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グランプリ・上海2014

観戦記事

第10回戦:行弘 賢(和歌山) vs. 八十岡 翔太(東京)

By Masami Kaneko

 ドラフトポッドが2人以外は全て7-1-1、2人だけが7-2。結果、この第10回戦で対戦することが確定していた2人。2人はともに「当たりたくなかった」とは言ってはいるが、しかしそれでも彼らは別のメリットも見出している。

「どちらかが3-0すれば、トップ8を目指すにあたりラインが下がり、自分たちにとって有利になる。」

 2人が口をそろえて話す、状況に対するメリット。彼らは、今の対戦はもちろん、トップ8を見据えて戦っているのだ。

 友人同士でもある2人。公式戦でマッチングされたのが初めてなのか? いやいや、1回くらいは対戦したでしょ、あれ、でも記憶には無いな、などと思い出話に花を咲かせる。


 2人が使用するデッキは、奇しくも同じ系統のデッキ。「探査」と墓地を増やすカードを中心としたスゥルタイデッキだ。手札、ライフ、さらには墓地までもをリソースとして使用する繊細なデッキ、2人の技術のぶつかり合いに期待しよう。


行弘賢 vs. 八十岡翔太。共にゴールドレベルプロだ。

ゲーム1

 《テイガムの策謀》を唱えた行弘に対して、「それ残り2枚で行った? セコいなー。」と声をかける八十岡。墓地の枚数を用意したいお互いのデッキにとって、こういったカードが遅い順目で取れるのは僥倖だろう。

 盤面には八十岡の「変異」が追加され、行弘は《氷羽のエイヴン》を展開。さらに何気なく《消耗する負傷》を八十岡の「変異」に付けてみれば、これがなんと《頭巾被りのハイドラ》。「あっぶな! 判断遅れたら死んでた!」と話す行弘に対して、悔しそうに軽口を返す八十岡。

 《血蠅の大群》から《スゥルタイのゴミあさり》と航空戦力を追加する八十岡に対して、《軍備部隊》で《氷羽のエイヴン》を強化し、《縁切られた先祖》を展開する行弘。八十岡も《よろめく従者》で地上の主導権を渡さない。

 行弘は少考したうえで、《大蛇の儀式》で八十岡の《血蠅の大群》を排除し、4/4となっている《氷羽のエイヴン》で攻撃。


八十岡翔太

 お互いにすれ違いのダメージレース。ライフの計算を重ねながらゲームは進む。

 ここで、行弘のビッグアクション。《スゥルタイのゴミあさり》《よろめく従者》と同時展開し、八十岡の地上、飛行をともにシャットアウト。この状況を前に八十岡も手を止める。

 考えた末に《スゥルタイのゴミあさり》で攻撃した八十岡、これは行弘の《スゥルタイのゴミあさり》と相打ち。そしてここに、追加飛行戦力である《グドゥルの嫌悪者》を展開。

 が、ダメージレースで有利なのは行弘だ。《氷羽のエイヴン》が攻撃し八十岡のライフを2としたうえで、「変異」を追加。八十岡も《グドゥルの嫌悪者》で回答を求めてみるも、残念ながら望んだカードは手に入らなかったようで、カードを片付けた。

行弘 1-0 八十岡

 サイドボード中も会話を絶やさない2人。

「《縁切られた先祖》弱くね?」「そういうゲームにはならなそうだよね。」「《テイガムの策謀》が残り2枚で来た時に本当に嬉しかった。」「0/5とかみたいな無駄なカード引いたー。土地も多かったなー。」「そうね、土地が1枚多かった。」「除去引けばなー。」「でも、除去はそもそもあんまり出てないよね。《絞首》くらい?」

 会話しながら共に数枚のカードを交換したうえで、次の試合を開始した。

ゲーム2

 行弘が2ターン目に《爪鳴らしの神秘家》を出し、それに八十岡の《消耗する負傷》が応える。

 行弘が力強く展開したのは《松歩き》、八十岡も《射手の胸壁》を展開するも止まってはいない。八十岡は少し考えたうえで、《頭巾被りのハイドラ》をX=3で展開した。

行弘は《アブザンの先達》を展開し、クリーチャーサイズで押し切る構え。八十岡としては、この攻撃をどう押しとどめるか検討する。

 八十岡の結論は、《アブザンの先達》を《頭巾被りのハイドラ》でブロックしたうえで、《龍鱗の加護》を唱えることだった。しかしこれは行弘の《引き剥がし》がきっちり咎める。

 再展開されたX=5の《頭巾被りのハイドラ》という問題は継続だが、行弘も《死滅都市の悪鬼》と負けてはいない。八十岡も同じく航空戦力として《グドゥルの嫌悪者》を展開。

 行弘の「変異」と《松歩き》の攻撃を前に、八十岡は考える。《死滅都市の悪鬼》の能力起動までを考えればかなり難しいところだ。結局同じサイズの《松歩き》を《頭巾被りのハイドラ》でブロックするものの、これは《死滅都市の悪鬼》によって一方的に討ち取られる。5体の蛇トークンが八十岡の元に現れるが、行弘の「変異」は2体目の《松歩き》となり、攻勢を抑えきれない。


行弘賢

 なんとか八十岡も《死の投下》で行弘の《松歩き》2体を除去し、《グドゥルの嫌悪者》《サグの射手》を展開した。《死滅都市の悪鬼》は一応ながらストップ。しかし、行弘は次なる攻め手として、《射手の胸壁》を2体展開する。

 八十岡はなにか回答を出さなければならない。《グドゥルの嫌悪者》を追加するものの、有効は対応は見つからない。

 無理やり《グドゥルの嫌悪者》2体で攻撃を加えて回答を探してみるも、《射手の胸壁》に残りのライフを削りきられてしまった。

行弘 2-0 八十岡

 2ゲーム目、《頭巾被りのハイドラ》と《龍鱗の加護》を絡めた攻防に対して決定打となった《引き剥がし》。本人も「なかったら負けてた」と話したこのカード、なんと3パック目の残り5枚で流れてきたそうだ。

行弘 「色々含めて、ラッキーでした。席の配置も良かったのかすごく流れが良かった。残りの試合も頑張ります。」

 そう話してくれた行弘、2日目のスタートは上々だ。彼の今日の活躍に期待したい。

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