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Beyond the Basics -上級者への道-

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二つで十分

Gavin Verhey / Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing

2016年10月13日

原文はこちら

 以前からのシリーズとして、カードをデッキに入れたい枚数それぞれについての理由を解説する記事を掲載し始めた。「フォーカード」では4枚採用について、「三人寄れば」では3枚採用について取り扱っている。

 今日は、その壮大な物語に新しい章を追加しよう。これまでの例から(あるいはこの記事のタイトルを見て)、今日扱う枚数が何かは分かるだろう。2枚採用についてだ!

 それで、デッキにそのカードが2枚欲しいというのはどういう状況だろうか?

 2枚採用は、デッキ構築で扱う中ではもっとも癖のある枚数と言える。4枚採用なら、4枚も入れる理由は単純明快、それをできる限り引きたいからだ。3枚採用は、手札に来てほしいが、できれば複数枚は引きたくないものだ。では2枚採用は? 2枚採用は、少々扱いづらい。

 基本的には、あまりデッキに2枚採用を増やさないほうがいい、というのが私の考えだ。2枚採用が大量にあるデッキは、ほとんどの場合調整が足りていないと言える。そのカードを採用すべきかどうか判断できていないため、様子見で2枚にしているのではないだろうか?

 しかし、もちろん、2枚にすべきしっかりした理由もいくつかある。では、カードを2枚採用する5つの基本的な理由について、調べていこう。

1.状況に極めて依存するカード

 特定の対戦では劇的に活躍するが、それ以外では何の役にも立たない、というカードがある。それらはほとんどの場合サイドボードに落ち着くが、絶対にそうと決まっているわけではない。時々、メタゲーム(訳注1)や自分のデッキの弱点を考慮した結果、メインデッキにそれらのカードが欲しいということがあるだろう。その結果、サイドボードのカードがメインに採用されることになる。

(訳注1:メタゲーム/どんなデッキやカードが流行しているか)

 例えば、メタゲームの主流が黒や赤の攻撃的なデッキだとしよう。《正義のうねり/Surge of Righteousness(DTK)》は通常サイドボードに入れておくものだと思うが、それらのデッキの人気次第ではメインに欲しくなるかもしれない。

 《正義のうねり/Surge of Righteousness(DTK)》は、他のデッキに対しては何の役にも立たない。黒のクリーチャーが入っているようなミッドレンジ・デッキにでも当たったなら使えるが、基本的には狙っている特定のデッキに対してのみ利用するつもりのカードだ。それ以外の対戦では役に立たないだろう。

 こういった場合、そのためのカードをメインに採用する枚数は、2枚が妥当なところだ。目的のビートダウン・デッキと当たった際に、通常の他の除去に加えてこれらを1枚は引き当てるかもしれない。メインにあるかないかの差が、大きな意味を持つだろう。それと同時に、2枚とも引いてしまうことはごくまれなので、それらを引きたくないような対戦で手札に何枚も来て身動きが取れなくなる、ということもないはずだ。

2.デッキ内でコストが極めて重いカード

 3枚採用について解説した際、3枚にするよい理由の1つとして、デッキのマナ・カーブ(訳注2)のほぼ頂点となるカードの扱いに言及した。

(訳注2:マナ・カーブ/マナ域ごとの枚数をグラフにすることで見える曲線)

 ああ、2枚採用はそれをさらに極端に進めたものだ。

 強力だが、そのデッキでは扱いきれないかもしれないほどに重いカードは、2枚採用の候補としてあり得る。

 こういう奴らがいい例だ。

 ああ――タイタンの連中を覚えているかな?

 タイタンどもは、ばかげた強さを持っている――絶望的に思える状況をひっくり返すほどにね。しかしながら、4マナ域を基本的には頂点としている赤単ミッドレンジ・デッキを使っている場合、《業火のタイタン/Inferno Titan(M12)》は少々重すぎる。しかしそれでも、たまにマナフラッド(訳注3)することがあると思われるが、そのときには試合展開を大きく変化させることだろう。

(訳注3:マナフラッド/土地ばかりある状態)

 一部の赤使いが選択した採用枚数が、2枚だ。2枚とも手札に来たせいで何も唱えられない、という状況に陥る可能性は極めて低い。マナフラッドしたり、ゲームが長引いたりすれば、ゲームを終わらせる秘策が炸裂する。

3.デッキにそれを見つけるための手段があるカード

 1つ前の項目は速攻デッキやミッドレンジ・デッキに限った話ではなく、コントロール・デッキにとっても同様のことが言える。それはともかくとして、コントロール・デッキの大きな利点は、長期戦向きに構築されているところだ。

 例えば《時を越えた探索/Dig Through Time(KTK)》のような、カードを引いたり、デッキの広い範囲からカードを探し出したりできるカードを利用している場合。あるいは《殺害/Murder(EMN)》や《燻蒸/Fumigate(KLD)》のような除去呪文で、試合展開を遅らせている状況を考えてみてくれ。そのような状況では、特定のカードを見つける機会が通常よりもはるかに多い。そのため、他のデッキに比べれば、コントロール・デッキは2枚採用をうまく利用できる。

 基本的にそこに当てはまるカードは、ゲームを終わらせるためのクリーチャー、つまりフィニッシャーだ。例として《怒りの天使アクローマ/Akroma, Angel of Wrath(TSB)》を取り上げてみよう。

 この伝説の天使のような重すぎるフィニッシャーを利用する場合、1枚引き入れたい状況になるのは、かなり試合が経過してからだ。序盤には絶対不要だし、除去に強いので複数枚必要になりにくく、それでいて伝説なので、結果として2枚目が欲しい状況は少ない。これは確かに、他の手段に加えて2枚採用しておきたい、と考えられる類のカードだ。

 そして、それはフィニッシャーに限った話ではない――メインデッキにアーティファクトやエンチャントを破壊するカードが欲しい状況があるかもしれないし、あるいは対戦状況を安定させるために、一気にライフを回復する呪文が少し欲しいと感じることがあるかもしれない。長期戦向けにデッキを構築している場合は、そういったものを採用する枚数として妥当なのは2枚かもしれない。

 だがちょっと待ってくれ、フィニッシャーを複数に分けて採用する話は前にもしたような......

4.分割採用や追加採用のためのカード

 2枚採用が実際には2枚採用ではない状況とは? 分割採用だ!

 「三人寄れば」で言及したように、「分割」はデッキ内の選択肢に多様性を持たせるための構築技術だ。例えば、制限付きの除去2種類のどちらを4枚採用しようか考えているときに、それらを2枚ずつに分けて投入することを指す。

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 そのような選択をするカードは、多くの場合、同じものが2枚あるよりもそれぞれが1枚ある状況のほうが良い。《先頭に立つもの、アナフェンザ/Anafenza, the Foremost(KTK)》が使われるなら《燻し/Smother(WWK)》を持っておきたいだろうし、《大天使アヴァシン/Archangel Avacyn(SOI)》が使われるなら《究極の価格/Ultimate Price(DTK)》のほうが欲しいだろう。メタゲームに対応するために多様性を取り入れておくことは、適切なタイミングで狙った脅威を除去する助けになる。

 分割と同様に、何かのカードが4枚では足りない場合にも、別のカードをさらに2枚採用することがある。4枚の《稲妻/Lightning Bolt(M11)》と一緒に利用している2枚の《稲妻の一撃/Lightning Strike(M15)》があるとすれば、その《稲妻の一撃/Lightning Strike(M15)》の役目は5枚目以降の《稲妻/Lightning Bolt(M11)》だ。実際にはそれは2枚採用ではなく――6枚採用ということになる!

5.検討不十分なカード

 それを認めるのは勇気がいることかもしれないが――しかし時々、プレイヤー自身が十分に吟味できていない場合がある。

 こんな状況だとしよう。

 あなたは白青コントロール・デッキを組もうと考えた。構築に取り掛かり、何をデッキに入れるか少しずつ考えていく。その後、そのデッキを使う予定のイベント前日に《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》を試してみたところ、それ向けに構築を直せばとても強いのではと気づいた。

 しかしながら、実際には数回しか試していない。これを採用することで対戦にどのような影響が出るかは分からないし、《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》を採用して他の勝ち手段を抜いた結果、失敗してデッキが弱くなり、勝つのが難しくなるかもしれない。

 選択肢の一つは、明日のイベントでは《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》の採用を見送る、というものだ。しかし採用してみたいなら、2枚だけ入れてみる、という手がある。これならそこまで危険はないだろう。思った通りに素晴らしい効果があるなら、そのままデッキで使い続ければいい。しかし図らずも、2ラウンド目を待たずに、それがデッキをかなり弱くしていると気づいたとしよう。それでもその枚数なら影響は少ない。(元のデッキ構築のままそうやって採用することについてはやめておくように忠告しておくが、判断材料が少ないうちの2枚採用はそこまで悪い手ではない――構築調整の話に関して十全に語るとすれば、別の記事になるかな。)

 これは一例に過ぎないが、リスクは低減したいものの可能性は追求したいのであれば、2枚採用は折衷案として常に検討できる選択肢だ――正解にほど遠いとはいえね。


《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》 アート:Svetlin Velinov

ダブル・トラブル

 私は基本的に2枚挿しは好まないのだが、デッキを構築し始めて最初のたたき台を作るときに、何種類か2枚採用することはある。なぜかって? カードを幅広く利用してみて、それらがどう働くか、あるいは思ったように動かないかを確認しておきたいからね。そしてそこから、さらに磨きをかけていけばいいんだ。試行錯誤が捗るぞ。

 デッキを構築し始めるときは試してみてくれ。理想を言えば、検討不十分なカードは残らないようにしたい。早い段階で多種多様なカードを調査しておけば、デッキの完成に役立つはずだ。

 これで2枚採用についてはまとめ終わった! 2、3、そして4枚採用について記事にしてきたが、1枚採用についての記事もそう遠くないうちにお目にかけられると思うよ。

 それまでに、何か考えや疑問があればぜひ聞かせてほしい! いつでもTwitterTumblr、あるいはbeyondbasicsmagic@gmail.comにメールして伝えてくれ(英語で)。

 デッキに入れるカードの正しい枚数を選び取る、楽しい日々を過ごしてくれたまえ。また来週会おう!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight / beyondbasicsmagic@gmail.com

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