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2020プレイヤーズツアー・オンライン
プレイヤーズツアー・オンライン4 2日目の注目の出来事
2020年6月22日
(編訳注:埋め込み動画は英語実況のものです。)
「プレイヤーズツアー・オンライン4」には300人を超えるプレイヤーが参戦した。そしてマジックの歴史に残る8人がさらなる激戦の中で1人また1人と敗退し、最後に浅原 晃が勝ち残った。
この日本のベテラン・プレイヤーにとって今週末は素晴らしいものになり、2020年の目覚ましい活躍をさらに後押しするものになった。彼は2月に行われたプレイヤーズツアー・名古屋2020に続き再びトップ8に入賞すると、準々決勝ではライバルズ・リーグ選手にしてプロツアー『アヴァシンの帰還』王者のアレクサンダー・ヘイン/Alexander Hayneを打ち破り、タイトル獲得への道を突き進んだ。
浅原が手にした「ティムール再生」は決勝ラウンドでその力を存分に振るったが、このアーキタイプは週末を通して厳しい戦いを強いられた。トップメタ・デッキは包囲網を敷かれ、プレイヤーズツアー・オンライン3では「ジャンド・サクリファイス」に優勝を譲ることになった。そしてプレイヤーズツアー・オンライン4では初日から2日目にかけて使用率を5%落とすなど(参考記事:英語)、その鉄壁の鎧には亀裂が入り始めていた。
今大会のトップ8には、歴史に名を残す選手や高い技術で名を上げてきたプレイヤーが揃った。使用デッキは、環境の王者たる「ティムール再生」が4人に、「バント・フラッシュ」1人、「バント・ランプ」1人、そして「アゾリウス・コントロール」2人という様相だ。8名のプロフィールはこちらでご覧いただける(リンク先は英語)。
トップ8の内訳は以下の通りだ。
- トーマス・ヘンドリクス/Thomas Hendriks(バント・フラッシュ)
- アルネ・ハッシェンビス/Arne Huschenbeth(ティムール再生)
- アレクサンダー・ヘイン/Alexander Hayne(ティムール再生)
- 浅原 晃(ティムール再生)
- トマシュ・ソドミルスキ/Tomasz Sodomirski(ティムール再生)
- トム・ホワイト/Tom White(アゾリウス・コントロール)
- ペサハ・イスラエル/Pesach Israeli(バント・ランプ)
- ガブリエル・ナシフ/Gabriel Nassif(アゾリウス・コントロール)
15年ぶりの勝利
浅原 晃の名前は若い世代のマジック・プレイヤーには馴染みがないかもしれないが、ぜひ知っておくべきだ。2月のプレイヤーズツアー・名古屋2020入賞に続く今回の優勝で、彼は最高レベルの舞台でのトップ8入賞記録を通算5回に伸ばし、殿堂顕彰者と肩を並べるほどの戦績を誇るに至った。彼はさらにグランプリでも華々しい経歴を持っており、2003年と2005年の優勝を含めグランプリ・トップ8入賞10回を記録している。
それにしても15年ぶりの優勝とは驚かされる。大型イベントでのトップ8入賞も、プレイヤーズツアー・名古屋2020の前となるとグランプリ・広島2011までさかのぼる。浅原が長い時を経て再び頂点に立ったことは、2020年のマジックeスポーツにおけるベスト・ストーリーの1つになるだろう。マジックの歴史に名を残すこの選手を知らなかった人も、これからは意識するはずだ――プレイヤーズツアー優勝という形で、再び私たちの目の前に現れたのだから。
2 《森》 2 《島》 1 《山》 4 《繁殖池》 1 《神秘の神殿》 3 《踏み鳴らされる地》 4 《蒸気孔》 4 《ケトリアのトライオーム》 3 《ヴァントレス城》 2 《爆発域》 3 《寓話の小道》 -土地(29)- 3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 1 《厚かましい借り手》 3 《夜群れの伏兵》 -クリーチャー(7)- |
4 《成長のらせん》 3 《霊気の疾風》 2 《否認》 4 《神秘の論争》 4 《荒野の再生》 3 《サメ台風》 4 《発展 // 発破》 -呪文(24)- |
2 《砕骨の巨人》 1 《厚かましい借り手》 3 《焦熱の竜火》 2 《ナーセットの逆転》 1 《否認》 3 《炎の一掃》 1 《薬術師の眼識》 1 《終局の始まり》 1 《サメ台風》 -サイドボード(15)- |
浅原は「ティムール再生」を倒す手段を見出だせず、トップメタとして広く知られるこのデッキを手に取ることにした。そして彼は今大会を通して、複雑な盤面や「ティムール再生」ならではの選択肢の多さを的確に処理する力に長けていることを証明した。準々決勝では、かつてのプロツアー王者にして現在ライバルズ・リーグ選手であるアレクサンダー・ヘイン/Alexander Hayneを相手に、同系戦で優位に立った。浅原は準決勝でも同系戦を制すと、決勝では「アゾリウス・コントロール」を操るトム・ホワイトと対峙した。ホワイトとガブリエル・ナシフをトップ8へ送り込んだこのデッキは、「ティムール再生」に対して有利だ――ホワイトはその理由を浅原に見せつける。
だが浅原はここから反撃に出た。第2ゲームを勝ち取ると、勝者を決める最終ゲームに臨む。すべてを懸けたこのゲームで土地を詰まらせたホワイトに対し、浅原は《夜群れの伏兵》による「イージーウィン・プラン」を決め、他に何もない戦場を勝利に向かって走り抜けたのだった。
A final congratulations to Akira Asahara, the champion of #PTArena4! pic.twitter.com/86XeeFO4Hb
— Magic Esports (@MagicEsports) June 21, 2020
浅原 晃選手、 #PTArena4 優勝おめでとうございます!
ティムール vs 世界
「ティムール再生」に変化の幅はそう多くない。同系戦を見据えて《霊気の疾風》と《否認》を追加する形や《夜群れの伏兵》を意識して単体除去を搭載する形などはあるものの、新戦力である《サメ台風》を含め必須パーツが多く、よく練られたリストが世に出回ってからはデッキ構築における選択肢は比較的少なくなっている。
だからといって、「ティムール再生」を倒す側に工夫の余地がないほど盤石なわけではない。今大会はまさに、それを象徴するものだった。プレイヤーズツアー・オンライン4初日に注目を集めたのは、ウィリアム・ジェンセン/William Jensenが最終的に10勝5敗の成績を収めた「オルゾフ・ヨーリオン」だった。このデッキは創造性にあふれ、面白い誕生秘話も明かされている(参考記事:英語)。
9 《沼》 7 《平地》 4 《神無き祭殿》 4 《静寂の神殿》 2 《インダサのトライオーム》 1 《サヴァイのトライオーム》 3 《ロークスワイン城》 1 《アーデンベイル城》 4 《寓話の小道》 -土地(35)- 4 《泥棒ネズミ》 4 《魅力的な王子》 4 《ヤロクの沼潜み》 3 《空を放浪するもの、ヨーリオン》 -クリーチャー(15)- |
4 《苦悶の悔恨》 3 《ガラスの棺》 4 《ケイヤの誓い》 4 《裏切る恵み》 3 《屈辱》 4 《予言された壊滅》 3 《エルズペス、死に打ち勝つ》 3 《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》 2 《太陽の宿敵、エルズペス》 -呪文(30)- |
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
-相棒(1)- 4 《朽ちゆくレギサウルス》 4 《強迫》 2 《灯の燼滅》 1 《ガラスの棺》 3 《ケイヤの怒り》 -サイドボード(14)- |
そして予想外のデッキで成功を収めたのは、ジェンセンだけではなかった。
ナシフがトップ8への道を切り開く
2日目のトップ8を決める戦いの中で多くの注目を集めたのは、ガブリエル・ナシフと彼が選択した「アゾリウス・コントロール」だった。彼はこのデッキを数週間にわたって使い込んでおり、60枚デッキで(つまり「相棒」なしで)《空を放浪するもの、ヨーリオン》を使う戦略を習得していた。幾度となくカメラの前でドラマティックな瞬間を見せるナシフの姿は、圧巻の一言だった。
7 《島》 6 《平地》 4 《神聖なる泉》 4 《啓蒙の神殿》 1 《ヴァントレス城》 2 《廃墟の地》 2 《寓話の小道》 -土地(26)- 2 《太陽の恵みの執政官》 4 《空を放浪するもの、ヨーリオン》 -クリーチャー(6)- |
4 《海の神のお告げ》 2 《メレティス誕生》 1 《ガラスの棺》 2 《ドビンの拒否権》 1 《霊気の疾風》 2 《太陽の神のお告げ》 3 《空の粉砕》 4 《エルズペス、死に打ち勝つ》 1 《ヘリオッドの介入》 4 《時を解す者、テフェリー》 4 《覆いを割く者、ナーセット》 -呪文(28)- |
1 《幽体の船乗り》 1 《厚かましい借り手》 2 《霊気の疾風》 1 《敬虔な命令》 1 《ガラスの棺》 1 《ナーセットの逆転》 4 《神秘の論争》 1 《空の粉砕》 2 《サメ台風》 1 《ヘリオッドの介入》 -サイドボード(15)- |
「ローグデッキで大型大会に出るのは不安がつきものだけど、今回はちょっと押し通してみた」とナシフは言う。「《空を放浪するもの、ヨーリオン》をメイン・デッキに4枚採用する形はここ2週間くらい使い続けていて、けっこう勝ったんだ」
「今回のトップ8は大したことじゃないかもしれないけれど、ずっとMTGアリーナのランク戦で調整してきたデッキが大舞台で通用することや、オンラインのプレイヤーズツアーでも成功できることが確かめられて嬉しいよ。ローグな青白でトップ8に入れたのは、喜びもひとしおだね」
こんなプレイも実現できるデッキは、きっと楽しいに違いない。
『基本セット2021』が間もなく登場し、現在のメタゲームに大量の新カードがやって来る。果たして、きたるプレイヤーズツアー・ファイナル2020でも、サメが飛び交い続けるのだろうか? それとも環境は激変するのだろうか?
(Tr. Tetsuya Yabuki)
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