読み物
準決勝: 浅原 晃(東京) vs. 白木 高広(山口)
By Shiro Wakayama
黙々と携帯を触ってフィーチャーエリアで待つ浅原。何をやっているのかと思えば、流行りのドリランドをプレイ中。
ずいぶんのんきだなぁと思って聞いてみると、「いや、スタミナが全開だったんで、もったいないじゃないすか。」とのこと。最早悟りの境地に達しているとしか思えない。
そして、この飄々とした、歴史と伝統の男の前に立ちはだかるのは、マジックの初めての日本語版、第4版が発売された頃からプレイしているという、白木。
西と東で、遥か昔からマジックをプレイし続けていた二人が、根幹は変わらないこのゲームの、グランプリの準決勝で、火花を散らす。
白木が操るのはタッチ《》の白単人間デッキ。浅原が操るのはエスパーカラーのソーラーフレア。

幾度となく繰り広げられてきたであろう、伝統のウイニーvsコントロールが、準決勝の舞台でもまた、繰り広げられる。
Game 1
先手はダイスで12を出した浅原。
《》2枚、《》、《》とあるが白マナが無い、少し不安の残る手札を、悩んでキープを宣言した浅原。
白木は、ここで土地1枚に重めのクリーチャーばかりと厳しい7枚を提示されてしまい、マリガンを宣言。さらに、6枚の初手も到底始められるものではなく、ダブルマリガンとなってしまう。
土地3枚、《》、《》という手札をキープ。
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白木 高広 |
白木の《》がファーストアクション。
さらに《》を2ターン目に引き込み、プレイ。《》が成長して、クロックを4点にサイズアップ。浅原のライフを18とする。浅原は《》しながら手札を整理。
次なる白木のターン、後続を展開できないものの、アタックで浅原のライフは14となる。
1マナクリーチャーとはいえ、パワーはそれぞれ2。既にライフを三分の一も削られてしまっている浅原は、《》で《》を手に入れる。しかし、肝心の2枚目の白マナにアクセスができない。
《》で《》は対処するものの、《》の攻撃でライフは12に。さらに《》が白木の場に登場。
これを2枚目の《》で除去するのだが、白木も《》をプレイしたのちに《》をプレイ。これが通ってしまい、《》が戻ってきて《》にカウンターが乗る。
このターンのアタックでライフが10になった上に、場には、《》、《》(カウンター1個)、《》と、兵士トークンと喚声能力込みで15点のクロックが。
ダブルマリガンとは思えない、素晴らしい立ち回り。
ここで、白マナを引いて先ほど手に入れた《》で場を一掃・・・とは行かず、《》をフラッシュバックしても、白マナにはたどり着けず、僅か5分ほどでGame 1の趨勢が決まった。
浅原 0-1 白木
Game 2
白木、またもダブルマリガン。
ファーストアクションは白木の《》。これを《》で弾く浅原。
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浅原 晃 |
さらなる《》も《》で弾くことに成功する浅原だが、なんと土地が2枚で止まってしまう。
この隙に、4マナまでスムーズにたどり着いた白木は、《》をプレイ。既に2枚の《》をプレイしている浅原は、これを通すしかなくなってしまう。
手札には《》、《》と、マナさえあれば何とかなる何とかなる手札。だが、4枚目の土地はもちろんのこと、そもそも黒マナすら無い。
本来であれば、ダブルマリガンは非常に厳しいハンディキャップだ。Game 1に引き続き、Game 2でもダブルマリガンから敗れてしまっては、浅原晃の名が廃るというもの。
やる気を発し続けている濃厚な手札に、ライブラリーが応えるのか否か。力むでもなく、むしろ自然体に近いような形で、ゆっくりとライブラリをめくる浅原。
だが、めくれたのは、《》。場に既にある土地は《》と《》。
手札の除去スペルが、今か今かと出番を待ちわびているのだが、彼らの出番は最短でも次のターン。やむを得ずターンを返す。
《》が兵士トークンを生み出しながらレッドゾーンへと突入。浅原のライフは一気に13となる。さらに、《》などお構いなしと言わんばかりに、《》、《》とプレイして、クロックの数を圧倒的に増やす。
土地さえ引ければ、何とかできる浅原。しかし、無情にもライブラリからやってくるのは、お門違いの《》。
《》で《》を破壊し、何とか死は免れるが、周りのクリーチャーの攻撃によって、早くもライフは5。
だが、まだ、ここで土地を引ければ。アンタップ状態でプレイができる土地が引ければ、仕切り直しができる。
たとえ返しのターンにクリーチャーを展開されても、1体であれば、1:1交換をすればいい。とにかく時間が長引けば、辛い最序盤を終えて、浅原の時間がやってくる。
しかし、土地が引けない。
とはいえ、ここで引き込んだのは《》で、ライフを5から11へと引き戻し、かつブロッカーとして3体のトークンを戦場へとばらまく。
ライフゲインとブロッカー配備による延命効果を考えれば、2ターン位の延命効果が期待できるのだが、当然根本的な解決策ではない。
白木は浅原の延命処置を意に介さず、アタックを続ける。ダメージ稼ぎ頭の《》だけを1体のトークンでブロックして、浅原のライフは11から7へ。
ここで土地を引ければ、まだ間に合うかもしれない。ともう後がない浅原は少し力強く、祈るようにライブラリをめくる浅原だが、そこにあったのは、求めていたものではなく、スペル。
求めても、求めても、土地は手札へとやってこない。《》で得たターンを有効活用ができない。
盤面が圧倒的な白木。手札を温存しながら淡々とアタック。先ほどの攻撃と同様に、《》のみをブロックして、ライフを3とする。
ここまで粘って、土地が引けないわけがない。そろそろライブラリトップは土地なはず。
浅原にとって、最後の分岐点となるであろうこのタイミング。
遥か昔から、ビートダウンvsコントロールが行なわれてきたように、土地事故もまた、マジックザギャザリングが始まったその時から、繰り返されてきた。
友人とのマッチでも、フライデーナイトマジックでも、グランプリの準決勝でも、マジックをプレイする者すべてに、平等に土地事故は訪れる。
浅原 0-2 白木
グランプリ初日、会場の片隅で原稿を書いていたところを目撃されている浅原だが、彼の実力によって、原稿を書く時間は削られた。
プレイヤーとしての浅原の一日が終わり、ライター浅原へと、戻る。
彼が、原稿を書き上げたかどうかは、
明日の更新で、明らかになる。
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