READING
企画記事
仲田涼の「はじめてのプロツアー」(前編)
仲田涼の「はじめてのプロツアー」(前編)
by 仲田 涼(グランプリ・静岡2014チャンピオン)
こんにちはー。
はじめまして、仲田 涼と申します。
なんだこいつは?と思う方も多いと思うので経緯を含め、自己紹介をしていきたいと思います。私は神奈川、東京で活動しているMTGプレイヤーです。マジックは『ネメシス』から始めて12~13年ほどでしょうか。大会は主に「PWC」や「五竜杯」、そして「ティム東白楽店」のFNM(フライデー・ナイト・マジック)に参加させていただいています。
調整場所は主に東白楽にある長崎という友人の家、通称「長崎亭」で長崎亭メンツとしています。大学帰りや休日に行ってはMTG。それこそスタン、ドラフト、シールド練習、レガシーとしています。あとボードゲームもしたり。
ざっくり話すとこのメンツにはグランプリ(以下GP)・神戸2012優勝者のゾルゲ(平賀 優宏)さん。ミスターPWCにもなったことのある内藤(圭佑)さん。プロツアー『闇の隆盛』TOP4の永井(守)君。今回のプロツアー(以下PT)・アトランタ権利持ちの原野(誉大)ほか。...書いてて結構すごいな。草の根のコミュニティーでGP優勝者が2人もいるなんて、なかなかないと思います。
また別にQBKという仲間うちのチームも組んでいて、そこでも意見交換や調整をしています。上記の原野はこのQBKでもあります。
昨年はこの長崎亭メンツとQBKとの調整のおかげもあり、GP静岡2014で優勝することができました。この優勝によって5月に行われるPT『ニクスへの旅』の権利を得ることができました。
そして今回は私がPT初参加ということで、このPT『ニクスへの旅』までのことを書いてみませんか?とのオファーを頂いたので是非!!といった次第です。
......少し自己紹介が長くなってしましました。それでは今回のプロツアーまでの話をしていきたいと思います。
そもそもプロツアーとは?
とは言ってもまずはプロツアーを知らねばなんとやら。プロツアーを知る必要があります。実は私自身PTにはあまり興味がありません(というと怒られますかね)でした。プロツアー予選(PTQ)にも2回ほどしか出たことがありません。ではPTとはどんなものか?想像してみました。
- 2日目に行くには、GPは7-2だから多分7-2以上はしないといけないだろう
- 参加人数は、権利持ってる人しか出られないから300人くらいかな?
- 会場の空気が殺伐としてそう
- 外人多そう
......なんとも微妙な想像しか浮かんできませんでした。そもそも外国が初めてで想像ができません。このためにパスポートを取得しましたし。あ、キャリーバッグも買わなきゃ。
......話がそれました。では実際はどうなのか。MTG Wikiを見てみると...
プロツアー
1年に数回行われるマジック界最高峰の大会。略して「PT」とも表記される。厳しい条件をクリアし参加権を得たプレイヤーのみが参加できる招待制の世界大会であり、 試合の模様は全日程でLive配信され後日公式のYoutubeページにもまとめられる。
さまざまなフォーマットで争われるが、基本は構築部門10回戦+リミテッド部門6回戦である。
MTG wiki「プロツアー」より抜粋
なるほど。すごい大会らしい。また人から聞いた話によると、
- 初日は4-4以上で2日目
- 人数は大体予想通り
- PT楽しいよ
あっていたのは人数だけでした。というか4-4で2日目行けるんですね知らなかった。これで少しはPTを知ることができました。しかし世界大会だなんて勝てるのでしょうか?とにかく不安です。
調整
そして不安なら自信をつけられるくらい、勝てるよう準備すべきですよね。その準備がマジックで言う練習・調整です。では、そもそも調整とはなんでしょうか。
これはよく長崎亭メンツ&QBKである原野と議論をしている事項です。私はこの調整には「目的をしっかり持つこと」が重要だと考えています。
例えば構築。環境を理解するためなのか。既存のデッキのプレイングがもっとうまくなるためなのか。それとも既存のデッキに勝つためのデッキを制作するためなのか。ただデッキを回したいだけなのか。etc。
目的はしっかりするべきです。
すこしGP静岡の話をしましょう。GP静岡での調整では環境が煮詰まっていたので私はデッキ選択、そしてプレイングを目的とした調整を行っていました。
そしてしっかり目的を持ったこの調整で私はGP静岡を優勝することができたと思っています。余談ですがこの調整で原野は《闇の領域のリリアナ》入り黒単を制作。GP静岡では結果を残せませんでしたが1月に行われたPTQ川崎にこのデッキを持ち込み、抜けています。
多分この調整会は原野にとっては既存のデッキに勝つためのデッキを制作するためだったのでしょう。目的は人それぞれです。なんにせよ目的は持つべきです。
では今回のPT『ニクスへの旅』に向けての練習・調整はどうするべきでしょう。まず私はMagic Onlineをしていないので他の方々より確実にブロック構築を理解できていません。なので、まずは前環境のデッキ理解から行いました。Magic OnlineのNews and Updatesページでデイリーイベントの結果を確認。実際に作って一人回し。動きを把握。当然、今回は『ニクスへの旅』入りですので、それらのデッキに新カードを入れひたすら一人回し。
私は他の方々と違ってデッキの動きを想像するのは得意ではないので、実際にひたすらデッキを一人回ししています。昔は一人回しで徹夜したこともあります。
ただ対人でもデッキを回さないと環境と自分とのズレが補正されません。しかし今年から千葉でひとり暮らしをしているため簡単には長崎亭に行けることができなくなっていました。
練習場所
どーやって対人で練習・調整しようかなぁと悩んでいたら、4月中旬頃にGP静岡ベスト4の中島(一)さんから連絡が。それは「晴れる屋(晴れる屋トーナメントセンター)」で練習しませんかとお誘いでした。練習場所で悩んでいた私は二つ返事でOKです。定期的にPT『ニクスへの旅』権利持ちで集まろうということでした。もう悩みはなくなりました。
晴れる屋
実際の練習会に何回か行きましたが行ってみると相当な顔ぶれ。津村(健志)さん、やまけん(山本 賢太郎)さん、ナベ(渡辺 雄也)さん、彌永(淳也)さん...他にもいっぱい。私がこんなところで一緒に空気を吸っててもいいのでしょうか。
『ニクスへの旅』プレリまでの間、週2回ほど集まってブロック構築を回す&動きをみる。そしてどんなデッキがあるのかを学びました。
プレリ後はパックが(賞品分で)手に入るためドラフトを。
晴れる屋では3回ほどドラフトをしましたが戦績は1-2、1-2、1-2...うーん、だめ。もっと考えてドラフトしないと。
エビ亭
晴れる屋以外でも調整は行っています。ゴールデンウィークの土曜日には海老江(邦敬)さん(関東のMTGプレイヤー)にお誘いを受け、通称「エビ亭」でMTG。
ブロック構築を回したあとドラフトへ。ドラフトはまずはとにかく数をこなしたいと思っていたのでこのゴールデンウィークを使ってドラフトです。
ドラフト1回目初手《信者の沈黙》。強い。特にこのカードはブロック構築でもよく見るようになるはずの強い除去です。
流れも特に悪くなく青黒デッキを作ることができました。戦績はマリガンミスをして2-1。本番ではこのようなミスをしないようにしたいところです。ちなみに《信者の沈黙》は授与の付いた生物を除去して1:3交換したりとかなり強かったですよ。
そのあともご飯を食べたりと間を挟みつつ朝7:00まで計4回ドラフト。ドラフトの合間にはドラフトでのカードの評価、ブロック構築でのデッキ選択など意見を交わしました。
ちなみにドラフトの戦績は2-1の3着、2-1の2着、2-1の2着、1-2の6着。...ぱっとしない。あと家主、強かったです。でも2-1いっぱいしてるし、ドラフトはなんとなくいけるかな。...そう思っていた時期が僕にもありました。
長崎亭
しかしその自信はこの長崎亭で砕かれました。
エビ亭を出て4時間後、長崎亭にて11:00からドラフトが始まりました。晴れる屋、エビ亭でドラフトし、他の人に比べて経験というアドバンテージが私にはありました。
初手はエビ亭で使われてとても強かった《セテッサ式戦術》。除去もいっぱいの赤緑を作りこれは勝てると思っていたら...なんと0-3。この環境、0-3は初めてだったのでショック。
皆にも「エビ亭で何を学んできたの?」と言われる始末。ぐぬぬ。
その後のドラフトもぱっとせず2回目1-2。3回目も0-3チャンスからのギリギリ1-2。
......もう完全に心は折れていました。
全然勝てない。みんな強すぎ。でも愚痴を言っていても何も始まりません。人間は日々進歩する生き物です。進歩しなければいけません。このままではゴールデンウィーク、ドラフトのコツではなく敗北しか得ることができなくなってしまいます。ふと見ると同じPT権利を持っている原野は調子が良さそうです。原野からピックの教えを請い4回目のドラフトへ。
初手《全希望の消滅》。ラスゴだー。しかし流れで出来上がったデッキは緑t青白。構築のときにドラフトに参加していない永井君に「デッキ超弱いね」と言われてしまう始末。
......でももう負けたくない!!
と初戦早々に1本目を落とし「あーまた0-3かー」と諦めていたら、あれよあれよという間に勝ち続け3-0することができました!!3-0は嬉しかったですが、特に教えられたピックで3-0できたことは嬉しかったですね。このゴールデンウィーク、仲田は確かに進歩できました。
プロツアーでの目標
それは強い人たちとゲームをすることです。
それ目標じゃないじゃんという方もいるでしょう。しかし私がMTGを続けている理由はそうなのです。当然勝ちたいという気持ちもあるのですが、私はそれ以上に巧い人、ロジックを持った人とマジックをしているときたまらなく嬉しく楽しくなるのです。
どんなことをしてくるのか?それはイメージ通りなのか。それともさらにすごいことをしてくるのか。自分のプレイング、ロジックが通用するのか。ワクワクしてしまうのです。
舞台はプロツアーです。ワクワクしないはずがありません。
そしてこのPT後はこの経験から更にレベルアップができればいいと思っています。(あ、これが目標になるのかな)
最後に
仲田と調整していただいた方々、ありがとうございました。少しはいいところを見せられるよう頑張ってきます。皆さん、日本勢の応援よろしくお願いしまーす。でわでわ。
日程 | 放送日 | 放送時間 | 放送ページ |
1日目 | 5月16日(金) | PM10:00~翌AM10:00 | 放送ページ |
2日目 | 5月17日(土) | PM10:00~翌AM10:00 | 放送ページ |
3日目 | 5月18日(日) | PM10:00~翌AM8:00 | 放送ページ |
※3日目の放送開始時刻が「PM10:00」に変更となりました。
※終了時間は進行により前後することがございます。
RANKING ランキング
-
広報室
年末年始もマジックづくし!「お年玉キャンペーン」&「プレマ&スリーブゲット!年末/年始スタンダード」開催決定|こちらマジック広報室!!
-
コラム
スクウェア・エニックスで「マジック体験会」を開催!?『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』に向けたインタビューも|企画記事
-
戦略記事
ラクドス・サクリファイス:クリーチャーともう一つの生け贄要員(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
戦略記事
今週のCool Deck:海賊デッキ&兎デッキ、プレイされた国にも注目!(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
戦略記事
ジャンド独創力:プランは複数、独創力のみにあらず(パイオニア)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
NEWEST 最新の読み物
-
2024.12.20戦略記事
今週のCool Deck:ロータス・コンボ、遂にアリーナにて始動!(パイオニア)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
2024.12.20読み物
第51回:0から始める統率者戦|クロタカの統率者図書館
-
2024.12.19戦略記事
とことん!スタンダー道!まさかまさかの複製術、コピーされ続ける先駆者(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
2024.12.19コラム
スクウェア・エニックスで「マジック体験会」を開催!?『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』に向けたインタビューも|企画記事
-
2024.12.18戦略記事
ラクドス・サクリファイス:クリーチャーともう一つの生け贄要員(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
2024.12.18広報室
2024年12月18日号|週刊マジックニュース
CATEGORY 読み物カテゴリー
戦略記事
コラム
読み物
BACK NUMBER 連載終了
- Beyond the Basics -上級者への道-
- Latest Developments -デベロップ最先端-
- ReConstructed -デッキ再構築-
- Daily Deck -今日のデッキ-
- Savor the Flavor
- 射場本正巳の「ブロールのススメ」
- 津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
- 浅原晃の「プレミアイベント三大チェックポイント!」
- ガフ提督の「ためになる」今日の1枚
- 射場本正巳の「統率者(2017年版)のススメ」
- かねこの!プロツアー食べ歩き!
- ロン・フォスターの統率者日記
- 射場本正巳の「統率者(2016年版)のススメ」
- マアヤのマジックほのぼの日記
- 金子と塚本の「勝てる!マジック」
- 射場本正巳の「統率者(2015年版)のススメ」
- 週刊連載インタビュー「あなたにとってマジックとは?」
- なかしゅー世界一周
- 中村修平の「デイリー・デッキ」
- 射場本正巳の「統率者(2014年版)のススメ」
- 中村修平の「ドラフトの定石!」
- 浅原晃の「プロツアー観戦ガイド」
- 鍛冶友浩の「プロツアー観戦ガイド」
- ウィザーズプレイネットワーク通信
- Formal Magic Quiz
- 週刊デッキ構築劇場
- 木曜マジック・バラエティ
- 鍛冶友浩の「デジタル・マジック通信」
- 鍛冶友浩の「今週のリプレイ!」
- 渡辺雄也の「リミテッドのススメ」
- 「明日から使える!」渡辺リミテッド・コンボ術
- 高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」
- 高橋優太の「このデッキを使え!」
- 黒田正城の「エターナルへの招待」
- 三田村リミテッド研究室
- 新セットめった切り!
- シングルカードストラテジー
- プレインズウォーカーレビュー
- メカニズムレビュー
- その他記事