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マジック・スポットライト:FINAL FANTASY

戦略記事

デッキテク:白木 龍矢(山口県)の「ナヤ《スピラの希望、ユウナ》」 ~好きをデッキに~

富澤 洋平(撮影者:瀬尾 亜沙子/堀川 優一)


 「マジック・スポットライト:FINAL FANTASY」(以下、マジック・スポットライト)は5回戦を消化し、ちょうど折り返し地点。残るはちょうど5回戦となっている。

 ここまで順当に勝ち進んできたプレイヤーには、2日目の背中が見え始めたところだろうか。初日通過ラインとされる3敗以内を目指して貪欲に勝ち星を積み重ねていく。

 対戦テーブルに目を向けると、上位卓付近に珍しいデッキを使用するプレイヤーがいた。白木 龍矢(山口県)である。普段はドラグーン周南でマジックでマジックに興じる彼が手にしていたのはランプだが流行の版図とは違う、ナヤカラーのランプ戦略。

 

 しかもただのランプに非ず、何と《スピラの希望、ユウナ》をフィーチャーしたデッキだというのだ。『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』で登場した伝説のクリーチャーとエンチャントを中心に、デッキが構築されているようなのだ。

 だとすれば話を聞かずばいられまい。早速、インタビューを実施した。

白木 龍矢 - 「ナヤ《スピラの希望、ユウナ》」
マジック・スポットライト:FINAL FANTASY / スタンダード(2025年6月28~29日)[MO] [ARENA]
4 《草萌ゆる玄関
3 《
1 《
2 《ソーンスパイアの境界
4 《ハッシュウッドの境界
2 《商業地区
2 《平地
1 《カープルーザンの森
2 《銅線の地溝
1 《剃刀境の茂み
3 《サンビロウの境界
-土地(25)-

4 《ボイラービルジの大主
1 《跳ねる春、ベーザ
3 《ホーントウッドの大主
4 《逸失への恐怖
1 《魔導戦士、ティナ
1 《フェニックスのドミナント、ジョシュア
4 《スピラの希望、ユウナ
3 《召喚:フェンリル
1 《召喚:ナイツオブラウンド
-クリーチャー(22)-
3 《塔の点火
3 《失せろ
3 《幻獣との交わり
1 《審判の日
1 《稲妻のらせん
2 《一時的封鎖
-呪文(13)-
3 《真昼の決闘
3 《豆の木をのぼれ
2 《除霊用掃除機
1 《別行動
1 《領事の権限
3 《受け継ぎし地の開墾
2 《勝利の楽士
-サイドボード(15)-

 

ナヤ《スピラの希望、ユウナ》とは

──「ナヤ《スピラの希望、ユウナ》とはどんなデッキでしょうか」

 

白木「ナヤ《スピラの希望、ユウナ》は除去カードを使ってゲームをスローダウンさせ、デッキ名にもなっている《スピラの希望、ユウナ》で攻守を入れ替えていくミッドレンジタイプのデッキです。特に《ボイラービルジの大主》をリアニメイトすれば、誘発型能力と戦闘でライフレースを大きくリードできます」

白木「環境的に《一時的封鎖》のある白が強いと思っています。単体除去と組み合わせることでイゼット対して有利がとれるかなと。それとスピラの希望、ユウナ》が好きなんです

──「好きなカードを使えるのも構築戦の醍醐味ですね」

デッキ詳細

──「このデッキはどのようにして構築されたのでしょうか」

 

白木「ベースは友人であるヒロナカさんが構築したものです。自分は細部を調整していまして。メインの単体除去の枚数、《一時的封鎖》と《豆の木をのぼれ》の入れ替えなど対アグロデッキを意識した構築にしました」

──「デッキの強みや特徴としてはどんな点があげられますか」

 

白木「基本軸は《ホーントウッドの大主》と《召喚:フェンリル》を使ったランプ戦略です。《召喚:フェンリル》はマナを伸ばす以外にもブロッカーとしての役割があります。序盤に出たクリーチャーと相打って、《スピラの希望、ユウナ》で回収できる燻し銀なカードです」

──「同じ英雄譚では《召喚:ナイツオブラウンド》も採用されていますが、そちらはいかでしょうか」

 

白木カッコいいカードなんですが、《召喚:バハムート》の方が良かったかもと思っています。どちらもマナ総量が8、9と重いため、少しでも軽いカードを選択したのですが、先ほどの対戦では《召喚:バハムート》なら勝っていたので」

 

──「先ほどの《召喚:ナイツオブラウンド》をはじめ、採用枚数が1枚のカードが多いですね」

白木「サイドボードを含めて1枚挿しのエンチャントが数種類ありますが、《魔導戦士、ティナ》や《幻獣との交わり》などライブラリーを掘り進めるカードがあるため、従来1枚挿しよりもアクセスしやすくなっています」

回転

白木「特に魔導戦士、ティナ》は《ボイラービルジの大主》や《一時的封鎖》を手札に加えられる可能性のあるカード。デッキの再現性部分を支えていてくれます。それとキャラクターも好きなんです。『FINAL FANTASY』シリーズはⅥ、IX、Xが大好きで」

デッキ選択の理由

──「このデッキの選択理由を教えてください」

 

白木「先ほども言った通り、環境的に《一時的封鎖》のある白を使いたくて。イゼット果敢に強く、それでいて好きなカードを使ったデッキを選択したかったんですよね」

白木「フィニッシャーが《スピラの希望、ユウナ》一本槍だとアゾリウス全知のあおりをくらって墓地対策で完封されてしまいます。しかし、ランプ要素と大主を採用したことで《スピラの希望、ユウナ》に依存しすぎずにゲームメイクできるようになっています。サイドボード後からの対策カードを考えると、重要なポイントかなと思いますね」

──ありがとうございました。


 白木が使用するナヤ《スピラの希望、ユウナ》は精鋭化したメタゲームにフィットするように構築されていた。各種単体除去と《一時的封鎖》の組み合わせはメタゲームの筆頭イゼット果敢を意識し、同時に赤単アグロまでも包括的に対応している。さらにサイドボード後に投入されるであろう墓地対策を意に介さず悠々と乗り越える《ボイラービルジの大主》と《ホーントウッドの大主》。

 同時に「FINAL FANTASY」シリーズへの愛も語ってくれた。「カッコいい」や「好き」をかたちにできる喜びもまたマジックの楽しみ方のひとつである。《スピラの希望、ユウナ》の進撃がどこまで続くのか、今後にも期待したい。

 
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