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2020ミシックインビテーショナル
2020ミシックインビテーショナル 勝者側ブラケットの注目の出来事
2020年9月12日
(編訳注:埋め込み動画は英語実況のものです。)
計14回戦で他の152名のプレイヤーを倒して生き残った選手8名は、この2020ミシックインビテーショナルに残された最後の挑戦に向けてギアをチェンジした。トップ8の争いだ。2020ミシックインビテーショナルは2日間にわたりダブルエリミネーション形式で進行するのが特徴で、この3日目である土曜日に1名がチャンピオンシップマッチへと進み――残り全員が4日目の日曜日に、次に負けたら終わりとなる敗者側ブラケットで最後の1席を争うことになる。
プレイヤーの数だけ物語とデッキリストがあるが、とりわけトップ8に残ったのは不利な条件をものともしない英雄ばかりだ。2020ミシックインビテーショナルの勝者側ブラケットがどのような物語を紡いだのか、語っていこう。
準々決勝
4つの対戦が進行する。それは2017-18年のプレイヤー・オブ・ザ・イヤーであるルイス・サルヴァット/Luis Salvattoと、そのタイトルを懸けてサルヴァットと争い、史上2回目の決定戦で敗れたセス・マンフィールド/Seth Manfieldによる一戦で始まった。
「スゥルタイ・ミッドレンジ」と「ラクドス秘儀術師」による一進一退の攻防が繰り広げられた対戦だが、3戦目、勝者を決定するゲームでマンフィールドに思いもよらないことが起こる。彼が置いた《墓掘りの檻》はサルヴァットの墓地悪用を封じたが、また同時に彼自身の《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を墓地から脱出できないようにしてしまったのだ。
この試合を方向づけたターンの後、サルヴァットは《若き紅蓮術士》が生み出したトークン軍団によってかの殿堂プレイヤーのライフを削り切ったのだった。
次なる準々決勝の試合では、トップ8唯一のゴブリン代表である行弘 賢が、「ジャンド・サクリファイス」のグジェゴジェ・コワルスキ/Grzegorz Kowalskiと対峙した。日本の有名な革新的デッキビルダーである彼だが、今回は意表を突いてきてはいない。それでも、《上流階級のゴブリン、マクサス》をより早く展開するため、ゴブリン・デッキのリストに《アイレンクラッグの妙技》を採用していたのは唯一彼だけだ。
しかし彼のゴブリンはビートしきれず、コワルスキの「ジャンド城塞」に悪戦苦闘することとなった。その除去の豊富さに加え、このポーランドのプロ選手は《波乱の悪魔》とクリーチャーを生け贄に捧げるための手段を多数持ち合わせ、行弘が展開する小さなゴブリン軍団を――たとえ《上流階級のゴブリン、マクサス》がやってきても――打ち倒す構えだ。
2ゲーム目もあまり状況は良くならず、コワルスキが2勝0敗であっさり勝利し、勝者側ブラケットの準決勝でサルヴァットと対戦することになった。
次の準々決勝では、派手な実績をいくつも持っているわけではないものの、信じられないほど高いスキルを持ち、決勝ラウンドの緊張感も知る2名による対戦となった。マット・ナス/Matt Nassはプロツアーレベルのトップ8入賞経験こそ一度しかないが、競技シーンの常連であり、マジック・プロリーグやライバルズ・リーグにも参戦している。
デイヴィッド・スタインバーグ/David Steinbergはカードゲームを何年もプレイしており、2017年にオースティンで開催されたゲームイベント「Dreamhack Austin」における「ハースストーン」の大会で優勝している。マジックでは初の上位入賞となった彼は、マット・ナスと彼が操るコンボ的な調整が施された黒単《王神の贈り物》デッキを打ち負かそうと試みた。その「黒単ギフト」は爆発力のある強力なデッキだが、墓地対策は苦手だ。そしてスタインバーグはまさに《漁る軟泥》という形で墓地対策を用意している。あらゆるフォーマットで活躍するこの名カードはヒストリックにも進出し、スタインバーグがナスから2度の勝利を奪うために必要な抑えとなってくれた。
最高の対戦が最後に残った。マジックの二大巨頭、ルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargasとガブリエル・ナシフ/Gabriel Nassifによる戦いだ。トップ8入賞回数を合わせると20回を超えるこの殿堂顕彰者2名は、2020ミシックインビテーショナルへ向けた調整を一緒に行っており、75枚すべて同一のデッキを使用している。
トップ8としてこれ以上の試合はなく、期待を裏切ることのない対戦だった。予選では《波乱の悪魔》がこのトーナメントを象徴するカードだったが、この友人同士による張り詰めた3ゲームもまた、《波乱の悪魔》によって毎度決着がついていくことになる。彼らのデッキは他のクリーチャー・デッキを餌食とできるよう構築されているわけだが、それは《波乱の悪魔》を引くやいなや戦場が一掃され、一方のリードが消える一進一退の攻防が3度行われるということだ。
最終的にはナシフがスコット=ヴァーガスを上回り、最も必要な2枚目の《波乱の悪魔》を引き当て、生け贄による誘発型能力と《魔女のかまど》によって相手を焼き尽くしての勝利となった。
準決勝
まずはサルヴァットとコワルスキによる、「ラクドス秘儀術師」対「ジャンド・サクリファイス」という今週末で最も興味深い対戦の1つが行われる。サルヴァットの《死の飢えのタイタン、クロクサ》は相手が《波乱の悪魔》を出してくると使いにくくなるかもしれないし、《若き紅蓮術士》も簡単に処理されてしまうだろう。しかしサルヴァットにはコワルスキのカードを奪い去る力があり、コワルスキが準備を整える前にゲームを終える機会はある。
コワルスキが《集合した中隊》を失敗した点も彼の助けになった。
しかし信じられないことに、コワルスキはこの状態から反撃に転じ、ライブラリーのトップから《初子さらい》を引き当てて1ゲーム目を奪い取った。これはどちらが勝つか予想するのは無理というものだろう。
それでも、予選をトップ通過したサルヴァットの勢いは止まりそうになかった。2ゲーム目は序盤の妨害を活用して3ゲーム目へとつなぎ、勝者を決定する最終戦では彼の《戦慄衆の秘儀術師》デッキがいかに強力かを見せつける結果となったのだ。
Congrats to @LuisSalvatto, who just cannot. be. stopped.
— Magic Esports (@MagicEsports) September 12, 2020
See him turn it around in a crucial turn in game three in the semifinals, in route to a seat in the upper finals!#MythicInvitational pic.twitter.com/krXPFHXVPc
おめでとう @LuisSalvatto 。誰も、彼を、止められません。
準決勝3ゲーム目の重要なターンでの逆転劇を見てください、これで勝者側ブラケット決勝戦の椅子を獲得しました!
#MythicInvitational
もう一方の準決勝では、トップ8入賞は初めてであるスタインバーグが登場し、トップ8入賞経験13回のナシフと対戦する。過去の実績には少々差があるかもしれないが、驚くべき「ジャンド・サクリファイス」同系対決の内容にはほとんど差がなかったと言えよう。
1ゲーム目では、《大釜の使い魔》《魔女のかまど》《波乱の悪魔》の組み合わせを妨害するための要素がこれらを揃える以外にほとんどないことから、プレイヤー双方がお互いにより良い盤面を作るため、それともちろん《波乱の悪魔》を用意するために相手をけん制していく流れとなった。しかし《波乱の悪魔》による数度のダメージを生き残るのに十分な大きさを持つクリーチャーが1つだけ存在する。《フェイに呪われた王、コルヴォルド》が、スタインバーグのために急ぎ1ゲーム目の決着をつけた。
スタインバーグはマジックの巨匠をロープ際に追い込んだが、ナシフも黙ってはいなかった。次のゲームを勝利し、それまでにないほどの消耗戦となる3ゲーム目へと繋いだ。消耗戦となれば「猫かまど」コンビに勝るものはなく、ナシフは相棒の《湧き出る源、ジェガンサ》をも引き連れ、堂々決勝戦の枠を勝ち取ったのだった。
勝者側ブラケット決勝
ナシフとサルヴァットによるこの対決は、まだ2020ミシックインビテーショナルの王者を決めるものではないが、この試合の勝者はチャンピオンシップマッチの席を獲得できるため、誰よりも優勝に近づくことになる。負けた側は、もう1つの席を残りのトップ8プレイヤー達と争うために日曜の再戦に臨む。
まずはナシフが先制攻撃し、先ほどコワルスキが唱えたときよりもはるかに良い内容と最高のタイミングで助けてくれた《集合した中隊》のおかげで、マナフラッドを起こしたサルヴァットをそのまま沈めてアドバンテージを取った。
2ゲーム目は長期戦の末に、3ゲーム目へと続く流れかと思えた。ある時点ではサルヴァットが戦場に並べた――《熱烈の神ハゾレト》を含む――クリーチャーのパワーの合計が7になり、一方ナシフは戦場にも手札にも何もなかったのだ。しかしトップから《集合した中隊》が現れ、まさに《集合した中隊》がすべきことをし、フランスのプレイヤーが時間を稼ぐために必要なクリーチャーを与えた。
彼はその時間を有効に用いる。細心の注意を払いながら、劇的なターンが続く中――クロックを刻まれ続けながらも――ナシフはしがみついてあと1ターン生き残る方法を探し続けた。
そして、サクリファイス・デッキに数ターンの猶予を与えると何が起こるか、私たちはみな知っている。
この勝利によってナシフは日曜日に向けて準備を完璧に整え、チャンピオンシップマッチで敗者側ブラケットの勝者を待ち構えることとなった!
You live by the clock, you die by the clock.
— Gabriel Nassif (@gabnassif) September 12, 2020
Today we live.
人はクロックによって生き、クロックによって死ぬ。
今日は生きてる。
(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa)
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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