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2020プレイヤーズツアー・オンライン
プレイヤーズツアー・オンライン3 初日の注目の出来事
2020年6月20日
「プレイヤーズツアー・オンライン3」には、151名の参加者が集った。初日のスタンダード9回戦を経て、「ティムール再生」は勢いを落とし、新たな「オルゾフ・ヨーリオン」デッキが大きな活躍を見せ、そしてただ1人、アイザック・イーガン/Isaac Eganが初日無敗を貫いた。
「荒野」がおとなしくなる
先週末の「ティムール再生」デッキは、メタゲームの占有率においても大会での活躍ぶりにおいても圧倒的だった。この週末に行われているプレイヤーズツアー・オンライン3でも23.8%の使用率を維持しているものの(詳細は「初日メタゲームブレイクダウン」(リンク先は英語)をご覧いただきたい)、その活躍ぶりは芳しいものとは言えない。
今大会の初日における「ティムール再生」の同系戦を除いた勝率は、46.5%に留まっている。そして《成長のらせん》を用いる他のデッキ――「バント・ランプ」や「バント・フラッシュ」、「スゥルタイ・ランプ」、「4色再生」も軒並み勝率50%を切る厳しい展開になった。スタンダード環境は変化したのだ。
では、今大会初日に活躍したアーキタイプは? 使用者2名以上のアーキタイプの中で特に目覚ましい活躍を見せたのは、「ラクドス騎士」や「ジャンド・サクリファイス」、「オルゾフ・ヨーリオン」、「緑単ストンピィ」、「ラクドス・サクリファイス」、「シミック・フラッシュ」だった。これらのデッキはどれも勝率56%以上を記録している。多彩な勝ち組デッキについては明日改めて深く分析したいと思うが、ここで第一印象を述べておくと、攻撃的な1マナ域を採用した戦略が大きな成功を収めたと言えそうだ――あるいは、《泥棒ネズミ》を採用した戦略が。
注目のデッキ:「オルゾフ・ヨーリオン」
今大会で特に大きな活躍を見せたデッキには、誰もが驚いたことだろう。だがMPL選手のブラッド・ネルソン/Brad Nelsonとセス・マンフィールド/Seth Manfield、それからライバルズ・リーグ選手のエリック・フローリッヒ/Eric Froehlichとベン・スターク/Ben Starkが力を合わせて組み上げ、同じデッキで出場しているとなれば、注目すべきだろう。
Yup,@efropoker told me what deck I should play, and his metagame predictions were pretty much on point. I mean we still have to play the matches, but I think we are in a good spot. #PTArena3 https://t.co/fMIg9TnFRl
— Brad Nelson (@fffreakmtg) June 20, 2020
よし。@efropokerの使うべきデッキとメタゲーム予想が当たった。まだ先は長いけれど、良い立ち位置にいると思う。 #PTArena3
「ここまでメタ上のデッキに有利取れるデッキは初めてかも(「カウブレード」みたいな非現実的なデッキは除く)」
Trusted @efropoker and played Yorion's Rats
— BenS_MTG (@BenS_MTG) June 20, 2020
Got R1 against Esper Yorion. 1-0 #PTArena3 pic.twitter.com/rLNZwYbgWs
@efropokerを信じて「ヨーリオン・ラット」で出場。第1回戦は「エスパー・ヨーリオン」に勝ち。1-0 #PTArena3
This deck is kind of sick actually? #PTArena3 pic.twitter.com/Zit8aTsNUx
— Seth Manfield(Envy) (@SethManfield) June 20, 2020
もしかしてこのデッキすごすぎ? #PTArena3
Was fun to get to live a day as @crokeyz with a sweet new deck everyone liked watching. My day was pretty brutal, but managed to day 2 #PTArena3 at 5-4.
— eric froehlich #BlackLivesMatter (@efropoker) June 20, 2020
Seth is pacing the field at 8-1 and Ben is in t8 contention at 6-3.
Deck is a ton of fun and really damn good. BOL in MIQs!
@crokeyzの配信みたいに観戦映えする素敵な新デッキで1日を過ごせて楽しかった。成績は全然良くなかったけど、なんとか5-4で2日目進出。 #PTArena3
セスは8-1で先頭集団に入ってるし、ベンも6-3でトップ8を狙える位置にいる。
めちゃめちゃ楽しくて強いデッキができた。ミシックインビテーショナル予選も頑張ろう!
彼らの他にもう1人、ベン・ディクソン/Ben Dixonも同じアーキタイプに至っている。初日の9回戦を終えて、5人の「オルゾフ・ヨーリオン」の合計成績は28勝17敗。62%という高い勝率を記録した。敗北の多くは「ティムール再生」に対してのもので、6勝9敗と負け越すことになったが、ブラッド・ネルソンはこのデッキについて以下のように語る。
「このデッキの核となる部分がバントやスゥルタイにかなり強く、除去はラクドスに有効だ……バントとラクドスがメタゲーム上の良い位置にいるけれど、このデッキはそれらに対して驚くほど強いんだ」
さて、このデッキの軸となるものは何か? 確かに、《予言された壊滅》もその1つだろう。《裏切る恵み》を除去したり、戦場に出たときに主な仕事を終えるパーマネントを生け贄に捧げたりと、素晴らしい働きを見せてくれる。
だがそれ以上に重要なのは、《魅力的な王子》と《空を放浪するもの、ヨーリオン》によるコンボだ。
The moment where @Walaoumpa and @AliasV realize the power of Charming Prince / Yorion loops. #PTArena3 pic.twitter.com/TewfwRwL3f
— Magic Esports (@MagicEsports) June 20, 2020
@Walaoumpaと@AliasVが《魅力的な王子》と《空を放浪するもの、ヨーリオン》によるコンボの力に気づいた瞬間 #PTArena3
戦場に出たときの能力を何度も再利用できるエンジンがとてつもない力を持つことは言うまでもない。その上、《空を放浪するもの、ヨーリオン》の能力は対象を取らないため、《裏切る恵み》をコンボに組み込めば毎ターン3枚ものカードを引ける。(ライフを失うことなく展開を進める手段にもなる。)
このデッキはどのように生まれたのか? 多くのデッキがそうであるように、このデッキのルーツも多岐にわたる。エリック・フローリッヒはもともと、《空を放浪するもの、ヨーリオン》を4枚採用するデッキに取り組んでいた。彼は「Magic Online Standard Challenge」で「__Noob__」というプレイヤーが使用したリストからさらなるアイデアを得て、力強く楽しくメタゲームに挑める可能性を見出した。一方、「poggy」ことベン・ディクソンは先週末のラストチャンス予選でこのデッキを選択し、好成績を収めていた。
競技の舞台に登場したこの新たなデッキは、観て楽しく使って楽しく、そしてとりわけセス・マンフィールドの手にかかれば強力な一作に仕上がった。
8勝1敗で初日を終えた彼の戦いの中には、記憶に残る瞬間が数多くあった。それらは生放送で世界中に配信された。
Burglar Rat MVP! @BenS_MTG now 3-0 at #PTArena3 pic.twitter.com/ZE7WrjJ9PE
— Magic Esports (@MagicEsports) June 20, 2020
《泥棒ネズミ》がMVP! @BenS_MTGが #PTArena3 開幕3連勝を飾りました。
Doom Foretold was instrumental in @SethManfield's Round 4 victory at #PTArena3 pic.twitter.com/aP9HxVKl9g
— Magic Esports (@MagicEsports) June 20, 2020
《予言された壊滅》が、@SethManfieldの #PTArena3 第4回戦の勝利に貢献しました。
Hall of Famer @SethManfield moves to 6-0, winning "probably the most insane match I've ever played" with less than 20 seconds on the clock. #PTArena3 pic.twitter.com/VaE0lcA1rU
— Magic Esports (@MagicEsports) June 20, 2020
殿堂顕彰者 @SethManfield が6戦全勝。本人が「恐らくプレイヤー人生最大の激戦」と語るように、タイマーが残り20秒を切る熱戦を制しました。 #PTArena3
話をまとめると、「オルゾフ・ヨーリオン」はスタンダード環境に新風を吹き込む大いに歓迎されるべきデッキというわけだ。
アイザック・イーガンが「ジャンド・サクリファイス」で9戦全勝を果たす
今大会で1マッチも落とさず9回戦を戦い抜いたのは、ただ1人だった。
オーストラリア出身のアイザック・イーガンは、マジックのハイレベルな舞台を知らぬ者ではない。彼は日本の千葉で行われた世界選手権2010で大舞台へのデビューを果たすと、第10位に入る目覚ましい活躍を見せた。グランプリ・シドニー2010では第4位に入賞し、2013年のプロツアー『ギルド門侵犯』では18位という好成績を残した。かつてマジック専門店のオーナーだった時期もあり、オーストラリアのマジック・コミュニティを支える柱とも言えるプレイヤーだ。
最近は心理カウンセラーとして働く日々を送る彼だが、カードを操る手を止めたわけではない。PTQ優勝で勝ち取ったプレイヤーズツアーの舞台で、こうして最高のスタートを切っている――「この舞台に立てるきっかけになったPTQでカードを貸してくれたジョーイ・フォースター/Joey Forsterに感謝の気持ちを伝えたいです」
「この大会に向けては、オーストラリア人プレイヤーによる少人数のグループで準備を進めました」とイーガンは語る。「練習でははじめから『ジャンド・サクリファイス』担当を志願しました。とにかく《ボーラスの城塞》を動かしたかったから。他のチームメンバーはいろいろとデッキを試しましたが、私は動きませんでした。『ジャンド・サクリファイス』は楽しくて、それに勝てていたんです。」
彼の調整チームは広範囲に集めたデータを共有ドキュメントにまとめながら練習に取り組み、MTGアリーナのランク戦で勝利を重ねたイーガンは今大会への自信を深めていった。練習での成績は48勝21敗を記録し、彼はこのデッキを選択するに至ったのだ。
4 《沼》 3 《森》 1 《山》 4 《草むした墓》 4 《血の墓所》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《寓話の小道》 -土地(24)- 4 《大釜の使い魔》 4 《金のガチョウ》 3 《忘れられた神々の僧侶》 4 《波乱の悪魔》 4 《悲哀の徘徊者》 1 《フェイに呪われた王、コルヴォルド》 -クリーチャー(20)- |
4 《初子さらい》 4 《魔女のかまど》 4 《パンくずの道標》 3 《ボーラスの城塞》 1 《ゴルガリの女王、ヴラスカ》 -呪文(16)- |
1 《残忍な騎士》 2 《フェイに呪われた王、コルヴォルド》 3 《強迫》 1 《神秘の撤回》 3 《苦悶の悔恨》 2 《溶岩コイル》 2 《アクロス戦争》 1 《ゴルガリの女王、ヴラスカ》 -サイドボード(15)- |
今大会初日を通して、イーガンはこのデッキに対する習熟度の高さを大いに示した。幾度となく敗北必至の状況に追い込まれながらも、彼はそのたびに一筋の光明を見出し、《ボーラスの城塞》で逆転を決めた。
With an incredible Bolas's Citadel turn, Isaac Egan turned around the match.
— Magic Esports (@MagicEsports) June 20, 2020
He now leads the #PTArena3 standings as the only 7-0 player! pic.twitter.com/uoqVOYn14P
《ボーラスの城塞》が信じられない動きを見せ、アイザック・イーガン選手が逆転!
これで彼が #PTArena3 唯一の全勝プレイヤーとなり、首位を走ります!
「もう最高の気分です」と、9勝目を達成した彼は言う。「プロツアー『ギルド門侵犯』でも初日7勝1敗を達成しているので、ハイレベルな舞台での大成功は初めてではありません。でも9戦全勝は初めて……最高です!」
Went 9-0 on day 1 of #PTArena3, good enough for me to find my twitter login details :-)
— Isaac (@eganij) June 20, 2020
#PTArena3 初日全勝。思わずTwitterのログイン情報を探して久しぶりにログインしちゃった :)
アイザック・イーガンとセス・マンフィールド、そして5勝4敗以上の成績で初日を切り抜けた他の71名の物語は、2日目に続く。
(Tr. Tetsuya Yabuki)
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