレインズウォーカーを破壊する。

 一進一退の攻防の中で互いに手札は着実に減っている。どちらが先に対戦相手に対する脅威を引き込めるかという展開の中で、先に動いたのはまたしても増門だった。《エシカの戦車》をプレイし戦場に猫トークンたちが登場する。

 返す細川もまた負けてはいない。《ドミナリアの英雄、テフェリー》が無力化されてしまい勝ち手段が減ってしまっているが、ここで起死回生の《サメ台風》を引き込む。返す増門が《湧き出る源、ジェガンサ》をプレイしつつ《エシカの戦車》に登場して攻撃をしかけてきたところでこれを「X=4」でサイクリングし、猫トークンのうち1体を討ち取った。

 これによって細川のライフは17となってしまうが、《吸収》でライフを回復していることと増門が《思考囲い》でライフを失っていることでライフレースは細川が有利だ。サメトークンと侍トークンの2体で6点クロックを刻み、増門のライフを9まで減らす。

 臨むところとばかりに増門は猫2体を搭乗させて《エシカの戦車》で戦闘宣言を行おうとすると、細川は《失せろ》で《エシカの戦車》を除去。これで細川は当座の脅威を払うことに成功し、サメトークンが自由に空を駆けて増門のライフを詰めていった。

 こうなると苦しいのは増門だ。やむなしに《湧き出る源、ジェガンサ》で攻撃してライフレースを再開するが、細川のライフが13なのに対して増門のライフは5。4/4のサメの攻撃を耐えられる猶予はもう2ターンしか残されていない。細川は一度握ったこのペースを逃すまいとさらに《記憶の氾濫》をフラッシュバックして《失せろ》と《ドビンの拒否権》という強力な2枚の手札を手に入れる。

 細川に安易にゲームを掌握させはしまいと腐心していた増門だったが、妨害カードを多く引いた分ライフにプレッシャーをかけられるカードを引けなかった。対する細川も手札がボロボロにされていく中でわずかな勝機を見出して無駄に猶予ターンを与えることなく増門のライフを削りきった。この高度なマウント合戦を制したのは、ここぞというときの勝負強さを魅せた細川だった。

細川 1−1 増門
 

ゲーム3

 先攻の増門は《勢団の銀行破り》からスタートする。ゲーム1では《勢団の銀行破り》がもたらす莫大なカード・アドバンテージにより強烈なマウントを取っていたが、まさにその再現となってしまうのだろうか。

 ドローゴーを繰り返す細川に対し、増門は焦ることなく着実に手札を蓄えながら《入念な栽培》でトークンを得てから《思考囲い》で細川の手札を狙う。これには細川の《方程式の改変》が刺さるが、1対1交換をしてくれる分には《勢団の銀行破り》でリソースに差をつけている増門も悪くない展開だ。

 やがて3度目の《勢団の銀行破り》起動によって増門は操縦士トークンを得ると、2度目の《思考囲い》で細川の手札から《記憶の氾濫》を抜く。さらに《急使の手提げ鞄》でトークンを出して盤面を横に広げ、操縦士トークンが登場した《勢団の銀行破り》で攻撃を行う。

 盤面に脅威さえ送り込めたなら、ここから増門がやることは一つ。細川のコントロール戦略を妨害しつつ、素早く細川のライフを削ることだ。まずは妨害として《真っ白》を打ち込むが、これは細川の《ドビンの拒否権》が刺さる。

 対する細川は増門にこのまままっすぐ走らせるわけにはいかないが、しかし増門の勢いはまだまだ止まらない。ここまでに《急使の手提げ鞄》のマナ加速もあり、十分にマナを蓄えた増門はさらに《偉大なる統一者、アトラクサ》を叩きつける!

 細川は《記憶の氾濫》をプレイして打ち消しを探しにいくが、デッキトップ4枚の中に《偉大なる統一者、アトラクサ》を打ち消せる呪文はなく、これが通ってしまう。《強迫》や《エシカの戦車》といったカードが手札に加わっていくのを見て命のロウソクが勢いよく燃え上がる気配を感じつつ、細川は深く息をついた。

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増門 健太(新潟)
 

 続くコンバットステップに細川はかろうじて《勢団の銀行破り》に《失せろ》を合わせることができたが、増門は続くターンに《偉大なる統一者、アトラクサ》で攻撃しながら《エシカの戦車》をプレイ。もはや勝利は目前だった。

細川「もう、ラス(《至高の評決》)待ちです笑」

 乾いた笑いを浮かべながら《記憶の氾濫》をフラッシュバックする細川。めくった7枚の中からなんとか《至高の評決》に辿り着き、増門の盤面を一掃するが、細川の残りライフはすでに4まで減らされている。さらに増門の盤面には《エシカの戦車》も残されているためもはや天秤は増門に大きく傾いていた。

 しかし、それでも。増門が《急使の手提げ鞄》をプレイすると、細川もそれに《吸収》を合わせ、かろうじて残りライフを回復する。増門の《エシカの戦車》にやはりまた《吸収》。細川が起動した《不穏な投錨地》に《致命的な一押し》をプレイされればそれもさらに《吸収》と、3回連続の《吸収》でライフを繋ぎ、賢明にゲームを伸ばそうと細川が必死の抵抗を見せる。

 だが、細川の抵抗もいつまでもは続かない。増門は相棒である《湧き出る源、ジェガンサ》をプレイして《エシカの戦車》に搭乗。そのままクリーチャーを全軍攻撃させる。細川は《サメ台風》でブロッカーを用意しつつ《エシカの戦車》のアタックには《皇国の地、永岩城》で対応するが、着実に追い詰められている。

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細川 侑也(東京)
 

 1対1交換を繰り返す展開になれば、《失せろ》によって生成された地図トークンで「探検」をしたり《偉大なる統一者、アトラクサ》のもたらしたアドバンテージの恩恵を受けている増門が優位だ。それはもちろん、細川にもわかっている。だからいずれ、その時がやってくる──

 増門の容赦ない猛攻に、細川が「参りました」と苦しげな声を上げる時が。

細川 1−2 増門

 「これで何回3没(決勝戦で敗退すること)してんだよ俺ー!!!」試合の緊張が切れ、細川が雄叫びを上げる。口調こそ明るかったが、そこには隠しきれない悔しさがにじみ出ていた。

 チャンピオンズカップファイナルの決勝戦。この戦いに懸かっているものは、幾ばくかの賞金の差と栄冠しかない。その栄冠を目の前にしながら、あと一つが勝ちきれない悔しさ。それは間違いなく当事者にしか分かるまい。

 トーナメントが終わり、ジャッジによる表彰式とカメラマンによるトロフィーショットの撮影が行われる。増門は「世界選手権の権利よりも嬉しい」と歯を見せながら、欲しいと言っていた"おっきいトロフィー"を片手に写真を撮影され、その後カバレージブースの中で公式生放送のインタビューに呼ばれていった。増門の仲間たち、「Onogames」のメンバーも、そんな増門を囲んで祝福していた。



 

 さて、普段記事に書かれることはないが、公式放送にも呼ばれ、インタビュー記事も掲載される華々しい優勝者に対し、準優勝者は表彰式が終わったらすぐ解散である。ギャラリーも帰ってしまい、ジャッジやスタッフも撤収準備を進める中で、準優勝者もまた"撤収"することになるのである。

 細川もまた、表彰式が終わると放送席に向かう増門の背中を見送って帰路につこうとしていた。そんな細川に、Onogamesの木原 惇希が声をかけた。

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木原「3没って一番悔しいよね」

細川「それな。マジでタイトルほしかったわ」

 木原もまた、過去にグランプリで3度準優勝している。つまり、決勝で3回負けている。誰もが知る強豪プレイヤーだが、実は彼もまた未だタイトルは獲得できていないのだ。だからこそ、細川の悔しさを理解できる。そして、またこれからも前を向けることを知っている。自分自身がそうであったように、細川がこの悔しさをさらなる武器に変換できる日がくることを。

 これはいわば栄誉しか懸かっていない戦い。だからこそ、誰もが等しく最も純粋に勝利を目指す。自らの欲するところを実現するため。

 彼らはきっとこれからも戦い続ける。

 己が何者であるかを証明するために。

 そして、この戦いの勝者となった者──244名の参加者の頂点に立ち、その誰もが欲したタイトルを獲得した名誉あるプレイヤーの名前をここに刻もう。

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 チャンピオンズカップファイナル シーズン2ラウンド1、優勝は増門 健太!!

 おめでとう!!

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