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EVENT COVERAGE
グランプリ・神戸2015
決勝:Joe Soh(マレーシア) vs. 諸藤 拓馬(福岡)
By Masashi Koyama
2005年。日本は世界の頂点に立った。
世界選手権2005にて、森勝洋が個人タイトルを、津村健志がプレイヤー・オブ・ザ・イヤーを獲得し、そして日本代表チームが団体戦を制し、全部門を制覇したのだ。
そして、その中心にいたのが諸藤拓馬だ。
その陽気な人柄で、世界選手権という大舞台でも緊張に飲まれずマイペースを崩さなかった彼は、チームキャプテンとして団体戦で4勝1分という大立ち回りを演じてみせるのだ。
彼が、彼らがいたからこそ日本が世界の頂に上りつめ、マジックの熱が日本中に広がったのだ。
あれから10年。このグランプリ・神戸2015の参加人数「2572人」が示しているように、今や日本でのマジックの熱はかつてないほどに高まっている。
そして、その熱は日本に留まらずアジアへも広がっている。
近年のアジア圏でのグランプリは日本ほどの大きさではないものの、1000人前後の参加者を集め、年々その規模を広げている。
そして、その中心にいるのがジョー・ソー/Joe Sohなのだ。
彼はプレイヤーとしてグランプリを回るだけでなく、グランプリの主催者として精力的に活動し、アジアのマジックを牽引する存在となっている。
かつて日本がそうであったように、アジアではマジックの熱が着実に広まっているのだ。
だから、だからこそソーは今グランプリチャンピオンという大きなタイトルを欲している。
諸藤がそうであったように、アジアにマジックの熱をより広める存在になるために。
ゲーム1
後手のソーがマリガン。
先手の諸藤が《僧院の速槍》、後手ソーが《アクロスの英雄、キテオン》という立ち上がり。
これが相討ち、諸藤は追加戦力として《稲妻の狂戦士》と《鐘突きのズルゴ》を戦場に加える。
後手に回っているソーは《マルドゥの悲哀狩り》を疾駆へのブロックへ向かわせ諸藤のクロックを抑えると、4ターン目には準決勝を決めた《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》をプレイ。
これを放置できない諸藤は《ケラル砦の修道院長》《稲妻の狂戦士》を加え、全力で《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を葬りにかかる。
この戦闘で騎士・同盟者・トークンが《ケラル砦の修道院長》をブロックしたところで、諸藤は少考する。
結果、手札に眠る《アタルカの命令》と《タイタンの力》を時期尚早と判断し、この交換を受け入れつつ厄介なプレインズウォーカーを墓地へと送る。
一方、強力な仲間であり頼みの綱の《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を失ったソーは諸藤の攻勢を食い止めることができない。
諸藤は連続で《僧院の速槍》を引き込むと、全力で攻撃。《鐘突きのズルゴ》が《乱脈な気孔》にブロックされたところで、諸藤は溜めに澑めていた《アタルカの命令》を解き放つ。
これで残りライフが4となってしまったソー。
《アクロスの英雄、キテオン》をブロッカーとして立ててみるものの、若々しい少年はこの盤面を押しとどめるには心もとない。
返すターン、諸藤が《焦熱の衝動》を引き込み《マルドゥの悲哀狩り》を除去すると、ソーは仕方ないとばかりに土地を畳んだ。
ソー 0-1 諸藤
ゲーム2
後手の諸藤が《僧院の速槍》から《乱撃斬》でソーの《血顎の憤怒鬼》を除去しダメージを通していく。
この《僧院の速槍》こそ《停滞の罠》で追放されてしまうが、諸藤は《ドラゴンの餌》をプレイしクリーチャーを切らさない。
対するソーは《マルドゥの急襲指揮者》を疾駆でプレイ。これが戦士を生み出しつつゴブリンと相打つと、《不毛の地の絞殺者》で諸藤が出したばかりの《ケラル砦の修道院長》を処刑し、次いで《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》!
現状クロックを用意できない諸藤は仕方なく《アタルカの命令》2枚を使い、ダメージで《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を葬る。
これでお互いの戦場がほぼ更地になり、トップデッキの応酬が始まる。
《ドラゴンの餌》には《マルドゥの悲哀狩り》《アクロスの英雄、キテオン》をブロッカーに立てて、すり減ったライフを守る。
そうはさせまいと諸藤が《僧院の速槍》を追加し強引に押し込もうとすると、ソーの手札からは《停滞の罠》。ならばと《ケラル砦の修道院長》を引き込めば、みたびソーは《停滞の罠》でこれを除去。
息もつかせぬ攻防に、ギャラリーも固唾を呑んで戦況の行方を見守っている。
そして、ゲームを動かすカードを最初に引いたのは諸藤だった。
《前哨地の包囲》をプレイすると、残りわずかなソーのライフを削り切るべく「カン」モードを選択する。
だが、このゲームを落とせないソーも魅せる。
トップデッキした《荒野の確保》をX=8で唱え、《刃の隊長》!
これでソーが一気に攻勢に出ると、諸藤のトークンはブロッカーに回るしかない。なんとか《軍族童の突発》でブロッカーを用意するが、《マルドゥの急襲指揮者》《不毛の地の絞殺者》と連続で引かれてしまい、ライフは1。次のターンに何かしら対応策を引かなければならない絶体絶命の状況に追い込まれる。
だが、勝負の決着はドラマチックにやってくる。
諸藤が力を込めてライブラリートップを公開すると、ギャラリーが沸き返った。
ソーのライフは、3。
ソー 0-2 諸藤
試合後、諸藤は両手を上げて喜びを表現すると、同時に仲間たちも一斉にバンザイし彼のもとに駆け寄る。彼がいかに愛されているかの証左だろう。
そして、ヘッドジャッジから優勝トロフィーを受け取ると茶目っ気たっぷりにポーズをとる。
かつて世界を制した男の、10年ぶりの戴冠である。
諸藤拓馬、グランプリ・神戸2015優勝おめでとう!
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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