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グランプリ・京都2013

観戦記事

第9回戦:チーム 指田/中村/金山 vs. チーム 内田/清水/東海林

By Masami Kaneko

 どちらも関東の、いわゆる「草の根勢」が、初日の最終戦を争うことになった。

 最近プロツアーの権利をゲットした中村貴稔率いるチームはここまで1敗、プロツアー出場経験どころかトップ8経験のある清水率いるチームはここまで無敗1分け。順位を一つでも上げるため、それぞれが死力を尽くす。

 お互いに知っているチーム同士。会話も弾むが、目は真剣だ。


左手前から東海林、清水、内田。右手前から金山、中村、指田。

ゲーム1

中村(青白) vs. 清水(青緑)

 《恩寵の重装歩兵》2枚や《万神殿の兵士》、《天馬の乗り手》と猛烈に攻め立てる中村。清水は《ネシアンの狩猟者》に《葉冠のドライアド》を「授与」し耐える姿勢だ。

 しかし清水もひたすら耐えているわけではない。相手の攻め手が薄いことを確認したうえで清水は《霧裂きのハイドラ》のX=5から一挙に攻めに転じる。

 これらのクリーチャーを中村の小粒なクリーチャーでは止めることが出来ず、清水に押し切られてしまった。

金山(緑単タッチ赤青黒) vs. 東海林(黒単)

 単色。チームシールドゆえに生まれることのあるデッキだが、これが組まれる場合は大抵「信心」ががっつりと利用された強力なデッキになっていることが多い。

 この2人のデッキも御多分にもれず強力なようだ。《恭しき狩人》といった単色らしい強力なカードと優秀なクリーチャーを並べる金山。《強欲なハーピー》といったテクニカルなクリーチャーと除去を連発する東海林。どちらも一歩も譲らない。

 しかし東海林の除去は、金山のサイズの大きなクリーチャーを全て除去しきるには至らなかった。少しずつ守りに回らざるをえなかった東海林が、ジリジリとライフを減らしてしまい、次の攻撃を防ぎきれないことを確認すると、カードを片付けた。


指田、中村、金山
指田(赤黒) vs. 内田(白赤)

 《死呻きの略奪者》《血集りのハーピー》と軽快に攻め立てる指田に対して、《乗騎ペガサス》《戦識の重装歩兵》《希望の幻霊》授与とこちらも一歩も負けていない。

 お互いのライフの応酬が行われたところで、内田の場に登場するのは《太陽の神、ヘリオッド》。しかしその神はまだ顕現しておらず、内田のクリーチャーに警戒を与えるのみにとどまる。一方の指田は《血集りのハーピー》《死呻きの略奪者》で攻撃したうえで、《鍛冶の神、パーフォロス》!

 もちろんこちらの神もクリーチャーとなってはいないが、ライフに与える影響は甚大だ。


神々の戦い

 ここから神vs神の高貴なる対決が行われる......かに見えたが、この状況を一瞬にして終わらせたのは、今日数多のプレイヤーの命を買い取っていった、たったひとりの商人だった。指田の《アスフォデルの灰色商人》は、赤い神の力も受けながら、内田の全てのライフを買い取っていった。

神をも買い取る

幕間1

 仲間とマジックをするということ。お互いに助言が可能となったチーム戦においては、信頼できる仲間は勝ってくれるだけではなく相談にも乗ってくれる大切な友人だ。

 第1ゲーム終了の早かった金山は、いったん東海林とのゲームを中断し中村と指田の助言に回った。そのほうがチームトータルの勝利に貢献できると考えたのだろう。会話が活発になる。

r9_Team_nakamura_B.jpg

 東海林と清水は、無言で内田を見つめていた。時折内田は手札のカードを指さしながら振り返り、それに清水は無言でうなずく。声を交わさなくても、意思を交わしている。

 内田の結果を見届けたところで、「デッキ強すぎ!」などと軽口を交わし合いながら次のゲームの準備を始めた。

ゲーム2

中村(青白) vs 清水(青緑)

 《メレティスのダクソス》や《蒸気の精》、《天馬の乗り手》を中心に軽快なビートを続ける中村。さらには《密集軍の指揮者》《天界の執政官》と追加され、防戦一方の清水。

 《海神の復讐》を打ってみるも、結局耐えている間に状況は好転しなかった。

金山(緑単タッチ赤青黒) vs 東海林(黒単)

 4ターン目の《ネシアンのアスプ》から《地平線のキマイラ》がゲームの軸をずらしていく。徐々に徐々に、金山が有利に。が、無敗チームの単色デッキである東海林がこの状況をよしとするわけがなった。《エレボスの鞭》程度は当たり前に用意し、ダメージレースを破壊した。

......が、金山もまた強力な単色デッキ。同じように神器《ナイレアの弓》を携え、徐々に優位を築いていく。

 お互いが神器を持ちゲームが長引くかと思われたその刹那、東海林のプレイしたカードが一挙に盤面を動かした。

 《忌まわしき首領》。突如として空を舞うトークンが多数生み出される。流石単色、これぞ単色。しかしこれだけでは終わらない。さらに《エレボスの鞭》がまた《忌まわしき首領》を再利用し......。1/1飛行に埋め尽くされた盤面を見ながら、金山はカードを片付けた。

指田(赤黒) vs 内田(白赤)

 《死呻きの略奪者》からの《メレティスの守護者》という、なんとも不思議な動きをしている指田。

 内田は《乗騎ペガサス》に《希望の幻霊》を授与してライフレースで優位に立つが、しかしその優位も《鍛冶の神、パーフォロス》によって怪しいものになる。

 なおも内田はライフレースに勝利するべく《密集軍の指揮者》を展開、これに打ち込まれた《ファリカの療法》を内田が《神々の思し召し》でかわしたことにより、ようやく明確な優位に立った。

 いつもなら人の命さえも取り引きできる《アスフォデルの灰色商人》も、今回は少し延命するのに精一杯。残ったライフも内田の《稲妻の一撃》が削りとった。

幕間2

 お互いのデッキの全容が見えてきたところで、全員が3本目に突入した。

 先ほどのプレイ、サイドボードプランの検討、相手のデッキの強さへの愚痴、話題には事欠かない。

 彼らは仲間を信じ、今日最後のゲームに挑む。


東海林、清水、内田

ゲーム3

中村(青白) vs 清水(青緑)

 《威名の英雄》と《加護のサテュロス》という強力なレア同士がご対面する3ターン目。とはいえ単純な機能でいえば《威名の英雄》のほうが圧倒的に強い。清水はその英雄に本気を出されないうちにと、《雨雲のナイアード》を《加護のサテュロス》に「授与」し、空から攻め立てる。

 もちろん中村も負けてはいない。《波濤砕きのトリトン》で守る体制を整え、《天馬の乗り手》などで盤面を有利にしていく。

 しかし授与するカードさえあれば、地力は英雄達のほうが強い。少しずつ中村に傾いていく盤面。増える中村のクリーチャー。

 そしてトドメとばかりに中村は《ヘリオッドの槍》を携え、清水に向かって投げつけた! これに清水は耐えられず、清水は無念の投了。

金山(緑単タッチ赤青) vs 東海林(黒単)

 圧倒的だった。少し出足の遅れた金山に対して、《運命の工作員》が金山の運命を操作していく。クリーチャーは的確に対処され、《強欲なハーピー》と共に攻め立てられたうえでの《アスフォデルの灰色商人》! 圧倒的な「黒単」力で、東海林が攻めきった。

r9_Team_shimizu_A.jpg
指田(赤黒) vs 内田(白赤)

 軽いクリーチャーでの殴り合いから除去の応酬とリミテッドのお手本のような序盤。

 《ラゴンナ団の長老》に《希望の幻霊》が授与され、ダメージレースは内田有利になったかと思いきや、指田は《鍛冶の神、パーフォロス》を顕現させ一歩も譲らない。

 そしてふたたび神vs神、内田の場にも《太陽の神、ヘリオッド》が現れた。

 内田はトークンを出しながら、指田は後続を展開しながらゲームは長引いていく。必然的に内田のライフは《鍛冶の神、パーフォロス》の能力によって減少していく。盤面は少しずつ内田が有利になっていく。

 マッチの時間が切れ、追加ターンに入り、もう引き分けになろうかというそんな時に、終わりは唐突に訪れた。

 指田が引いたカードを見た瞬間に「あれ?」と呟き、そのカードをプレイ。

 一瞬にしてブロック不可能となった指田の軍勢は、神の加護と共に内田のライフを削りとったのだった。

指田/中村/金山 2-1 内田/清水/東海林
指田/中村/金山チーム Win!
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