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不朽と余波のデベロップ

Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru

2017年4月28日

原文はこちら

 こんにちは、そして「Latest Developments -デベロップ最先端-」へようこそ! 今週は、お互い厳密には関係がないものの、基本的なアイデアは同じところ――フラッシュバックの変形――から来ている、2つの『アモンケット』のメカニズムを見ていきます。そのメカニズムとは余波と不朽のことです。

 そのデザインの極めて初期の段階から、『アモンケット』が『イニストラードを覆う影』とは別の墓地のブロックであることは把握されていました。初期の計画の一部では実際にこのブロックを『カラデシュ』の前に置いていて、物語も今とは違うものでした。『イニストラードを覆う影』ブロックの墓地テーマを『アモンケット』の墓地テーマと重ねるというアイデアがありました。2ブロック制への変化が多くの計画を熟成させ、最終的に我々は『アモンケット』を『カラデシュ』の後にしてスタンダードで『イニストラードを覆う影』と隣接させることを避けました。

 これらを離すという決定にはいくつかの利点もありましたが、『アモンケット』の正確な墓地シナジーがどのように見えるのか、そしてどのようにそれが『イニストラードを覆う影』と重なるのかわからなくしました。後から考えれば、『カラデシュ』ブロックの墓地対策をもっと強くできるように時間をかけて固めてほしかったと、私は思います。

 我々は『イニストラードを覆う影』で全ての墓地の仕掛けを使ってしまうことを積極的に避けたので、やることは確かに残っています――しかし墓地のカードや種類を数えることは『イニストラードを覆う影』で主に行う事柄だったので、それを避けるべきだということはわかっていました。残された空間で最もわかりやすいものはフラッシュバックで、最初は再録メカニズムとしてデザイン・チームに愛されていなかったにも関わらず、『アモンケット』の2つの主な墓地メカニズムに大きな影響を与えました。

 不朽はその2つのメカニズムのうち先にこのセットに加えられました。デザイン空間の観点からすると、これは新しいものを提供すると同時に白いゾンビ・トークンをメカニズム的につなげる、素晴らしい仕事をしました。余波はデザイン後期に追加され、本当に幅広い異なった効果の呪文を可能にする素晴らしい仕事をしました。セットにサイクリングが追加されて、プレイヤーにとって決断をするポイントが十分にないなどとはとても言えません。多くの異なる選択肢があるこれのようなセットがあるとき、我々は多くの時間をかけてそれぞれの選択肢が興味深く魅力的なものをもたらすようにします。

表と裏のバランスを取る

 ここで言う表と裏とはそのカードの実際の面を言っているわけではありません(しかしながら別の現実では多分そうでしょう)。そうではなく、これはそのカードの最初に唱えたほうの強さと墓地から唱えたものの強さについて言っています。我々が墓地から追加の効果を得られるカードに取り組むとき、これは開発部内で大きな議題になります――理由の大部分は、さまざまな人々がそれぞれの好きなパターンを持っているためです。

 個人的には、《熟慮》よりも完璧なカードが作られたかどうかは自信がありません。私はこれがコントロール・デッキに与える、「後でフラッシュバックできる序盤のプレイ」が大好きで、それはそのゲームを好転させる助けになります。しかし我々は全てのカードがそうすることだけを望んでいるわけではありません――我々は組み合わせを求めています。《名誉あるハイドラ》がプレイするよりも捨てようとしたいカードであることはとてもクールです。《粉骨+砕身》のような頻繁に連続してプレイしたいカードや、《木端+微塵》のような序盤か後半でプレイするカードがあります。


《砕身/Rubble(AKH)》(《粉骨+砕身/Reduce+Rubble(AKH)》) アート:Eric Deschamps

 このような組み合わせはさまざまなゲーム・プレイを可能にするので重要なことです。素早く墓地を増やしてリソースのように扱うデッキを組みたいのであれば、恐らく《木端+微塵》のようなカードはその余波が「ごまかす」ことによる恩恵を受けないのでたくさんは入れたくないでしょう。反対に、《聖なる猫》は最初に唱えたくないカードです。これはライブラリーを削ったりルーティングした場合により良く機能します。これを不朽してもそんなに利益を得られるわけではありませんが、そのために支払うものはほとんど何もありません。

 どんなものであれフラッシュバックのようなメカニズムを作るとき、その課題は2つの半分をバランスの取れたものでありながら1枚の魅力的なカードにすることです。たとえば、こんなカードを思い浮かべてください。

{G}{G}
3/3
不朽{5}{G}{G}

 このカードは強いでしょうか? ええ、そうです――《カロニアの大牙獣》は強力なカードで、これはその上位互換です。しかしそれでも、人々はこの不朽コストが高すぎてこのカードにはそぐわないので、《カロニアの大牙獣》よりも全体的に低く評価するでしょう。このカードは「バランスが取れて」いますが魅力的ではありません。我々は不朽コストを上げ続けることができ、それはこのカードをプレイアブルではないものはしないでしょう。

 このような種類のカードを可能な限り楽しいものにするための仕掛けは、不朽メカニズムで上限を越えるように、前半分を実際に構築フォーマットで使われるパワー・レベルを少し下回るようにすることです。たとえば、不朽のない《賞罰の天使》は使われるでしょうか? 多分使われません――しかし4/4なら使われるかもしれません。そう、それに似ています。これを上限を越えたものにしているのは、そのゲームの後半にもう一度これを唱える能力です。このような、カードのバランスを取るときのポイントで楽しいものになる傾向にあるのは、そのクリーチャーを不朽することで有利になる一方で、不朽しないならマナ・カーブの面で少し不利になる可能性があることです。

 余波は似たような課題を持っていますが、より多くの調整箇所があります。全体的に、我々は余波カードの最初の半分をそれ単体でプレイするのに十分な強さにしたくないと考えています。しかしながら、我々はもっと有用な調整箇所を持っています――その効果を異なるものにできるのです。それぞれの半分でカードを1枚以上得して、それにフラッシュバックをつけるのはとても困難です。そうではなく、我々は片方をカード・アドバンテージに関するものにして、もう片方をより盤面の有利に関するものにすることができます。なので、我々は余波の半分を唱えたくないならばそのカードをプレイしてほしくはありませんが、両方の半分をより強力であるけどもより用途の狭いものにすることができます。《食餌+給餌》はそれ単体はそのコストでは十分に強い能力が何もありませんが、組み合わせたときはそのカードを実際にプレイする目が出てきます。

支援を差し伸べる

 正直に言うと、マジックの墓地に関して知られている事柄を1つ挙げるとすれば、それはフェアではない使い方をされていることです。我々はこれのようなセットに戻る時に発掘や探査の間違いを繰り返したくはありませんが、少なくとも物事がうまくいっている場合、それらが同じ土俵にあると感じられるようにしたいと思っています。これらのメカニズムで3ターン目に誰かが死ぬことはないと思いますが、悪用しようとできるものはあると思います。

 悪用にも様々なレベルがあります。私は『タルキール覇王譚』ブロックのリミテッドでの探査のプレイのされかたを本当に楽しんでいました。3ターン目の《わめき騒ぐマンドリル》や《グルマグのアンコウ》は、「オールイン」したデッキへの本当にすごいご褒美でした。しかしこのセットでの働きは墓地への支援が1氏族だけではなくセット全体に渡るものなので少し異なります。全てのデッキがこのような大きなプレイをするなら、物事は少しつまらなくなるでしょう。その代わり、このセットの墓地支援は大幅な増加傾向にあります。不朽したり余波を唱えるとカード1枚分得するので、《苦しめる声》で《ター一門の散兵》を捨てることはカード・アドバンテージの面でで少し有利になります。そのようなプレイは1回ではほとんどのゲームを作ったり壊したりしませんが、ゲームの間にたくさん行えばそうなるでしょう。

 また我々はすでにスタンダードにあるものを意識する必要もありました。『イニストラードを覆う影』ブロックには大量に墓地を増やすカードがあるので、強力な墓地を増やすカードをたくさん増やす必要はなく、それは実際に良いものでした。『アモンケット』と『イニストラードを覆う影』がスタンダードで重なっていることには問題がありますが、そのことは我々をそのセットから現れるいくつかのブロックの怪物――我々が現在少し対処しているエネルギーやアーティファクトに関連したデッキ――を防ぎ『アモンケット』への種をまく素晴らしい空間へと戻してくれました。『アモンケット』のスタンダード向けカードを作るときに確定したカードを、デッキの軸となるカードにできるのは特に素晴らしいことです。

 今週はここまでです。来週はMファイル『アモンケット』編をお送りします。

 それではまた来週お会いしましょう。

サムより (@samstod)

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