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2020ミシックインビテーショナル
2020ミシックインビテーショナル 2日目メタゲームブレイクダウン
2020年9月11日
マジックのeスポーツに初めてヒストリックが採用された「2020ミシックインビテーショナル」は、意外にも《上流階級のゴブリン、マクサス》が環境を先導する形で幕を開けた(だが驚くことではない)。大会初日には160名のプレイヤーが集まり、そのうち3分の1ほどがアグレッシブな「ゴブリン」デッキを選択したのだ。
彼らは「ゴブリン」でどこまで行けるか確かめるべく、入念に準備を整えてきた。誰もが何かしらの対「ゴブリン」戦略を備えている環境において、どこまで耐えられるだろうか?
初日の7回戦を終えて、4勝3敗以上のプレイヤーが2日目へ進出した。そして「ゴブリン」は、その勢力を維持した。初日に赤単とラクドスを合わせた使用率は33.8%だったが、2日目も32.1%という数字を記録したのだ。
メタゲームの変動は以下の通りだ。
2日目の数字と、初日終了時の上位10名の使用デッキが6つものアーキタイプに広がっていることを見るに、ヒストリックは幸先の良いデビューを飾ったと言えるだろう。初日は一進一退の熱戦が幾度となく繰り広げられ、《死の飢えのタイタン、クロクサ》が現れたと思ったら《戦慄衆の秘儀術師》による「フラッシュバック」から《魔性》が《ボーラスの城塞》をたやすく破壊し、そして(2日目進出は果たせなかったものの)《根の罠》を用いる古き良き「ターボ・フォグ」まで刺激的な瞬間に満ちていた。
2020ミシックインビテーショナルの舞台で、ヒストリックはその魅力を余すところなく見せてくれたのだ。
環境が「『ゴブリン』対その他」の構図を見せる中で、「ゴブリン」は(《スカークの探鉱者》と《ファイレクシアの塔》による)独自の爆発力と粘り強さを兼ね備え、頂点に立っている。《魔女の復讐》や《衰滅》といった強力な全体除去が幅を利かせる中で、それらを一発受けただけで屈してしまうようでは「ゴブリン」は生き残れない。《ゴブリンの女看守》や《ゴブリンの首謀者》、そして《上流階級のゴブリン、マクサス》によって、このデッキはあっという間に戦線を再構築できるのだ。
20 《山》 3 《エンバレス城》 2 《ファイレクシアの塔》 -土地(25)- 4 《スカークの探鉱者》 1 《松明の急使》 4 《人目を引く詮索者》 4 《ずる賢いゴブリン》 4 《ゴブリンの酋長》 4 《ゴブリンの女看守》 4 《ゴブリンの戦長》 1 《宝石の手の焼却者》 4 《群衆の親分、クレンコ》 1 《ゴブリンの首謀者》 4 《上流階級のゴブリン、マクサス》 -クリーチャー(35)- |
-呪文(0)- |
1 《ゴブリンのクレーター掘り》 3 《宝石の手の焼却者》 3 《軍勢の戦親分》 1 《ゴブリンの鎖回し》 1 《ゴブリンの首謀者》 1 《ゴブリンの損壊名手》 2 《マグマのしぶき》 1 《レッドキャップの乱闘》 2 《削剥》 -サイドボード(15)- |
11 《山》 4 《血の墓所》 4 《竜髑髏の山頂》 2 《泥濘の峡谷》 3 《エンバレス城》 1 《ファイレクシアの塔》 -土地(25)- 4 《スカークの探鉱者》 4 《人目を引く詮索者》 4 《ずる賢いゴブリン》 4 《ゴブリンの酋長》 4 《ゴブリンの戦長》 3 《ゴブリンの女看守》 1 《宝石の手の焼却者》 4 《群衆の親分、クレンコ》 4 《上流階級のゴブリン、マクサス》 -クリーチャー(32)- |
3 《思考囲い》 -呪文(3)- |
3 《宝石の手の焼却者》 1 《ゴブリンの鎖回し》 3 《ゴブリンの首謀者》 1 《思考囲い》 3 《削剥》 4 《発火の力線》 -サイドボード(15)- |
シェア争い
多くの使用者を集めたデッキの中では、「スゥルタイ・ミッドレンジ」が特に大きな活躍を見せた。初日から2日目で5%も勢力を伸ばすその奮戦ぶりは、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の健在とヒストリックでも通用することを示している。
「ゴブリン」の武器がシナジーと爆発力なら、「スゥルタイ・ミッドレンジ」は《自然の怒りのタイタン、ウーロ》に脇を固める《思考囲い》と《世界を揺るがす者、ニッサ》といった、純粋な力で勝負をする。また、昨年のスタンダードを席巻したことが記憶に新しい《成長のらせん》の加速力により初動も速く、早い段階で「ゲームを圧倒する者、ニッサ」を繰り出せるだろう。そしてそれに付随する大量のマナは、《精霊龍、ウギン》や《ハイドロイド混成体》へ注がれる。
このデッキは、モンセラート・アイェンサ/Montserrat Ayensaが初日6勝1敗(《自然の怒りのタイタン、ウーロ》使い唯一のマッチ・ポイント18点以上獲得)の好成績を収める原動力となった。
3 《森》 2 《島》 2 《沼》 4 《繁殖池》 1 《内陸の湾港》 4 《草むした墓》 1 《異臭の池》 3 《水没した地下墓地》 4 《ゼイゴスのトライオーム》 4 《寓話の小道》 -土地(28)- 4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 4 《ハイドロイド混成体》 -クリーチャー(8)- |
3 《否定の契約》 4 《思考囲い》 1 《見栄え損ない》 4 《成長のらせん》 2 《取り除き》 2 《無情な行動》 1 《大渦の脈動》 2 《絶滅の契機》 1 《ゴルガリの女王、ヴラスカ》 4 《世界を揺るがす者、ニッサ》 -呪文(24)- |
2 《漁る軟泥》 1 《再利用の賢者》 1 《探索する獣》 2 《見栄え損ない》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《物語の終わり》 2 《肉儀場の叫び》 2 《神秘の論争》 1 《永遠神の投入》 1 《サメ台風》 1 《覆いを割く者、ナーセット》 -サイドボード(15)- |
それから、「サクリファイス」系のデッキも良い1日を過ごした。イヴァン・フロック/Ivan Flochの全勝を支えた「ジャンド・サクリファイス」からアンドリュー・ノルグレン/Andrew Norgrenが使う攻撃的な「ラクドス・サクリファイス」、そしてルイス・サルヴァット/Luis Salvattoが操り6勝1敗を記録した《戦慄衆の秘儀術師》デッキに4枚採用された《死の飢えのタイタン、クロクサ》まで、自身のパーマネントを生け贄に捧げる戦略は類を見ないほどの成功を収めたのだ。
ヒストリックの「サクリファイス」系デッキは、スタンダード版とは一線を画する強力な追加戦力を擁している。《集合した中隊》によってインスタント・タイミングで攻める手段も獲得し、多くのデッキにとって倒しにくい相手になっているのだ。
2 《沼》 4 《血の墓所》 4 《竜髑髏の山頂》 4 《草むした墓》 2 《森林の墓地》 4 《踏み鳴らされる地》 2 《根縛りの岩山》 1 《ファイレクシアの塔》 -土地(23)- 4 《大釜の使い魔》 4 《戦慄衆の解体者》 4 《忘れられた神々の僧侶》 2 《血の芸術家》 4 《波乱の悪魔》 4 《真夜中の死神》 4 《悲哀の徘徊者》 -クリーチャー(26)- |
4 《魔女のかまど》 3 《初子さらい》 4 《集合した中隊》 -呪文(11)- |
2 《帆凧の掠め盗り》 2 《漁る軟泥》 2 《再利用の賢者》 1 《フェイに呪われた王、コルヴォルド》 3 《思考囲い》 1 《初子さらい》 2 《削剥》 2 《ゴルガリの女王、ヴラスカ》 -サイドボード(15)- |
7 《沼》 4 《山》 4 《血の墓所》 4 《竜髑髏の山頂》 1 《ロークスワイン城》 1 《イフニルの死界》 1 《ファイレクシアの塔》 1 《寓話の小道》 -土地(23)- 4 《大釜の使い魔》 4 《血の芸術家》 4 《戦慄衆の解体者》 3 《忘れられた神々の僧侶》 4 《波乱の悪魔》 4 《悲哀の徘徊者》 1 《真夜中の死神》 -クリーチャー(24)- |
4 《魔女のかまど》 3 《初子さらい》 3 《思考囲い》 3 《実験の狂乱》 -呪文(13)- |
1 《湧き出る源、ジェガンサ》 -相棒(1)- 1 《エンバレスの盾割り》 1 《ゴブリンのクレーター掘り》 2 《黒槍の模範》 1 《思考囲い》 1 《村の儀式》 1 《軍団の最期》 1 《精神迷わせの秘本》 2 《魔性》 4 《虚空の力線》 -サイドボード(14)- |
《戦慄衆の秘儀術師》デッキは、ルイス・サルヴァットとチー・イーミン/Zhi Yiminが近い形のデッキでともに6勝1敗の成績を収めている。ラクドスには珍しく純粋なカード・アドバンテージを得られるエンジンを搭載しており、意外なカードの組み合わせで驚異的な爆発力を実現しているのだ。《思考囲い》や《死の飢えのタイタン、クロクサ》で対戦相手の手札を削り取り、そこからさまざまな角度で攻撃に出る。
- 《若き紅蓮術士》でトークンの軍勢を生み出し、それらを《村の儀式》の生け贄に利用する
- 《初子さらい》で対戦相手のクリーチャーを奪い、《忘れられた神々の僧侶》の生け贄に利用する
さらに《戦慄衆の秘儀術師》が加わることで、このデッキは雪だるま式に力を増していく。また強力なカードながらもこれまで重要な役割を果たせていなかった《立身 // 出世》にとっても、初めてその力を活かせる場所が見つかったと言えるだろう。
8 《沼》 3 《山》 4 《血の墓所》 4 《竜髑髏の山頂》 1 《ロークスワイン城》 3 《寓話の小道》 -土地(23)- 4 《縫い師への供給者》 1 《魔王の器》 4 《戦慄衆の秘儀術師》 4 《死の飢えのタイタン、クロクサ》 4 《若き紅蓮術士》 1 《忘れられた神々の僧侶》 -クリーチャー(18)- |
4 《思考囲い》 4 《村の儀式》 3 《初子さらい》 2 《灯の収穫》 2 《魔性》 4 《立身 // 出世》 -呪文(19)- |
1 《夢の巣のルールス》 -相棒(1)- 3 《熱烈の神ハゾレト》 3 《強迫》 1 《マグマのしぶき》 1 《レッドキャップの乱闘》 2 《削剥》 1 《アングラスの暴力》 3 《魔女の復讐》 -サイドボード(14)- |
今大会の初日から得られたヒストリックの様相は以下の通り。
- 「ゴブリン」デッキは、ラクドスよりも赤単の方が優れた成績を残している。ゲーム序盤に《思考囲い》をプレイするためにマナ基盤をいじったプレイヤーの方が、わずかながらも赤単を選択したプレイヤーの後塵を拝する結果になった。「赤単ゴブリン」が数ポイントとはいえ勢力を伸ばしたのに対し、ラクドスは使用率を下げたのだ。(先述した通り、「ゴブリン」全体としては横ばいの結果だ。)
- 「黒単ギフト」を除いて、純粋なコンボ・デッキは芳しくない結果に終わった。《隠された手、ケシス》デッキや1人だけいた「バント・ターボフォグ」の成績は振るわず、開幕からコンボ不在の印象が強く残った。
- 《ドミナリアの英雄、テフェリー》にとっても厳しい大会になった。「アゾリウス・コントロール」を選択した4名は、全員2日目へ進出できなかった。「バント・コントロール」も姿を消し、2日目進出は9人中わずか1人だけという結果になった。
その他の活躍デッキ
一方、斬新なデッキで好成績を残したプレイヤーもいる。その筆頭は、わずか2名しか選択していない「緑単プレインズウォーカーズ」を手にしたクリストファー・レオナルド/Christopher Leonardで間違いないだろう。ローグ・デッキの強みを活かした彼は、初日を6勝1敗で切り抜けたのだ。
22 《森》 2 《ギャレンブリグ城》 -土地(24)- 4 《ラノワールのエルフ》 3 《金のガチョウ》 4 《ラノワールの幻想家》 2 《長老ガーガロス》 3 《大食のハイドラ》 -クリーチャー(16)- |
4 《精神石》 4 《探検》 4 《大いなる創造者、カーン》 4 《アーク弓のレインジャー、ビビアン》 4 《世界を揺るがす者、ニッサ》 -呪文(20)- |
1 《漁る軟泥》 1 《再利用の賢者》 1 《探索する獣》 1 《長老ガーガロス》 1 《孔蹄のビヒモス》 1 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》 1 《石とぐろの海蛇》 1 《大食のハイドラ》 1 《トーモッドの墓所》 1 《墓掘りの檻》 1 《漸増爆弾》 1 《魔術遠眼鏡》 1 《王神の立像》 1 《グレートヘンジ》 1 《影槍》 -サイドボード(15)- |
コンボ・デッキの中で例外的に力強い歩みを見せたのは、「黒単ギフト」だ。使用者6名のうち5名を2日目へ送り込んだこのデッキは、《縫い師への供給者》で墓地を肥やして素早く《来世への門》の起動を狙う。このデッキの使用者を率いるのは、MPL選手にして殿堂顕彰者であるパウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosaとライバルズ・リーグ選手のマット・ナス/Matt Nassだ。同じデッキを使用する2人は、揃って5勝2敗で初日を乗り越えたのだった。
16 《沼》 4 《ロークスワイン城》 4 《ファイレクシアの塔》 -土地(24)- 4 《墓所破り》 4 《縫い師への供給者》 4 《悪魔の職工》 4 《ラゾテプの肉裂き》 4 《忘れられた神々の僧侶》 4 《悲哀の徘徊者》 4 《貪欲なチュパカブラ》 2 《虐殺のワーム》 -クリーチャー(30)- |
4 《来世への門》 2 《王神の贈り物》 -呪文(6)- |
1 《疫病牝馬》 1 《悪ふざけの名人、ランクル》 2 《虐殺のワーム》 4 《思考囲い》 2 《闇の掌握》 3 《虚空の力線》 2 《ボーラスの城塞》 -サイドボード(15)- |
(Tr. Tetsuya Yabuki)
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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