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準々決勝: Martin Juza(チェコ) vs. 田中 功一(兵庫)
by Shuhei Nakamura
オーストラリア、アメリカ、南アメリカ、そして日本。実に3週間。
世界を転々としながらグランプリからグランプリへ、渡り鳥のような3週間の生活も今週で一区切りを迎える、Martin Juzaがこの旅のフィナーレに向けて戦っている。
グランプリ・広島スタート時点でのJuzaのプロポイントは42点、
そしてトップ8入賞での獲得ポイントは5点。ここで勝てば6点以上。
世界選手権での最低獲得分は2点なので、このマッチの如何によって来期のレベル8が確定するかどうかという戦いでもあるのだ。
3分間、ヘッドジャッジの判断により対戦相手のデッキリストを確認する時間が設けられた時間に
『相手のデッキ、1枚差しが多すぎて3分じゃ足りないし』
と本気半ば軽口半ばの質問をジャッジにぶつけているJuza。
それに対して、田中は落ち着いているように見える。
そう、田中のデッキは《》をキーとしたコントロール/コンボデック。
このところのメタゲームの課程であまり見かけなくなってしまった、いわゆるメタ外デッキなのだ。
それが理由の一つかもしれない。
対策がなかなか決め切れなくて少々落ち着きのないJuzaに対して、田中は仮想敵の1つとの対決である。
Juzaの、
『どちらが分が良いマッチアップだと思う?』
という問いかけに対しても、田中は余裕の笑みを持って「五分くらい」と返答している。

対照的に見えるこの2人のうち、準決勝へと駒を進めるのはどちらなのだろうか。
Game 1
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田中 功一 |
Juza先攻、しかしマリガンからスタート。改めて引く6枚はより酷かったようで、すみやかにライブラリーへと帰っていく。
ビートダウンにとっては5枚の先手はとても厳しいスタートだ。
1ターン目に《》タップインスタートから、2ターン目にマナクリーチャーを同時展開。これだけで手札はほとんど使い切ってしまっている。
田中の方のアクションは、《》から《》で《》をコピーというもの。まずまずの立ち上がりだろう。
Juzaは《》を追加するものの、5マナに到達した田中が召喚したのは《》。続いて《》が現れ、《》を設置して事実上のブロック不可に。
だが田中の方もこれで弾切れを起こし、淡々とスライムで攻撃するというターンが続く。
ライフが14まで下がったところでJuzaに変化が。
《》のテキストをジャッジに確認した上で召喚したのは、《》。トークンを生産してターンを渡す。
現れたガラクには執政官とスライムが襲いかかる。
これをJuzaは《》を差し出して守ることにするが、田中にも攻め手が訪れた。《》だ。
放置するにはあまりに危険なタイタン。Juzaは《》で対処するものの、次のターンついにプレイされた《》と、転生した末に現れた《》には、為す術もなかった。
Juza 0-1 田中
Game 2
両者がノータイムで7枚をライブラリーへ叩きつけるところからスタート。
Juzaは再びノータイムで初手を5枚にする一方、田中は少し考えた後にキープ。
今回の5枚は前回よりは納得のいくものだったようだ。
そのJuza、《》《》からの《》と素晴らしいスタート。
田中も鏡打ちで巡礼者を召喚してから、《》と《》でマナを伸ばしにかかる。
その田中の《》にJuzaの《》が襲いかかる。先手5枚スタートとは思えないような良い展開だ。
ガラクに向けた玉砕覚悟の《》アタックを十字軍でブロックし、田中の《》を葬り去った上でJuzaのガラクが変身する。
だが田中も無為に自陣のクリーチャーを失っていったわけではない。
《》の召喚条件に到達し、ガラクどころかゲームを決めかねない5/6飛行が戦場に到着する。
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Martin Juza | |
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これにはJuzaが慌ててサイドボードの確認。
《》から持ってくる生物を確認しているようだが、どうやら第一候補だった《》は全てサイドアウトしてしまっていたらしい。
しかし《》でも当座の役割としては充分だ。
《》までもが戦場に到来し、循環して膨れ上がっていくJuzaの陣容に田中の命運もここまで・・・
ではなかった。
本当にギリギリのところで土地を引き当てて7マナに到達。
一発逆転の《》が再び降臨する。
ノーンの瘴気によりJuza支配の大部分のクリーチャーが倒れてしまうばかりか、さらには攻撃に参加した《》により《》までもを失ってしまい、形勢は一気に田中有利。
だがここぞと言うところで土地をトップデッキできたのはJuzaも同様だった。
《》からの《》。
ノーンで虫の息になっているわずか3体の最後の一撃、それに耐えられるだけのライフがもう田中にも残っていなかったのだ。
Juza 1-1 田中
Game 3
ようやく両者7枚でのキープとなった最終3本目。
だが先手《》3枚からの《》でJuzaの《》をコピーと、田中のスタートは芳しいものとは言えない。
一方でJuzaは《》からの《》。田中の「メカバード」は《》で葬りさった上で《》。
「メカバード」を失った田中は《》を設置することしかできず、Juzaの猛攻を止めることは不可能だった。
Juza 2-1 田中
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