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The Limits11
Round 5: 山口 聡史(愛知) vs. 糸谷 哲郎(大阪)
By 中村 修平
ダイスロールに勝利して先手を取った山口がキープ。
後手の糸谷が1マリガンでゲームは開幕する。
山口の《修道院の若者》を糸谷が《死の重み》する応酬のち、糸谷が《吸血鬼の侵入者》。
《平地》《森》《山》と置いている山口が《肉屋の包丁》を並べると、糸谷も《沼》《平地》《島》で《肉屋の包丁》。
返しに《待ち伏せのバイパー》が出て、一応お互いに2/1クリーチャーが並び合う展開。
ではあるが、両者ともにクリーチャータイプが人間ではないあたり、お互いに救いがあるといったところか。
なんて呑気なことを筆者が考えているターンは1ターンもなかった。
続けて山口が唱えたのは《異教徒の罰》。
盤面に手駒が少ない糸谷にとって、ほとんど恒久除去ともいえる《異教徒の罰》は重大な脅威だ。
いやマリガンを強いられている糸谷にとって致命的と言ってもよいカードとなってしまった。
《熟慮》を打って、《吸血鬼の侵入者》に《肉屋の包丁》を装着して攻撃するのみ。
山口のライフはまだ15もある。
山口は悠々と《待ち伏せのバイパー》で攻撃して糸谷のライフを18にし、《異教徒の罰》を使って、《肉屋の包丁》付きの《吸血鬼の侵入者》を倒す。
次ターンももたついている糸谷を尻目に、《教区の勇者》に《扇動する集団》と人間を2連打して、《肉屋の包丁》からライフ回復手段を確保するとともに、盤面の差を決定的なものにしようとする。
糸谷も《霊廟の護衛》をようやく用意することはできたが、装備コストが足りないために山口の《肉屋の包丁》付きの《扇動する集団》を通さざるを得ず、大きくライフに差を付けられた上で《扇動する集団》が反転。
今度は《霊廟の護衛》に《肉屋の包丁》を付けられる余裕こそ生まれたが、自身のライフが危険水域での装着なので、山口の《異教徒の罰》が不発するのを祈ってターンを返さざるを得ない。
もちろん不発に終わるわけがなく、第1ゲームは山口が完勝。
山口 1-0 糸谷
1本目のシチュエーションが完全に反転し、先手を選んだ糸谷がキープしたのに対し、山口が1マリガン。
糸谷が《島》《平地》という立ち上がりに対して、山口が《平地》《森》という1本目に比べて穏やかなもの。
後手3ターン目山口の《声無き霊魂》が両者にとって初めてのクリーチャーになるが、それを糸谷が《旅行者の護符》で3色目の《沼》を獲得しつつ《信仰の縛め》で無効化。
後続戦力の投入も山口が先で、《ウルヴェンワルドの神秘家》が戦場に現れる。
だが糸谷の戦列に参戦したのはかなり強烈な1枚だ。
《天使の監視者》。
《ウルヴェンワルドの神秘家》の攻撃で糸谷のライフを17へと落とし、山口は《肉屋の包丁》と、打ち消しを警戒してかメインの間に《待ち伏せのバイパー》を召喚してターンを返す。
糸谷は天使で攻撃することを選び、これで山口のライフは15へ、
続けて出てくるのは天使がおかわり、《空翔ける雪花石の天使》。
人間がいれば無敵と、スピリットが墓地にいれば回収という、頭を抱えたくなるような2体の天使に行く手をさえぎられている山口。
《アヴァシンの巡礼者》を召喚してから、《旅の準備》を表裏と一気に使って、《ウルヴェンワルドの神秘家》に2個、《待ち伏せのバイパー》に1個、《アヴァシンの巡礼者》に1個の+1/+1カウンターを乗せ、地上からサイズ差で押しつぶしにかかる。
《待ち伏せのバイパー》と《ウルヴェンワルドの神秘家》が攻撃し、これを糸谷が通して残りは9点。
苦しいのは両者ともにか。
山口は高空の天使を止められないが、糸谷も天使をサポートする従者役を召喚できず、地に這うクリーチャーを止められない展開なのだ。
糸谷がとった方針は攻撃続行。
2体の天使が攻撃に参加して山口のライフを6とし、山口がタップアウトしている自分のターン中に《大物潰し》を《ウルヴェンワルドの神秘家》に打ち込んでターンを返す。
これで見た目上は3(《待ち伏せのバイパー》)+2(《アヴァシンの巡礼者》)+3(《肉屋の包丁》)で8点。
何か《巨大化》系の呪文ならば《肉屋の包丁》を装備するマナの余裕がなく、逆もまたしかり。
ライフ1で凌ぎきれるはず。
果たして糸谷の目論見どおり、ライフは1で踏みとどまった。
だが代償として、《肉屋の包丁》と《アヴァシンの巡礼者》のおかげで山口のライフが11にまで引き戻される。
糸谷はこのターン中に負けることこそなかったが、勝ちにも遠ざかってしまったのが現状だ。
《天使の監視者》と、たった今召喚した《霊廟の護衛》をブロッカーに立て、《空翔ける雪花石の天使》で山口のライフを7にしてエンド。
追い詰めている側の山口にしても、あと一手のカードが微妙にもどかしい。
《スレイベンの歩哨》を召喚して2体で攻撃、《待ち伏せのバイパー》と《天使の監視者》、《アヴァシンの巡礼者》と《霊廟の護衛》がぶつかる。
《アヴァシンの巡礼者》が最後のご奉公をと山口のライフを12にまで回復させ、《スレイベンの歩哨》が反転する。
接死では死なないものの、《霊廟の護衛》を失ったことで、3点のダメージによって《天使の監視者》が破壊される。
ブロッカーは用意できたものの、新たなトランプル持ちの大型生物の前に絶体絶命。
だが糸谷が召喚したのは《悪鬼の狩人》。
プランが崩壊した山口がここで投了、決着は第3ゲームに持ち越された。
山口 1-1 糸谷
山口が投了し、第3ゲームへとシャッフルを進める中で、その山口がしくじったという表情を浮かべている。
筆者はわずかに見えただけで確信が持てなかったのだが、それは第3ゲームの結果を見届けた後で語ることにしよう。
山口は切り札の《勇壮の時》で《スレイベンの民兵》を守り、《信仰の縛め》で《モークラットのバンシー》を無力化して総攻撃で7点、糸谷のライフを7にまで落としこむ。
だが糸谷も全く同じ切り札を持っていたのだ。
山口の《信仰の縛め》を《緊急の除霊》で剥ぎとり、ブロッカーがいない山口に対して《勇壮の時》を纏わせた《モークラットのバンシー》と《礼拝堂の霊》の攻撃、山口11:7糸谷から山口3:13糸谷へとポジションが再逆転。
飛行が止められずライフを1にまで減らした山口を介錯したのは、糸谷が唱えた《猛火の松明》だった。
山口 1-2 糸谷
山口が悔やんだミス、
それは第2ゲームの最終ドローが《猛火の松明》だったことだ。
最終ターン、たしかに《悪鬼の狩人》で《スレイベンの民兵》を消されたことにより、山口に糸谷を攻撃できるクリーチャーは残っていなかった。
だがゲーム履歴を読みなおしていただければわかるように《信仰の縛め》で無効化された《声無き霊魂》がまだ戦場には残っており、《猛火の松明》装着して糸谷に投げつけることができたのだ。
ミスは誰にでもある。
だが本当に重要なのはミスをした時にそれを認識し、次回への戒めへとすること。
気づくのが少し遅かったなら、次はもう少し早く気づけばよい。
このミスが山口の次に繋がることを祈って、筆をおかせてもらおう。
Game 1
山口 聡史 |
Game 2
糸谷 哲郎 | |
Game 3
みたび立場が入れ替わり先手を取った山口がキープ、糸谷が1マリガンでのスタート。 《修道院の若者》を《死の重み》で除去するという1本目と全く同じ展開、山口はこの時点で《平地》《森》《山》とコントロール、糸谷も《旅行者の護符》が戦場にある状態で《平地》《沼》とマナに不安は無さそう。 良い勝負が期待できそうだ。 その糸谷だが《旅行者の護符》を起動し、《平地》を確保して《礼拝堂の霊》。 糸谷のエンドステップに山口が《待ち伏せのバイパー》を召喚し、続けて《霊廟の護衛》には、後手糸谷が前ゲームMVPの《悪鬼の狩人》。 両者が1体ずつ攻撃してお互いのライフは18。 《スレイベンの歩哨》を出した上で山口の《待ち伏せのバイパー》が攻撃し、糸谷を16にすると糸谷は《信仰の縛め》を《悪鬼の狩人》に装着した上で攻撃。これで山口のライフは13。 緩やかに推移していたと思わせて、ゲームは突然の急加速をみせる。 何もせずにターンを返した山口に対して糸谷は2体とも攻撃。 アンタップ状態の《待ち伏せのバイパー》と《スレイベンの歩哨》がいるのにも関わらず何故? 答えは《モークラットのバンシー》だ。 《悪鬼の狩人》と《待ち伏せのバイパー》の戦闘で反転した《スレイベンの民兵》に向けて、《モークラットのバンシー》ーが陰鬱のマイナス修整の矛先を向ける。 ここで山口は少考する。 おそらくゲームの天王山となる箇所。RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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