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EVENT COVERAGE
マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2015
「PAX Prime2015」特派員記事:シアトルの街に隠されたマジックの秘密を探し出せ!
by 堀川優一(文・写真)水鳥あひる(写真・イラスト)アノアデザイン
私は、マジックの産まれ故郷シアトルで、ある噂を耳にしました。それは『この街のどこかに、マジックの秘密が隠されている」という情報。一体どんな秘密が、この街に隠されているのでしょうか...?!
その秘密を調査すべく、我ら特派員たちは早速シアトルの街に繰り出すのでした。
私たちは、まずは「ライド・ザ・ダック」と呼ばれる水陸両用バスで、シアトルの街を陸と水上から調査すべくこれへ乗り込みました。
乗り込んだ水陸両用バスは、陽気な音楽とともに、シアトル市内の道路を周ります。
街の中には、謎のアーティファクト・クリーチャー・クラーケンがいました。
水陸両用バスは、道路からタイヤのまま水上へ。思ったよりも車体が沈んでいたので、「大丈夫なのかこれ?」と一瞬ハラハラしたのは、内緒です。
地上と水上から調査した私たちでしたが、マジックの秘密は特になさそうです。続いて私たちは、シアトルのランドマークである「スペース・ニードル・タワー」近辺を次の調査場所に定めたのでした。
ライド・ザ・ダックの降り場から、歩くこと数分。スペース・ニードル・タワーに近づいてみると、近くに「チフリ・ガーデン・アンド・グラス」という怪しげな建物を発見します。
チフリ・ガーデンの中に入ると、私たちを待ち受けていたのは、謎の青白く輝く物体。何か、いやな予感を感じながらも私たちは、チフリ・ガーデンの奥へと進みます。
すると、私たちの目の前に現れたのは、エルドラージに侵略されたかのような巨大なガラスのオブジェ。こ、こんな所にも、『戦乱のゼンディカー』の影響が!? 巨大なエルドラージを目の前になすすべもない私たちは、足早にチフリ・ガーデンを後にし、次に目星を付けていた、EMPミュージアムへと歩を進めるのでした。
EMPミュージアムとは、ロックミュージックやサイエンスフィクション(SF)、ポップカルチャーに焦点を当てた美術館です。大衆文化(ポップカルチャー)......ここシアトルが発祥のマジックは、確かに大衆文化と言えるのかもしれません。
私たちは、淡い期待を胸に、EMPミュージアムの中へと入ります。EMPミュージアム内を調査していると、なにやら、マジックの香りがやんわりとする空間を発見。
どうやら、ここはファンタジー文化の展示コーナーらしい。マジックと言えばファンタジー、ファンタジーと言えばマジックと言えるほど、ファンタジーとマジックは切っても切り離せない存在。マジックの秘密はここにあるに違いない!そう確信した私たちは、さらに奥へ奥へ進んでいきます。
次の展示室へ入ると、そこには檻に囚われたドラゴンが、目を光らせていました。ドラゴンと言えば、ファンタジーでは財宝を守っている存在。ドラゴンの登場は、財宝に近づいている証拠。
ドラゴンの檻を抜けると、私たちの前に現れたのは、額に飾られた、マジックのアート達でした。ドラゴンが守っていた財宝は、どうやらこれだったようです。
額に入れられたマジックのイラスト達は、いつものカードのイラストというよりは、美術的な絵画のような雰囲気でした。しかし、このファンタジー文化の展示コーナーの道は、まだ奥へと続いています。これ以上、一体何があるというのでしょうか?
そこには、ファンタジー界の巨匠たちの展示スペースがありました。
「ロード・オブ・ザ・リング」で有名なJ・R・R・トールキンと並んで展示されているのは、我らがリチャード・ガーフィールド氏のパネルです。
リチャード・ガーフィールド氏といえば、皆さんご存知マジックの産みの親、そう我らのビッグボスです。そんな、彼のパネルがあるのだから、ここには、何かマジックの秘密があるに違いない!!
私は、はやる気持ちを抑えつつ、その展示物を覗き込みます。
そこには、私たちの見慣れたマジックのカードに混ざって、何か見たことがない白いカードが展示されていました。
そこには、私の子供の頃の憧れのカード、《シヴ山のドラゴン》が。その隣には、見慣れない〈Dragon〉のカードがあります。そのカードは、かなり古く、絵の下には消え入りそうな文字で、
飛行 赤1を払うと攻撃を+1する
と書かれていました。どうやら、このカードは、ガーフィールド氏がマジックを初期デザインした時に作ったカードのようです。ドラゴンや赤いクリーチャーに今もある、通称「火吹き」と呼ばれる「赤マナを払うことで、パワーを増加させる」能力は、このころからすでに出来上がっていたようです。
これは、《セラの天使》の原型と思われる天使のクリーチャー。マナコスト以外の能力は今のデザインと変わりないのがわかります。
これは、《黒騎士》のモデルですね。能力欄の字がかなり読みづらいですが、能力もかなり近いです。
こちらは、《大蜘蛛》のモデル。能力には、「飛行のクリーチャーをブロックすることができる」と書かれています。マナ・コスト以外に違いはありません。途中、調整したのか、青いペンで「2/2」や「2/6」と書かれているのが、開発中の試行錯誤を感じます。
青のバニラ・クリーチャーの代表、《真珠三叉矛の人魚》。この頃から、青は、クリーチャーよりも呪文を重視するようなデベロップがされていたのでしょうか? ここには、他にもマジックのカードが展示されていました。
多言語のカードたち。日本語は、《イニストラードの君主、ソリン》でした。今は世界を代表するカードゲームとなったマジックですが、スタートは白い紙に印刷された1枚のカードからだったんですね。
ここに展示されていた白いカードがなければ、私たちがマジックをすることはなかったのかもしれないと思うと、リチャード・ガーフィールド氏をはじめ多くの人々が関わり、作りあげ、今のマジックがあるのだなと、長い歴史を感じました。
こうして、私たちはマジックの元となった元祖のカードを発見し、シアトルの街に隠されたマジックの秘密を発見したのでした。さて、この事件はここでおしまい、おしまい......
「キャー!!!」
......どうやら、まだまだシアトルにはマジックの秘密がありそうですね。それでは次回もまた、お会いしましょう。
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