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マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン2025

マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン 2025 二次予選&決勝大会 メタゲーム・ブレイクダウン
このフォーマット、あまりにも面白すぎる。
MTGアリーナを用いて2022年から毎年開催されているジャパンオープンも、早くも4回目。そして今回は、これまでスタンダード・フォーマットで開催されていたのとは異なり、『ファウンデーションズ』と最新セットである『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』のみの限定構築戦が採用されることとなった。
とはいえ、カードプールが狭くなれば当然使えるカードの種類は減る。さらにプレ大会や一次予選があったとはいえ、公式のフォーマットではないためにデッキの情報もインターネット上にはほとんど転がっていない。そんなフォーマットの大会に参加して、あるいは試合を見てはたして楽しめるのか?……と、思われるかもしれない。
だが、大いに違う。基本セットの復刻でありどちらかといえばシンプルなデザインが重視されている『ファウンデーションズ』と、過去最高クラスの盛り上がりを見せているとはいえ競技的な存在感という点ではそこまで大きな影響を与えたとは言えなかった『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』との組み合わせはしかし、意外なことに良い意味で悪魔的な中毒性を持っていた。
なぜなら、ゼロからデッキを作るのがとにかく楽しすぎる環境だからだ。
カードプールが狭いからこそ、選択肢をすべて検討できる。情報がないからこそ、自分で試すモチベーションが生まれる。そうして得られるのは、まさしく初見のロールプレイングゲームをレベル1から始めるときのようなあのワクワクする感覚だ。
そしてそれが、誰にとっても同じ条件なのだ。誰もが童心に返り、足跡一つない新雪を踏みしめる喜びを味わえる……そんな至高のゲーム体験を得られるフォーマットなのである。
一方、もちろん承知の上でこの記事を読んでいる人も多いであろうとはいえ、そんな春の新芽のごとき貴重な体験を得られるフォーマットをメタゲーム・ブレイクダウンで一息に解体してしまうというのは、いまだ未体験の楽しみを残しているプレイヤーに対しては非常にもったいないことだ。
そこでぜひ一度この先を読む前に、まっさらな視点でMTGアリーナを起動し、『ファウンデーションズ』と『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』だけにチェックを入れた状態で何でもいいから一つデッキを作ろうとしてみて欲しい。ここから先は、既にそれをした人に向けての文章となる。
……。
……もういいだろうか?
さて、それではメタゲームを見る前に、環境の前提を軽くおさらいしておこう。
まず、マナベースが死ぬほど弱い。アンタップインしてマナも減らさず2色を出せる土地は、何とたった2種類しか存在しない。
しかもその片方は《閑静な中庭》であり、使えるデッキが猛烈に限られている。それにもう一方の《始まりの町》も、アンタップインは序盤だけだし色を出そうとするとライフが痛いしで別に万能ではない。2色を出したいなら、基本的には1ターン目は占術土地などをタップインする動きになる。様々な手段で土地サーチが可能な緑が絡まない限り、2色以下でデッキを組むのが通常となるだろう。
そしてさらに、単体除去も死ぬほど弱い。2マナ以下でタフネスを選ばないような除去は、デメリットがあるか、使えるタイミングが限定的である。デメリットのないインスタントの万能除去には《英雄の破滅》や《オーバーキル》など3マナかかるため、除去の質を上げようとすると同一ターン中に2アクションが取りづらくなり、後手からのまくりが厳しくなるというのが環境の特徴だ。
他方、全体除去は豊富かつ強力なものが多い。
《審判の日》を筆頭に、《冒涜的布告》、《古代魔法「アルテマ」》、《金屑の嵐》などが存在している。ただ軒並みダブルシンボルなので、ここでもマナベースの問題が立ちはだかる。
また、コンボや意外な勝ち手段も随所に眠っている。スタンダードならば通用しないであろうものも、この環境なら十分実戦的だ。
ではこうした環境で、参加者たちは一体どんなデッキに己のファンタジー(想像力)を込めたのだろうか?
566名のデッキ分布と主要なアーキタイプを、それぞれのデッキリストとともに見ていこう。
マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン 2025 二次予選 メタゲーム・ブレイクダウン
デッキ名 | 使用者数 | 割合 |
---|---|---|
召喚ユウナ | 108 | 19.1% |
青単テンポ | 58 | 10.3% |
ワンショットティファ | 57 | 10.1% |
青赤ビビ | 42 | 7.4% |
リアニメイトアーデン | 39 | 6.9% |
街コントロール | 37 | 6.5% |
黒単セフィロス | 26 | 4.6% |
白青コントロール | 15 | 2.7% |
青黒コントロール | 13 | 2.3% |
サクリファイスセフィロス | 12 | 2.1% |
上陸チョコボ | 10 | 1.8% |
青黒緑リアニメイト | 9 | 1.6% |
黒赤アグロ | 7 | 1.2% |
緑単上陸 | 7 | 1.2% |
黒緑ミッドレンジ | 6 | 1.1% |
白黒コントロール | 5 | 0.9% |
黒単コントロール | 4 | 0.7% |
青黒赤ビビクジャ | 4 | 0.7% |
白黒スコール | 4 | 0.7% |
その他 | 103 | 18.2% |
合計 | 566 | 100.0% |
※使用者数3名以下のデッキは「その他」に計上
多数派の大雑把な軸は、「墓地蘇生戦術(リアニメイト)」「青アグロ」「緑アグロ」「黒アグロ」「コントロール」に大別できる。
情報が少ないためアーキタイプの種類が多い雑多な環境になることを想定した場合、特殊な戦術への対策をメインから行うことは難しく、そうなるとメイン戦をイージーに勝ちやすいパワフルなコンボに需要が集まるのは必然と言える。
またそうした理屈抜きでも、MTGアリーナの画面上で派手な演出とともに高マナコストのフィニッシャーを早期に叩きつけるのは極めて爽快であるため、「墓地蘇生戦術(リアニメイト)」が人気になりやすかったものと思われる。
以下では分布の上位アーキタイプをピックアップして紹介しておこう。
召喚ユウナ
6 《平地》 4 《豊潤の神殿》 8 《森》 1 《這い回るやせ地》 1 《古の大都市、ザナルカンド》 4 《始まりの町》 -土地(24)- 4 《スピラの希望、ユウナ》 4 《町の歓迎者》 4 《春花のドルイド》 -クリーチャー(12)- |
4 《幻獣との交わり》 2 《停滞の罠》 4 《審判の日》 2 《勇敢な姿勢》 -呪文(12)- 2 《Summon: Knights of Round》 4 《Summon: Titan》 2 《Summon: Bahamut》 4 《Summon: Fenrir》 -その他(12)- |
3 《魂標ランタン》 2 《漁る軟泥》 2 《払拭の光》 2 《古代魔法「アルテマ」》 1 《フェリダーの撤退》 1 《勇敢な姿勢》 1 《バトルメニュー》 2 《ビビアン・リード》 1 《Summon: Knights of Round》 -サイドボード(15)- |
エンチャントを蘇生できる《スピラの希望、ユウナ》は、《召喚:バハムート》に代表される、召喚獣をモチーフにした英雄譚・クリーチャーと極めて相性が良い。それ自体非常にエモーショナルなデザインなのもさることながら、単体除去が弱い環境で「護法2」はすこぶる重い。タフネスが5もある《スピラの希望、ユウナ》を蘇生能力が誘発する前にインスタントタイミングで何とかしようと思ったら、《送還》による一時しのぎでも3マナ、破壊による解決だと大体5マナ構えていないといけない計算になる。そうして構えている相手に対しては《幻獣との交わり》フラッシュバックや《召喚:タイタン》などで裏目を作れるのが強みだ。
問題は釣り竿たる《スピラの希望、ユウナ》を1種4枚しか積めないことと、白緑というカラーリングが対戦相手への干渉力に乏しい点だが、白緑純正2色型は《審判の日》フル採用でゲームを伸ばすことで、両方の解決を一度に図っている。《幻獣との交わり》さえ引けばライブラリーを掘る力も相当強く、ロングゲームになれば英雄譚・クリーチャーの素出しも狙える。
4 《平地》 4 《豊潤の神殿》 3 《沼》 7 《森》 4 《疾病の神殿》 2 《静寂の神殿》 -土地(24)- 4 《スピラの希望、ユウナ》 4 《町の歓迎者》 4 《春花のドルイド》 4 《簒奪者、アーデン》 -クリーチャー(16)- |
4 《幻獣との交わり》 4 《バトルメニュー》 4 《ゾンビ化》 4 《審判の日》 -呪文(16)- 2 《Summon: Knights of Round》 2 《Summon: Bahamut》 -その他(4)- |
3 《魂標ランタン》 4 《強迫》 3 《死の印》 2 《突き刺し》 2 《英雄の破滅》 1 《大渦の脈動》 -サイドボード(15)- |
「召喚ユウナ」に関しては3色にした形も多い(※分類上は区別していない)。こちらの黒を入れた形は追加の《スピラの希望、ユウナ》たる《ゾンビ化》と、その強力な蘇生対象である《簒奪者、アーデン》を入れることで、墓地蘇生戦術の再現性を高めている。
2 《平地》 4 《豊潤の神殿》 7 《森》 4 《山》 4 《始まりの町》 4 《奔放の神殿》 -土地(25)- 4 《スピラの希望、ユウナ》 4 《ミストの召喚士、リディア》 -クリーチャー(8)- |
4 《幻獣との交わり》 4 《削剥》 2 《灰からの成長》 3 《ジャイアントビーバーとの対話》 -呪文(13)- 4 《Summon: Knights of Round》 4 《Summon: Titan》 2 《Summon: Bahamut》 4 《Summon: Fenrir》 -その他(14)- |
4 《審判の日》 3 《魂標ランタン》 2 《抹消する稲妻》 2 《漁る軟泥》 2 《フェニックスのドミナント、ジョシュア》 2 《ビビアン・リード》 -サイドボード(15)- |
また、《魔導戦士、ティナ》や《ミストの召喚士、リディア》を採用した赤緑タッチ白型や、他にも《召喚:リヴァイアサン》を活用した青緑タッチ白型などもあり、使用者が多いだけあって狭いカードプールの中でも様々な工夫が見られたアーキタイプだ。
青単テンポ
19 《島》 4 《魂石の聖域》 -土地(23)- 4 《ドレイクの孵卵者》 4 《悪戯な神秘家》 -クリーチャー(8)- |
2 《狡猾な侵入者、魁渡》 4 《「占星術師」の天球儀》 3 《睡眠魔法「スリプル」》 4 《航路の作成》 3 《チュートリアルバトル》 4 《選択》 4 《送還》 3 《論破》 1 《乱動への突入》 1 《否認》 -呪文(29)- |
3 《魂標ランタン》 2 《証人保護》 2 《魔法無効化「シェル」》 2 《瞬間凍結》 2 《否認》 1 《中略》 1 《狡猾な侵入者、魁渡》 1 《忘れ去られし伝承のスフィンクス》 1 《霊気化》 -サイドボード(15)- |
《スピラの希望、ユウナ》による墓地蘇生戦術が環境を定義しているとした場合、前述のとおり「護法」に対して単体除去で対処するのはマナ効率がどうしても悪くなってしまう。ならばどうするか?そう、5マナのソーサリーアクションごとき打ち消してしまえばいいのだ。
青の2マナ域に《「占星術師」の天球儀》《悪戯な神秘家》《ドレイクの孵卵者》といったターン経過とともにクロックが増す攻め手が揃っていることもあり、どれかを着地させてあとは相手が脅威をプレイするまでカウンターを構え続けるプレイングが正当化される。また環境で数少ない軽量プレインズウォーカーである《狡猾な侵入者、魁渡》を強く使える点が、他の単色アーキタイプとの差別化点となっている。
また、対《スピラの希望、ユウナ》のもう一つの切り札が《送還》で、それでも3マナかかるとはいえ環境に存在するインスタントの中で最も軽く対処できる。
もちろんそれだけだと次のターンに出し直されてしまうだけだが、ドローできるカードが豊富に入っているので稼いだターンで打ち消し呪文を引いたり、《魂石の聖域》でクロックを突如増やして一気に勝負を決めにいけたりもする。使いこなすには相応のプレイングと高い環境理解が必要だが、ドロー呪文による事故率の低さと他のほとんどのアーキタイプと五分以上の戦いができる丸さが魅力のデッキだ。
ワンショットティファ
18 《森》 4 《進化する未開地》 2 《魂石の聖域》 -土地(24)- 4 《ラノワールのエルフ》 4 《サッズのヒナチョコボ》 4 《春花のドルイド》 3 《ティファ・ロックハート》 3 《旅するチョコボ》 2 《サッズ・カッツロイ》 -クリーチャー(20)- |
3 《冒険者の装具》 3 《薮打ち》 2 《ジャイアントビーバーとの対話》 4 《蛇皮のヴェール》 -呪文(12)- 4 《Mossborn Hydra》 -その他(4)- |
4 《漁る軟泥》 3 《ビビアン・リード》 2 《精神迷わせの秘本》 2 《チョコボキック》 1 《原初の力》 1 《魂を紡ぐもの》 1 《サッズ・カッツロイ》 1 《レガリア》 -サイドボード(15)- |
《スピラの希望、ユウナ》に対抗するもう一つの手段は、着地より早く相手を倒すことだ。だが、狭いカードプールでは1マナから始まるテンポの良いビートダウンを組むことはなかなかに難しい。そこでこの環境では上陸シナジーを生かしたコンボビートダウンがそのポジションを担っている。
《ティファ・ロックハート》は《冒険者の装具》で元パワーを上げたり、《旅するチョコボ》がいる状態で上陸を複数回誘発させると、いとも簡単に20を超えたパワーになる。タフネスは上がらないので簡単に妨害できるように見えて、《蛇皮のヴェール》が存在するので打ち崩すのは容易ではない。
しかもなぜか《ティファ・ロックハート》と同等以上の能力を持つ《苔生まれのハイドラ》がカードプールに存在するのと、環境最強の1マナ域である《ラノワールのエルフ》が使えるため、極めて早期にアンフェアな戦いを対戦相手に強いることができる。それでいて《サッズ・カッツロイ》からの《旅するチョコボ》で粘り強く戦うこともできるため、一発芸に見えて非常に強かなコンセプトと言えるだろう。
青赤ビビ
8 《島》 5 《山》 4 《天啓の神殿》 4 《始まりの町》 2 《急流の崖》 1 《魂石の聖域》 -土地(24)- 4 《ドレイクの孵卵者》 4 《悪戯な神秘家》 3 《迷える黒魔道士、ビビ》 1 《戦闘魔道士の隊長、バルモア》 -クリーチャー(12)- |
2 《狡猾な侵入者、魁渡》 3 《「占星術師」の天球儀》 3 《航路の作成》 2 《抹消する稲妻》 4 《選択》 4 《噴出の稲妻》 3 《ラグナの記憶》 2 《送還》 1 《雷魔法》 -呪文(24)- |
3 《魂標ランタン》 3 《論破》 2 《証人保護》 2 《炎魔法》 2 《本質の散乱》 2 《忘れ去られし伝承のスフィンクス》 1 《否認》 -サイドボード(15)- |
「青単テンポ」や「ワンショットティファ」は対戦相手の盤面への干渉力という観点ではそこまで高いわけではない。完全ではない除去やバウンスしか使えないようだと、後手番をまくるのが一苦労となる。しかしそこで軽量呪文で対戦相手のより高いマナコストのクリーチャーとカードを交換できるようだと、先手後手を入れ替えることができる。もちろんそんな使い勝手の良い除去は存在しないことは先刻述べたとおりだが、唯一の例外があるとすれば、腐ってもプレイヤーに打ち込める火力呪文だ。
『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』の中でも屈指のパワーカードとして知られる《迷える黒魔道士、ビビ》は、1ターン生き残れば宇宙を見せてくれる。青単テンポの強力なカードだけ流用しつつ、「ワンショットティファ」類似のイージーウィンも狙える良いとこ取りが魅力だ。
また、《魔法無効化「シェル」》で《迷える黒魔道士、ビビ》を守って《突破》でトランプルを付与し、呪文連打による本体ダメージと合わせてのオールインを狙う形も存在している。《スピラの希望、ユウナ》よりも早期に着地してワンショットで勝利を狙えるカードであるという点においては《ティファ・ロックハート》と変わりはなく、環境的な要請を満たした面白いアプローチの一つだ。
リアニメイトアーデン
6 《沼》 6 《森》 4 《疾病の神殿》 4 《始まりの町》 2 《ジャングルのうろ穴》 2 《ならず者の道》 -土地(24)- 4 《町の歓迎者》 4 《簒奪者、アーデン》 1 《溌剌とした探検家、おたから》 -クリーチャー(9)- |
4 《隠された真実》 4 《幻獣との交わり》 4 《ゾンビ化》 1 《窃取》 2 《オーバーキル》 -呪文(15)- 4 《Summon: Fenrir》 4 《Summon: Titan》 3 《Summon: Primal Odin》 1 《Summon: Bahamut》 -その他(12)- |
2 《強迫》 2 《魂標ランタン》 2 《大群への給餌》 2 《漁る軟泥》 2 《冒涜的布告》 2 《ビビアン・リード》 1 《暗黒騎士、セシル》 1 《大渦の脈動》 1 《古代の災厄、ジェノバ》 -サイドボード(15)- |
墓地蘇生戦術は《スピラの希望、ユウナ》の専売特許というわけではなく、《ゾンビ化》も環境に存在することは先述のとおりである。そして《スピラの希望、ユウナ》で《召喚:バハムート》や《召喚:ナイツオブラウンド》を蘇生したとしてもそれだけではただちに勝てるわけではないのに対し、《簒奪者、アーデン》を介した墓地蘇生は蘇生先に威迫と速攻を与えるため、蘇生対象によっては一撃必殺が可能となる。
一次予選では《ジャボテンダー》と組み合わせる形なども見られていたが、次第に「墓地蘇生ができないときでもミッドレンジとして動ける蘇生対象」に集約されていき、そうして白羽の矢が立ったのが《召喚:蛮神オーディン》だった。同じミッドレンジ札である《召喚:タイタン》との組み合わせで「斬鉄剣」を走らせられるなど、「シナジーもあるパワーカード単」として振舞えるのが一定数の人気を集めた要因と言えるだろう。
街コントロール
4 《SeeDの学び舎、バラムガーデン》 4 《首都》 4 《知の都、シャーレアン》 4 《始まりの町》 4 《月と星の加護を受けし、ウィンダス連邦》 3 《冒険者の宿》 2 《山の都、イシュガルド》 1 《聖府首都、エデン》 -土地(26)- 4 《イグニス・スキエンティア》 2 《魅力的な王子》 2 《異邦の詩人》 2 《世界を喰らうもの、コーマ》 1 《町の歓迎者》 -クリーチャー(11)- |
1 《フェリダーの撤退》 4 《幻獣との交わり》 4 《審判の日》 4 《地平線への到達》 4 《世界をめぐる旅》 2 《バトルメニュー》 -呪文(19)- 4 《Summon: Leviathan》 -その他(4)- |
3 《カビのマムシ》 3 《中略》 2 《突き通し》 3 《魂標ランタン》 2 《瞬間凍結》 2 《漁る軟泥》 -サイドボード(15)- |
環境のマナベースが弱いのとメタゲームがまだ固まっていない環境ということもあり、コンボやアグロが主役の今環境だが、そんな中で土地のシナジーを生かしたランプコントロール的な立ち位置のデッキも存在している。『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』の特殊地形が持つサブタイプである「街」は、戦場に多く並べれば並べるほど《SeeDの学び舎、バラムガーデン》や《世界をめぐる旅》と強いシナジーを発揮する。
ランプコントロールというポジションがメタゲーム上で独特なのもさることながら、基本地形が入らないことからおそらく環境で最も『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』の収録カードを多く使用できるデッキということもあり、フレーバー体験という意味でも代替が効かないデッキとして環境に彩りを加える役割を担ってくれている。
黒単セフィロス
18 《沼》 4 《魔晄都市、ミッドガル》 3 《魂石の聖域》 -土地(25)- 4 《寄生の賢者》 4 《マラキールの門番》 4 《闇の腹心》 4 《真夜中の死神》 4 《威名のソルジャー、セフィロス》 3 《暗黒騎士、セシル》 3 《地下水路のウェアラット》 -クリーチャー(26)- |
2 《魔列車》 2 《踊り食い》 2 《大群への給餌》 2 《ヴェインの鬼謀》 1 《オーバーキル》 -呪文(9)- |
3 《死の印》 3 《強迫》 3 《魂標ランタン》 3 《闇のクリスタル》 2 《突き刺し》 1 《ファイレクシアの闘技場》 -サイドボード(15)- |
ライフコントロールとアドバンテージ獲得の両方が可能な《威名のソルジャー、セフィロス》は、『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』で《闇の腹心》が再録されていることと、《マラキールの門番》という「ワンショットティファ」の《蛇皮のヴェール》の対する解答を持ち合わせていることで、継戦能力の高い単色アグロを黒単で構築させる動機となるに十分な性能を持っていた。《真夜中の死神》との組み合わせでとんでもない量のアドバンテージを獲得できるので、相手がクリーチャーデッキなら《片翼の天使、セフィロス》への変身も十分現実的なのも強力だ。
また、《暗黒騎士、セシル》も《ラノワールのエルフ》に次ぐ環境最強クラスの1マナ域であることや、単色でありながら《強迫》《死の印》とサイドカードも充実していることで、環境の研究が進めばさらにメタ上位に食い込めるポテンシャルがありそうだ。
決勝大会進出者 メタゲーム・ブレイクダウン
そして二次予選が終わり、566名が64名にまで絞られた結果は以下のようになった。
デッキ名 | 使用者数 | 決勝大会進出率 |
---|---|---|
青単テンポ | 14 | 24.1% |
召喚ユウナ | 11 | 10.2% |
ワンショットティファ | 11 | 19.3% |
青赤ビビ | 5 | 11.9% |
黒単セフィロス | 5 | 19.2% |
リアニメイトアーデン | 3 | 7.7% |
街コントロール | 3 | 8.1% |
赤単アグロ | 1 | 33.3% |
白赤ライトニング | 1 | 33.3% |
青赤テンポ | 1 | 33.3% |
黒赤クジャ | 1 | 33.3% |
黒赤アグロ | 1 | 14.3% |
黒緑アグロ | 1 | 100.0% |
上陸チョコボ | 1 | 10.0% |
白青コントロール | 1 | 6.7% |
白赤コントロール | 1 | 33.3% |
青黒コントロール | 1 | 7.7% |
白青緑《迷路の終わり》 | 1 | 33.3% |
白青緑《セラ・ファロン》 | 1 | 100.0% |
合計 | 64 | 11.3% |
上位アーキタイプの中で合計進出率の11.3%を大きく上回っているアーキタイプが勝ち組と言えることを考えると、「青単テンポ」「ワンショットティファ」「黒単セフィロス」という単色アーキタイプ3つがそれに該当する。
「青単テンポ」と構成パーツが近い「青赤ビビ」がそれほど勝てていないことや、「召喚ユウナ」の進出率がやや悪く、コントロール系も軒並み苦戦を強いられていることからすると、マナベースの厳しさと《魂石の聖域》の有無が明暗を分けた結果と言っていいかもしれない。
決勝大会 メタゲーム・ブレイクダウン
今回二次予選の翌日である7月6日(日)に開催された決勝大会では、二次予選とは異なるデッキリストを使用することも可能となっていた。というわけで、決勝大会の分布がこちらだ。
デッキ名 | 使用者数 | 割合 |
---|---|---|
青単テンポ | 11 | 17.5% |
召喚ユウナ | 9 | 14.3% |
ワンショットティファ | 9 | 14.3% |
黒単セフィロス | 8 | 12.7% |
青赤ビビ | 5 | 7.9% |
リアニメイトアーデン | 3 | 4.8% |
黒赤クジャ | 3 | 4.8% |
青赤テンポ | 2 | 3.2% |
街コントロール | 2 | 3.2% |
赤単アグロ | 1 | 1.6% |
白赤ライトニング | 1 | 1.6% |
黒赤アグロ | 1 | 1.6% |
サクリファイスセフィロス | 1 | 1.6% |
黒緑アグロ | 1 | 1.6% |
青黒テンポ | 1 | 1.6% |
白青コントロール | 1 | 1.6% |
青黒コントロール | 1 | 1.6% |
黒赤コントロール | 1 | 1.6% |
白青緑《迷路の終わり》 | 1 | 1.6% |
白青緑《セラ・ファロン》 | 1 | 1.6% |
合計 | 63 | 100.0% |
とはいえ、練度の観点からやはり前日に好成績を残したデッキをわざわざ変えるには至らなかったか、そこまでの変化はなかったようだ。それでもそんな中で、単色アグロの隆盛を見て単色アグロ同型に対して強い「黒単セフィロス」が増加しているのは、なかなかに目ざとい選択と言えるだろう。
はたして、優勝を掴むのはどのアーキタイプとなるのか。戦いの模様は、各対戦カバレージでご覧いただきたい。
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