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The Finals11
準々決勝: 行弘 賢(和歌山) vs. 小柳 卓史(東京)
By 金 民守
お届けするのは太陽拳とケッシグというコントロール対決。
一枚一枚のカードパワーが尋常でない両者のデッキ。これは言い換えれば何気ないワンプレイでもそれが及ぼす影響がダイレクトに勝敗に直結するということだ。
特に行弘の太陽拳はカウンターが比較的薄い構成になっており、必然的に大技と大技のぶつかり合いが予想され、嫌がおうにも期待が高まるこの一戦に注目しよう。
先手は小柳は2ターン目《不屈の自然》が約束された7枚、行弘は《太陽のタイタン》2枚と《審判の日》に土地4というハンドをともにキープしてゲームが始まる。
マナブーストはしたものの土地が3枚で止まる小柳と、それを尻目に順調にタイタン着地に向けて土地を伸ばす行弘。
小柳は《ヴィリジアンの密使》と《夜明けのレインジャー》でビートの構えを見せるが、ライフを18点残した行弘の場に《ワームとぐろエンジン》が着地する。
これにには眉をしかめる小柳だが、返しで待望の4マナ目を引き当て《真面目な身代わり》でマナを更に伸ばすとデッキが回り始める。
これを受けて行弘はじっくりと考える。次のターン土地を引けば小柳はキーである6マナに到達するというこの場面。
ケアする選択、割り切る選択、牽制、保留、様々な可能性が行弘の脳内で渦を巻く。
我々がその全てを知ることは叶わないが、行弘が出したその結論は《幽霊街》で《根縛りの岩山》を割りつつ《太陽のタイタン》で《幽霊街》を場に戻すというものだった。
行弘は次にコンバットの選択に入る。
既に変身をした《黄昏の捕食者》と《真面目な身代わり》が立っている場を見渡しながら考える。
単純に考えるとここは《ワームとぐろエンジン》でアタックし、相手のクリーチャー2体を墓地に送って次のターン《太陽のタイタン》が斬り込む道を切り開きつつ、場のクロック10点をキープするというのがいわゆる「手なり」。しかし行弘はフルタップのこのタイミングで小柳に一枚でも多くカードを渡すことを重く受け止めてアタックはせず。
何十回、何百回と繰り返し積んだ研鑽が導いたプロの一手。行弘が静かにターンを返す。
《マナ漏出》される心配がないこのターン、千載一遇のチャンスに小柳は無念にも6マナ目を引けずに《内にいる獣》で《太陽のタイタン》を除去してゴーすることになる。
最悪の事態を回避した行弘は《ワームとぐろエンジン》とビースト・トークンでアタックし、小柳は《ヴィリジアンの密使》でビースト・トークンをブロック。これでライフは26対14に。
小柳は《業火のタイタン》をキャストしてビースト・トークンを除去し、《ワームとぐろエンジン》を迎え撃つべく《黄昏の捕食者》と《真面目な身代わり》を立ててターンを返す。
《業火のタイタン》《黄昏の捕食者》《真面目な身代わり》という小柳の軍勢を前に、またも難しい選択を迫られる行弘。
《審判の日》により盤面を一掃して《ワームとぐろエンジン》のトークンによるビート体制に移行するか、それとも恒久的な除去である《審判の日》を、やがて来る最大の脅威である《原始のタイタン》のために温存し、《忘却の輪》をもって《業火のタイタン》に対処するのか。
ケアするべきリスクと、それに払うことになるコストに頭を悩ませる行弘。
そして出した答えは《忘却の輪》プレイ。
《業火のタイタン》が除去され、《ワームとぐろエンジン》によるビートが継続される。
ここで小柳は《原初の狩人、ガラク》を戦線に投下。既に《ヴィリジアンの密使》と《業火のタイタン》に《忘却の輪》が使われているこの状況、このワンプレイで一気に反撃の狼煙を上げる勢いだ。
しかし度重なる6点ビートでライフは危険水域なのも確か。
行弘は小柳の本体に狙いを定めてアタックを行い。さらなるクロックとして《太陽のタイタン》を追加して《黄昏の捕食者》を《破滅の刃》で除去し、いよいよゲームを詰めにかかる。
しかし小柳がここで渾身の《金屑の嵐》二連打!!
《太陽のタイタン》を除去しつつ《ワームとぐろエンジン》を分解して、《原初の狩人、ガラク》によりトークンを追加して場を一気に五分以上に戻す。
こうなってしまうと行弘は厳しい。捌かれてしまった攻め手。場に残ってしまった《原初の狩人、ガラク》。
小柳のもとにはただ時間が経過するそれだけでアドバンテージが無制限に供給されていく。増え続けるビースト・トークン、高まる《原初の狩人、ガラク》の忠誠。さらには《最後のトロール、スラーン》を出した上での[-3]起動で4枚のカードが小柳のもとに供給される。
その後も最後まで《原初の狩人、ガラク》が場を掌握し、序盤の劣勢を見事押し返して小柳が1本目を勝ち取った!!
行弘 賢 0-1 小柳 卓史
行弘は《雲散霧消》3枚と《ワームとぐろエンジン》を追加、小柳は《極楽鳥》《不屈の自然》《金屑の嵐》を追加のフィニッシャーに入れ替えて2本目が始まった。
どちらも7枚をキープ。まずは《禁忌の錬金術》を連打して手札の充実を図る行弘に対して、《真面目な身代わり》を連打してマナ加速をしながら4点のクロックを構築する小柳。2枚の《幽霊街》と二枚の《墨蛾の生息地》が睨み合う。
そして最初に大きく動いたのは行弘。
それまで小柳の6マナ域に狙いを定めて《マナ漏出》を構えていたが、6マナでランドが止まったことを受けてこの構えを解き、意を決して《聖別されたスフィンクス》をキャストする。
小柳は冷静にこれを自身のアップキープに《内にいる獣》により除去してリードを許さない。
ここから目まぐるしいパワーカードの応酬が始まる。
まずは《堀葬の儀式》で《聖別されたスフィンクス》が蘇り、今度は行弘に2枚のカードを運ぶ。
だがしかし小柳も負けていない。《赤の太陽の頂点》によって、行弘の墓地に控える《堀葬の儀式》をあざ笑うかのように《聖別されたスフィンクス》を墓地より遠くに追放する。
計算を狂わされた行弘だが、攻め手を緩めず今度は《ワームとぐろエンジン》をキャスト。
しかしこのタップアウトに小柳の大本命《原始のタイタン》が突き刺さる!!
場に《墨蛾の生息地》と《ケッシグの狼の地》が追加され、ゲームは一気にクライマックスに向かって進む。
《審判の日》で場をリセットされ、《ワームとぐろエンジン》のトークンと3体の《墨蛾の生息地》が両者に残される。
小柳は次なる攻め手として、3マナを残した状態で《業火のタイタン》をキャストして《墨蛾の生息地》2体でアタック。1体は《幽霊街》で《山》に生まれ変わるが、もう1体が3個目の毒を貯める。
時間がない行弘は《堀葬の儀式》で《ワームとぐろエンジン》を場に戻すのだが、小柳は《帰化》と《赤の太陽の頂点》で《業火のタイタン》のすすむ道をこじ開ける。
押し切られるわけにはいかない行弘は、《破滅の刃》で《業火のタイタン》を除去し、ワーム・トークンによる6点ビートで殴り合いを挑み、さらに《刃の接合者》でクロックを10点に高める。
そして迎えた運命のターン。
最後の《幽霊街》を使わせて、次のターン《ケッシグの狼の地》+《墨蛾の生息地》での勝ちが見えた小柳は《ヴィリジアンの密使》と《原初の狩人、ガラク》をキャストしてのトークン製造で一気に2体のブロッカーを用意する。
しかし、ここで行弘が意地を見せつけるように力強くプレイしたのは《忘却の輪》と《破滅の刃》!!
残されたブロッカーを全てなぎ払い、致死毒が溜まるその直前で行弘が星をイーブンに戻した。
行弘 賢 1-1 小柳 卓史
Game 1
小柳 卓史 |
Game 2
行弘 賢 | |
Game 3
運命の3本目は小柳が2ターン目から《ヴィリジアンの密使》でビートを刻む立ち上がりだった。 そのまま3ターンが過ぎ去った所で小柳は2体目の《ヴィリジアンの密使》を追加する。 後に行弘が「プレイミスだった」と述懐したのはこのターン。 これまで手札に多数の除去とカウンターを抱え土地を待ちながら2点のダメージを甘んじてテイクしていた展開だった。 行弘はクロックが4点に増えたこのターンでも、やはりその路線を崩すことはなく《マナ漏出》を構えつつの《審判の日》を可能にする6枚目の土地ドローに賭けて、ここで《破滅の刃》を温存するプレイを選択したのだった。 本人はこれを完全なるミスと捉えていたが、筆者にはその確信までは持てない。 ただ言えることは、このワンプレイが、これまで繊細なリスク回避を重ねてきた行弘がここで初めて選択した、リスクテイクしての最大効率追求だったということだ。 そしてここでライブラリートップが示した無情なる現実に行弘の表情が歪む。 メインで祈るようにプレイされる《熟慮》。しかしそこに6枚目の土地はない。8枚になったハンドから《審判の日》がディスカードされる。 小柳が静かに、だがしかし着実に行弘を追い詰めていく。 最終的に小柳の2体の《ヴィリジアンの密使》は14点ものダメージを積み重ねた。 遅まきながらまた土地が伸びてきた行弘も、《業火のタイタン》《原初の狩人、ガラク》と小柳が矢継ぎ早に繰り出す脅威をカウンターで対処していくが、小柳がコントロールキラーである《最後のトロール、スラーン》にたどり着くととうとうその回答が用意できなくなってしまう。 そして追いつめられた行弘が《太陽のタイタン》で必死の守りを見せたその返し、小柳が力強く叩きつけたのは《ケッシグの狼の地》!! 場に並んだ土地は実に12枚! ブロックに回った《太陽のタイタン》を《内にいる獣》でなぎ払い、このデッキの真骨頂とも言える豪快な一撃で伝説のトロールが高らかに勝ち名乗りを上げる!! 激戦を制し準決勝に駒を進めたのは小柳 卓史!! 行弘 賢 1-2 小柳 卓史RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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