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企画記事
『運命再編』みんなが選ぶトップ3!
『運命再編』みんなが選ぶトップ3!
by 金子 真実(WotC 日本コミュニティ担当)
皆さんこんにちは!
新年からさっそくグランプリ・静岡2015、そしてプレリリースとビッグイベントが続いていますが、今週末にはもう早速『運命再編』が発売です!
全てのカードが公開され、『タルキール覇王譚』に続くストーリーも記事などでどんどん語られてきています!果たしてサルカンは、そしてウギンとニコル・ボーラスは、タルキール世界の運命は......!?
と、ストーリー的にも続きがひたすら気になるところですが、カードの強さも気になる! ということで、今回も引き続き「マジックなら俺に任せろ!」の3名に、『運命再編』からオススメの3枚についてがっつりと語っていただきました!
それではさっそくいってみましょう!
鍛冶 友浩の場合
通称『世界のKJ』。世界的な認知度の高いデッキビルダーであり、現在はトーナメントシーンの一線を退いてはいるが、多くの練習とレベルの高い理論により、数々のプレイヤーから信頼を得ている。
主な戦績は、プロツアー・チャールストン2006優勝・世界選手権2005トップ4を含むプロツアートップ8入賞3回、グランプリ・北九州2005優勝など。
最近はプロツアーでのニコニコ生放送の司会や、グランプリなどで日本公式カバレージチームのリーダーも務める。
1位 《僧院の導師》
ジェスカイ・カラーでトークンを生み出す能力を持ったクリーチャーといえば、《オレスコスの王、ブリマーズ》、《ゴブリンの熟練扇動者》が思い当たるが、それらと比べ単体で仲間を量産できない代わりに、なんと援軍すべてが果敢持ちに! クリーチャーでない呪文を連続で唱えれば、1ターンに複数のトークンを展開することもできるので、ドローや火力呪文なんかとの相性は抜群だろう。先日のニースで行われた世界選手権2014の際に、渡辺雄也氏が使用したトークン戦略にも当然マッチすると思われるので、《ジェスカイの隆盛》と一緒にトーナメントで見かけることがあるかもしれない。
また、近い能力を持っている《若き紅蓮術士》の活躍の場が、スタンダードよりもカードプールが広く《ギタクシア派の調査》を有するレガシーなどのフォーマットであるように、彼の戦場もスタンダードだけには限らない!?
2位 《時間への侵入》
《宝船の巡航》がソーサリーになった《Ancestral Recall》と呼ばれるならば、この《時間への侵入》は1マナ重くなっただけの《Time Walk》と言える......かもしれない。
「追加の1ターンを行う」、この短い効果がどれだけ大きな影響をゲームに与えるのだろう。Magic Onlineにて、それらヴィンテージ級のカードが飛び交う特殊なブースタードラフト環境で何度か《Time Walk》を唱える機会があったが、相手がタップアウトした隙に《連続突撃》の上位互換(擬似的な速攻や、追加のドロー!)として2連続の戦闘で逆転勝利したり、プレインズウォーカーの忠誠値を増やしながらそのまま奥義に繋いだり、マナが足りないコンボを2ターンに分割して決めるといった、正直言ってやりたい放題できてしまう呪文だった。探査のために墓地の8枚をコストに支払えるならば、そういった状況に近いものを作れるだろう。個人的には、コピーして悪さがしたい。『タルキール龍紀伝』では探査付き《Timetwister》が登場するのかも気になる?
3位 《命運の核心》
今回の『運命再編』は強力なカードが多く、その中から3枚だけ選出するのはとても難しく感じたのだが、最後はレビューでも早い時期に発表された黒い全体除去の《命運の核心》をピックしてみたい。5マナで受け身のカードであるため、4枚セットでは使われないかもしれないが、少なくとも今後スタンダードで見かけることは間違いないだろう。
現環境でのコントロールデッキを代表する青黒は、戦場に並んだ複数のパーマネントの処理を《危険な櫃》に依存しているが、唱えるのに4マナ、起動に5マナとかかるため、なんとか4ターン目に唱えられた《時を越えた探索》で手札に加えるのでは間に合わないこともあった。しかし、この《命運の核心》はソーサリーであるため、2ターンかけることなく即座にリセットすることができる。
サイドボードに《悲哀まみれ》があるので気にならない、《危険な櫃》の方がプレインズウォーカーやエンチャントなども巻き込めるので便利、といった意見もあるだろうが、果たして今後のスタンダードはどうなっていくのだろう?
『運命再編』総評
さっとカードリストに目を通しただけでも、無色の《精霊龍、ウギン》から始まり、各色レアにあるカンか龍を選ぶ「包囲」サイクル、《魂火の大導師》のように神話レア/レアにある起動に混成マナが必要なクリーチャーのサイクルがどれもとても強力で、『タルキール覇王譚』を代表する多色のパワーカード群にもひけをとらない強者揃い。また、トップ3にも選んだ《時間への侵入》のように構築欲をそそるカードも多く、《炎跡のフェニックス》、《巫師の天啓》あたりも使ってみたいと感じさせられた。今回のセットのプロツアーでの構築フォーマットはモダンであるため、そちらでも驚くべきシナジーが発見されているかもしれないので、今からとても楽しみだ。
主にリミテッドで活躍するであろう、変異の起源となった「予示」は、古い時代の呪文だけあって表になれないかもしれないという意味で安定性には欠けるが、今までにはなかった駆け引きを生み出してくれる。
また、このセットはタルキールの1000年以上の過去にタイムスリップしているとのことで、カードのイラストのいたるところに歴史を感じさせる仕掛けが散りばめられている。特に、土地は同名のものが多くあるので、気になる人は見比べると面白いだろう。
射場本 正巳の場合
通称『しゃば』。日本で初めて開催されたグランプリ・東京1997でベスト8に入賞するなど、黎明期から現在まで長きにわたりマジックを愛し、支え続けてきた人物。
彼の作成したコンボデッキ『ピットサイクル』は、「マジック史上最も美しいコンボデッキ」と称された。現在はウィザーズ・オブ・ザ・コースト社開発部に在籍し、主として『デュエル・マスターズ』の開発に携わりながら、「統率者戦」などでマジックをカジュアルに楽しんでいる。
1位 《巫師の天啓》
マジックで僕が一番好きなことといえばライフを回復すること!
そりゃドローやトークンばら撒きも大好きですが、ライフ回復だけは別格。
思えば『リバイスド』を買って《オニュレット》を3連続で引いたことがすべての始まりでした。何とかしてこのレアを使ってやろうと思ってデッキを組み始めたのですが、それ以来ライフ回復の魅力に取り付かれた僕は、ことあるごとにライフ回復係カードをデッキにねじ込んでいきました。何を間違ったか日本選手権で《治癒の軟膏》まで入れたライフ回復バーンなんかも使ったことがありましたが、案の定ぼろ負けでしたね。しかし、「ライフ回復弱い」と言われるたびに闘志が燃えたぎり、なんとかライフ回復を使って一線で戦えるデッキを作ってやろうとコンボデッキを作ったものです。言うなればマジックにおけるデッキ作りのモチベーションの源泉。ありがとう!《オニュレット》!
そしてこのカード。緑らしいドローとライフ回復のパッケージ。しかも生け贄いらないとか最高すぎるでしょ。こりゃ使わないわけがない!と、いうことですぐさま統率者デッキに入れること決定です。んー、早く唱えたい!!
2位 《恐ろしい徴兵》
予示めっちゃ面白い!!! クリーチャー以外のカードが入っているときのしてやったり感。別にそれが強いわけではなくても、なんかテンション上がるこのメカニズムいいわー。このセットの予示カードはトークンくらいのコスト換算で作られているのが多いのでお得な気がする。しかも予示で両面カード持って来た日には三段変形するのとか面白すぎです。目指せ3D龍解!
予示のカードは《見えざるものの熟達》など面白カード満載なのでどれを選ぶかはすごく悩んだんですが、《墓石の階段》大好きな身としてはこのカード選ぶしかないかな。そして他の予示と違って全部クリーチャーだってところが緊張感を高めていますよね。個人的には、どうせなら墓地のカード全部にしちゃえばよかったのにと思ってしまいますが、さすがにノンクリーチャーでできちゃうのはまずいか? 普通に復活させるだけなら《生ける屍》のほうがよかったりするかもしれませんが、このカードのメリットを最大限生かして、裏向きで戦場に出ることをうまく使いたいですね。出たときにデメリットのある《日々を食うもの》的なカードを表にできると、とっておきのドヤ顔ができると思います。
3位 《世界を溶かすもの、アタルカ》
今回は小型セットの割に伝説のクリーチャー大放出です。統率者好きには朗報。
なんか身近で聞いたことがあるような名前が多いような気もしますが、それは置いておきましょう。
さて、この《世界を溶かすもの、アタルカ》、ドラゴンが二段攻撃と一見ただのロマン砲のようですが、単体で見て統率者ダメージ12点は2回殴って1人倒せるスペック。これと《樫の力》や《高まる残虐性》があれば統率者との2枚コンボで一撃死まで持っていけます。感覚的には《荒廃のドラゴン、スキジリクス》に似ていますが、統率者として色に恵まれているため、より強力といえるかもしれません。
とはいえ、7マナという重さは普通なら相当ネック。ここは緑のマナ加速と、赤の速攻をつける手段を組み合わせてクリアしていきたいところですね。元祖サルカンの《サルカン・ヴォル》と合わせるといい感じ。速攻も付けられるし、奥義発動して5体ドラゴン出た日には4/4が5体の二段攻撃で一発40点と気持ちよくなれちゃう! ぜひやってみたいですね!
『運命再編』総評
「『タルキール覇王譚』と『タルキール龍紀伝』という2つの未来をつむぐ過去」ということで面白い試みがされているこのセット。システムもうまいこと融合され、さらに予示という強烈なインパクトのあるギミックがセットを引き締めています。こういったセット間の相互作用を作るのはなかなか大変な作業だったはず。僕も最近『デュエル・マスターズ』で2つの関連するセットのデザインを手がけたのですが、コンセプトを含め2セット同時に開発するのはなかなかに挑戦的でした。その分思考をまとめていくプロセスがめっちゃ面白いので、きっと『運命再編』の開発チームもめっちゃ楽しんだんだと思います。みなさんも、それぞれのカードがどう他のカードと関連しているのかを考えていただけると、『タルキール龍紀伝』に来るべき未来を予想できて、より楽しめるんじゃないかなーと思います。
未来がどうなるかはわかりませんが、今は『運命再編』で遊びたくてうずうずしてるので、早くデッキ作りたいですね!
浅原 晃の場合
通称『エーツー』。強豪プレイヤーにして、デッキビルダー・ライター。主な戦績は、世界選手権2005・世界選手権2008トップ8、グランプリ優勝2回、「The Finals」2連覇など。
デッキブランド「G.o.D.(God of the Deck)」、「みのむしぶらりんしゃん」などで有名。
1位 《精霊龍、ウギン》
『未来予知』の⦅幽霊火⦆、『ワールドウェイク』の⦅ウギンの目⦆、そして、『タルキール覇王譚』の⦅ウギンのきずな⦆とひたひた迫っていたウギンが、プレインズウォーカーとして満を持して登場! 待ってました! ちなみに私は『ゼンディカー』の頃からウギンのファンでした。なので、もうカード化されただけでもうれしい、文句無しの1位。誰がウギンに文句など言おうか。
ちなみに、カードとしての《精霊龍、ウギン》は8マナと重いものの、かなり強力なプレインズウォーカー。特に、能力によって自分自身を守りやすく、元から大きな忠誠度を持つことも相まって、使いがいはバッチリ。さらに、奥義の気持ちよさ度も、なかなか、爽快で満足感が高い。しかも、個人的に《ウギンのきずな》は後に出るウギンと相性が良いカードなのではないか? という読みで、個人的に《ウギンのきずな》をたくさん集めたのも功を奏......、あれ、これ、相性がいいどころか、破壊すらできない? おいおいおいおいおい、もう、ウギンのファンやめます!
2位 《龍鱗隊の将軍》
I have a dream。デッキビルダーは夢追い人である。登山家は山があれば、そこに登るように、デッキビルダーはカードの山を見ればデッキを作る。そして、その山は高ければ高いほどに登りたくなるというものだ。そして、その大きな山、いや、夢の1つに挙げられるのが「無限ターンコンボ」だ。しかし、最近ではターンを得る効果に対しての警戒が強く、《ウギンのきずな》や『運命再編』で加わった《時間への侵入》など、ターンを得ても、そのカード自体がゲームから追放されてしまうため再利用が効かないものが多い。
ただ、そんな時代の中、1人無限の可能性を持つものが残っていた。それが《時の賢者》だ。この《時の賢者》は+1/+1カウンター5個につき、ターンを1つ得られる。つまり、今回加わった新能力である鼓舞で+1/+1カウンターを乗せまくれば、無限ターンも夢ではないのだ。そして、継続的に乗せられるものとして採用できそうなのが《龍鱗隊の将軍》。何となくマナクリーチャーを展開して、《召喚の調べ》を召集で使ってこれらのクリーチャーを揃えると、いい感じで他のクリーチャーがタップされており、何となくターンを得られそうなので、何となく2位に入れてみた。よし、お前ら、俺のターンを奪ってみろ!
3位 《名高い武器職人》
最近、謎は最強の娯楽であると感じることが多くなった。謎は想像力を掻き立てるし、わからないものほど面白いというのは一つの事実に違いない。ミステリーが常に飽きられることなく1つのジャンルとして楽しまれているのもまた、謎が持つ力なのだろう。
そして、マジックも時に謎を混ぜてくることがある、例えば、個人的に好きなシステムの1つである『からくり』などは、《蒸気打ちの親分》という中心となるクリーチャーが居ながら、子分はおろか『からくり』の正体すら分かっていない。しかし、この分からない状態もまた、面白さの1つなのだ。
『運命再編』では、あの名高い武器職人が登場する(本名は不明)。そして、その作るものは⦅心臓貫きの弓⦆と〈龍火の薬瓶〉だ。〈龍火の薬瓶〉は知らない人も多いだろうが、それもそのはずで、まだカード化されていない。次のセットに入るだろうと思われるが、その能力は名前から察するに、ドラゴンが飛び出してきちゃうような代物なのかもしれない。このクリーチャー、マナ加速に加え、実は手札を増やす手段としては優秀な能力を持っているので、場合によっては、何か起こる......かもしれない。次のセットで衝撃の展開が待っている......かもしれない。
『運命再編』総評
『運命再編』は予示という能力も面白く、意欲的な匂いを感じるセット。大量のドラゴンと共に空を駆け抜けるのもよし、氏族の力をさらに追い求めるもよし。特に神話レアはただ使えば強いというよりも、個性的な使い方ができそうなメンツが揃っているので、デッキ構築の面でのワクワク感も高い。サイの時代を終わらせるのは誰だ!
発売週末開催のお祭りイベント!2015スーパーサンデーシリーズ・チャンピオンシップに注目しよう!
発売直後の『運命再編』を使用しまくりのお祭イベント、「2015スーパーサンデーシリーズ・チャンピオンシップ」が、今週末の1/24(土)~25(日)にアメリカ・シアトルのウィザーズ・オブ・ザ・コースト本社で開催されます!
『運命再編』入りの「スタンダード」や「ブースタードラフト」はもちろん、「シールドドラフト」という変わり種なフォーマットも!?
日本からはプロツアートップ8経験のある行弘選手、齋藤選手、永井選手といった強力なメンバーを含む5名が参加予定ですので、日本勢の活躍にもご期待ください!
詳細はこちらの開催案内記事をどうぞ!
おわりに
いかがだったでしょうか?なんと今回は、それぞれが選んだカードが1枚も被りませんでした!
『運命再編』は小型セットながら注目カードが大変多く、皆さん「選ぶのに苦労した」とおっしゃっていました。実際ここで出なかったカードの中にも、《炎跡のフェニックス》や《囁きの森の精霊》、《大いなる狩りの巫師》などなど注目カードだらけです。きっと発売してすぐに大活躍する『運命再編』の面々が見られるでしょう!
それではご一緒に、「Crack-a-Pack!」
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